知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
ちひろ美術館・東京は、画家いわさきちひろさんが22年間過ごした東京都練馬区の自宅兼アトリエに建てられた絵本美術館。いわさきちひろさんの作品約9600点と、世界の絵本画家の作品約1万7900点を収蔵しています。子どもが人生で初めて訪れる「ファーストミュージアム」を標榜しており、子どもも親も安心して楽しめる配慮が随所にちりばめられています。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは東京周辺にたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ東京周辺にある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
ちひろ美術館・東京で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が育つのかをチェック!ちひろ美術館・東京では、とくにどんなところが子どもの知的好奇心をくすぐるのでしょう?絵本に詳しい達人に教えてもらいました。
絵本の達人 広松由希子さん
ひろまつゆきこ●編集者、文庫主宰、ちひろ美術館学芸部長などを経て現在は絵本作家・評論家。絵本に関するエッセイや翻訳、展示企画なども手掛けている。
■絵本の達人 広松由希子さんコメント
いわさきちひろさんの作品をメインに展示する、1977年(昭和52)に開館した世界初の絵本美術館です。収蔵する日本と世界の絵本原画コレクションは、世界最大級。子どもの目線を意識した額の高さ、セルフガイドやワークショップなど、子どもが初めて出合う美術館としてうってつけです。
» 絵本の達人「絵本作家 広松由希子さん」お仕事インタビュー
ちひろ美術館・東京ってこんなところ!
ちひろ美術館・東京は、西武新宿線「上井草」駅から徒歩7分のところにあります。1977年(昭和52)に世界で初めての絵本美術館として開館し、約2万7500点という膨大な所蔵作品のなかから3~4カ月ごとに展示をかえて、来館者を楽しませてくれます。1階には美しい庭を望む絵本カフェ(2022年4月現在はメニュー縮小中)やショップ、2階には図書室や木のおもちゃなどが置かれた「こどものへや」があり、絵画や絵本を眺めながらほっと一息つけるスペースになっています。
所要:1~2時間
おすすめの年齢:0歳~
住所 | 東京都練馬区下石神井4-7-2 |
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電話 | 03-3995-0612 |
営業時間 | 10~16時(最終入館15時30分) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌平日) |
料金 | 1000円(高校生以下無料) |
アクセス | 西武新宿線「上井草」駅から徒歩7分 |
駐車場 | 乗用車3台、身障者用1台(無料) |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:〇
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:〇(※新型コロナウィルス感染状況による)
- コインロッカー:〇
- 館内飲食店:〇
- 館内売店:〇
おすすめのアクセス方法は?
西武新宿線を利用するなら「上井草」駅から徒歩だと乗り換えが少なくおすすめです。約7分で到着します。西武池袋線ならば「石神井公園」駅から西武バス荻窪駅行きに乗り「上井草駅入口」で下車し、約徒歩5分です。駐車場は3台あり無料ですが、休日は満車になることもあるので公共交通機関の利用がおすすめです。
おすすめの遊び方&過ごし方
展示は大きくわけて2つ。1つはいわさきちひろさんのコレクション、もうひとつはテーマごとの企画展示です。どちらも基本的には3~4カ月毎に入れ替えがあり、何度訪れても新しい発見があります。鑑賞後は庭仕事を愛したいわさきちひろさんの庭園を再現した「ちひろの庭」を散歩したり、カフェで一休みしたり。オリジナルグッズが豊富なミュージアムショップも楽しみ。広い美術館ではありませんが、全体的に優しく温かな空気に満たされた空間です。ベンチが置かれた休憩スポットでのんびりしながら過ごすのがおすすめ。
展示室
展示室には、3~4カ月ごとにテーマを変えて作品を展示されていまます。また、収蔵コレクションを中心とした世界の絵本画家の作品展も開催。外国作家の斬新な色使い、表現方法は子どもにも大人にも新鮮で、楽しく観賞できます。
ちひろのアトリエ(復元)
下石神井の自宅は、いわさきちひろさんが画家として活動したほとんどの時期を過ごした場所です。「ちひろのアトリエ」は1963年(昭和38)の増築時に2階部分に作られたもので、南に向かって大きくとられた窓のあるこの場所で、11年間に渡り創作活動に打ち込みました。いわさきちひろさんのお気に入りの家具や雑貨などが並び、数々の作品を生み出したいわさきちひろさんの姿を想像することができます。事前に作品を読んでおくと、より楽しめるでしょう。
ちひろの庭
植物はいわさきちひろさんの作品にもよく登場するモチーフ。庭仕事を愛したいわさきちひろさんはここでもたくさんの草木や花を育てていました。つるバラをはじめ、いわさきちひろさんが愛した草花が育てられている中庭は「ちひろの庭」と呼ばれ、自由に散策できます。描かれている植物と本物を見比べてみるのも楽しいですね。
図書室
2階にある図書室は国内外の絵本約3000冊が並び、自由に閲覧できます。絵本だけでなく、平和に関する本なども多く、戦争を体験したいわさきちひろさんがどのような思いで創作活動に打ち込んだのか、その背景を理解することができます。
ひとことふたことみことのコーナー
図書室の一角にはテーブルと椅子があり、そこに置かれたノートには来館者の想いが綴られています。なんと開館以来40年にわたり続いているコーナーで、現在では300冊以上になりました。過去のノートはきれいに製本され、自由に閲覧することができます。かつて訪れた自分のメッセージを懐かしく読む人の姿も。子どもと一緒に思い出を綴れば、また訪れる楽しみができます。
こどものへや
靴を脱いであがる赤ちゃんと小さい子どものための部屋。キッズサイズのテーブルと椅子が置かれ、親子で絵本を読んだりおもちゃで遊んだりできます。
おもちゃは、木製の積み木やおままごとセットなど、手触りや色使いがやさしいものがセレクトされています。
壁には不思議な鏡が。映し出された顔が2つになったりゆがんだり…。金属の凸凹の質感も楽しくて、赤ちゃんに人気のコーナーです。
ほかにも知的好奇心をくすぐる貴重な体験!
20代の頃、戦争を経験したいわさきちひろさんは、世界中の子どもたちの幸せと平和を心から願い創作活動に打ち込みました。そんないわさきちひろさんの意志を受け継ぎ、美術館では子どもが安心して楽しみながら豊かな心を育むために、設備はもちろん、絵本の読み聞かせなどのイベントも開催しています。また子ども向けの美術館ガイドを配布するなど、親子で美術館を楽しめるよう工夫が凝らされています。
子連れにおすすめ!園内の立ち寄りスポット
●絵本カフェ
いわさきちひろさんの心のふるさとである、長野の食材を取り入れたメニューが揃うセルフサービスのカフェ。庭に面しており、明るい日差しを感じながらほっとくつろぐことができます。2022年4月現在はメニューを縮小して営業しています。
- 【電話番号】施設に準ずる
- 【営業時間】施設に準ずる(※入館者のみ利用可能)
- 【定休日】施設に準ずる
●ミュージアムショップ
いわさきちひろさんの絵はがきやマグカップ、トートバッグなどの雑貨が並ぶショップ。コレクション作家の絵本も並びます。
- 【電話番号】施設に準ずる
- 【営業時間】施設に準ずる(※入館者のみ利用可能)
- 【定休日】施設に準ずる
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
館内に授乳室、オムツ交換台完備。小さな子ども連れでも安心して来館できます。館内はバリアフリーに配慮され、ベビーカーでの入館も可能です。
利用後に硬貨が戻って来るタイプのコインロッカーがあります。
ちひろ美術館・東京は、絵画や絵本を通じて、物語の世界だけでなくアートや歴史、文化にまで自然に興味が広げられる美術館です。子どもはもちろん、子ども連れのお父さん、お母さんもほっと一息つけるので、年間パスポートで訪れる利用客が多いというのも頷けます。優しさ、強さ、思慮深さ。いわさきちひろさんの絵画を通じて、さまざまな感性が育まれていくはずです。
●掲載の情報は予告なく変更になる場合があります。おでかけ前に各スポットへご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。
監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録していますよ。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。