数百匹の赤ちゃんに感動!カマキリの卵、孵化はいつ?産む時期・場所・育て方

カマキリの卵と孵化/昆虫芸人 堀川ランプ監修

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冬に、木の枝などに綿菓子のようなアワアワとした白い固まりがついているのを見たことありませんか?それは、実は「カマキリの卵」!カマキリは、冬は卵の形態で過ごします。種類によって、卵の形はさまざま。身近で見つけることができるカマキリの卵について、詳しくご紹介しましょう!卵から赤ちゃんが生まれる瞬間の孵化(ふか)は、とても感動的!ぜひ観察してみませんか?

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堀川ランプさん/秋の昆虫採集!スズムシ&コオロギ(監修プロフィール)堀川ランプ
昆虫大好き芸人。変形菌にも詳しい。日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程修了。理系の研究発表を模した白衣スタイルでおこなうフリップ芸が人気。Youtubeで「堀川ランプの昆虫列伝」を配信中。日本変形菌研究会会員。成虫の会メンバー。当記事のイラストはすべて堀川ランプさん本人のよるもの!
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カマキリの特徴 ここが人気!

カマキリの特徴 ここが人気!

昆虫界トップクラスのハンティング力!

カマキリの魅力は、なんといっても大きな鎌。前足の鎌にはトゲトゲがあり、狙った獲物を一瞬で捉えます。その素早さは、およそ0.3秒と言われるほど!昆虫界を代表する名ハンターです。強くてかっこいいところが、カマキリの一番の魅力です。

目と目で通じ合う♪

カマキリは首に可動域があり、人間と同じように周りをキョロキョロ見渡すことができます。また、目には瞳のように見える黒い点があり、カマキリがこちらを向いた瞬間に、目が合ったような気持ちになります。これは複眼を持つためで、黒い点は実際には瞳ではなく、複眼の一部がそう見えているだけなのですが、この「目が合う(気がする)」というのも、心を鷲掴みにされるポイント。キョロキョロと何かを探している表情は知性を感じさせますし、ふとカマキリがこちらを振り向き目が合う(合った気になる)と、思わずドキッとします。

カマキリは、メスがパワフル!

カマキリは、オスよりメスの方が体が大きいです。メスが、オスを獲物として食べてしまう場合もあります。メスのカマキリは動くものに襲いかかる習性があり、交尾の時には共食いしてしまうケースもあります。自然界の子孫繁栄は、人間から見たら壮絶にも思えますが、オスは自分の子孫の栄養となって役立っているのです。

産卵時期・卵の種類・産む場所は?

カマキリの成長過程

カマキリの産卵時期

カマキリは、春に生まれて、夏に成虫になり、秋(8~10月頃)に交尾・産卵をし、一生を終えます。蛹(さなぎ)にはなりません。肉食で、ハエやバッタ、蝶などの生きた餌を食べます。よって、餌が少なくなる冬の時期は、卵で過ごすサイクルです。

カマキリの種類と、卵の形・産む場所は?

カマキリの種類によって、卵の形と産む場所が異なります。身近で観察することができる種類をご紹介しましょう。

オオカマキリ

オオカマキリ

カマキリの仲間の中で、日本で一番大きなカマキリがオオカマキリ。林や草原、河川敷などに生息。

オオカマキリの卵

卵も4センチ前後と大きく、丸みを帯びています。正式には釣鐘型(上は大きな丸みがあるが、下にいくとある場所から急に細くなって終わる形)という形。産卵場所は、枯れたススキやイネ、セイダカアワダチソウなどの植物の茎でよく見られます。

カマキリ(チョウセンカマキリ)

チョウセンカマキリ

一般的に「カマキリ」と呼ばれるのは、このチョウセンカマキリ。草原から林縁まで、広く生息。オオカマキリによく似ていますが、やや小ぶりで、胸が赤いのが特徴。

チョウセンカマキリの卵

卵は、縦はオオカマキリ同様4センチ前後ありますが、丸みはあまりなく、縦長でスリムな形です。産卵場所は、オオカマキリと同じく、枯れ草の枝や茎でよく見られます。

ハラビロカマキリ

ハラビロカマキリ

ハラビロカマキリは、その名のとおり、腹の幅が広いのが特徴。木の上を好んで生息しています。公園など身近なところでもよく出会えます。

ハラビロカマキリの卵

卵は2~3センチの卵型で、下に突起が1つ出ているものが多いです。木の枝に産卵します。

コカマキリ

コカマキリ

コカマキリは、茶色くて小型のカマキリ。草や低木、コンクリの壁や石の間など、いろいろな場所で見られます。

コカマキリの卵

卵は2~3センチで縦長。他のカマキリは、木や草など地面から離れた細長いものや縦になっているものに産卵するのに対し、コカマキリは地表近くの幹や石・倒木などどこにでも産卵します。

卵はなぜ泡状? 孵化はいつ?

オオカマキリの産卵シーン

実際のオオカマキリの産卵シーン 

卵はなぜ泡状?固さは?

カマキリの卵はなぜ泡状?

カマキリの卵は、独特の形状をしています。泡のような、麩菓子のような、フワフワとした見た目です。実際の固さは、発泡スチロールより少し柔らかいぐらいです。この卵全体のことを、卵鞘(らんしょう)と言います。卵鞘のアワアワは空気を含んでいて保温効果があり、卵を寒さから守っているのです。

カマキリの孵化はいつ?何匹生まれる? 

カマキリの孵化の様子

一斉に生まれるよ!

ひとつの卵鞘に、3-5mmぐらいの小さな卵が100-300個入っています。4-5月に、一斉に100-300匹の赤ちゃんが生まれます。赤ちゃんは、薄い皮を被った状態で生まれ、卵から出て宙づりになったまま、薄皮から脱皮します。薄皮を脱いだ赤ちゃんは、小さいながらもカマの脚や触角があり、誕生して数日後から自分で餌を捕獲するようになります。

その後、数回の脱皮を繰り返して成虫になっていきますが、実は、数百匹のなかから無事に成虫になれるのはほんの2〜3匹。翅がない幼虫時代に、多くのカマキリが他の昆虫の餌食になってしまうのです。

孵化の前兆や時間帯は?

カマキリの孵化はとても感動的なので、ぜひ一度は見てほしいです。身近な場所でカマキリの卵を見つけたら、4−5月頃に毎日観察しに行くと、運良く見られるかもしれません! 孵化の前兆は残念ながら明確なものはありませんが、比較的朝方が多く、全匹産まれるまでに2−3時間かかります

カマキリの卵の採集・飼育の仕方

カマキリの卵を採集して、自宅で孵化をさせるのにチャレンジしてみてもよいでしょう。採集と飼育のポイントをご紹介します。

採集の時期は?

一番のおすすめは、3月の終わり頃、春先の採集です。それまでは身近な場所で卵を見つけておき、外で観察して、春が来るまでワクワクしていましょう。
冬の間に採集すると、部屋の暖かさで早く孵化してしまうからです。しかし寒い時期は生きた餌がないため、幼虫たちは生き延びることができません。冬から採集したい場合は、ベランダなど外に置くようにしてください

採集の仕方は、枝ごと!

カマキリの卵は枝ごと採集

卵がついている枝ごと採集し、ケースの中でビンなどに枝を立て、縦の状態をキープしましょう。縦長のケースを用意するか、またはケースを縦に置いてもよいです。
卵のうちは、特にしなければならないお世話はありません。卵をじっくりと眺めながら、春が来るのを待ちましょう。スケッチしたり、写真を撮って記録に残すのもいいですね。

※必要な枝以外は採ったり傷つけたりしないよう、十分注意をしましょう。

孵化の時期の注意点

孵化したカマキリの赤ちゃん

4-5月頃になると、特に前触れもなく、ある日一斉に孵化が始まります。春の陽気になってきたら、この瞬間を見逃さないよう、まめに観察しましょう!先述したように100-300匹もの幼虫が誕生するので、ケースの蓋は必ずしっかりとしめておきましょう。蓋を閉め忘れていると、部屋中カマキリの赤ちゃんだらけになってしまいます!

カマキリの幼虫の飼育

カマキリの幼虫の飼育

生まれた幼虫は、そのままケースに入れておくと共食いをします。ですので、数匹を残して、あとは卵を採集した場所へ戻してあげてください。

カマキリの餌は、生きた虫です。アブラムシなどの小さな虫がついた枝をケースに入れてあげましょう。足場として、枝や園芸店に売っている鉢底ネットを入れておくとカマキリがつかまってケース内を移動したり、脱皮をしやすくなります。

カマキリの脱皮を観察

カマキリの脱皮を観察

カマキリは数回脱皮を繰り返して成虫になるので、脱皮の様子をじっくり観察してみてください。時には脱皮に失敗してしまうケースもあります。8-9月頃、成虫になるまで飼育と観察ができたら、素晴らしい経験になりますね。もしも死んでしまった場合は、自宅の敷地内に埋めてあげましょう。

脱皮したカマキリの抜け殻

脱皮したカマキリの抜け殻!

昆虫採集で大切にしてほしいこと

採集する前に、実際に飼育できるかどうか、親子でしっかり考えてから採集をするようにしましょう。カマキリの卵は数百匹生まれることや、生きた餌を与える必要があることなどを踏まえた上で、最後まで飼いきることがお約束にし、ぜひ昆虫採集や昆虫観察を楽しんでください。

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