都心の目白駅から徒歩30秒。抜群の立地にありながら、公園のように緑あふれる敷地が魅力の学習院中等科。「本物の学問に触れてほしい」との思いのもと、個性豊かな先生から学ぶことのできる独自授業と、生徒がやりたいことをとことんサポートする学校の姿勢が、のびのびとおおらかな空気を生んでいます。るるぶKids編集部が学校インフルエンサーのがくパパと共に取材しました。

著者:がくパパ
「偏差値だけで学校を選ばない」をモットーに首都圏の中学受験校100校以上を独自に調査し中学受験校を分かりやすく解説しているインスタグラムを運営中。学校が好きすぎて、私立校の講師も経験した学校ヲタク。今は3児(5歳・2歳・1歳)のパパ。
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学習院中等科の基本情報

学習院中等科の創立は明治時代の1877年。華族学校としてはじまり、1946年には宮内省から離れて私立学校になりました。「ひろい視野 たくましい創造力 ゆたかな感受性」が教育理念。2027年で創立150年を迎える伝統校としての威厳を示しながらも、受験だけを目的としない独自の専門的な授業と整った環境で、生徒たちの穏やかな精神と知的好奇心を日々育んでいます。
| 住所 | 東京都豊島区目白1-5-1 |
|---|---|
| アクセス | JR山手線「目白駅」徒歩6分、地下鉄副都心線「雑司が谷駅」徒歩6分 Googleマップ |
| 生徒数約 | 600名(1学年約200名) |
| 中高一貫校 タイプ |
併設型(初等科から約50名、中学受験から約150名) |
| 学校説明会 | あり(公式サイトで案内) |
| 文化祭 | 鳳櫻祭(一般公開あり) |
| 土曜授業 | あり(午前中) |
| クラブ活動 | 運動部・文化部多数、兼部可能 |
| URL |
入試情報(2026年度)
入試は2回。いずれも国算理社の4科入試です。
- 受験科目:第1回入試、第2回入試(国算理社)
- その他:帰国入試あり(国算、面接)
学習院中等科はズバリどんな学校?
生徒の自由や個性を尊重
取材したのは放課後の時間帯。クラブ活動などで残った生徒たちが、思い思いの時間を過ごしていました。
家庭科室を覗いてみると、インフルエンザによる学級閉鎖の影響で、授業中に終わらなかったエプロンづくりを仕上げている生徒たちの姿が。「取材ですか?」と集まってきた生徒たちに編集部が「エプロンを見せてほしい」と頼んでみると、はにかみながらもエプロンを着けてくれました。授業の課題ではありますが、先生も生徒も和気あいあいとして楽しそうです。

自分の手でつくりあげたエプロンを見せてくれました
「学習院中等科の生徒たちは、好奇心旺盛でおおらかな性格の子が多いんです。みんながのびのびと、やりたいことをできる環境も整っています」
そう答えてくれたのは、教務課長の土屋先生。
「生徒の希望や自由を、学校側で縛ることはありません。常に生徒がやりたいことを尊重しています」
例えばクラブ活動ひとつとっても「自由を尊重する姿勢」が伝わってきます。
中等科では、全部でクラブが26ありますが、「いくつ入ってもいいし全く入らなくてもいい」というスタンスで、中学1年生で3~4つ掛け持ちする生徒もいるのだとか。さらに、中学3年間でクラブを変えることも自由。「2年生になったらこっちもやってみたかった」という好奇心からクラブを変更する生徒もいるそうです。
多様な子どもたちが集まる

修学旅行は入学してから約2年半をかけて生徒たちが準備!
ところで、学習院というと、漠然と特別な家柄の子どもが通う学校というイメージがある人も多いのではないでしょうか。土屋先生も「そう聞かれることは非常に多いです」と笑顔で話します。
「でも、実際にはそんなことはありません。さまざまな家庭のお子さんが入学されていますよ」
学習院には幼稚園~大学までありますが、中等科に限らずいずれの段階から入学してもすぐに子どもたちは仲良くなるそうなので、ご心配なく!
広大なキャンパスで生徒がのびのび育つ

全面人工芝の第一グラウンド。昼休みになると生徒たちでいっぱいに
「都心の駅に近い学校で、これだけ緑の多いところは他にないと思います」
先生の言葉通り、キャンパスの広さは圧倒的!300mトラックがとれる全面人工芝の第一グラウンド、土の第二グラウンド、野球場に馬場まで。中高大一体のキャンパスは都内とは思えないほど緑豊かで、まるで公園のよう。
「生徒たちは、4時間目が終わると5分でお昼を食べて、第一グラウンドに我先にと走っていくんです」

そんなほほえましいエピソードを聞きながら第一グラウンドへ入ると、ナイターの光を浴びながら一生懸命練習をしていたのはラグビー部。中学によっては人数が足りず他校と連合チームになることも多いラグビー部ですが、学習院中等科では単独でチームが作れるほど部員が多いのだとか。

ラグビー部で練習中の、中学3年生の2人に、なぜ学習院中等科を選んだのか聞いてみました。

「小学校の時とは違う雰囲気を味わいたいなと思ったのと、文化祭来た時にみんな楽しく、ワイワイやってたので」

「僕は大学までの付属校というところが、すごいのびのびとマイペースに生活を送れそうだと思い、魅力的に見えました」
外だけでなく、校舎も生徒が過ごしやすいつくりになっています。
驚くほど広く設計されている廊下は、つい生徒たちが走り回って注意を受けるなんてことも。教室は南側にのみ配置され、どの教室でも太陽光がしっかりと入る設計です。明るい教室で学び、広大なグラウンドで体を動かす――そんな環境が、生徒たちの心にゆとりを生んでいるのです。
学習院中等科に伺う「面倒見の良さ」とは?
生徒と先生の距離が近い

中1主管(担任)の玉水先生
学習院中等科では担任のことを主管(しゅかん)と呼びます。一般的な職員室とは別に、各学年のフロアに、担任の先生5人が常駐する学年ごとの職員室(主管室)があります。
「5人の担任が同じフロアにいて、生徒たちの様子を休み時間や放課後に見ています。主管室があるおかげで生徒も気軽に来やすいですし、ちょっと気になる子がいれば、すぐに呼んで話を聞けますね」
この物理的な距離の近さが、心の距離の近さにもつながっています。
また、生徒手帳はスケジュール手帳にもなっていて、先生によっては生徒に書き込んでもらい定期的に内容をチェック。でも、これも「学校として絶対にやらなければいけない」というよりは、先生それぞれがコミュニケーションのひとつとして実施しているのだそう。この「教員の裁量権」がある環境で、先生たちは個性的な生徒たちを温かく見守っているのです。
校則は発達段階に応じて変えていく
学習院の中等科と高等科で大きく異なるものは、実は校則。中等科は基本的な生活習慣を身につける段階、高等科では自分で責任を持って行動する段階として、発育段階に応じて校則を変えているそうです。
「高等科までの6年間、一つの考え方だけで生徒指導をするということは、あまり適さないのではないか。そう思っているためです」
土屋先生はこう説明します。
「中等科にいる間は基本的な生活習慣を一緒に整えていく時期。細かいことを注意する時もありますが、それは『普通の生活習慣から逸脱したら』くらいのことですね」
つまり、ガチガチに縛るわけではなく、“ちょうどいい距離感”で見守ってくれるのが学習院の魅力。高等科になると自分で判断して行動する力が育っているので、自然と生徒の自主性に任せられるようになるのだとか。
OBになっても訪れたくなる居心地のよさ

高等科の図書委員が選んだ図書たち。POPも生徒の手作り
大学のキャンパスはすぐ隣。大学生OBは何かあるとすぐ挨拶に来てくれるそうです。特に図書室は憩いの場で、放課後(大学生は講義の合間)に図書室へ遊びに来て、ちょっと司書さんとおしゃべりをして帰る、なんて光景も珍しくないのだとか。
さらにカリキュラムとして、OBによる、キャリア教育のフォローアップ「OBと語る会」も定期的に実施しています。後輩たちに自分の経験を直接伝える機会があることも、OBが母校を大切に思える理由の一つなのではないでしょうか。
付属校ならでは!受験にとらわれない個性的な授業
中学から専門的な授業を

本物の剥製など、貴重な資料が保管されている標本保管室
「受験勉強に追われない分、生徒たちには“本物の学問”に触れてほしいです」
土屋先生とともにお話を伺った、英語科の大喜多先生から時間割を見せてもらうと…「社会」という教科がない!中学1年生から「地理」「歴史」「公民」に分かれているのです。数学も「代数」「幾何」、理科も「物理」「化学」「生物」「地学」と、まるで高校や大学のよう。
「もともと宮内省の管轄だった」という歴史から、文科省の方針にそのまま従うのではなく、独自の教育を続けてきた学習院。教員が「どういう授業を行いたいのか」を自分で決めて進めていくことができます。個性豊かで、それぞれが強い専門性をもった先生たちの授業は、生徒たちにとって深い学びになっているそうです。
「学問の面白さや深さを教えていきたい」とも語ってくれた大喜多先生。本物の学びが、生徒たちの知的好奇心を刺激しているのでしょう。
大学との連携授業が充実
同じ敷地内という抜群の距離感から、もちろん大学との連携も充実しています。

夏休みには、大学の研究室で実験体験できるプログラムが大人気。理学部研究室体験は毎年応募者が多数で、競争率はなんと約10倍!中高6年間通じて応募できるので、何回もチャレンジする生徒は多いそう。生徒たちの探究心の強さが表れています。
また、宇宙開発ベンチャー企業と連携し、実験に加えて「宇宙開発をする会社を立ち上げるシミュレーション」まで行う産学連携プログラムもあります。社会学や経済学的な面まで含めた学びは、まさに「広い視野」を育てる教育です。
極めつけは「科目等履修」。高校生が実際の大学の授業を受け、基準に達すれば大学の単位として認められるというもの。毎年数名がチャレンジしているそうですよ。
受験勉強をしない時間を有効活用し、「やりたいことをやってもらいたい」という学校の想いが、こうした本物の学問に触れる機会につながっています。
学習院中等科ならでは!気になる施設
標本保管室

本来は博物館にあるような貴重な標本や剥製がズラリと並んでいます。学校内にこれほどの標本があるなんて驚きです!

実際に生徒たちが剥製を説明したカードが貼られている
理科の授業で活用されているのはもちろん、自分の好きな剥製を選び、その標本の説明を書くという国語の授業も実施。人気のある標本には何枚も説明が書かれるそうです。
図書室

とにかく奥の奥まで本がびっしり!
学校の図書室とは思えないほどの広さ!約12万冊という蔵書数は、都内でも有数とのこと。
図書委員の活動も活発で、司書さんと一緒に展示を企画することも。「本が好きな子も多いので、図書館が憩いの場になっている」という先生の言葉通り、ここは単なる本を読む場所以上の、生徒たちの大切な居場所だそうです。入り口にはソファもあり、くつろぎの場所として機能しています。
こんな子が向いている
「まずはやってみたい!」という好奇心旺盛な子どもにはぴったりの環境です。部活の掛け持ちも自由で、「ひとつのこと」に縛られず、興味のおもむくままに挑戦できます。
一方で、「じっくり自分のやりたいことを見つけたい」という子どもにも向いています。学習院大学への進学だけでなく、外部受験も含めて「本当にやりたいこと」を探せます。
何より、都心とは思えない緑豊かなキャンパスと、競争が目的ではない「おおらかな校風」。のびのびと自分らしさを育みたい子どもには、居心地のいい6年間になるはずです。
先生がお伝えする学校選びのアドバイス

大喜多先生(左)、土屋先生(右)
土屋先生が勧めるのが、「普段の日の見学」です。説明会などの特別な日だけでなく、何もない平日に訪れることで、飾らない学校の日常や生徒の空気感を肌で感じることができます。
学習院中等科では、校舎内には入れませんが、守衛所に申し出ればいつでもキャンパス内の見学(散策)が可能です。たとえ生徒が授業中の時間帯でも、四季折々の自然や歴史ある文化財を眺めながら歩くだけで、「ここならのびのび過ごせそうだな」という学校の持つ余白や空気感を感じ取ることができるはず。
保護者へのメッセージ
「偏差値が高い、進学率がいいといったデータも大切ですが、実際に入学して毎日通うのはお子さん自身。だからこそ『本当に通いやすいのか、生活しやすい環境なのか』を一番に考えてあげてほしいです」
受験勉強に追われることなく、自分の「やりたい」を見つけ、深めていける6年間。5分でお弁当を食べてグラウンドへ駆けていく生徒たち、その姿を温かく見守る先生たちの眼差し。「おおらか」という言葉が、学校全体に浸透していることを、取材を通じて実感しました。
<がくパパの取材コメント>
学習院中等科の取材で最も印象的だったのは、「おおらか」という空気感が学校全体に満ちていたことです。廊下が広すぎて走り回っちゃう生徒たちや、先生がすぐ隣にいる主管室の距離感。そこには、「君たちのやりたいようにやってごらん」という、深い愛情と信頼がありました。 「学習院」という名前から想像する堅いイメージとは違い、生徒たちが本当にのびのびと、お互いを認め合いながら過ごしている。受験にとらわれず、本物の学問に触れながら成長できる環境。お子さんに「広い視野を持ってほしい」「のびのびと個性を伸ばしてほしい」と願うなら、ぜひ一度訪れてほしい学校です。

