子どもと紫外線!日焼け止めは何歳から?正しい塗り方、去年の使い残しは?【海・プール・屋外遊びに】

子どもと紫外線!日焼け止めは何歳から?正しい塗り方、去年の使い残しは?【海・プール・屋外遊びに】

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子どもとお出かけをするとき、どのくらい紫外線対策はしていますか?「子どもにも日焼け止めクリームを塗ろうとすると嫌がるので、あまり塗らない」という声も多く聞かれます。ですが、健やかな皮膚を保つためには、やはり紫外線対策はしっかりと行うべきもの。大人と子どもの紫外線対策の違い、効果的な日焼け止めクリームの塗り方や気をつけるべきことなど、小児皮膚科医の馬場先生にお聞きしました。

※当記事は2023年5月20日の取材に基づいています。

(監修)馬場直子先生(神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長)
滋賀医科大学卒業後、横浜市立大学皮膚科講師を経て、1994年神奈川県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼務。

目次(index)

紫外線対策は、なぜ必要?

紫外線は、老化を早め、皮膚がんにつながることも

紫外線を浴びると、体内でビタミンDが合成され、骨を強くするというメリットがある一方で、デメリットもたくさんあります。たとえば、短期的には皮膚に炎症を起こして赤くなったり水ぶくれができたりする、いわゆる「日焼け」があります。長期的には、皮膚を乾燥させてシミやシワなどの老化を早めたり、細胞のDNAを損傷したりします。細胞の損傷が繰り返されれば、皮膚がんにつながることもあるのです。

子どもは大人よりも紫外線のリスクが高い!

大人に比べて子どもは皮膚が薄いため、大人よりも紫外線のダメージを受けやすいです。また、子どもは外遊びをしたり、学校などでは屋外で運動をする機会が多いもの。そのため、18歳までに生涯に浴びる紫外線の約半分の量を浴びているといわれています。大人はもちろん、子どもにこそ、しっかりとした紫外線対策が必要なのです。

子どもの紫外線対策、何歳から?曇りの日も必要?

子どもの日焼け止めは1歳以降

紫外線対策を始める年齢は早いに越したことはありませんが、日焼け止めクリームなどを塗るのは、1歳以降を目安にしましょう。0歳代の赤ちゃんは、長時間外に出る機会がまだ少ないうえに、乳児湿疹などの皮膚トラブルを起こしやすいため、日焼け止めクリームを塗るのはあまりおすすめできません。ベビーカーの幌(ほろ)や帽子、衣類などで直射日光を避けるといいでしょう。

肌の弱い子はどうする?

肌が弱いお子さんやアトピー性皮膚炎のあるお子さんに日焼け止めクリームを塗ると、それによるかぶれを起こしてしまうことがあります。医師の指示にしたがって抗炎症薬などで肌トラブルを治すことを優先し、紫外線対策は衣類や帽子で工夫しましょう。なお、肌トラブルがなくても、すり傷がある場合は、傷の部分を避けて日焼け止めを塗りましょう

曇りの日でも、紫外線の量は多い!

紫外線は、薄曇りの日でも快晴の日の約80%届いているといわれているので、曇りの日でも日焼けには気をつける必要があります。また、1日のうちで紫外線が強いのは午前10時〜午後2時の間です。この時間帯に外出するときはもちろん、朝や夕方のお出かけであっても、外にいる時間が長い場合は、しっかりと紫外線対策をしましょう。なお、日焼けが始まるのは、日差しを浴びてから20分くらいからといわれています。近所に短時間、買い物に行く程度の外出なら日焼け止めクリームを塗るほどの対策は必要ないでしょう。

親子で同じ日焼け止めを使ってもいい?

大人用の日焼け止めを子どもに塗るのは基本的にNG。大人用の日焼け止めには、紫外線吸収剤といって、紫外線を吸収し、化学反応によって紫外線が皮膚の中に入り込むのを防ぐ化学物質が使われているものが多く、子どもの皮膚には刺激が強いのです。

一方、子ども用の日焼け止めには、紫外線散乱剤といって、紫外線を反射させる成分が多く含まれ、皮膚への刺激が少なくなっています。ですから、子ども用の日焼け止めを大人が使う分には問題ありません。ただ、大人用のものに比べると、紫外線防止効果は弱めで、塗ったときに白く見えやすいというデメリットがあります。

SPF、使い残し…日焼け止めの気になること

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SPFって何? 数値が高いほうがいいの?

日焼け止めのパッケージには「SPF」「PA」のマークが書かれています。地表に届く紫外線には2種類あり、ひとつは波長が長く、皮膚に深く入り込むUV-A。もうひとつは、波長が短く、皮膚の表面に強く作用するUV-B「SPF」はUV-Bを防御する効果があり、1〜50で表示され、SPF1あたりUV-Bを20分防御できるとされています。「PA」はUV- Aを防御する効果があり、4段階で表示され、「+」のマークが多いほどUV- Aを防御する効果が高くなっています。

しっかり防御したい場合は、数値の高いものを選びがちですが、数値が高いほど化学物質の濃度も高いため、日常使いならSPF10〜20で十分です。実際、日焼け止めクリームを塗っても、汗をかいたりこすったりするうちに落ちてしまいます。子どもならなおさら、強いクリームを塗るよりも、こまめに塗り直すほうが効果的。運動会や海水浴など、紫外線が強いなかで長い時間、外にいる場合は、できれば2〜3時間に1回塗り直すのが理想です。

一年前の日焼け止めを使ってもいい?

去年買った日焼け止めクリームが使いきれずに残ってしまった。もったいないから今年も……という人も多いようです。基本的に、一度開封してしまった日焼け止めクリームはできるだけ早く使い切りましょう。開封してから時間がたってしまうと中身が変質し、日焼け止めの効果が落ちてしまいます。それどころか、かぶれなどの肌トラブルを引き起こす可能性もあるので、親子ともども、使用するのはやめましょう。

日焼け止めの正しい塗り方&落とし方

塗るときはやさしく!がポイント

衣類から肌が露出している部分に塗るのが基本ですが、とくに紫外線を浴びやすい「顔」「手の甲」、半袖を着ているなら「腕の外側」、短パンやスカートを履いているなら「脚の前側(とくに太もも)」に塗ります。忘れがちなのが耳の後ろや首のうしろ。髪の毛を結んだり、短くしたりして耳や首が露出している場合は、塗り忘れないようにしましょう。

顔に塗るときは、おでこ、鼻、頬、あごにちょんちょんと乗せ、ていねいになじませるように伸ばします。ごしごしこすったり、塗り込んだりせず、やさしくのばすのがコツ。ママが乳液や保湿クリームを塗るときと同じようなイメージで塗ります。

落とすときも、ていねいに

日焼け止めは水で落ちにくいように設計されています。落としきれないまま、再び日焼け止めを塗り重ねていくとかぶれを起こすこともあります。落とすときは、石けんやボディソープをよく泡立て、優しくていねいに落としましょう。2度洗いするのが理想ですが、子どもの場合は嫌がらない程度でOK。ただし、落ちにくいからといって強くこすらないで。乾燥の原因になります。

子どもが塗るのを嫌がるときは?

子どもの場合、日焼け止めを塗られるのを嫌がることも多いですね。特に顔は、正面から塗ろうとすると嫌がる場合が多いので、大人のひざの上などに座らせて、後ろから手を回して塗るとうまくいくことが多いようです。好きな本やテレビなどを見ているときに塗るのもおすすめ

大人の言うことがわかる年齢なら、なぜ日焼け止めが大切なのかを説明してあげるといいでしょう。日焼け止めの必要性がわかると、もう少し大きくなったときに、自分からすすんで塗るようになる子もいます。

正しい紫外線対策を知って、親子でたくさんおでかけをしたいですね。