知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
構想から約40年を経て、2022年2月にオープンした大阪中之島美術館。建物は地上5階建て、施設全体の面積は約20,000㎡にもおよび、関西の美術館のなかでも最大級の規模を誇ります。近現代美術を中心に、6000点以上もの作品を所蔵。常設展はなく、さまざまなテーマの展覧会が開催されています。芝生広場などがある2階、カフェレストランなどが入る1階には無料で自由に入館できるのもポイント。館内に点在するパブリックアートを鑑賞するだけでも、子どもたちの知的好奇心が育まれます。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
大阪中之島美術館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック! 大阪中之島美術館では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見てみましょう。
■ライターコメント
大阪中之島美術館は、黒い外壁などから感じる重厚さと、巨大な吹き抜けを使った開放的な雰囲気が融合した空間も魅力の一つです。近代的な建築デザインを見るだけでさまざまな発見があり、展示室に入場する前から芸術への興味が沸き上がるはず。
大阪中之島美術館ってこんなところ!
おすすめの遊び方&過ごし方
当日券は2階のチケットカウンター・券売機で購入できますが、土・日曜、祝日などは混雑が予想されるため、公式サイトなどから事前にチケットを予約しておくのがベターです。展示を観賞する際は、保護者が作品横の解説を読んで子どもに説明してあげると◎。さらに、「これは何の絵?」など声をかけることで、発想力や洞察力がアップするでしょう。リュックサックや上着などは、1・2階のロッカー(100円返却式)に預ける必要があるため、荷物はできるだけ1つにまとめておくとスムーズです。展覧会を楽しんだ後は、芝生広場やカフェレストランでひと休みしながら、どの作品が印象に残ったかを話し合ってみましょう。
おすすめのアクセス方法は?
車では、梅田出入り口から約1kmの場所に位置します。施設には有料駐車場がありますが、人気の展覧会が開催されると満車になることも多いので、なるべく公共交通機関で訪れましょう。
公共交通機関を利用する場合は、京阪中之島線渡辺橋駅の2番出口から徒歩5分。または、地下鉄四つ橋線肥後橋駅の4番出口から徒歩10分で到着します。渡辺橋駅2番出口、肥後橋駅4番出口のどちらにもエレベーターが設置されているので、ベビーカーでもスムーズに来館することができます。
所要:3時間
おすすめの年齢:6歳~
住所 | 大阪府大阪市北区中之島4-3-1 |
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電話 | 06-6479-0550 |
営業時間 | 10~17時、最終入場は閉場30分前 ※展覧会により異なる場合あり |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌平日) |
料金 | 展覧会により異なる |
アクセス | 京阪渡辺橋駅から徒歩5分または地下鉄肥後橋駅から徒歩10分 |
駐車場 | 72台(15分200円) |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:〇
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:〇
- コインロッカー:〇
- 館内飲食店:〇
- 館内売店:〇
- 持ち込み:〇
まずは建物をじっくりと見学し、建築美を学ぶ
大阪中之島美術館は、建物を見学するだけでも建築の美しさを堪能することができます。1・2階はガラス張り、3階以上は黒い外壁になっており、宙に浮いているようにも見える外観が特徴です。館内には複数の出入り口があり、1・2階のどちらからでも入館可能ですが、ベビーカーで訪れた場合は、エレベーターに近い1階東側入口から入るのが便利です。
建物内部に入ると、1~5階を貫く建物内部に圧倒されるはず。「パッサージュ」とは、フランス語で自由に歩ける小径のこと。 “さまざまな人と活動が交錯する都市のような美術館“をコンセプトに、建物が設計されました。
パッサージュに設置された椅子は、脚の部分が中之島を表す“N”の形にデザインされています。そのほかにも、大阪中之島美術館だけのオリジナルデザインの家具が点在しているので、ぜひチェックしてみてください。
さまざまな展覧会が開催される展覧室へ
約1400㎡の面積をもつ4階は、風合いや色合いが劣化しやすい日本画の展示もできるよう、内部で綿密な温湿度管理が可能なガラスの展示ケースも完備しています。
5階の展示室は、約1700㎡で、天井の高さはなんと6m。大規模な作品も展示できるようになっています。展示室内の各所には、椅子やベンチが設置されています。休憩をはさみながらまわることで、子どもたちも集中力を保ったまま作品を鑑賞できるはず。
敷地内に点在するパブリックアートにも注目
展示室以外でも、複数のパブリックアートを見ることができます。館内に展示されるパブリックアートは入れ替わることもあるので、お目当ての作品がある場合は事前にチェックをしておきましょう。2022年10月時点では、1階のホールにバリー・フラナガンの彫刻作品「ボウラー」が展示されていました。
建物2階の屋外に広がる芝生広場には、大阪府出身の現代美術作家・ヤノベケンジ氏による大型彫刻作品「SHIP’S CAT(Muse)」が展示されています。潜水艦や宇宙船で作業するためのスーツを身にまとった猫が、じっとこちらを見つめるユニークな作品です。
のびのび過ごせる芝生広場&学習にぴったりのアーカイブズ情報室も
4・5階の展示室以外の館内外施設は、営業時間内であれば無料で入場できます。
●芝生広場
「SHIP’S CAT(Muse)」が設置されている2階の芝生広場は、親子でのんびりひと休みするのにちょうどいい広さです。マルシェや、冬にはイルミネーションなどのイベントも行われるので、公式サイトを要チェック。
●アーカイブズ情報室
2階の北側入口付近にあるアーカイブズ情報室では、4台のタブレットを通じ、貴重な調査・研究用の資料の閲覧ができます。
- 【開室日】火~土曜(祝日、特別整理期間は休室)
- 【開室時間】10~17時(予約閲覧室への最終入室は16時)
大阪中之島美術館ならではの体験にトライ!
大阪中之島美術館では、子ども向けのラーニングプログラム「ナッカキッズ」を不定期で開催しています。絵や色だけではなく、音や動きなど、さまざまな要素から芸術にふれることができます。
ナッカキッズ コミュニケーションプログラム session 1 音をつくる(2022.8.18-19) 大阪中之島美術館提供
「ナッカキッズ」では、教科書やお手本などの規範となるものから離れ、子どもの創造・想像力を自由にはばたかせることを目指しています。さまざまなこと・もの・ひとと出会い、ワクワク・ドキドキを体験しましょう!
ナッカキッズ コミュニケーションプログラム session 1 音をつくる(2022.8.18-19) 大阪中之島美術館提供
プログラムの第1回となった「session1 音をつくる」は、2022年8月18日、19日に開催されました。内容は、廃材やいらなくなった身近なものを使って、自由に音をつくるというもの。子どもたちがアイデアを出し、想像力を駆使して、多彩な音を創りだしました。
- 【実施】開催日、時間、定員、料金などはプログラムにより異なる
- 【予約】 予約申し込み公式サイト内の申込フォームから要予約
子連れにおすすめ!館内の立ち寄りスポット
大阪中之島美術館には子連れならぜひ立ち寄りたいスポットがあります。その中でも人気のカフェレストランをピックアップ!ぜひ行ってみてくださいね。
●ミュゼカラト
展覧会の作品や館内のパブリックアートで芸術にふれたあとは、のんびりカフェ&ランチタイム!館内1階には、座席数128席のゆったりとした空間が魅力のカフェレストラン「ミュゼカラト」があります。天気がいい日は、テラス席を利用するのもおすすめです。
※料理写真はイメージです
写真は、50食限定のスペシャルワンプレート遊園地(食後のプチデザート付き)2640円。赤身の希少部位ランプ肉を使ったローストビーフや、彩り豊かなロースト野菜をはじめとしたぜいたくな味わいが楽しめます。
- 【場所】館内1階
- 【電話】06-6940-7025
- 【営業時間】11~21時(20時30分LO)
- 【定休日】無休
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
館内には5カ所のトイレがあります。2階には、子ども用の便器が設置された親子トイレ・授乳室・おむつ替えスペース・親子休憩室が集まるエリアがあるので、小さな子ども連れの場合はこちらを利用すると便利です。
3つのおむつ替えシートが用意されたスペースは、親子トイレに併設しています。
授乳室は、親子トイレのすぐ隣にあり、チケットカウンターで声をかけ、鍵を借りることで利用できるシステムです。3つの部屋が用意されているので、順番待ちの心配が少ないのもうれしいですね。なかには椅子と小型のテーブルが1つずつ設置されています。
同じエリアにある親子休憩室は、小さな遊具と休憩用のベンチがあります。床はクッション性があり、子どもが遊んでも安全です。赤ちゃんが利用していることも多いので、遊ぶ際は周囲に注意してマナーを守ってください。
人気の作家・作品をはじめ、話題となる展覧会が開催されることが多い大阪中之島美術館。展覧会の作品以外にも、敷地内のパブリックアートなどさまざまなアートにふれることができ、子どもの感受性を高めます。気になる展覧会があったり、気分をリフレッシュしたい時には、ぜひ家族で気軽に訪れてみてはいかがでしょうか。
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。
監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録していますよ。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。