ユキヒョウという動物をご存じでしょうか。一般的なヒョウ(アムールヒョウ)より白くて美しく、なんだか不思議なヒョウです。日本で飼育している動物園は東日本や中部地方の6カ所で、13頭だけ(2026年8月現在)と希少。近年人気のユキヒョウについて、その生態や特長、各動物園にいる個体の名前や性格などを探ってみましょう。

ユキヒョウいろいろ! 10の疑問
まずは、ユキヒョウの生態やカラダのサイズ、種類、性格など、基本的なことを解説します。
ユキヒョウはネコ科の肉食動物でヒョウ属。同属に、ヒョウ、トラ、ジャガーなどがいます。東南アジアをのぞくアジア全域、ヒマラヤの険しく広大な高山帯に生息しているために個体数は不明ですが、成獣のみで3000頭前後と推測されている絶滅危惧種です。
- 【英名】Snow Leopard
- 【学名】Panthera uncia
- 【分類】食肉目 ネコ科 ヒョウ属
- 【生息地】中央アジアや南アジアの山岳地帯を中心とする12か国
- 【体長】頭胴長100~130cm、尻尾80~100cm
- 【体重】35~45kg
- 【寿命】約15年(飼育下では約20年)
1.アムールヒョウと何が違う?
一般的に“ヒョウ”というと、オレンジやイエローの毛のアムールヒョウを思い浮かべます。アムールヒョウは、ヒョウの中でも寒い地域にいるひとつの亜種。これに対してユキヒョウはヒョウとは別の独立したひとつの種類です。もっとも分かりやすい違いは毛の色で、ユキヒョウは白っぽく、ぼんやりとした黒い模様があって、雪にまぎれやすくなっています。

いしかわ動物園の「ヒメル」
2.尻尾はなぜ長い?
ユキヒョウの尻尾はアムールヒョウに比べ長めです。アムールヒョウはロシア東方のアムール川や中国北東部の森林に生息していますが、ユキヒョウは中央アジアの高い山や雪のある寒い山岳地帯で暮らしています。そのため、ユキヒョウは山の上でバランスをとるため、太くて長い尻尾が必要なわけです。

多摩動物公園の「ミルチャ」 画像提供:(公財)東京動物園協会
3.寒さに強く暑さに弱い
ユキヒョウが寒さに強いのは、標高3000~6000mの高山地帯に生息しているため、極寒の環境にも強いのです。吸い込んだ冷たい空気を肺に届く前に体温近くまで温めることができたり、毛の密度が濃かったり、身体にも大きな特徴があります。実際、マイナス40度という環境でも生存できるという身体能力があります。

旭山動物園の「ユーリ」
4.なぜ「山のユーレイ」とよばれる
ユキヒョウは“Ghost of Mountains”つまり「山のユーレイ」とよばれています。岩場に完全に溶け込むことや、人里離れた高山で単独で暮らしていること、警戒心がとっても強いこと、そして白っぽい神秘的な姿などから、そうよばれるようになりました。専門家でも見つけるのが難しいため、詳しい生態も謎に包まれています。

多摩動物公園の「ミミ」 画像提供:(公財)東京動物園協会
5.ユキヒョウは吠えないってホント
ユキヒョウはトラやライオンのように「ガオー」と吠えません。これは、基本的に声帯や骨のつくりがライオンたちとは違うからです。低くうなるためには、弾力のある組織が必要で大声で吠えるためには喉の骨の形や柔らかさが違うのです。鳴き声は「ニャー」という高いカワイイ声です。ただ、うなったり、喉を鳴らしたり、鼻をならしたりすることはできます。

多摩動物公園の「ミミ」 画像提供:(公財)東京動物園協会
6.ペットとしては向かない!?
ユキヒョウをペットとして飼うのは不可能です。法律的にも国際条約で禁止されています。安全性を考えてもNGです。動物園でオリをはさんで見るのが正解です。

東山動植物園の「ユキチ」 画像提供:名古屋市東山動植物園
7.「ハンター」よばれる所以
そもそも肉食のユキヒョウは、かなり優れたハンターです。狩りなどで崖を駆け下りるときには10m以上跳躍できる足をもち、自分より大きい獲物を狙い、もともと標高3000~6000mの雪や岩ばかりの寒い場所に生息しているためハンターとしてのポテンシャルはかなり高めなのです。

多摩動物公園の「ミミ」 画像提供:(公財)東京動物園協会
8.ユキヒョウの性格は?
基本、単独で行動し、警戒心が強く、臆病で繊細なのです。ただ、自分や子どもに危険が迫らない限り、自分から攻撃することは少ない、平和的な動物です。

いしかわ動物園の「ジーマ」
9.ユキヒョウの好物は?
肉食なので、野生のヒツジやヤギの仲間が好物です。一番のお気に入りは、岩場に暮らしているブルーシープ。自分より大きな野生のヤギ・ヒツジの仲間、アイベックスやアルガリのほか小型のノウサギやマーモット、鳥類も好みます。なお、動物園では馬肉、鹿肉、鶏肉などを与えています。

多摩動物公園の「ミミ」 画像提供:(公財)東京動物園協会
10.ユキヒョウのジャンプ力がスゴイ
ユキヒョウのジャンプ力・跳躍力にはビックリします。水平方向に最大15m、垂直方向に約3~6m跳ぶといいます。長い尻尾は、この驚異的な脚力とバランスを保つためで、険しい山の斜面や岩場を自在に駆け抜ける様子は圧巻です。

多摩動物公園の「ミルチャ」 画像提供:(公財)東京動物園協会
ユキヒョウに会える動物園
日本の動物園でユキヒョウを飼育展示しているのは、わずかに6施設。全動物園を紹介しましょう。
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北海道でユキヒョウに会える動物園
札幌市円山動物園(北海道/札幌市)
さっぽろしまるやまどうぶつえん
1984年に日本で初めてのユキヒョウが来園後、1987年に日本で初めて自然繁殖に成功。現在は「寒帯館」に3頭が暮らしています。瞳がコバルトブルーの「シジム」はスウェーデン生まれで、2011年、円山動物園に来園しました。柵越しに「ヒカリ」と追いかけっこをしてよく遊びます。ロシア生まれの「フブキ」は筋骨隆々のたくましい体格。王子動物園、多摩動物公園を経て2024年にやって来ました。
- 【会える場所】アジアゾーン「寒帯館」
- 【初めて展示したのは】1984年
- 【飼育展示数】3頭(オス1頭、メス2頭)

シジム(メス、2010/5/16生まれ)

ヒカリ(メス、2022/4/30生まれ)

フブキ(オス、2017/5/24生まれ)
| 問合先 | 011-621-1426 |
|---|---|
| 住所 | 北海道札幌市中央区宮ケ丘3-1 Googleマップ |
| 料金 | 【入園料】大人800円/高校生400円/中学生以下無料 |
| URL |
旭川市旭山動物園(北海道/旭川市)
あさひかわしあさひやまどうぶつえん
1991年にメスの「プリン」が初めて来園し、オスの「ゴルビー」とペアで長く親しまれていました。現在のペアのうち、当園生まれの「ユーリ」はキレイな顔立ちで好奇心旺盛ですが、新しい出来事にはあまり動じません。2013年カナダ生まれの「コボ」は警戒心強めですが「ユーリ」には落ち着いた態度を見せます。片目が茶色っぽいのが特徴。
- 【会える場所】もうじゅう館
- 【初めて展示したのは】1991年
- 【飼育展示数】2頭(オス1頭、メス1頭)

ユーリ(メス、2019/7/19生まれ)

コボ(オス、2013/6/29生まれ)
| 問合先 | 0166-36-1104 |
|---|---|
| 住所 | 北海道旭川市東旭川町倉沼 Googleマップ |
| 料金 | 【入園料】大人1000円/中学生以下無料 |
| URL |
東北でユキヒョウに会える動物園
秋田市大森山動物園 あきぎんオモリンの森(秋田県/秋田市)
あきたしおおもりやまどうぶつえん あきぎんおもりんのもり
旭山動物園生まれの「リヒト」は2018年に来園。瞳が青みがかっているのが特徴で、マイペースですが素直な性格です。多摩動物公園生まれの「アサヒ」が当園に来園したのは2021年。瞳が褐色で優しい顔つきをしています。「リヒト」との間に生まれた「ヒカリ」は、札幌市円山動物園で元気に暮らしています。
- 【会える場所】王者の森
- 【初めて展示したのは】1991年
- 【飼育展示数】2頭(オス1頭、メス1頭)

アサヒ(メス、2011/5/25生まれ)

リヒト(オス、2016/4/19生まれ)
| 問合先 | 018-828-5508 |
|---|---|
| 住所 | 秋田県秋田市浜田潟端154 Googleマップ |
| 料金 | 【入園料】大人1000円/高校生以下無料 |
| URL |
関東でユキヒョウに会える動物園
東京都多摩動物公園(東京都/日野市)
とうきょうとたまどうぶつこうえん
1991年に王子動物園から初来園したのを皮切りにユキヒョウを飼育展示しています。現在はメスが2頭います。高山を再現した環境では、岩場と保護色の毛色が同化して、なかなかみつからないことも!?
- 【会える場所】アジア園
- 【初めて展示したのは】1991年
- 【飼育展示数】メス2頭

ミミ(メス、2009/5/13生まれ)画像提供:(公財)東京動物園協会

ミルチャ(メス、2008/6/26生まれ)画像提供:(公財)東京動物園協会
| 問合先 | 042-591-1611 |
|---|---|
| 住所 | 東京都日野市程久保7-1-1 Googleマップ |
| 料金 | 【入園料】大人600円/中学生200円(都内在住・在学の場合は無料)/小学生以下無料/65歳以上300円 |
| URL |
北陸でユキヒョウに会える動物園
いしかわ動物園(石川県/能美市)
いしかわどうぶつえん
2013年に多摩動物公園から「スカイ」が来園したのが初めて。「スカイ」はドレッドヘアのように見える毛がチャームポイント。気難しい頑固者で慎重派ですが、遊び好きで無邪気なイケメンです。ドイツ生まれの「ジーマ」は優しい顔立ちでとても温厚な性格。頭がよくて環境変化の対応に優れています。当園生まれの「ヒメル」は、顔はお父さんの「スカイ」にソックリ。好奇心旺盛ですが怖がりな一面も。小さい頃から名前を呼ぶと可愛い鳴き声で「ニャッ」と返事をします。時にはヤンチャが過ぎて叱っても可愛く「ニャッ」と返事をするのであまり怒られている自覚がないようです。
- 【会える場所】ネコたちの谷
- 【初めて展示したのは】2013年
- 【飼育展示数】3頭(オス1頭、メス2頭)

ジーマ(メス、2010/5/6生まれ)

スカイ(オス、2011/5/25生まれ)

ヒメル(メス、2023/3/31生まれ)
| 問合先 | 0761-51-8500 |
|---|---|
| 住所 | 石川県能美市徳山町600 Googleマップ |
| 料金 | 【入園料】大人840円/3歳~中学生410円/2歳以下無料 |
| URL |
東海でユキヒョウに会える動物園
東山動植物園(愛知県/名古屋市)
ひがしやまどうしょくぶつえん
1962年、日本で初めてユキヒョウを飼育展示したのがココ。2009年、多摩動物公園で生まれた「ユキチ」は、小さい頃から飼育員とよく一緒に過ごしてきたので、人の近くでも落ち着いています。最近は年齢を重ね、飼育員が近づいても反応しないことが増えてきました。そんな気まぐれなところが魅力のひとつです。
- 【会える場所】本園「食肉小獣舎」※2027年度にユキヒョウ動物舎オープン予定
- 【初めて展示したのは】1962年
- 【飼育展示数】オス1頭

ユキチ(オス、2009/7/2生まれ)画像提供:名古屋市東山動植物園
| 問合先 | 052-782-2111 |
|---|---|
| 住所 | 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70 Googleマップ |
| 料金 | 【入園料】大人500円(800円)/中学生以下無料/名古屋在住の65歳以上100円(200円)※2026年10月1日からの料金 |
| URL |
その姿を見るだけで美しく神秘的なユキヒョウ。日本の動物園で見られところも少ないsので、その希少な姿を観察してみては。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

