運動能力、近所の公園でぐんぐん伸ばす!

脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!子どもの成長に必要な「知的好奇心」と「8つの力」

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国立科学博物館内(東京都/台東区)

「そろそろ習い事始めた方がいいかな…」「子どもの可能性を広げてあげたいけど、どうしたらいい?」そんなお悩みの解決は、脳の発達の原動力となる「知的好奇心」の伸ばし方にあり!知的好奇心は、習い事や幼児教室に行かずとも、しっかり育むことができます。ポイントは親子で一緒に「知るのが楽しい! 面白い! 」という経験をたくさんすること。家の近所の博物館や動物園、水族館、美術館は、最適な学びスポットです。知的好奇心が刺激されることで伸びる8つの力もご紹介。脳医学者の瀧 靖之先生にお聞きしました。

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瀧 靖之(たき やすゆき) 先生監修 瀧靖之先生(東北大学加齢医学研究所教授)
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。著書に『脳科学者が教える!子どもを賢く育てるヒント 「アウトドア育脳」のすすめ』(山と溪谷社)『脳医学の先生、頭がよくなる科学的な方法を教えて下さい』(日経BP)など。一児のパパ。

目次(index)

脳研究で見えた!未来を左右する「知的好奇心」とは?

脳医学者の瀧 靖之です。私は、これまで多くの脳画像データを解析したり多くの学術論文を読んできて、「こうゆうことをすると、脳はこうなる」ということを解明しています。その長年の研究なかで、子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げていくのに欠かせないのは「知的好奇心」であることがみえてきました。

知的好奇心ってなあに?

知的好奇心とは、「これはなんだろう?」「どうなっているの?」「どうしてこうなるの?」と自ら興味を持ち、それについて「深く知りたい!」と主体的に探索したり、没頭したりできる力。もっと簡単にいえば、ものごとに興味を持って、ワクワクする気持ちです。

そもそも子どもは、何かに夢中になると、自ら学んでいく力をもっています。電車が好きな子が、車名や型、駅名や路線を次々と覚え、驚かされることがありますよね。電車の動画を見たいあまり、親が教えていないのに、DVDプレーヤーやタブレットPCの操作を自分で覚えてしまうこともあります。これらはまさに知的好奇心のなせる技です。

知的好奇心は、学力や心の豊かさにも関係する!

脳のしくみでいうと、「記憶」に関わる領域(海馬:かいば)は、「感情」に関わる領域(扁桃体:へんとうたい)に隣接し、深い関係にあります。つまり、知的好奇心を持ってワクワクと学んだことは、イヤイヤ覚えたことよりも習得しやすいのです。

3歳〜6歳頃の未就学時期は、知的好奇心を伸ばせる最適な時期です。「知ることが楽しい!」という経験をたくさんして知的好奇心を高めてあげれば、学校の勉強などにも、意欲的に取り組めるようになります。

知的好奇心が豊かに育まれると、「集中力や情報処理能力も育まれる」「幅広い経験を得られ、才能が開花しやすい」「多くの趣味活動の楽しみも持てる」など、たくさんの研究報告があります。知的好奇心は、自分の力で人生を豊かに楽しく歩いていける力となるのです。

未就学時期は、知的好奇心を伸ばす最適期

子どもの脳は、とても知りたがりです。赤ちゃんは目にしたものを何でも物を口に入れて確かめますよね。言葉が話せるようになってくると、片っ端から「これ何?」「なんで?」と質問攻撃をしてきて、手を焼いた経験がある親御さんも多いでしょう。ですが、これらはみな知的好奇心の芽。脳が劇的な成長をしていることのあらわれです。

脳の発達が著しい時期はいつ?

脳の発達は独特で、生まれた時すでに一生分の神経細胞をもっています。生後すぐから、神経細胞同士をつなぐ回路(シナプス)が作られ、ネットワークを構築していきます。回路は情報の通り道。脳内に縦横無尽にネットワークがはりめぐらされることで、スムーズな情報伝達ができるようになります。未就学時期は、このネットワークづくりのスピードがとても速いのです。

また、脳の発達にはもうひとつ特徴があります。脳は新しい経験をすることによって刺激され、ネットワーク(道)を増やします。多くの道ができると便利になりますが、反面、無駄なエネルギーも使うことになります。そこで、よく使う道は太く頑強にし、あまり使わない道は壊して、脳の働きを効率化するのです。

つまり、子どもが何かに興味を示してワクワクしている時は、まさに脳内のネットワークを広げようとしている時。「これ何?」「なんで?」の質問攻撃に、親がいい加減な対応を繰り返すと、脳は「〝知りたい〟の道は不要なんだ」と判断し、壊してしまいかねません。知的好奇心の芽をつまないためには、子どもの問いかけを受けとめてあげましょう。親もワクワクしながら会話をするとより効果的です(詳しくは後述)。

[知的好奇心を伸ばす方法1] おでかけ前のインプットが効果大!

先述したように、子どもは生まれながらに知的好奇心を持っています。ですが、放っておいても自然に育っていくかというと、決してそうではありません。効果的に育むポイントをお伝えしましょう。

図鑑、写真集、旅行ガイドがおすすめ!

2歳を過ぎた頃から、自分と他人が違うことを理解し、外の世界に意識が向いていきます。そこで、「世の中にはこんなにいろいろなものがあるんだよ」というインプットをたくさん与えてあげましょう。

知的好奇心を豊かに伸ばすポイントは「できるだけ幅広く、いろいろなものに触れさせてあげること」
私の一番のおすすめは「図鑑」です。まだ文字や漢字が読めない子でも視覚的に楽しめますし、ジャンルも豊富です。自然科学系のジャンルは、学校の勉強にもつながっていきます。画集や写真集なども目で楽しめるのでとてもいいですね。

また、例えば電車の図鑑に興味を示したら、さらに「この電車はどこを走っているのかな?」と地図や地球儀をみせてあげたり、名所や特産物の写真がたくさんのっている旅行ガイドブックを一緒に眺めたりするのも楽しそうです。興味関心が大きく広がっていきます。

眺めるだけでOK! 親しみが知的好奇心を高める

未就学~小学校低学年ぐらいの時期は、ひとつのものに限定するよりも、幅広く多くのものに触れた方が、脳のネットワークがぐんぐん広がります。大切なのは、知識をつけることが目的ではなく、「知るのが楽しい、おもしろい!」という経験をたくさんすること。親子で自由に楽しく、寝る前にほんの少し図鑑を眺めるだけでもいいのです。
そして、図鑑や本で見たものにリアルに触れられる場所=博物館や科学館、水族館や動物園、美術館などに出かけましょう!

脳には、その世界に触れておくと、実物を見た時に脳が「これ知っている!」と判断し、親しみがわくのです。親しみ=好きという感情は、先述したように、知的好奇心をぐっと高めます。小さな子は図鑑を見せてもすぐ飽きてしまうこともよくありますが、決して無意味ではありません。ほんの数分でも、繰り返し接することで、ファミリアリティはより高まります。

[知的好奇心を伸ばす方法2] リアル体験でさらに倍増!

図鑑や本などで見たもの(バーチャル)を、実物(リアル)に結びつける体験で、知的好奇心はさらにぐんぐんアップします。東京周辺には、博物館や水族館などの知的好奇心を刺激してくれる学びスポットがたくさんありますね。ぜひ、親子で出かけてみましょう!

学びスポットは、五感をフルに刺激する!

博物館などでのリアル体験には、図鑑だけでは知り得ないことが満ちあふれています。実際の大きさ、動きや迫力、音、動物や生物のエサやウンチの匂いなどにより、五感をフルに刺激されます。子どもが五感で感じた新しい発見や感動というのは、バーチャル以上にワクワク感をうみだし、「もっと知りたい、深く知りたい!」と知的好奇心を倍増させるのです。

子どもの脳で、やる気物質が流れ出す

バーチャルとリアルが結びついた時の子どもの脳には、ドーパミンという神経伝達物質が流れだします。
ドーパミンは、楽しくてしかたがない時に流れ出します。そして「ドーパミンが流れると気持ちがいい、この気持ち良さをまた味わいたい」と脳が感じることで、新たな「やる気」を作り出すという働きがあります。つまり、「新しいことを知って楽しい」→「ドーパミンが出て気持ちが良い」→「もっと新しいことを知りたい!」という、知的好奇心がすくすく育つ連鎖が生まれるのです。

ドーパミンにはもうひとつ秘密があります。脳の前の方にある「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という領域は、思考力や発想力、コミュニケーション能力、計画力といった、人間にとって最も高度な働きをつかさどっていて、6歳頃から発達のピークを迎えます。ドーパミンは、この前頭前野に流れ込むルートを持っていて、脳の発達を促すのです。

知的好奇心が刺激されると、さらなる知的好奇心をうみ、かつ、生きていく上で大切な能力も育むことができる。博物館などの学びスポットには、そんな可能性がつまっています。

[知的好奇心の伸ばす方法3] 子どもの脳は、親のワクワクを映し出す

子どもの知的好奇心を育むのに、もうひとつ、ぜひ知っておいてほしい重要な脳のメカニズムがあります。

脳には親をうつす鏡がある!

「子は親の鏡」という言葉がありますが、脳は本当に鏡を持っています。ミラーニューロンという神経細胞で、まさに鏡の働きをしています。子どもが新しい能力を身につける時は、この鏡に人の動作や感情を映しだして、真似をして学んでいくということが最新の脳研究からわかってきました。

ということは、知的好奇心が旺盛な子に育てたいなら、親自身が知的好奇心を持つことがカギ! 最初にお話したように、知的好奇心とは、興味を持ってワクワクと楽しむ気持ち。まずは親が楽しむこと、楽しんでいる姿を見せることがとても大切なのです。

気持ちを声にして、会話をしよう

「せっかく博物館に連れて行ったのに、子どもが興味を示さない」という時は、自分自身が楽しんでいるか、思い返してみてください。知的好奇心を高めようと思うがあまり、「興味をひくことを教えてあげなきゃ」と必死になりすぎては、むしろ逆効果です。また、たとえ親が思ったような反応がなくとも、先々の学習や何かの折にその世界に触れた時に、先述したように「これ、知ってる!」という経験が大きく影響してきます。未就学時期は子どもの反応に一喜一憂せずに、長期的な目で幅広い体験をさせてあげてください。

「うわ、すごい!」「これおもしろい!」「へえ知らなかった!」など、親が心に思ったことを率直に口にすると、子どもも楽しくなります。さらに、親子の会話を楽しむことが何より効果的です。会話の仕方に正解はありませんが、実践編の問いかけポイントも、参考にしてみてください。

親子の楽しい時間が、知的好奇心を育む

目的地までの交通経路を一緒に考えたり、帰りの電車で、博物館で見たことのクイズを出しあってみたりするのも楽しいでしょう。帰宅後に、博物館で見てきたものをまた図鑑で探してみるのおすすめです。親子にとって「○○博物館に行った時、すごく楽しかったね!」と思える時間になれば、それは必ずや知的好奇心の成長にプラスになります。 

子どもは、低年齢のうちは大人が与える環境でしか世界を広げられません。ぜひ、親子でどんどんお出かけして楽しい時間を共有し、人生を豊かにする可能性を広げてあげましょう!

知的好奇心を土台に育まれる「8つの力」

知的好奇心は脳の成長の原動力となり、未来を生きるのに必要なさまざまな能力を育みます。ここでは、代表的な「8つの力」をご紹介しましょう。知的好奇心を土台に培われるこれらの力は、就学後の学力向上にも大いにつながっていきます。

育つ力:洞察力

洞察力とは、よく観察し、奥深い部分まで推測して見抜く力です。脳全体を協調して働かせ、観察した情報や記憶などを照合し、違和感や違いを探し当てます。洞察力の土台となるのは観察する力。知的好奇心から生まれる「あれ何?」「なんで?」の質問攻撃は、観察力が育まれている時です。

育つ力:思考力

思考力とは、さまざまな事柄を見て判断したり、論理的に考えたりする力です。脳では主に、前頭前野がつかさどっています。判断したり考えたりするためには、記憶が非常に重要です。記憶は、「好き!知りたい!」いう思う感情と相関があり、知的好奇心とは密接な関係にあるのです。

育つ力:想像力

想像力(イマジネーション)は、目の前にないものを思い浮かべる力です。記憶に関する海馬や、前頭葉を始め、脳のさまざまな領域が関係しています。赤ちゃんが「いないいないばあ」をして喜ぶのは、「前にママの顔がここから出てきた」という記憶をもとに、想像できる力があるからです。ワクワクと想像できる力は、まさに知的好奇心が源。博物館などでずっと一つの場所で夢中で見入っている時は、自由な想像力が高まっている時と考えて、少し気長に待ってあげるといいですね。

育つ力:発想力

発想力とは、想像力が土台となり、新たな工夫や着想、アイデアを生み出す力です。アイデアを生み出す源となるのは、これまでの経験や知識。さまざまな情報を組み合わせることで、新たなアイデアを思い描くことができます。脳では前頭葉や側頭葉などさまざまな領域を協調して使います。知的好奇心をもち、幅広いジャンルに触れることが、豊かな発想力を育むことにつながります。

育つ力:計画力

計画力とは、先を見通す力、時間の流れを把握する力、筋道をたてて進められる力です。
前頭葉を主体に、脳のさまざまな領域を駆使し、情報や記憶を統合して、複雑な思考や判断を行います。小学校で必修となったプログラミング教育は、計画力を養うものです。乗り物系のジャンルだけでなく、お出かけするときに交通経路を一緒に考えたり、時刻表を見たりするのもとても良い経験になります。

育つ力:コミュニケーション力

コミュニケーション力は、IT変革が進むこれからの未来にますます重要視されている力で、知的好奇心同様、学力向上にも深く相関する力です。言語、感情認知、社会性など、さまざまな能力が複合的にからみあい、さまざまな脳の領域を使います。コミュニケーション力のベースとなるのは、親との愛着関係です。親子が一緒に何かに興味をもち、おでかけをしてワクワクと楽しむ経験は、まさにとても効果的です。会話も大いに楽しみましょう。

育つ力:思いやり

思いやりは、相手の気持ちを理解し、寄り添える力です。コミュニケーション力や社会性の土台となり、「人とともにに生きる力」と言えます。脳では主に、前頭前野がつかさどっています。動物園や水族館、昆虫博物館など、親子で命に触れる体験は、知的好奇心とともに思いやりの心も育みます。

育つ力:語彙力

語彙力とは、どれだけ多くの言葉を知っているか、使いこなせるかという力です。脳では、主に言語をつかさどる側頭葉を使います。親子の会話、読み聞かせ、読書は語彙力を大きく伸ばします。先述したように、子どもの言葉の習得は、基本的に親の真似です。子どもの「なんで?」を上手に受けとめ、会話を楽しみましょう。

実践編!博物館へ出かけてみよう!

実際に、瀧先生と一緒に子どもたちが博物館に行ってきました。瀧先生直伝、子どもの知的好奇心をより刺激する「問いかけポイント」は必読!大人も一緒に童心にかえって楽しみましょう。

» 実践編:国立科学博物館

るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺

るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺

子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
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