コロナ禍があけ、数々の体験イベントが実施されるようになった2023年。「どんなものに参加したらいいのか」と迷う方も多いでしょう。7月29日に開催された「職業体験EXPO 2023」は、「子どもと社会の出合い」をテーマにした、小中学生のための職業体験イベント。2回目の開催となった今回は、業種の垣根を超えた19の企業・団体・官公庁が集まり、昨年よりもさらにパワーアップ! 参加した子どもたちの反応は? るるぶKidsで取材してきました。
- 職業体験EXPOとは?
- JAXA:
先進レーダ衛星「だいち4号」と宇宙・地球・SDGsのお仕事 - 鹿島建設:
カジマキッズアカデミー〜地震とたてもの〜 - アキレス:
足育(そくいく)とはどんなこと? - 雪印メグミルク:
牛乳についてもっと知ろう!〜牧場から食卓まで〜 - 防衛省・自衛隊:
みんなの安全を守る大切なお仕事 - アルバルク東京:
プロスポーツチームが行うSDGs - JTB:
バーチャル修学旅行で沖縄体験!
職業体験EXPOとは?
職業体験と聞くと、“仕事体験ができるテーマパーク”をイメージする人も多いと思いますが、「職業体験EXPO」は企業・団体の事業内容やSDGsなどの取り組みを紹介するコンテンツがメイン。本イベントを主催する株式会社バリューズフュージョン広報担当の長竹直哉さんに、イベントの目的を聞きました。
「次世代を担う子どもたちが、様々な企業の事業やSDGs等サステナビリティへの取り組みを通して、社会にどのような貢献をしているのかを知ることは、将来に活きる力を育む機会となります。子どもの頃から、世の中には様々な企業や業種があること、そしてそのような企業の取り組みを学べる場があれば、将来進みたい方向性が描けるかもしれないし、新たな発見や探究心を育むことにもなり得ます。
このイベントがきっかけとなって、子どもたちが自身の目標や職業観を見出してくれたら嬉しいです。」
実際に、各企業・団体・官公庁のブースで子どもたちはどんな体験ができたのでしょうか?子どもたちの体験の様子をお届けします。
JAXA:先進レーダ衛星「だいち4号」と宇宙・地球・SDGsのお仕事
JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)のブースでは、タブレットで熱心に手を動かす子どもたちの姿が。宇宙から地球を見守る地球観測衛星は、災害対策や温暖化などの問題を解決するために、とても大切な役割を担っています。子どもたちは人工衛星の役割や開発中の先進レーダ衛星「だいち4号」の取り組みについて講義を受けたあと、実際の観測データをタブレットでチェック。
使用したのは「JAXA オリジナル Google Earth Engine Apps集」。タブレットやPC で衛星画像を実際に触って見ることができる宇宙教材です。
人工衛星の視点になって、「世界中の植物の様子」や「森林の増減」「降雨量の季節変化」「海面上昇した場合の状態」「夜間光の変化」などを興味深く見る子どもたち。「海面が上昇したら自分が住んでいるところはどうなるんだろう」など、より身近な問題として感じることができたのではないでしょうか。
プログラミングが好きというかいとくん(小5)は、夜間光から世界の経済状況を知ることができると説明を受け、「日本と中国の違いがわかった」と教えてくれました。
鹿島建設:カジマキッズアカデミー〜地震とたてもの〜
鹿島建設の今回のイベントのテーマは「防災」。地震対策技術が世界一といわれる日本の中でも、高い実績を持つ鹿島建設。丈夫な建物を作って揺れにくくする(耐震)、建物の揺れを抑える(制震)、地面の揺れを建物に伝えないようにする(免震)技術など、建物の揺れを小さくする仕組みについて学びました。
体感用振動台「ポータ震(ぶる)」を使って、大きな地震の揺れと、同じ地震でも免震建物の場合の揺れを比較。体験してくれたまさひとくん(小4)は、「普通に揺れているときは怖かったけど、免震建物だとあまり揺れを感じなかった。これならパニックにならずに落ち着いて行動できると思った」と、技術力の高さにびっくり。
ブースでは四足歩行ロボット「Spot(スポット)」を展示。建設・工事現場で危険な作業を人の代わりに行ってくれるなど、安全や生産性の面で今後ますます活用が期待される最先端のロボットです。犬のような形と軽快な動きは、多くの人の注目を集めました。
アキレス:足育(そくいく)とはどんなこと?
みなさんは子どもの「靴」を選ぶとき、どんなことに注意していますか?「瞬足」でおなじみのアキレスでは、子どもの健やかな成長には、よちよち歩きの頃からの「足」作りが大切と考え、足の正しい育成を促すための「足育」に力を入れています。
「足育」では、自分の足のサイズに合う靴を、正しく履くことが何よりも大切だといいます。
まずは正しいサイズを知ることが大事と、足を立体的に計測できる足型計測会を実施。これで足長、足囲、幅と、足の形状がわかります。計測結果をシューフィッターのいるお店に持っていけば、ぴったりのサイズの靴を教えてもらえるとのこと。
ふだんから「瞬足」を愛用しているというサッカー少年のりょうくん(6才)が、足の計測にチャレンジ。りょうくんの足は母趾が発達している“イケメン足”とお墨付きをもらい、見守っていたお母さんも「今日は息子の足のサイズを知ることができてよかった」と喜んでいました。
雪印メグミルク:牛乳についてもっと知ろう!〜牧場から食卓まで〜
雪印メグミルクのブースでは、子どもたちに「食の大切さ」や「牛乳・乳製品の価値」を伝える食育授業が行われました。
カルシウムをはじめ、炭水化物や脂質、タンパク質、ビタミンなどたくさんの栄養素をバランスよく含む牛乳は、成長期の子どもたちにとって欠かせない、とても身近な飲み物。
子どもたちは、酪農家さんが丁寧に牛のお世話をしていること、工場に運ばれた牛乳が私たちの食卓に届くまでの工程などを動画で見て、真剣に説明を聞いていました。
ブースには牛のエサが展示。牛の主食は草、おかずとして飼料用のトウモロコシや大麦、米ぬかなどの穀物を、体調などに合わせてバランスよく食べるのだそう。
実際に、牧草やトウモロコシ等を手に取ったりにおいをかいだりしていた、りなちゃん(小3)は、「人と同じものを牛が食べることを初めて知った。大好きな牛乳の裏側を知ることができて楽しかった」と満足していました。
防衛省・自衛隊:みんなの安全を守る大切なお仕事
自衛隊ブースの見どころは、訓練などで実際に使用する操縦桿やヘルメット、リュックなどの展示。見るだけではなく、触ったり着用したりしてもOKとあって、貴重な体験に子どもたち(大人たちも!?)は大興奮!
自衛隊の方々がどのように仕事や訓練をしているのかをリアルに感じることができました。
航空自衛隊のスペースで、「戦闘機の操縦桿が重いのは安全性を考えてのこと。また、エンジン音がとても大きいから、ヘルメットの密着性を高めて音が聞こえないようにしているんだよ」と説明を受けたたくまくん(小4)。「こんなに硬い操縦桿を動かすにはトレーニングが必要だと思った。自衛隊の仕事に興味が湧いた」と話してくれました。
また、陸上自衛隊の訓練用のリュックを背負ったさわちゃん(小4)は、「5kgのリュックを背負ったけどとても重かった。実際の訓練では30kgのリュックを背負うこともあると聞いて私には無理だと思った」と驚いていました。
アルバルク東京:プロスポーツチームが行うSDGs
アルバルク東京は、環境面の活動でも注目を集める男子プロバスケットボールクラブ。社会的責任プロジェクトとして力を入れている「ALVARK Will(アルバルクウィル)」では、ファンや地域の人たちと連携し、よりよい未来づくりのために、さまざまな取り組みを実施しています。
ブースではTシャツでエコバックを作るアップサイクルワークショップが行われました。
作り方は簡単。Tシャツの両そで&首元をカットしたら、短冊状に切った裾を固結びしていくだけで完成です。
普段からエコに関心があるというひなこちゃん(小5)は、「バッグ作りが楽しかった。まさにエコ!」と、アップサイクルに共感していました。
JTB:バーチャル修学旅行で沖縄体験!
「旅行は好きですか?」という質問に、元気よく「好き!」と答える子どもたち。JTBのブースでは、「人を動かす」「ものを動かす」「ココロを動かす」、そんな旅を作るJTBの仕事を紹介。そして、「ココロを動かす」体験ができるバーチャル沖縄旅行へ。
首里城や万座毛など沖縄の美しい景色を映像で堪能したら、お待ちかねの「360度VR映像体験」でサンゴが生い茂る海の中へGO!360度VR映像体験とは、修学旅行などの中止が相次いだコロナ禍にJTBが開発した、新感覚のVR(バーチャルリアリティ)体験で、スマホに取り付けた簡易ゴーグルで360度映像を見ることができるというもの。
スマホをのぞくと、どこを見回しても息を呑むような美しい海中の景色。まるで本当に沖縄の海に潜ったかのような体験に、大人も子どもも夢中になって楽しみました。いろいろな職業が知りたくて自ら参加したというめいちゃん(小5)も、「バーチャル旅行が体験できて楽しかった!」と語ってくれました。
このほかの企業・団体のブースでも、小学生の子どもたちの興味関心がリアルな企業活動や社会に結びつくさまざまな体験が繰り広げられ、親子の笑顔が会場中にあふれていました。自ら志願して来場した子も、親に連れられてきたという子も、キラキラとした目を輝せ能動的に知ろうとする姿がとても印象的なイベントでした。
なお、職業体験EXPOは2024年も夏に開催予定で、今後は全国各地での開催も予定しているとのことです。