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光塩女子学院中等科を取材!「ありのままのあなたで」生徒一人ひとりの個性に寄り添う教育【個性を伸ばす中学校選び】

光塩女子学院中等科を取材!「ありのままのあなたで」生徒一人ひとりの個性に寄り添う教育【個性を伸ばす中学校選び】

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光塩女子学院は「お嬢様学校」。そう考える保護者の方は少なくないかもしれません。実は取材をしてみると、厳格なイメージとは180度異なり、明るく自由な雰囲気に満ちた学校でした。
キーワードは「見守る教育」。創立当初から行う「共同担任制」や、生徒の個性に寄り添う姿勢で、卒業生は「光塩でよかった」と口を揃えます。そんな学校の魅力を、るるぶKids編集部が学校インフルエンサーのがくパパと共に取材しました。

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目次(index)

がくパパ取材をした人:がくパパ
「偏差値だけで学校を選ばない」をモットーに首都圏の中学受験校100校以上を独自に調査し中学受験校を分かりやすく解説しているインスタグラムを運営中。学校が好きすぎて、私立校の講師も経験した学校ヲタク。今は3児(5歳・2歳・0歳)のパパ。
≫ がくパパInstagram

光塩女子学院中等科 基本情報

/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

光塩女子学院中等科は、杉並区高円寺にあるカトリック系の女子校。1931年創立の伝統校で、幼稚園から高校までの一貫教育を行っています。

住所 東京都杉並区高円寺南2-33-28
アクセス JR高円寺駅徒歩12分、東京メトロ新高円寺駅徒歩10分
生徒数 中高合わせて約900名(1学年約150名)
中高一貫校
タイプ
完全中高一貫校(高校の募集はなし)
入学説明会 学校説明会・授業公開日・オープンスクール・親睦会などあり(申込必須。各回の約1ヶ月前より公式サイト上で予約受付を開始)
文化祭 光塩祭(一般公開あり。申込必須)
土曜授業 あり(毎週。午前中4時間授業)
部活動 文化系 11種類/運動系 8種類
URL

https://www.koen-ejh.ed.jp/jh/

入試情報(2026)

光塩女子学院中等科の入試科目は、総合型と4教科(国算社理)、算数のみの1教科受験があります。

受験科目 ・総合型(各教科の枠を超えた情報や知識などを活用し、論理的な表現が必要となる問題が中心。国語基礎・算数基礎もあり)
・4教科
・算数1教科
その他 4教科型受験にて、帰国生および英検取得者(4級以上)に加点あり
アンケートあり(合否には関係なし)

※2026年受験の場合

光塩女子学院中等科はズバリどんな学校?

どの階もやさしい光が差し込んで明るく、不思議なほど居心地の良い雰囲気

「『ありのままのあなたが素晴らしい』という言葉を大切にしています」

卒業生でもある塚田先生が語ってくれたこの理念は、キリスト教の「あなた方は世の光である、地の塩である」という聖書の言葉に基づいています。実際、中高6年間の学校生活で好きなことにのびのびと取り組み、興味を伸ばしていく生徒が多いのだそう。

「ありのままのあなたが素晴らしい」を体現する学校

生物部が育てている生きものたち/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

生物部が育てている生きものたち。約30名の生徒たちが好きな生きものを育てている

ありのままで過ごすことを認めてくれる。同時に、生徒から「こういったことをやりたい」と声があがったときに、ストップがかかるのではなく大らかに活動が許されるのも校風です。
例えば今年度から活動がスタートした「光塩PR部」。行事の広報やInstagramの運営も行っているこの団体は、「自分たちの目線で学校の魅力を発信したい」と生徒が要望して立ち上げたもの。部活動ではなくサークルのような立ち位置で、現在40名ほどの生徒が活動しています。

自分の好きなこと、やりたいことをまっすぐに受け入れる光塩女子学院の包容力に対して、ある卒業生の方は「(光塩は)内なる個性に寛容(な学校)だ」と評したとのこと。

どんな子が向いている?

ポスターコンクールの受賞作品掲示。こうした掲示ひとつひとつに、生徒たちの活動が丁寧に共有されている様子が見られる

塚田先生いわく、向いているのは「自分の言葉をきちんと持っている子」。

学校行事ひとつとっても「私についてこい」というぐいぐい引っ張るタイプの子ではなく、「みんなで頑張ろう」と呼びかける生徒が自然とリーダーになっていく。それぞれに個性という芯を持ちながら「誰かのために何かをしたい」という気持ちが、校舎のそこここにあふれている――光塩女子学院に一歩足を踏み入れた時に感じた、不思議なほどの居心地の良さの理由は、まさにこの風土にあるのかもしれません。

光塩女子学院中等科に伺った「面倒見の良さ」とは?

中学1年生の生徒によるおすすめの学習方法。こうした掲示もたくさん!

多くの保護者が私立学校を目指す理由のひとつに、「面倒見の良さ」を挙げる方も多くいます。そこで、光塩女子学院に“面倒見”についてどう考えるか伺いました。

「面倒見の良さって、おせっかいになることとは違うんです。見守る、寄り添うに尽きるかなと思います」

なかでも「程よい距離感」が重要だと塚田先生は強調します。それを可能にするのが、「共同担任制」です。

創立当初から行う「共同担任制」

授業風景/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

授業風景(取材日は英語の授業)

ここでは創立当初から、1クラスに1人の担任ではなく、6~7人の教員がチームで学年全体を担当する「共同担任制」を採用しています。性別も世代も専門科目も異なる教員たちが、それぞれの視点から生徒を見守ります。

この制度の良さは、生徒が複数の先生の中から「今日はこの先生に相談したい」と選べること。先生も、生徒ひとりひとりを把握し、本当に大変な時はしっかりとフォローし、頑張っている時は見守る。廊下での「最近どう?」というちょっとした声かけも含めた、日常の積み重ねが大切なのだそうです。

校内の廊下/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

「廊下ですれ違った時に『最近どう?』とか『なんか楽しそうだね』とか、声掛けをするんです。特別な相談じゃなくても、そういう積み重ねを大切にしています」

取材中、何人かの生徒が、塚田先生のもとへ声をかけたそうに近寄ってきた瞬間がありました。まさに「程よい距離感」が日常の中で実践されていることを垣間見ることができた場面でした。

学校独自のプロジェクトを紹介!

現在光塩女子学院では、学習のさらなる充実を目指し、新たな独自プロジェクトをおこなっています。

MANABIプロジェクト

ラーニングコモンズ/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

生徒たちが自由に探究や自主学習ができる場所を、とつくられた「ラーニングコモンズ」もMANABIプロジェクトのひとつ

2022年度からはじまった「MANABIプロジェクト」。学習の更なる充実を目的に、授業改善や自習室の整備、特別講座の開講などが様々な制度が整いました。特に特別講座は、学年や教科の枠を超えた、ここならではの授業が展開されています。

「2025年度はスペイン探究を立ち上げました。光塩はスペインにルーツがあるので、スペインについて探究する場を作りたかったんです」

この講座には、中学3年生から高校2年生まで約20人が参加し、歴史、美術、言語など様々な角度からスペインを学んでいます。

他にも、オルガン講座を受講した生徒がクリスマス会で演奏したり、NPO法人と連携してコーヒー販売を通じた国際支援を行ったりと、授業の内容を超えた学びが実現しています。

TSUNAGARUプロジェクト

今年度からはTSUNAGARUプロジェクトが進行しています。これは「社会へ向けて扉を開き、他者と共に歩む力が必要になる」という考えのもと、地域や海外の学校などと、さまざまなプログラムを実施することによって、社会とつながる力をはぐくむプログラムのこと。

  • ラウダート・シ・ゴールズの実践
    (1)地球の叫びにこたえて
    (2)貧しい人々の叫びにこたえて
    (3)エコロジカルな経済へ
    (4)持続可能なライフスタイルを取り入れて
    (5)エコロジカルな教育を
    (6)エコロジカルな霊性で
    (7)地域社会のレジリエンスとエンパワーメント
    という、教皇フランシスコの回勅「ラウダート・シ―ともに暮らす家を大切に―」(2015年)に由来する7つの目標。SDGsと同じく総合的なエコロジーを重視しています
  • 社会に開かれた学校づくり
    学校のある杉並区から大学・企業・国際NPOまでさまざまな団体と連携し、探究活動やキャリア教育の充実につなげる動きです
  • グローバル教育の充実

プログラムの軸のひとつにあるグローバル教育は、『海外に行くだけがグローバルではない』という考えのもと、ポーランド大使の学校訪問やオンライン英会話、校内での英語キャンプなどを積極的におこなっています。この冬からは留学生を受け入れる予定で、日本にいながら国際的な視野を広げる機会を増やすことが可能です。
もちろん、オーストラリアやニュージーランドへの短期集中留学(中3~高2/約10日間)や、ターム留学(高1、高2)といった留学プログラムも充実しています。

光塩女子学院ならではの施設を紹介

実際に学校取材をして、気になった施設を紹介します!

講堂のパイプオルガン

講堂のパイプオルガン/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

800人以上収容できる講堂の上部に鎮座する、本格的なパイプオルガン。

講堂/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

入学式でこの荘厳な音色が響き渡ると、生徒も保護者も、背筋が伸びるとともに「良い学校生活になりそう」という実感をもつそうです。クリスマス会では、特別講座でオルガンを学んだ生徒が演奏を披露します。

ラーニングコモンズ

ラーニングコモンズ/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

前校長先生の蔵書2,000冊が並ぶこの空間は、生徒たちがカーテンや床の色選びから参加して作り上げた、まさに「生徒と一緒に作った」空間です。ここで自習したり、探究活動をしたり。ガラス張りの明るく自由な雰囲気からも、居心地の良さが伝わってきます。

蔵書のラインナップ一例/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

蔵書のラインナップは図書室とはまた異なるため、学校全体でかなりの量の本とふれあえます。

ステンドグラス

ステンドグラス/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

修道院のある、スペインのベリスの風景をモチーフにしたステンドグラス。制作者いわく「365日一瞬たりとも同じ風景にならない」そうで、時間や天候によって様々な表情を見せます。

講堂前のホールのステンドグラス/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

講堂前のホールにも美しいステンドグラスが。取材中も、光の入り方で刻々と変化する様子に見とれてしまいました。

学校選びのアドバイス

塚田先生/光塩女子学院中等科(東京都/杉並区)

塚田先生に学校を選ぶ際のアドバイスをいただきました。

「偏差値や大学実績はただの指標でしかないと思っています」

だから学校選びで大切なのは見た目のうえでの数字ではなく、「実際に学校を訪問して、生徒や教員のリアルの様子を感じること」だと強調します。特に、子ども自身の直感を大切にすべきだそうです。
訪れてみたときの感覚で、第一志望を貫く生徒も少なくないとか。説明会や文化祭は特別な「晴れの日」なので、授業公開日のような、より日常に近い機会に訪れることがおすすめとも語ってくれました。

「『なぜかわからないけど、すごく気に入った』という感覚で第一志望を貫き通す生徒もいます。
偏差値で選んだわけではなく、何かのきっかけで出会って『もう好き』となる。そんな出会いも大切にしてほしいですね」

保護者へのメッセージ

「受験期って塾の時間が増えて大変だと思うんです。でも、その中でも親子の対話を大切にしてほしい」

特別な話題である必要はなく、「家で飼っているペットの話でも、子どもが気に入っている動画の話でも。なんでもいいから、対話・会話が多い方がいい」とのこと。あわせて、本を読んだり、親子でスーパーマーケットに出かけたり、そういう自分の視野をちょっと広げるような日常の経験も大切だと塚田先生は語ります。

「保護者の方も、嬉しいことがあれば子どもとシェアしてほしい。親がいっぱい話してくれたら、子どもも『こんな嬉しいことあったよ』って言ってくれるんじゃないかなと思います」

時間の長さではなく、日常の中でのちょこちょことした積み重ね。対話の中で子どもの言葉にふれること。そして、親から心を開くこと。それが受験期を乗り越え、その先の6年間を充実させる土台になるのかもしれません。

<がくパパの取材コメント>

光塩女子学院を訪れる前、私は「厳格なお嬢様学校」というイメージを持っていました。しかし、実際は全く違いました。芯はしっかりと持ちながらも、柔軟に生徒一人ひとりに寄り添う。競争ではなく協働を、そして先生が見守るから安心してたくさん悩み、たくさん挑戦できる。これこそが、偏差値や進学実績だけでは測れない、光塩女子学院ならではの価値なのだと肌で感じました。「なんだかいいな」って思えた方には、ぜひ学校に足を運んでほしいです。