
子どもが向いているスポーツやスキルアップの方法が知りたい!そんな親子におすすめなのが「スポーツ能力測定会」。近年はさまざまな自治体や民間団体によって各地で実施されています。小学校の新体力テストとはどう違うのか?測定種目や結果のフィードバックの方法は?るるぶKids編集部が「2025年度 神奈川県 スポーツ能力測定会」(2025年7月26日実施)を取材してわかった内容を詳しくレポートします。
「神奈川県 スポーツ能力測定会」って?

「2025年度 神奈川県 スポーツ能力測定会」は、神奈川県内に在住・在学しているすべての小学4年生を対象としたもの。5つのテストを通じて子どもの運動能力を測ることで、適性のあるスポーツを見つけたり、新たなスポーツに挑戦するきっかけ作りをサポートするプログラムです。
測定会にゆうとくんがチャレンジ

- 名前:ゆうとくん
- 年齢:小学4年生(10歳)
- 習い事:水泳
今回、測定会に参加してくれたのは、小学4年生のゆうとくん。体を動かすことが大好きで、小学校の授業では体育と図工が得意だそう。スポーツ系の習い事の経験は水泳のみで、測定会がはじまる前は「ちょっと緊張するけど、楽しみ!」と、元気に答えてくれました。
まずは体格測定からスタート

まず体格測定を行います。身長、体重、座高、腕の長さを計測し、測定結果は参加者一人ひとりに配られる専用の用紙に、スタッフがその場で記入していきます。体格測定が終わったら、参加者のみんなでウォーミングアップ! このウォーミングアップは体を温めるだけでなく、場の雰囲気になじませる意味もあるのだそう。子どもたちも笑顔で運動に取り組む様子が見られました。
能力測定は5項目
能力測定は5mダッシュ、505テスト、5-5ボール運び、柔軟、垂直跳びの5項目を、順番に行っていきます。それぞれ2~3分程度で終わり、子どもたちも集中して取り組みやすくなっています。
5mダッシュ

スタートの合図とともに、5mの直線を思い切りダッシュ。走力を測るテストで、タイム計測も行います。今回は5mでしたが、10m、20mで行うケースもあるそう。
505テスト

505テストとは、特定の距離を素早く走り、方向転換する能力を評価するテストのこと。このテストでは、敏捷性をチェックします。全力で走るだけでなく折り返し地点でうまく減速、瞬時に切り返しができるかがポイントです。
5-5ボール運び

5-5ボール運びでは、先ほどの505テストにボールを拾う動作が加わります。ダッシュして数m先のボールを拾い、スタート地点に後ろ向きで走って戻るテストです。スピードよりもボールを拾う動作が滑らかに行えるか、体の巧緻性(こうちせい)をチェックします。
柔軟

肩屈曲、スクラッチテスト(※1)、立位体前屈、しゃがみ込み、トーマステスト(※2)の5つで、全身の柔軟性を測定します。
(※1)スクラッチテストとは、主に肩周りの柔らかさを調べるものです。調べることで投動作の滑らかさに繋がるアドバイスや肩のケガのリスク度がわかります。
(※2)トーマステストとは、主に腸腰筋の柔らかさを調べるもので、股関節の動きや腰痛などのケガのリスクを確認することができます。
垂直跳び

垂直跳びは、全身パワーを測定するテスト。両手を腰に当てた状態で跳躍するため、股関節、膝、足首をバランス良く使い、真上にまっすぐ、高く跳ぶことが重要です。
測定シートで結果をチェック

能力測定終了後、結果を反映した測定シートがすぐに手渡されます。測定シートには、体力・形態測定結果の数値やレーダーチャートによる評価が記載され、スタッフから丁寧な説明を受けることができます。数値が低い項目があっても、自宅でできる簡単なトレーニング方法を教えてもらえるため運動に対して前向きに取り組めるところが嬉しいですね。親子で一緒に聞けるため、ゆうとくんのお母さんもトレーナーの話を熱心に聞いていました。

測定シートを見たゆうとくんは、「テストの結果がグラフになっていてわかりやすい!これからは体を柔らかくする練習をして、柔軟性を上げていきたい」と、目標をさっそく見つけたよう。お母さんも「各項目の数字だけでなく、全体の傾向や具体的なアドバイスを直接もらえるのがうれしいです。苦手な項目も前向きに捉えられるので、とても良いと思います」と、ゆうとくんのやる気を引き出すきっかけになったことを喜んでいました。
忍者、武術家など体力タイプは7種類

全7タイプの詳細はこちら
測定シートでは、体力結果に加えて、体力タイプとその特徴、おすすめのスポーツが記載されています。体力タイプは全部で7タイプ。「すばしっこさと瞬発力を持つ天才!忍者タイプ」、「しなやかさと集中力を極めた達人!武術家タイプ」などゲームや漫画のキャラクターのように設定されていて、子どもが興味を持ちやすくなっています。ゆうとくんの診断結果は「キミの旅は、いま始まる!冒険者タイプ」でした。適性のあるスポーツとして、エアロビック、野球、自転車競技などが挙げられていました。
親子で楽しめるスポーツ体験ブースも!

測定後は親子で楽しめる体験ブースもたくさんありました。スポーツトレーナーによる親子で一緒にできるストレッチや、正しいシューズの履き方・選び方、スポーツファーマシストによる市販薬の正しい購入方法、スポーツ栄養士による健康的な食事のアドバイスなど、スポーツに関連した役立つ情報を、親子そろって楽しく学ぶことができたようです。
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正しいシューズの履き方・選び方のブースでは、シューズやインソールに詳しい専門家・長田潤晴さんにアドバイスを頂きました!ゆうとくんが履いている靴と実際の足のサイズにかなりのズレがあることが判明。靴を履いた後につま先でトントンするのではなく、つま先部分に余裕を持たせるためにかかとでトントンすることも教えてもらいました。
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フィジカルリテラシーも診断!

「フィジカルリテラシー」結果シート見本
今回は事前アンケートで「フィジカルリテラシー」診断も!フィジカルリテラシーとは、生涯にわたって運動やスポーツを継続し、心身共に健康で充実生活を送るために必要な能力や知識のこと。子どもと一緒に会話をしながら簡単なアンケートに答えるだけで診断できました。身体能力のテストだけで評価せず、運動に対する心理的領域や社会的領域、認知的領域の部分も調べながら、一人ひとりに合ったフィードバックを得ることができるのも嬉しいポイントです。
子どもがスポーツを好きになるには?

「2025年度 神奈川県 スポーツ能力測定会」のようなイベントは、全国各地で定期的に開催されています。「うちの子どもが楽しく取り組めるスポーツってなんだろう?」、「もっと運動を好きになってほしいな」と考えているママパパには、ぜひおすすめしたいイベントです。
今回の運営にも携わり、子どもの発育・発達学を専門とされている遠山健太先生は、「子どもが得意な動きを見つけて伝えてあげれば、スポーツへの関心が高まり、上達も早くなるので、本人も運動がもっと好きになりますよ」と教えてくれました。
もし、近くでこうした測定会がなくても大丈夫! 遠山先生によると、「実際にやらなくても、スポーツをたくさんみたり、家族で話したりすることで興味を持つケースも多い」とのこと。テレビやスタジアムでJリーグやプロ野球、Bリーグなど、さまざまなスポーツを親子で一緒に観戦してみてはいかがでしょうか。スポーツに触れる機会を増やすことで、子どもがやりたいと思う競技に出会えるかもしれませんよ。
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