千葉県九十九里町で体験型自然学習プログラムを開催している「まなびファーム」。田植え体験と川の生き物観察、季節の野菜収穫の3つを楽しめる人気コースをレポートします。秋には稲刈り体験もおすすめ。米作りを通して食べることについて身をもって学び、親子で「生きること」について考えるきっかけにしてみませんか。
「まなびファーム」って？体験の予約は？
東京から車で約1時間、自然に恵まれた九十九里エリアにある水田や畑などを舞台に、合同会社九十九里振興が運営する体験型自然学習プログラムを「まなびファーム」といいます。今回メインで紹介する田植え体験をはじめ、稲刈り体験、季節の野菜や果物の収穫体験、収穫した作物を使った料理体験などを実施。さまざまな体験を通して、都会ではなかなか学ぶことのできない「気づき」や「考える力」、「生きる力」を育むことができます。
「まなびファーム」を運営する合同会社九十九里振興代表の鑓田泰章（やりたやすあき）さんは、「子どもたちはもちろん、大人にも童心を思い出してもらって、みんなで一緒になって楽しんで、よい思い出にしてもらえれば。そして、帰り道や帰った後で1日を家族みんなで振り返って話し合ってもらい、生きることについて考えるきっかけにしてもらえればいいですね」と話します。
各種体験の予約はすべて公式サイトの問い合わせフォームから。スタッフさんは日中ずっと農作業をしているため、体験当日の緊急事態を除き電話連絡は不可となっているので注意してくださいね。
田植え体験の集合場所は、九十九里町藤下地区にある教育用水田の駐車場です。集合場所は体験によって異なりますので、お出かけ前によく確認しておきましょう。
田植え体験パック型コースをレポート
充実の3つの体験！所要時間は？
田植え体験のみの単回型コースもありますが、今回レポートするのは、水生生物捕獲観察会（川での生き物観察）、季節の野菜収穫、田植えの順に3つの体験を楽しめる「田植え体験パック型コース」。所要時間は合わせて2時間程度です。
まずは集合場所の駐車場で、スタッフさんのレクチャーから。
コース料金に含まれているおみやげとして、新米5kgがその場で先にいただけます。
3つの体験の会場は少しずつ離れているので、スタッフさんの軽トラを先頭と最後尾に、それぞれのグループの車で並んで走って移動します。道幅が細く角を曲がりきれない場合もあるので、車幅200cm以上など大きな車での来場はNG。レンタカーの場合は少し小さめの車種を借りておくと安心です。また、車内を汚さないために、座席に敷くレジャーシートなどを用意しておくとよいでしょう。
服装や持ち物の準備は？
服装は半ズボン、Ｔシャツ、上着のジャージなど汚れてもよい格好。水田に入るため足回りが特に重要で、軍足（5指型がベスト、難しければ汚れてもよい靴下で代用可）と、田植え以外の体験の際に履くスニーカーと別に、移動用のサンダル（ビーチサンダルやクロックスを推奨）も用意しましょう。なお、アクアシューズの使用は水田にハマってしまうため禁止されています。日差しの強い日は帽子、軽い雨天であれば中止にならないので、ウィンドブレーカーなどがあると便利です。
また、持ち物として、着替えやタオル、ウェットティッシュ、日焼け止め、ドリンクなども必須。撮影用のデジカメやスマホは、水没防止や泥まみれの手でも扱えるように防水ケースがあれば重宝します。特定外来生物以外の生き物は捕まえても大丈夫なので、虫かごを持ってきている子どももたくさんいますよ。
まずは水生生物捕獲観察会からスタート
準備とレクチャーをひと通り終えたら、車で移動してまずは水生生物捕獲観察会（川での生き物観察）の会場へ。あらかじめ仕掛けておいてくれた写真のようなワナを川から引き上げて、中にいる生き物を観察します。
1グループにつき3個程度ずつ用意されたワナを引き上げると……
いました！ 川の生き物たち。
ボラやカワエビ、サワガニなどが多く、ときにはドジョウも入っているそうです。
入っていた生き物はすぐにバケツの中に移してあげます。ワナに残ってしまうと干からびてしまうので、見落とさないように必ずすべて移してあげましょう。
すべてのワナを引き上げたら、バケツの中の生き物を観察。手にとって触ってみたりすることもできます。
後ほど全グループのバケツをまとめて観察できるので、自分たちのバケツに入っていなかった生き物も見たり触ったりできますよ。
観察を終えたら持って帰る分以外を川に返してあげて終了です。持ち帰ったオタマジャクシを家で観察して、カエルになるまでを学ぶ子どももいるそうです。
続いて季節の野菜をたっぷり収穫体験
また各自の車で連なって移動して、次は季節の野菜収穫体験の畑へ。
収穫体験の注意点はまわりの田んぼやあぜ道に入らないこと、案内された以外の野菜にさわらないことの2点。1グループ2枚のビニール袋をもらってスタートです。
この日の収穫はまずはタマネギから。両手でしっかり持って引き抜けば、大きなタマネギがスポッと現れます。
続いて葉物・根菜類で、この日はミニカブ、ホウレンソウ、ミズナ、サニーレタス、ラディッシュなど。1グループあたり写真の範囲ぐらいたっぷりスペースが割り当てられ、全部収穫して持って帰っていいんです！
ひとつかみの葉物だけでもすごい量。次から次へと収穫していきます。
なるべく子どもにやらせてあげたいなんて考えていると終わりません！ 家族みんなで協力しながら収穫しましょう。
2つの袋いっぱいに詰め込んで収穫完了！「自分たちだけでこんなに食べきれるかな？」、「お友だちやおじいちゃん・おばあちゃんに分けてあげないと」などの相談が、あちらこちらで始まります。
最後はお待ちかねの田植え体験
水生生物捕獲観察会と季節の野菜収穫体験を終え、集合場所の近くの教育用水田に戻ってきたら、いよいよ田植えの始まりです。靴を脱いで軍足や靴下で入るので、まずは泥の中で脱げないようにテープで止めてもらいます。
続いて、用意された苗が一人ひとりに配られていきます。初めて見てさわる苗に興味津々！
苗がそれぞれの手に渡ったら、田植えについてのレクチャーがあります。
田植えの方法は、3～4本をひとまとめにして、土の中5cmぐらいのところまでズボっとさします。5cmぐらいの目安は大人だと人差し指、中指、薬指の第2関節あたりと意識すればわかりやすいとのこと。ポイントを教えてもらえば、あとは実践あるのみです！
レクチャーが終わったら靴を脱ぎ、用意できた人からいよいよ水田の中へ！ 「意外とあったかい！」「下がヌルヌルしてる！」と悲鳴や歓声が上がります。
あくまで「体験して学ぶ」プログラムなので、端のあぜ道から30cm以内でなければ植える場所も自由！ まっすぐ並べて植える子どもや自由にバラバラに植えていく子どもなど、植え方に個性が現れます。
手足をドロドロにしながら、しっかり植えることができました！
終わった人から水田を出て、泥を洗い流して解散です。
駐車場までは少し歩くので、ここでサンダルやクロックスが活躍します。
駐車場にはよりしっかり泥を落とせる水場や着替えスペースも用意されているので、なるべく車を汚さずに済みますよ。
稲作体験（田植え・稲刈り）に参加しよう
例年、田植え体験（4月下旬～5月下旬ごろ）は4月上旬ごろから一般受付が開始されます。田植えと稲刈りがセットになっているコースは、稲作全体を学ぶことができておすすめです。稲刈り体験（9月ごろ）の受付は8月中旬ごろから。3歳未満の体験は不可、子どもだけでの参加は不可です。詳しくは公式サイトで確認しましょう。
「まなびファーム」では、田植えに限らず稲刈りや野菜や果物の収穫体験など、年間を通じてさまざまな体験プログラムが実施されていますので、ぜひ訪れてみてくださいね。
稲作体験のコースと料金
- 田植え体験パック型（稲刈り含む）：
田植え体験（新米5kg付）、水生生物捕獲観察会、季節の野菜収穫、秋の稲刈り体験（新米5kg付）／家族4名まで3万円 - 田植え体験パック型：
田植え体験（新米5kg付）、水生生物捕獲観察会、季節の野菜収穫／家族4名まで18000円 - 田植え体験単回型：
田植え体験（新米5kg付）／見学者含む4名まで12000円、3名まで9000円、2名まで5000円 - 稲刈り体験：
稲刈り体験（新米5kg付）／見学者含む4名まで12000円、3名まで9000円、2名まで6000円
| 住所 | 千葉県山武郡九十九里町藤下地区（体験サービスごとに開催場所・集合場所が異なる） |
|---|---|
| 問合先 | 公式サイト内の問い合わせフォームから問合せ |
| 駐車場 | あり／普通車60台、大型車12台（近隣駐車場含む） |
| URL |
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
