子どもの運動能力を伸ばすのに最適な公園遊び。運動能力のベースとなる「基本動作」が、実際にどれだけ体験できるのでしょうか? 実際に遠山健太先生が運動能力を伸ばすのに最適とおすすめする、東京都荒川区の汐入公園(しおいりこうえん)で一緒に遊んでみました。遊具と基本動作の関係や、さらに運動効果がアップするポイントもご紹介します。
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遠山健太 先生
株式会社ウィンゲート代表取締役。子どもの運動教室「WingateKids」「リトルアスリートクラブ」プログラム開発者。ワシントン州立大学教育学部小等学科卒、NSCA認定CSCSの資格を保有。2児の父であり、自身の子どもとの公園めぐりの経験を生かし、パークマイスターとしても活動。「運動できる子、できない子は6歳までに決まる!」(PHP研究所)、わが子の運動神経がどんどんよくなる本」(学研プラス)など著者多数。
公園に着いた瞬間から遊びがはじまる!
遠山先生と一緒に荒川区の汐入公園にあそびにきた5歳のしょうたくんと4歳のすみれちゃん。公園に到着したとたん、「わーっ!」と走り出します。広い公園は、移動だけでも十分な運動ポイント。ちょっとした起伏も、子どもにはなんのその! まずは子どもたちが行きたがるエリアへと向かいます。
基本動作の宝庫! 遊具であそぼう
複合遊具
子どもたちが大好きな複合遊具は、あらゆる基本動作の連続体験。移動系動作もバランス系動作ももりだくさんです。「もっと上までいってみたい」などとチャレンジ精神も生まれます。複合遊具は公園ごとに個性があり、さまざまな工夫をこらしているものもあります。複合遊具を目当てに、いろいろな公園をはしごするのもおすすめ!
手足を使ったのぼりおりがたくさんできるのは、公園ならでは。
どっちがはやく着けるかな? 競争心も芽生えます。
「もっと上に行きたいな」その気持ちが運動効果抜群!
<もっと運動効果UP!>
親子でタイムトライアル
複合遊具は、いろいろな回り方ができるのが特徴。自分たちでオリジナルのコースを決めて、タイムトライアルやリレーをしてみよう!
すべり台
すべり台は、「のぼる・おりる」の動作はもちろんですが、のぼるときに手足の「おす・ひく」の動作も伴います。すべり台を逆走してのぼりたがる子も多くいますが、まわりに人がいないか、靴が汚れていないかなど、公共の場でのマナーは必ず配慮しましょう。そのうえで諸々の危険性がなければ、傾斜面を手足を使ってのぼる動作はとてもいい動きですし、子どもの自主的な遊びは見守りたいもの。怪我回避のために、親はすべり台の正面で、しっかり見守りましょう。
ザイルクライミング
ザイルクライミングは、手足をつかったのぼりおりのなかでも、足裏をしっかりと使うことができる遊具です。足裏を使うことは、「土踏まずがある足」を育成するうえでとても大切です。足裏の感覚が鍛えられると、あらゆる動作・スポーツの基本となる「しっかりと歩いて走れる足」になります。
砂遊び
すわった姿勢で移動する砂遊びは、股関節や足首が柔軟になります。股関節や足首の柔軟性は、「はしる」「とぶ」動作の素地にもなるものです。
スプリング遊具
小さな子でも遊べるスプリング遊具。ゆらゆらとゆれながら、自然と身体のバランスをとる感覚が養われます。
最強の「はしる」トレ! 鬼ごっこをしよう
幼少年期は、速く走るテクニックを教えるよりも、思いっきり走る経験が一番! 公園ではぜひ大人も童心にかえって、本気の「鬼ごっこ」をしましょう。鬼ごっこには、ダッシュで追いかけたり追われたり、相手の動きを予測してかわしたりなど、「はしる」のあらゆる要素がつまっています。広い公園では持久力が、狭い公園では切り返しやかわす力が育まれるなど、どんな公園でもおすすめのあそびです。
色鬼、高鬼、氷鬼、しっぽ鬼など、ルールつきの鬼ごっこなら、考える力もプラス。
「大人の鬼はケンケンだけ」などと上手にハンデをつけて、年齢差があっても楽しめる工夫を!
<もっと運動効果UP!>
オリジナル鬼ごっこを考えよう
「右にしか曲がれない」「この木にタッチしてる間は休んでok」など、オリジナルルールを作ってみよう。ルールを作ることで、考えながら動く力が養えます。これはスポーツ競技には欠かせない能力。創造力も育まれます!
芝生や広場で遊ぼう
くるりんぱ
天地が逆さになる感覚は、平衡感覚を司る三半規管が発達する幼児期にぜひ経験しておきたい動作です。公園の自然のなかでぐるっと回ると、どんな景色が見えるかな? 慣れたら逆回りにもチャレンジ。
相撲ごっこ
相撲は、相手と力をぶつけ合う全身運動。相手の力を利用して、力を入れたり抜いたりするバランス感覚を養えます。また、しゃがんだ姿勢から立ちあがったり、踏んばる動作によって、足首や股関節の柔軟性も育まれます。親子で相撲あそびができるのは幼少年期だけです!ぜひ一緒に楽しんでください。
全身をつかって、ぐんぐん押そう!
手押し相撲で、急に相手が手を引いたらどうなるかな? 相撲ごっこは、力のかけひきも習得できます。
<もっと運動効果UP!>
タオル相撲にチャレンジ
細長いフェイスタオルや手ぬぐいをつかったタオル相撲もおすすめ。一歩でも動いたら負けです。大人は片足にするなど、自由にアレンジしてみても。
シャボン玉キャッチ
シャボン玉キャッチは、子どもの身長より少し高い位置にとばしてあげるのがポイント。見上げながら移動することで平衡感覚が養われます。また、シャボン玉と自分の位置関係を意識する空間把握能力も育まれます。風でシャボン玉が思わぬ方向にとばさたら方向転換!落ち葉や花びらでも楽しめますよ。
おうまさん
子どもはパパママの背中にのるだけでも嬉しいもの。重いときは無理をしない程度に、少しゆらしてあげるだけでもok。屋外ではふいに風が吹いたり虫が飛んできたり…五感への刺激も大いにあります。
幼少年期の経験が大事! ボール遊びをしよう
ボールの扱いは、幼少年期のうちに経験しておくと、その後の球技の習得がぐっとスムーズになります。ぜひ、たくさんボール遊びをしましょう!「投げる」動作は、スポーツでは野球を想像しがちですが、テニスのサーブやスマッシュ、バレーボールのアタックなど、あらゆる球技の基本となります。
投げる・捕る
どこに落ちてくるかな?年齢に応じて、ボールの大きさを変えたり、投げる高さを変えるといいでしょう。小さな子は転がしてあげるといいですね。
ボールあて・ボールよけ
ボールをあてる・よける遊びは、「走る」と「投げる」の連動動作。まとを決めてあてっこするのでもok。距離を変えたり、ボールの大きさを変えたりのアレンジも◎。ボール禁止の公園では、風船やシャボン玉、ハンカチを丸めたもので代用できますよ!
<もっと運動効果UP!>
利き手NG、方向指示で難易度アップ
あてる方は利き手と反対の手に限定、よける方は動ける方向を限定してみよう。瞬時に判断する力や敏捷性が育まれます。
いろいろな「うつ」にトライ
打つ動作には、「手で打つ」「棒状のもので打つ」「ラケットで打つ」があります。また、止まっているボールを打つ、投げたボールを打つ、シャトルを打つなど、さまざまな「うつ」があります。ボールの大きさによっても難易度がかわるので、いろいろとチャレンジしてみましょう。
蹴る・パントする
蹴る動作は、ボールと自分の距離をつかむ空間把握能力や、足首や股関節の柔軟性を養います。手で落としたボールを、地面につく前にキックする「パント」にも挑戦してみましょう。最初はシャボン玉や風船でもok。対象物の軌道を予測する力を育みます。
<もっと運動効果UP!>
高さの目標設定をプラス
パントに慣れたら、なわとびやロープを使って、高さの目標を設定するのもおすすめ!
運動能力アップの一番のポイントは?
子どもの運動能力を伸ばすのに、一番大切なことはなんだと思いますか? それは、幼少年期に「体を動かすのが楽しい!好き!」という気持ちを育むことです。
大人はつい、「上手な手本を見せないと」「テクニックを教えないと」と思いがちですが、この時期の子どもにとっては、親が本気で遊んでくれた、楽しかったという経験が何よりも大切です。ですから、ぜひ親子で一緒に公園で出かけて、思いっきり遊んででください。
公園という屋外の場所で、季節や自然を感じ、一緒に汗をかいた楽しい時間の積み重ねが、子どもの将来のたくさんの可能性へとつながっていきます。
»公園遊びで子どもの運動能力を伸ばせる!大事なのは12の「基本動作」
「るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園」東京版&京阪神版も要チェック!
東京都内&京都・大阪・神戸エリアにある運動能力をぐんぐん伸ばせる公園を、厳選して紹介するガイドブックです。「るるぶKids」と同様に、それぞれの公園で体験できる12の基本動作をアイコンでわかりやすく表示しています。
公園によって設置されている遊具や施設は千差万別! 公園によって自由な遊びのなかで体験できる「基本動作」は異なります。アイコンを参考にいつもとはタイプの違う公園にでかけてみることが、運動能力を伸ばすことにつながります。
ニューノーマルの時代にこそ楽しんでほしい、週末ごとの小さな冒険。近所にある公園やちょっと遠くの公園まで、ガイドブックを参考におでかけしてみては?公園遊びを楽しみながら、子どもたちの運動能力をぐんぐん伸ばしましょう!