知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
2020年のオープン以来、一度は行ってみたい鉄道系博物館として話題となっている京急ミュージアム。京急の歴史、沿線の魅力、さらにはバスの紹介もあり、乗り物好きや京急ファンにはたまらない空間です。
人気の工作体験「マイ車両工場」は、プラレールの外装を彩色するというお絵かき要素があり、子どもの創造性を刺激します。模型運転は臨場感あふれる体験ができます。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは東京周辺にたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ東京周辺にある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
京急ミュージアムで育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック!京急ミュージアムでは、特にどんなところが子どもの知的好奇心をくすぐるのか、乗り物に詳しい達人に教えてもらいました。
乗り物の達人 田代浩一さん
たしろこういち●第18代JTB時刻表編集長。2001年株式会社JTBに入社後、るるぶ情報版国内ガイドブックの編集、るるぶのWEBサイトの制作運営を経て、2021年4月より現職。
■田代さんコメント
ここだけの体験としておすすめは、京急車両デザインの「プラレール」を制作できる工作体験「マイ車両工場」。専用の用紙にお絵かきをして、自分だけの車体を作れるので、子どもが鉄道車両をデザインする感覚が育まれるかも。
» 鉄道が大好き!! |“子鉄”大満足!全国の電車・鉄道スポットに行こう
» 乗り物の達人「JTB時刻表編集長 田代浩一さん」お仕事インタビュー
京急ミュージアムってこんなところ!
横浜みなとみらい地区にある京急グループ本社1階がミュージアムになっています。電車であれば横浜駅から徒歩7分と歩ける距離、みなとみらい線東高島駅からはすぐです。
写真は屋外展示の「ケイキューブ」、奥が京急ミュージアム。外からでも「京急デハ230形」が見えます。ケイキューブは東高島駅側にあるので、横浜駅から来たときはこちらもお見逃しなく。正面右側は、2100系車両で、有料座席指定列車の「ウィング」号。左側の青い車両は京急ブルースカイトレイン…なんていう具合に言い当てられたら京急ツウです。
所要:1時間30分
おすすめの年齢:3~9歳
住所 | 神奈川県横浜市西区高島1-2-8 京急グループ本社1階 |
---|---|
電話 | 045-225-9696(京急ご案内センター) |
営業時間 | 10時~17時(最終入場16時30分) ※入館、各種体験の申し込みは公式サイト参照 |
定休日 | 火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 |
料金 | 無料 ※一部体験コンテンツは有料 |
アクセス | 横浜駅東口から徒歩7分。みなとみらい線新高島駅から徒歩すぐ |
駐車場 | なし |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:〇
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:✕
- コインロッカー:✕
- 館内飲食店:✕
- 館内売店:✕(販売スペースはあり)
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おすすめのアクセス方法は?
駐車場がなく、周囲の有料駐車場も少ないため、電車利用が便利。横浜駅からであれば各路線からのアクセスが可能。最短距離を目指すなら、みなとみらい線新高島駅が一番近いです。なお、東横線で渋谷方面から来た場合、横浜から先は別料金で、横浜―新高島間は大人片道190円。
おすすめの遊び方&過ごし方
館内はコンパクトで、飲食施設や大きな売店がないため、体験も含めて1時間半くらいが目安です。
2022年1月現在は感染症防止のため、平日は整理券制、土休日や混雑日は事前予約の1日3回入れ替え制となっており、滞在時間は90分以内で設定されています。
- 1回目:入館10:00~11:00 ※退館11:30
マイ車両工場体験開始10:15~約1時間 - 2回目:入館12:30~13:30 ※退館14:00
マイ車両工場体験開始12:45~約1時間 - 3回目:入館15:00~16:00 ※退館16:30
マイ車両工場体験開始15:15~約1時間
マイ車両工場やシミュレーターは予約制。入場、体験ともに、前月の1日、15時から1ヵ月分の予約を受付するので、早めの予約がおすすめです。
京急ミュージアムフロアマップ
画像・京急ミュージアム
1階のみのワンフロア。プラットホームの上り下りは階段が数段あります。平日は2階の京急グループ本社エントランスからの入場になりますが、エレベーターがあります。
京急の「赤い電車」がお出迎え
京急デハ230形。1970代を再現したホームや上の案内板など細かな演出もお見逃しなく。
京急ミュージアムは、2020年にオープンした京浜急行電鉄の展示施設。京急グループは、2019年に東京の泉岳寺にあった本社をみなとみらいに移転し、その1階を京急ミュージアムとして公開しています。出迎えてくれるのは「京急デハ230形」。昭和初期から活躍し、約2年の修繕作業を経て当時の姿によみがえった歴史的車両です。
京急の前身となる大師電気鉄道株式会社が1898(明治31)年に創業。以降、数度の合併や社名変更を経て、現在は本線(品川~浦賀)、空港線や、大師線、逗子線、久里浜線を運転しています。
「京急の電車、特に快特は早い」という話を聞いたことはありませんか?その早さの秘訣ともいえるのが、レールとレールの幅。「軌間(きかん)」といいます。
「京急デハ230形」の線路の部分には、「1435mm」「1067mm」と数字が掲示されています。これが線路の幅。JRの在来線をはじめ、多くの鉄道会社が取り入れている軌間が1067mmなのに対し、京急は「1435mm」。1435mmは新幹線にも使われている「標準軌」で、これを大師電気鉄道時代から採用してきました。例えば、現在2100形の快特が品川~横浜間で120km/hと安定して高速運転できるのもこのためなのです。
「京急デハ230形」は中に入ることも可能。木の床、網棚、扇風機…昭和レトロなムードがかえって新鮮です。車掌室に入ってドアの開け閉めも体験できますよ。
車内では、昔のきっぷや路線図など資料の数々を展示。厚紙のきっぷ「硬券」や、記念きっぷは懐かしく、かつて安針塚駅で使用されていたダッチングマシン(硬券に日付を入れる)も展示されています。
ホーム上にある非常ボタンを押すこともできます。何が起きるかな?
見ているだけでワクワク!京急ラインジオラマ
京急ミュージアムの中心にあるのが「京急ラインジオラマ」。京急沿線の情景を再現しています。幅約12メートルという壮大なもので、鉄道模型(HOゲージ)が走ります。羽田空港や三浦半島など、バスや飛行機など鉄道以外の乗り物も再現されていますよ。
品川駅付近。写真は開業日のもの。
三崎口駅前。京急バスのほか2階建てオープントップバスも止まっていますね。これは三浦半島を巡る「KEIKYU OPEN TOPBUS」。「2100形」をイメージした車体に、京急電鉄のマスコットキャラクター「けいきゅん」の顔を前面にデザインしています。ジオラマは、自分が住むエリア、よく行く場所、思い出のある場所を見つけるとより楽しめます。
ジオラマで走っている鉄道模型の運転体験もできます。しかも、運転台は本物の800形。品川駅からぐるっと一周。鉄道模型の先端部分にカメラがついているのでライブ感も抜群。運転体験は1回100円(約3分)。予約不要で、コスパも良好です。
写真は開業前の内覧会で撮影(館内での三脚使用は不可)。
運転シミュレーターで本物さながらの体験
運転シミュレーターは、京急の主力車両である新1000形電車運転台を使い、実写映像で体験できるのが魅力。
コースは「入門(わくわくコース)」から「初級」「中級」、鉄道ファン向け「上級」まで全4コース。レベルに合わせて選択できます。1回500円で、こちらは事前予約が必要。体験1名につき2名付き添い可(合計3名入館可)。
新1000形は都営浅草線、京成線、北総線への乗り入れ可能な車両。車内はロングシートで、車端部は補助イス付きのクロスシート。シミュレーター入口の座席は、シミュレーターしなくても座ることができます。窓の景色はシミュレーターとは連動していませんが沿線の景色を楽しめます。
オリジナルの京急車両をデザイン!「マイ車両工場」
キッズに大人気の体験メニュー。スタッフから京急の車両についての説明を受けたのち、オリジナルデザイン車両の工作体験ができます。参加者は、オリジナルの京急車両デザインの鉄道玩具「プラレール」を制作し、マイ車両工場専用のオリジナルボックスに入れて持ち帰ることができます。体験は1名1000円。車両に動力は付いていません。
こちらは見本。自由に絵を描き、シールを貼ってみましょう。
色鉛筆やペンなど、彩色道具が用意されています。
完成したら、オリジナルの箱に入れて持ち帰ります。箱を持っているのは館長の佐藤武彦さん。京急の運転士や京急久里浜駅長を務めた、まさに「京急のプロ」です。
ほかにも知的好奇心をくすぐる貴重な体験の数々!
●京急バスファン必見「バスネットワーク」
京急グループのバスは、京浜急行バス、東洋観光、川崎鶴見臨港バスの3社。主な運行エリアは、東京都内から三浦半島全域です。路線バスだけでなく、羽田空港、成田空港への空港リムジンバスや、アクアラインバス、全国の主要都市を結ぶ高速バス、貸切バスも運行しています。運転台が展示されていて、運転席に座ってハンドルを握ることもできます。京急バスのパンフレットやかつて使われていた道具類が展示されています。
バス車内にある停車ボタンを、子どもの目の高さに設置した展示。ここなら自由に押せますよ。
●昭和レトロな展示があちこちに!
昔のポスターや販促品といったお宝グッズや、当時を再現したアイテムを展示しています。床に埋め込まれた展示は、キッズのほうが気がつきやすいかもしれません。
上は京成成田と逗子海岸の臨時直通特急「パシフィック号」「逗子号」を宣伝するチラシ。
逗子海岸駅は、1985年に、当時あった京浜逗子駅と統合する形で「新逗子駅」になりました。その後、新逗子駅は2020に逗子・葉山駅に改称。右下は京急の社歌を吹き込んだレコード。本物のレコードを初めて見るパパママもいるのでは。このアイテムだけで歴史を感じることができます。
こちらはホームにあったゴミ箱を再現。「クリーン・クリーン京急」の文字が1970年当時をしのばせます。
新聞や缶コーヒー、みかんの皮など、捨てられているものも今とはちょっと違うものですね。
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
おむつ交換台、ミルク用のお湯、授乳スペースも完備。バリアフリー対応のみんなのトイレもあります。
キッズ用のトイレアイコン。敬礼姿がキマっていますね。
おむつ交換台とミルク用のお湯。
館内では通路が狭いところもあるので、大きな荷物を持っての入館は避けて。ベビーカーを置くスペースは運転体験シミュレーター横とマイ車両工場横にあります。
品川、川崎、横浜から羽田空港、三浦半島といろいろな場所を走る京急。歴史をひもとき、ジオラマで京急がカバーしているエリアを知ると、高速運転を実現させた背景が見えてきます。また、京急は、都営浅草線や京成電鉄、成田空港まで乗り入れているので、沿線に住んでいる人はぜひ一度は行ってみたい施設です。
●掲載の情報は予告なく変更になる場合があります。おでかけ前に各スポットへご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。
監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録していますよ。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。