チンアナゴがいる水族館は?砂の中の方が長い?! 生態や穴の掘り方も解説

この模様がチンアナゴです。いわゆる、よく知っているアナゴとは違いますね

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日本の多くの水族館にいるチンアナゴと仲間たち。これだけ人気が出たのは、2012年のすみだ水族館のオープンがきっかけでした。これまでにない数のチンアナゴがいる水槽は話題になり、その後、さまざまな水族館で見られるようになったのです。では、チンアナゴとは、どんな生きものなのか。よく一緒に展示されているニシキアナゴも含めて、チンアナゴと仲間の習性や行動などを探ってみましょう。そして、チンアナゴと仲間がいるおすすめの水族館もエリア別に紹介します。

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目次(index)

チンアナゴってどんな生きもの

まずは、チンアナゴのキホンから、その仲間、名前の由来などを紹介します。そして、ビックリの全身の長さ。見えているのは約3分の1なんです!!

チンアナゴのキホン

チンアナゴは、白地に黒い斑点がある細長い体をしています。ウナギ目のアナゴ科で、ちゃんとチンアナゴ属という分類があります。日本でも高知県から沖縄周辺までの海で見られるように、あったかい海に生息。だから、水族館では、熱帯とかサンゴ礁とか、そういう気候エリアの水槽に展示されています。

●チンアナゴ

  • 【学名】Heteroconger hassi
  • 【分類】ウナギ目 アナゴ科 チンアナゴ亜科 チンアナゴ属
  • 【生息地】インド洋・西太平洋の熱帯域、高知県から琉球半島
  • 【体長】30~35cm
チンアナゴ

その細長い体で真っ直ぐ同じ上を見ている姿から、すみだ水族館は、1並びの11月11日を「チンアナゴの日」としています

ニシキアナゴなど仲間との違い

水族館でチンアナゴとよく一緒に展示されているのがニシキアナゴ。体の色が白とオレンジ系のまだらなので、ひと目で違いはわかると思います。チンアナゴ亜科の生きものはほかにも何種かいますが、日本の水族館にいるのは、ほとんどニシキアナゴとチンアナゴです。

●ニシキアナゴ

  • 【学名】Gorgasia preclara
  • 【分類】ウナギ目 アナゴ科 チンアナゴ亜科 シンジュアナゴ属
  • 【生息地】インド洋から太平洋の熱帯域など
  • 【体長】30~40cm
左から、ニシキアナゴ、チンアナゴ、そして、ひときわ大きいのがホワイトスポッテッドガーデンイールという種類

左から、ニシキアナゴ、チンアナゴ、そして、ひときわ大きいのがホワイトスポッテッドガーデンイールという種類で、和名はなく体調は70cmほど。すみだ水族館で見られます

見えているのは全身の3分の1くらい!?

チンアナゴもニシキアナゴも、砂から約10cmくらい体を出していますが、実は全長30~40cmくらいあって、残りの20~30cmは砂の中に埋まっているのです。つまり、体の3分の1から4分の1は隠れているわけです。

NIFRLがオープンした頃の展示の様子

NIFRLがオープンした頃の展示の様子です。ニシキアナゴとチンアナゴの体の長さがよくわかります(現在は展示方法が変わっています)

チンアナゴの和名の由来

チンアナゴは“珍アナゴ”と思われがちですが、実は“狆(ちん)アナゴ”が正解です。正面から見ると、狆という種類の犬と似ているから、というのが和名の由来のようです。ちなみに英名は“Spotted garden eel”といいます。Spotted=斑点のある、garden=庭、eel=ウナギ、という意味で、砂上でユラユラしている姿が、庭で斑点のあるウナギがユラユラしているように見えたのでしょう。

チンアナゴの正面顔

チンアナゴの正面顔。そういえば、犬のような顔にも見えるような見えないような…

チンアナゴの黒い斑点の1つは肛門

チンアナゴには、必ず5つの黒い斑点があり、その場所も決まっています。体の左右に2つずつと、お腹に1つ。左右の斑点の上側には小さな胸ビレがあります。そして、お腹の斑点には肛門があるのです。

お腹の斑点は砂に埋まって見えないことが多いのですが、必要なときは体をのばして穴の外に出すそうです

お腹の斑点は砂に埋まって見えないことが多いのですが、必要なときは体をのばして穴の外に出すそうです

チンアナゴと仲間の習性・行動

今度は、チンアナゴやニシキアナゴの習性や、興味深い行動などについて解説しましょう。

穴の掘り方は?なぜ崩れない?

チンアナゴは巣穴を掘って、その穴で暮らします。最初に穴を掘るときは、尾ビレをドリルのように使ってどんどん掘り進めていくとか。そして、体から出す粘液によって穴が崩れないように固めているようで、チンアナゴの巣穴は強固なのです。基本的にほぼ同じ巣穴で暮らしますが、繁殖のために移動することもあるようです。

チンアナゴの巣穴について解説した模型がある水族館も

チンアナゴの巣穴について解説した模型がある水族館も

チンアナゴの仲間は群れで生活

チンアナゴの仲間は、野生では群れ(コロニー)をつくって生活しています。飼育下の水族館展示でも、それに近い展示方法をとっていますが、野生の群れは数100匹にもおよぶ場合があります。すみだ水族館の水槽は、かなり野生の姿に近い展示といえます。

すみだ水族館の水槽は、まさにチンアナゴとニシキアナゴたちの群れの様子が見られます

すみだ水族館の水槽は、まさにチンアナゴとニシキアナゴたちの群れの様子が見られます

同じ方向を向くのはなぜ? 何を食べる?

よくチンアナゴたちが、みんな同じ方向を向くときがあります。これは、チンアナゴたちの食事に関係しています。水流に乗ってくる動物プランクトンが主食のため、そのエサを待ち受けて、同じ方向を向くわけです。

水族館でも、エサを求めて同じ方向を向くことがあります

水族館でも、エサを求めて同じ方向を向くことがあります 画像提供:名古屋港水族館

チンアナゴと仲間たちの性格は?

チンアナゴもニシキアナゴも、通常約10cmくらいは砂上に見えていますが、ときどき、頭の先まで巣穴まで隠れてしまいます。とっても臆病な性格なので、例えば、ほかの魚が近づいたりすると、すぐに隠れてしまうのです。警戒心が強いんですね。

体全部が穴に隠れそうなチンアナゴも

体全部が穴に隠れそうなチンアナゴもいますね

仲間同士でケンカするシーンも

臆病な性格かと思うと、仲間同士でケンカを始めることもあります。これは主に縄張り争いのようです。水族館でも、しばらく見ているとケンカのシーンにあえることもあります。

チンアナゴのケンカシーン

チンアナゴのケンカシーン。とっても表情が豊かですね

絡まっているのは仲がいいの?

ケンカとは逆に、チンアナゴやニシキアナゴが絡まっていることもあります。これは仲がいいのかな、と思ったら、そうではなく、動物プランクトンを食べるのに必死で、知らないうちに近くにいた仲間と絡まってしまった、というのが真相のようです。

ニシキアナゴ2匹が絡まっています

ニシキアナゴ2匹が絡まっています。ラブラブな感じに見えますが…

チンアナゴと仲間がいる主な水族館

日本でチンアナゴと仲間たちを飼育展示している水族館は約40施設あります。エリア別に、チンアナゴやニシキアナゴを見るならココという水族館をピックアップしました。

エリアメニュー:北海道・東北関東東海・北陸関西中国・四国九州・沖縄

北海道・東北のチンアナゴと仲間がいる水族館

アクアマリンふくしま(福島県/いわき市)

あくあまりんふくしま

本館2階の「サンゴ礁の海」にチンアナゴを飼育展示しています。このエリアにはメガネモチウオやキンメモドキなどのほか、サンゴの隙間に隠れる小さな生きものが見られます。

白い砂から顔と体をヒョイと出す姿が人気のチンアナゴ/アクアマリンふくしま(福島県/いわき市)

白い砂から顔と体をヒョイと出す姿が人気のチンアナゴ

問合先 0246-73-2525
住所 福島県いわき市小名浜辰巳町50
料金 【入館料】大人1850円/小学・中学・高校生900円/未就学児無料

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北海道・東北のチンアナゴと仲間がいるおすすめ水族館

関東のチンアナゴと仲間がいる水族館

すみだ水族館(東京都/墨田区)

すみだすいぞくかん

チンアナゴを一躍有名&人気の生きものに押し上げた功績は大。「サンゴ礁」エリアに水槽に約200匹のチンアナゴやニシキアナゴなどを飼育展示しています。チンアナゴと仲間たちがエサを食べるところも見られます。

360度全方向から観察できるチンアナゴたちの水槽/すみだ水族館(東京都/墨田区)

360度全方向から観察できるチンアナゴたちの水槽

問合先 03-5619-1821 (開館時間~18時)
住所 東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ5~6階
料金 【入館料】大人2500円/高校生1800円/小・中学生1200円/3歳以上幼児800円/2歳以下無料

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アクアワールド茨城県大洗水族館(茨城県/大洗町)

あくあわーるどいばらきけんおおあらいすいぞくかん

「世界の海ゾーン」のサンゴ礁の砂地にチンアナゴとニシキアナゴがいます。同じゾーンに、水族館のシンボルであるサメやマンボウも飼育展示しています。

手前にニシキアナゴ、奥にチンアナゴたち/アクアワールド茨城県大洗水族館(茨城県/大洗町)

手前にニシキアナゴ、奥にチンアナゴたちが見えます

問合先 029-267-5151
住所 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町8252-3
料金 【入館料】大人2300円/小・中学生1100円/3歳以上幼児400円/2歳以下無料

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関東のチンアナゴと仲間がいるおすすめ水族館

東海・北陸のチンアナゴと仲間がいる水族館

名古屋港水族館(愛知県/名古屋市)

なごやこうすいぞくかん

南館の1~3階にある「赤道の海」の1階にチンアナゴとニシキアナゴがいます。チンアナゴたちを間近で観察できるように照明などに工夫しています。

照明によってチンアナゴたちの動きも美しく見えます/名古屋港水族館(愛知県/名古屋市)

照明によってチンアナゴたちの動きも美しく見えます

問合先 052-654-7080
住所 愛知県名古屋市港区港町1-3
料金 【入館料】大人2030円/小・中学生1010円/4歳以上幼児500円/3歳以下無料

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沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム(静岡県/沼津市)

ぬまづこうしんかいすいぞくかん しーらかんす・みゅーじあむ

深海生物や深海魚がたくさん見られる水族館ですが、深海には暮らしていない生きものも飼育展示しています。チンアナゴも深海生物ではないですが見ることができます。

特別展示でチンアナゴが潜っている砂の中まで見えるような展示も実施したことがあります/沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム(静岡県/沼津市)

以前、特別展示でチンアナゴが潜っている砂の中まで見えるような展示も実施したことがあります

問合先 055-954-0606
住所 静岡県沼津市千本港町83
料金 【入館料】大人1800円/小・中学生900円/4歳以上幼児400円/3歳以下無料/65歳以上1700円

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東海・北陸のチンアナゴと仲間がいるおすすめ水族館

関西のチンアナゴと仲間がいる水族館

NIFREL(大阪府/吹田市)

にふれる

「いろにふれる」「かくれるにふれる」「みずべにふれる」といったゾーンがあるNIFRELですが、チンアナゴとニシキアナゴは「わざにふれる」ゾーンにいます。粘液で砂を固めて巣穴をつくるなどの“わざ”が認められた(?)ようです。

砂の中にかなり隠れているチンアナゴ/NIFREL(大阪府/吹田市)

砂の中にかなり隠れているチンアナゴ。なにか警戒しているのでしょうか

問合先 0570-022060(ニフレルインフォメーション)
住所 大阪府吹田市千里万博公園2-1 EXPOCITY内
料金 【入館料】大人2200円/小・中学生1100円/3歳以上幼児650円/2歳以下無料

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関西のチンアナゴと仲間がいるおすすめ水族館

中国・四国のチンアナゴと仲間がいる水族館

マリホ水族館(広島県/広島市)

まりほすいぞくかん

「輝くサンゴの海」ゾーンの小窓水槽でチンアナゴとニシキアナゴが見られます。このゾーンは、白い砂浜が続くサンゴ礁のラグーンが美しいラグーン水槽も見応えがあります。

手前にチンアナゴ、奥にニシキアナゴがいます/マリホ水族館(広島県/広島市)

手前にチンアナゴ、奥にニシキアナゴがいます

問合先 082-942-0001
住所 広島県広島市西区観音新町4-14-35 広島マリーナホップ内
料金 【入館料】18歳以上1000円/6~17歳550円/3~5歳350円/2歳以下無料

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中国・四国のチンアナゴと仲間がいるおすすめ水族館

九州・沖縄のチンアナゴと仲間がいる水族館

大分マリーンパレス水族館「うみたまご」(大分県/大分市)

おおいたまりーんぱれすすいぞくかん「うみたまご」

「ワンダーゾーン 多様な生態」にチンアナゴとニシキアナゴがいます。どちらも、このゾーンの人気者です。

砂から顔を出すチンアナゴ/大分マリーンパレス水族館「うみたまご」(大分県/大分市)

砂から顔を出すチンアナゴ。しばらく動きと生態を観察しましょう

問合先 097-534-1010
住所 大分県大分市高崎山下海岸
料金 【入館料】大人2600円/小・中学生1300円/4歳以上幼児850円/3歳以下無料/70歳以上2000円

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九州・沖縄のチンアナゴと仲間がいるおすすめ水族館

チンアナゴにニシキアナゴ、どちらも日本の水族館では珍しくはないので見る機会はあると思います。そんなとき、体の長さのことや習性・行動のことを頭において観察すると、チンアナゴと仲間たちをより身近に感じられるかも。

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