自然のなかで、思いきり走ったり、ごはんを食べたり、ただのんびりしたり…と、どんな過ごし方でも楽しい経験ができるキャンプ。自然の不思議や美しさを感じる「ネイチャーゲーム」をするにはもってこいです。特別な準備は不要で、親子で一緒に自然のなかにある「わくわく」や「びっくり」、「癒し」を体験でき、いつものキャンプがよりいっそう楽しくなりますよ!
<お話をうかがった人>
ネイチャーゲームインストラクター 宮川知之さん
(公社)日本シェアリングネイチャー協会・戸隠高原自然学校ディレクターを経て、大学や短大、専門学校でのネイチャーゲームリーダー養成など、ネイチャーゲームの普及事業に携わる。山岳ガイドの経験もあり、山キャンプが趣味。思春期の子どもの成長を見守る2児の父親でもあり、幼少期のネイチャーゲーム体験、キャンプ体験が子どもの心にずっと息づいているのを実感中。
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キャンプ場に到着したらすぐできるネイチャーゲーム
キャンプ場に到着すると、ウキウキとした高揚感がある一方で、タープやテントなど準備をしなくては! とあわただしい気持ちにもなりがち。気軽にできるネイチャーゲームで、少し気分を落ち着かせ、まわりの自然に目を向けてみましょう。
「すぐに準備に移るのではなく、まず着いたところの空気を吸ってみるイメージです」と宮川さん。ネイチャーゲームをしながら、キャンプ場やテントの周辺の様子、たとえばここはでこぼこしているな、傾斜になっているなということに気がつき、安全対策にもなります。
キャンプ場の自然を、感覚を使って発見「フィールドビンゴ」
ビンゴのマスに、キャンプ場のなか、テントのまわりで発見できそうな自然、あったらいいなと思う自然を書いて、それを探すゲーム。
「フィールドビンゴ」のやり方
- 画用紙やノートに3×3、4×4のマス目を書いて、ビンゴを作る。
- マスに自然のなかで発見できそうなもの、あったらいいなと思うものを書く。「やわらかいもの(触覚)」「緑色のもの(視覚)」「いいにおいのするもの(嗅覚)」「鳥の声(聴覚)」など感覚にからめたものを織り交ぜると楽しさアップ。
キーワードはそれぞれで考えても、みんなで一緒に考えてもOK。 - ワードにあてはまるものを見つけたら丸をつけて、縦、横、ナナメ揃ったらビンゴ!いっぱい丸をつけて、コンプリートを目指そう!
小さな子どもが遊ぶときは、丸をつけるかわりに、シールを貼るのもおすすめです。
ビンゴに書かれたものを探して、「こんなものがあったよ」と楽しみながら歩いているうちに、子どもも自分はどこにいるのかな、ここにはこんな木があるんだな、ということがわかってきます。
自然のさまざまな色合いに気づく「森の色あわせ」
自然のなかにある「色」に着目し、折り紙や着ている服、履いている靴などと同じ色や似た色を探すゲーム。同じ「みどり」といっても、じっくり観察してみると、じつにさまざまな「みどり」があることに気づくはず。子どものほうが、微細な色の違いに敏感かもしれません。
「森の色あわせ」のやり方
- 色数の多い折り紙を用意して、好きな色を選び画用紙に貼ってカードを作る。
- ①の色と同じ、似ている色の自然物を探す。
親子で一緒に探しても、それぞれで探して見せ合いっこしても、いろいろな色の自然物が発見できて楽しい! 日本シェアリングネイチャー協会が製作している、あらかじめ色が組み合わされたカードも便利です。折り紙やカードがないときは、クレヨンや色鉛筆、身につけているものの色などを使ってもできます。
アクティブ派におすすめのネイチャーゲーム
キャンプ場の散策範囲を広げて、少しアクティブに楽しめるネイチャーゲームを紹介します。
自分の“ひとつだけ”を探して拾って歩く「わらしべウォーク」
お気に入りの自然物をひとつ探して拾い、また新たにお気に入りの自然物を探して、どちらかを選び交換しながら散策するゲーム。
わらしべウォーク(キャンプバージョン)のやり方
- 「トイレまで」「遊具まで」などとルートを決める。
- 一人ずつ、枯れ草などの同じ自然物を1つ持つ。
- その道のりで、お気に入りの自然物をひとつ探して、②の自然物を自然に返す。
- 次にまた新たにお気に入りを探して拾い、どちらかひとつだけ残す。これをくり返して、どんな宝ものが残ったか、お互いに見せ合う。
最初は同じものをもっていたのに、最後に残った自然物はそれぞれに違っていて、思い入れが強いもの。どんなものを残したかを見せ合うと、家族の思い出になるだけでなく、「これがお気に入りなんだね」と子どもの感性を知るきっかけにもなります。
友だち家族とのキャンプもネイチャーゲームが大活躍!
友だち家族、親戚家族など大人数でのキャンプのときもネイチャーゲームは大活躍。年の差を気にせず、みんなで自然を楽しめます。子どもの年齢にもよりますが、大人が全員つきっきりで、ということもなくできる簡単なゲームなので、BBQの準備をしている間などにも気軽にできます。今まで紹介したゲームも楽しめますが、大人数でわいわい遊べるゲームを紹介します。
たくさん集めたくなる!「ジャンケン落ち葉集め」
ジャンケンをして、落ち葉を拾うだけ。シンプルながら、子どもが喜ぶ要素がいっぱいで、大人数でやると盛り上がること間違いなし。
「ジャンケン落ち葉集め」のやり方
- 1対1でジャンケンをする。
- 勝った人は好きな落ち葉を1枚拾う。負けた人は相手を探してジャンケンする。
- また1対1でジャンケンをして勝ったら、次は違う形、色の落ち葉を拾う。これをくり返し、拾った落ち葉をみんなで見せ合う。
競争ではありませんが、ジャンケンで勝っていくと、違った種類の落ち葉をたくさん集めることができるので、子どもは満足感を味わえます。「どんな落ち葉があった?」と拾った落ち葉を見せ合えば、お互いの好みや感性を知ることもできます。また、いろいろな落ち葉の形や色があることの発見にも。キャンプ場によっては、木の実を拾うゲームにアレンジもできます。
遊びながら観察力アップ「同じものを見つけよう」
パッと見せられた自然物と同じものを探す、神経衰弱のようなゲーム。同じものを探そうとするので、じっくり観察するようになります。
「同じものを見つけよう」のやり方
- リーダー役の大人が落ちている葉っぱや木の実など、自然物をひとつ探しておく。
- ①で探した自然物をみんなに30秒間見せる。
- ②と同じ自然物を探す。
同じものを見つけたときは「やった!」という喜びでいっぱい。同じものと思っても、比べてみると少し違いがあり、自然物の形、色の違いに気づくきっかけに。
親子キャンプを、“自然”と“家族”と触れ合う、豊かな時間に
ネイチャーゲームは自然を見て、触って、感じながら、さまざまな自然の姿を発見できます。「なにこれ!」「こんなものあったよ!」と喜ぶ子どもの笑顔が見られると、親もうれしくなるものです。
そして、こうした自然体験は子どもの心にいつまでも残っていると宮川さん。
「高校生、中学生の子どもがいますが、思春期になると、また違う子育てで大変なこともあります。そんななかでも、子どもからスマートフォンに『今、夕日がきれい』なんてメッセージが届いたりします。子どものころ、ネイチャーゲームしたな、キャンプしたな、とふとしたときに思い出すようです。そんな瞬間に触れると、私も子どもたちとやっていてよかったなと思います」
キャンプを親子の豊かな時間にしてくれるネイチャーゲーム。【泊まりで使える!夜・朝のネイチャーゲーム編】では、さらにわくわくするネイチャーゲームを紹介します。
「SDGs」を理解するきっかけにも
今や小学校だけではなく、保育園・幼稚園でも学ぶことがある「SDGs」。キャンプ体験やネイチャーゲームは、親子で「SDGs」を考える良いきっかけにもなりますね。
ネイチャーゲームのイベントに参加してみよう!
記事で紹介した以外にも、楽しく自然体験ができるネイチャーゲームはたくさん!親子でのネイチャーゲームに慣れてきたら、大人数で楽しめるイベントに参加してみるのもおすすめ。日本全国で、さまざまなネイチャーゲームイベントが開催されているので、週末や夏休みにぜひ参加してみては?