
2025年4月に校名を変更した三田国際科学学園中学校。国際教育とサイエンス教育の充実度で人気上昇中の注目校でありながら、「本校は、進学実績だけを目的とした進学校ではありません」と潔く語る学校の真の姿を潜入取材!この学校ではどのような設備や制度のもと、どのような学びや成長ができるのか。るるぶKids編集部が学校インフルエンサーのがくパパと共に取材しました。
取材をした人:がくパパ
「偏差値だけで学校を選ばない」をモットーに首都圏の中学受験校100校以上を独自に調査し中学受験校を分かりやすく解説しているインスタグラムを運営中。学校が好きすぎて、私立校の講師も経験した学校ヲタク。今は3児(5歳・2歳・0歳)のパパ。
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三田国際科学学園中学校の基本情報

三田国際科学学園中学校は、世田谷区用賀にある男女共学の中高一貫校。2015年にスタートし、今年で10周年を迎えました。2025年4月に三田国際学園中学校から「三田国際科学学園中学校」へと名称変更。その名の通り、国際教育・サイエンス教育プログラムが非常に充実しています。
住所 | 東京都世田谷区用賀2-16-1 |
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アクセス | 東急田園都市線用賀駅から徒歩5分 |
生徒数 | 1412人(中学校738名、高校674名) |
中高一貫校 タイプ |
中等教育学校(高校の募集はなし) |
クラス | インターナショナルサイエンス/メディカルサイエンステクノロジー(2年次より)/インターナショナル |
入学説明会 | あり。完全予約制(各回の約1ヶ月前より公式サイト上で予約受付を開始) |
文化祭 | MITA International Festival(一般公開あり) |
土曜授業 | あり(午前中4時間授業) |
クラブ活動 | 文化部12種類、運動部12種類(基本週1〜3回) |
入試情報(2026)
3つのクラスで受験科目が異なります。
受験科目 | ・インターナショナルサイエンス(ISC):4教科または国算英+面接 ・インターナショナル(IC):4教科または英+面 ・メディカルサイエンステクノロジー(MSTC):算理 |
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その他 | IC・ISCは帰国枠あり。 ISCについては英検準1級以上相当の英語資格保持者は英語試験免除(証明書の提出必須/2023年11月以降受験に限る) |
※2026年受験の場合
三田国際科学学園中学校はズバリどんな学校?

生徒の作品などが飾された明るいギャラリー
日本の教育では「出る杭は打たれる」ことが多い中、三田国際科学学園中学校では「出る杭はたたえられる」文化が醸成されています。
2025年度入学した中学1年生のうち、実に4割以上が帰国生または英語入試で入学した生徒。帰国生の子が入学してからとても自分らしく、のびのびと過ごしている姿を見ることは珍しくないそう。好奇心旺盛な子、ちょっと変わった研究をしている子、海外経験で「違い」を持っている子——そんな生徒たちが、ここではみんな個性として認められているのだとか。
進学実績より「社会で活躍する力」を育てる学校

「うちは進学校じゃないと思っています。東大10名、アイビーリーグ20名出たとしても、うちは進学校じゃないですよって言い続けたい。目指しているのは進学率ではなく、“社会で活躍する力を育てる学校”です」
これは今回の取材に立ち会ってくださった楢島先生の言葉。
三田国際科学学園には、東大合格者や、スタンフォード大学進学者がいます。それと同時に、自分の夢に向かって違う道を突き進む生徒もたくさんいます。
「学校側から生徒への接し方として共通しているのは、どんな生徒の進路や夢も心から応援・支援するということです」
進学実績を重視するのではなく、生徒ひとりひとりの「生き方」にフォーカスした進路支援を一貫して行っているので、進路先は実にさまざま。
「昨年DDP(デュアルディプロマプログラム:日本の高校に通いながら海外の高校卒業資格を取得できる)を受けて卒業したDDP1期生の中に、日本の料理専門学校に進学した子がいたんです。世界標準の教育を受けて、調理専門学校へ進学。素晴らしいと思いました」
楢島先生のこの言葉に、三田国際科学学園という学校の本質が表れています。
どんな子が向いている?

自習室は机が一つ一つ仕切られた集中できる環境
複数の先生方が口を揃えて答えるのは、「好奇心旺盛な子が向いています!」とのこと。
「なぜだろう?」という問いにさまざまな分野を横断して考える、知的探究の授業が6年間を通じて多くあります。そのため、何事にも「なぜ?」と考えワクワクと好奇心をもって取り組んでいく、そんな生徒がマッチしているそうです。
三田国際科学学園中学校に伺う「面倒見の良さ」とは?

英語の検定取得(英検、TOEFL Primary/Junior、IELTS)や部活動、有志団体もさかん!
この学校では、勉強についていけないから「補習」をする、ということがないそう。先生も「そういう意味の面倒見の良さはありません」と言います。その代わり、学校側から生徒たちに対して「面倒見の良さ」をみせるのは、勉強に限らない自律のための教育指導です。
「生徒一人ひとりを尊重し、一人ひとりにフォーカスを当てながら、できる限りの教育をする。その結果、生徒たちが自律するんです。最終的に自分で歩けるようになり、自走できるようになる。それが本校にとっての面倒見の良さです」
この考え方は進路相談にも表れています。使われるのは、「進路指導」ではなく「進路支援」という言葉。手取り足取り指導するのではなく、きちんと情報を与える。生徒自身が選択することに対して、それを支援・応援する。そのスタンスが貫かれています。
幅広い探究心を伸ばす「サイエンス教育」

2025年より学校名にも組み込まれた「科学(サイエンス)」は、三田国際科学学園ならではの教育プログラムのひとつです。
中学1年生全員が学ぶ「サイエンスリテラシー」
中学に入学すると、1年生全員が「サイエンスリテラシー」の授業を必修で学びます。この授業は、実は理科の内容を学ぶわけではありません。
「物事には必ず原因があると信じ、よく観察して情報を集め、原因を探って答えを導き出す。サイエンスは、私たちが物事を考えるうえで切っても切り離せない手段という考えのもと、その“科学的アプローチサイクル” を実践的に学ぶんです」
問いの立て方から始まり、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった思考力の土台を、この授業を通して育んでいくのだそう。試行錯誤を繰り返す力も培われるとのこと。
2025年秋に竣工する新棟「ゼロワン」

ゼロワンの完成予定図。三田国際科学学園公式サイトより
校内には3つのサイエンスラボがあり、いずれも大学の研究室レベルの設備が充実しています。さらに2025年秋には、新棟「ゼロワン」が新設されます。なんと3階建ての建物すべてがラボです。
『0から1を生み出す空間』という意味を込めてつくられた「ゼロワン」。1階が「考えたものを形にしていく空間」、2階が「みんなでワイワイガヤガヤと発想を広げる空間」。3階は授業もできますが「一人でじっくりと考える空間」というコンセプトで設計されています。
薬品を使うような研究所ではなく、データサイエンスやロボティクスなどの研究ができる空間もあるそう。発想をもっと広げるこの空間は、全クラス・コースの生徒が自由に利用できます。
生きた英語に親しみ続ける「国際教育」

全教室設置のプロジェクターと大型テレビで、授業はプレゼンやアウトプットが活発に行われる
そしてもうひとつ、科学と並んで学校名についている「国際教育」も、三田国際科学学園の特徴的な教育プログラムです。英語力を培う授業内容はもちろんのこと、日常的に英語が飛び交う環境が組まれています。
日常に英語がある生活
ユニークなのが、インターナショナルクラス(IC)のシステム。ここでは、帰国生を中心とした生徒と、4教科受験の一般入試で入学した生徒が同じホームルームで過ごします。
4月の入学式が終わったら、その後の集まりは全部英語。一般入試で入学してきた子どもたちは、まるで日本の学校でありながら留学しているような環境に。
そこで重要な役割を果たすのが「バディシステム」。帰国生の生徒2人に対して一般入試の生徒1人の割合でバディを組み、お互いをサポートし合う制度です。助け合いながらフラットな関係性を築き、自然に多様性を受け入れる土壌ができていくそう。
長期留学制度も

プログラム面ももちろん充実。
特に留学は、中学3年生のターム留学(約3か月間)がどのクラスにもあります。
中学の長期留学(約8か月間)はICのみですが、高校の短期留学(約10日間)は全コースが対象となっています。また、インターナショナルサイエンス(ISC)は高校で長期留学(約10か月間)を用意。そのほかにも全コースが高校2年生で海外研修があり、ICはオーストラリア、ISCは台湾・カンボジア・フィンランド(選択制)、メディカルサイエンステクノロジー(MSTC)はシンガポールで学びを得ます。
好奇心増!三田国際科学学園ならではの施設は?
世界レベルの研究が生まれるサイエンスラボ

休み時間や放課後には生徒が自由に出入りする光景が!
サインエスラボは校舎内に3つあり、各ラボには、微生物の培養や遺伝子組み換え等の高度な実験が可能なカルチャーラボも併設。理科だけで週2〜3の探究・研究活動が行われ、実験に熱中している生徒の姿が頻繁に見られます。今年度は化学オリンピックの代表にも選ばれている生徒もいるそうで、日本のみならず、世界からも注目をあびる研究がここで生まれています!
Apple Distinguished School認定校

三田国際科学学園での学びに欠かせないのが充実したICT環境。日本ではまだ少ないApple社「Apple Distinguished School」認定校です。生徒は1人1台iPadをもち、学習の記録や分析、プレゼン作成等が日々行われています。
学校から保護者の方へのアドバイス

三田国際科学学園中学校の楢島先生に、これから中学受験を迎える親子へのアドバイスをうかがいました。
「偏差値や大学実績も大事かもしれません。でも、それ以上に子どもとの相性が重要です。文化祭などで、生徒たちが本当にどう過ごしているか、教員がどんな立ち振る舞いをしているか、学校全体の雰囲気はどうか。リアルな生徒の姿を見てほしいと思います」
小学生のうちにしておいたほうが良いこと
楢島先生から、最後に知的好奇心を育てることの大切さについてもアドバイスをいただきました。
「世の中には『なぜ?』という疑問があふれています。氷はなぜ冷たいんだろう?戦争はなぜ終わらないんだろう?そんな『なぜ』を親から子どもに問いかけ、一緒に考えてあげてください。答えを教えるのではなく、一緒に調べたり、一緒に考えたりする。その過程が大切なんです。知的好奇心旺盛な子を育てることは、うちの学校だけでなく、これからの時代を生きていく上でも必要な力につながりますよ」
実は、この三田国際科学学園の教育理念の一つは孔子の教えに由来する「知好楽」。知ることが全ての始まりであり、それを好きになって、最後に楽しむ境地に至る。「知りたい」という知的好奇心を刺激するためにも、「親」の声掛けは大事なことなのですね。
<がくパパの取材コメント>
三田国際科学学園は、偏差値や大学実績だけでなく、教育にまつわるあらゆる分野で日本最先端を目指し「社会で活躍する発想の自由人を育てたい」という想いのもと、生徒一人ひとりの個性と「生き方」を大切にする学校でした。進学実績だけでなく、子どもの可能性を最大限に引き出す環境を探している保護者の方には、ぜひ一度足を運んでいただきたい学校です。
<在校生の保護者の声>
るるぶKidsが取材をした在校生の保護者の声は以下の通り。
- 先生との距離が近い
- 海外留学に本気で取り組んでいて、英語が飛びかっている
- 生徒の自発性をのばしてくれる
- 文理問わず、サイエンス思考が身につく
子どもの個性を受け入れ、好奇心や探究心をのびのびと伸ばしてくれる環境であることが伺えます。三田国際科学学園中学が気になった方は、ぜひ子どもと一緒に学校説明会や文化祭に出かけてみてください。