47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
千葉県の特産品は「落花生」。名前の由来にもなっている生育過程や、収穫後の「ぼっち」と呼ばれる珍しい乾燥方法などを分かりやすく紹介します。品種も意外に多いので、食べ比べするのもおすすめ!
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【知る】落花生の生産は千葉が約8割! 主な品種は5種類ある
落花生はマメ科の植物で、江戸時代に日本に持ち込まれたといわれています。硬い殻に実が覆われているのが特徴で、殻の中にある実の部分は「ピーナツ」と呼ばれていますよね。
国内産の落花生は、その約8割が千葉県産なんです。なかでも八街(やちまた)市の落花生は「甘みがあっておいしい」と有名。その品質の高さから、落花生の地域ブランドに指定されています。
落花生とピーナツの違いとは?“殻”がポイント!
画像:PIXTA
落花生もピーナツも同じもので、英語だと落花生は「ピーナツ(peanut)」です。日本では硬い殻が実を覆っているものは「落花生」、殻の中にある実の部分は「ピーナツ」と呼ばれています。違いは“殻”があるか、ないかだけです。
また、シルバー層は薄皮が付いたピーナツを「南京豆(なんきんまめ)」と呼ぶことが多いそう。中国から伝わってきたことに由来した呼び名だと思われます。
千葉県でどうして落花生が多くとれるの?
画像:PIXTA
八街市などを含む千葉県の北部は、富士山や箱根山の火山灰が降り積もった関東ローム層(火山灰地)。土が柔らかく水はけがよく、落花生の栽培に適しています。
生産量が多い理由には、土壌が適しているだけではなく先人たちの努力も。
明治10年(1877)に当時の県令(知事)が落花生栽培を県民に強く勧め、旭市を中心に産地が広がりました。しかし、当時の品種は干ばつの影響を受けやすかったため、次第に減少傾向に…。
大正時代になると八街市付近に干ばつに強い品種が中国から入り、昭和2年(1927)からは農業試験場での落花生研究が始まりました。その結果、収穫量が安定して味もよい「千葉半立(はんだち)」などの優良品種の開発に成功。戦後、栄養価の高い落花生のニーズも増え、現在では県内全域で栽培されています。
土の中で実が育つ!落花生の由来は成長する様子から!
落花生は、枝に実を付けるわけでありません。花が落ちた後に子房(しぼう)部分と呼ばれる花の根元が長く伸びたものが地中にもぐり、それが実になります。「花が落ちて実が生まれる」という成長そのものが、落花生の名前の由来となっているのです。
スーパーなどで見かけるのは、収穫後に乾燥させた落花生になります。掘り起こしてから畑で1週間ほど地干し(予備乾燥)したあと、直径1m・高さ1.5mくらいまで落花生を積んだ「ぼっち」という野積みを作ります。
画像:PIXTA
1~2カ月かけてゆっくり乾燥。すると、甘みが増しておいしくなるのです。畑にぼっちが点々と並ぶ光景は、千葉県の秋冬の風物詩。生産地に行けば、どこでも見られるはずですよ。
新品種もデビュー!千葉県の主な品種は5種類
千葉県では品種改良を繰り返し、十数年の歳月をかけて新品種「Q(きゅー)なっつ」を開発。2018年から県内の専門店や直売所に登場しました。気品のある白いきれいな殻に包まれ、今までの落花生にはなかったハッキリとした甘みが最大の特徴です。
千葉県発の品種は主に5つ。最も多く栽培されているのが「千葉半立」です。やや大粒で味がよく、濃厚で独特の風味があります。大きさNo.1は「おおまさり」。実の重さが一般の品種の約2倍もあり、甘みが強くて柔らかく、栗のような風味を楽しめます。
ほかにも「ナカテユタカ」は粒ぞろいがよく、あっさりした甘みで飽きのこない味で親しまれています。やや大粒で白っぽい殻の「郷の香(さとのか)」は、ゆでたときの味わいが深く、主にゆで落花生用として販売されています。
おいしい落花生の見分け方は?
画像:PIXTA
新鮮でおいしい落花生を見分けるコツは2つあります。
大きすぎるものは避けて、細長いものを選ぶ
大きく丸っこい落花生の方がお得でおいしそうに見えますが、実は収穫時期を逃した証拠。実が硬くなり、風味が落ちる傾向があります。
殻の網目がはっきり分かるものを選ぶ
ツルッした殻は未熟なまま収穫されたため、実が小さく味も薄いです。また、殻の表面が腐って黒く湿っていないか、虫食い穴が空いていないかも確認してください。
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【つくる】家庭でおいしく食べるレシピ
千葉に行っておみやげや収穫体験で持ち帰った生落花生は、ゆで落花生にして食べるのが一番。パンに合う「ピーナツクリーム」もフードプロセッサーで簡単に作れますよ。
生落花生をゆでて旬の味覚を楽しもう!
出典:農林水産省Webサイト
ホクホクおいしい「ゆで落花生」は、畑から堀りたての“生”のものでないと作ることができません。収穫してから時間が経つと硬くなり、味もすぐ落ちてしまうからです。生の落花生が手に入るのは、おおむね9月上旬~10月中旬。地元の専門店などで買うことができるほか、冷凍でも販売されています。
ちなみに、素焼きしてから販売される乾燥落花生には、「殻付き」と薄皮だけ付いた「殻なし」があります。殻なしは手間がなく実だけをそのまま食べられますが、よりおいしいのは殻付き。理由は殻の効果で、味や風味を閉じ込めてしっかり守っているからです。
簡単に食べ方を紹介
- 落花生の泥を落とし、水でよく洗いましょう
- 水をたっぷり入れた鍋に落花生・塩を加えて火にかけます。沸騰してから30分ほどゆでれば完成!
自家製「ピーナツクリーム」で朝食を!
落花生から作る自家製ピーナツクリームは、驚くほど濃厚! 混ぜるだけで手軽に作ることができ、パンと相性抜群なので子どもも喜んで食べてくれますよ。
ピーナツ(落花生)といえば、成分の約50%が脂質の高カロリー食品で知られていますが、そのほとんどが体内のコレステロールを下げる働きがあるとされる不飽和脂肪酸です。コレステロール値を高める心配はなく、タンパク質、ビタミン類も豊富な栄養価にすぐれた食品です。
簡単にレシピを紹介
- 殻、薄皮をはがしたピーナツをフードプロセッサーに入れて混ぜます。
- 落花生がなじんで少しなめらかになってきたら、室温に戻したバターを入れてさらに混ぜます。
- きび砂糖とハチミツを加えて甘さを調節して、なめらかになったらできあがり♪
【学ぶ】落花生について学べるスポット
千葉県には落花生狩りができる農園や、こだわりの落花生を扱う専門店がたくさんあります。その中でも規模が大きく有名なスポット2カ所をピックアップしました。名産地の落花生をゲットしに出かけましょう!
農業公園ぽんぽこ村(千葉県/木更津市)
都心から約1時間の場所にある「農業公園ぽんぽこ村」。安全安心の野菜や果物を約70種類も育てているので、四季を通じてさまざまな収穫体験ができます。
約3000株ある畑で品種「おおまさり」の落花生堀りができるのは、10月から約1カ月。所要時間約20分の「お手軽!落花生プラン」では、畑のスタッフが同行し、楽しい収穫体験を案内してくれます。収穫した生落花生は、家でゆでて食べましょう!
住所 | 千葉県木更津市牛袋野506 |
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問合先 | 090-1466-7843 |
営業時間 | 「お手軽!落花生プラン」①9時30分~ ②11時30分~(各要予約) |
定休日 | なし |
料金 | 「お手軽!落花生プラン」3株1人2200円、小学生以下は無料 |
アクセス | 公共機関:JR袖ケ浦駅からタクシーで約10分 車:東京湾アクアライン連絡道袖ヶ浦ICから1.5㎞5分 |
駐車場 | あり/10台/無料 |
URL |
ますだの落花生(千葉県/八街市)
栽培から加工、販売まで一貫して行う専門店「ますだの落花生」。今では数少ない、昔ながらの「天日干し」によるおいしい落花生を作っています。「天日干しさやいり165g」724円などで、その味を試してみてください。
9月上旬~10月上旬には「生落花生500g」897円(予定)を販売。入荷は天候に左右されるので、予約購入がおすすめ。加工品では「香るピーナッツクリーム」890円が人気です。
住所 | 千葉県八街市八街ろ26 |
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問合先 | 043-443-0155 |
営業時間 | 9~18時 |
定休日 | 火曜 |
アクセス | 公共機関:JR佐倉駅からタクシーで約20分 車:東関東自動車道佐倉ICから5㎞10分 |
駐車場 | あり/12台/無料 |
URL |
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【SDGs】千葉県の落花生を自由に食べたり守ったりするために
千葉県で収穫される落花生は、環境にも配慮しながら全県下で栽培が行われています。この先も、落花生を変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。