数年前に、那須どうぶつ王国の発信で話題になったマヌルネコ。今でもアニメに登場したり動画も人気で、その存在感は抜群です。その姿はかなり美形で、毛はもふもふ、変わらない表情やいろいろな仕草が可愛く多くのファンがいます。今回はマヌルネコがどんな動物なのかがわかる「知りたい10のこと」や、現在日本で展示されている、7つの動物園を紹介します。
- マヌルネコについて知りたい10のこと
- └ 1.マヌルネコの基本情報は?
- └ 2.マヌルネコの名前の由来は?
- └ 3.世界最古のネコってホント?
- └ 4.マヌルネコはどんな性格?
- └ 5.マヌルネコはペットでは飼えない!?
- └ 6.カクカクした動きをするワケは?
- └ 7.もふもふの体毛はどうして?
- └ 8.マヌルネコの色はなぜグレー系?
- └ 9.イエネコとは耳の位置が違う!?
- └ 10.マヌルネコの赤ちゃんは?
- マヌルネコに会える7つの動物園
- └ 旭川市旭山動物園(北海道)
- └ 那須どうぶつ王国(栃木県)
- └ 埼玉県こども動物自然公園(埼玉県)
- └ 東京都恩賜上野動物園(東京都)
- └ 東山動植物園(愛知県)
- └ 神戸市立王子動物園(兵庫県)
- └ 神戸どうぶつ王国(兵庫県)
マヌルネコについて知りたい10のこと
マヌルネコとはいったいどんな動物なのかがわかる「知りたい10のこと」をお届けします。
1.マヌルネコの基本情報は?
まずは、分類や生息地などの基本情報です。マヌルネコ属にはマヌルネコの1種しかおらず、生息地は、アフガニスタンやイラン、中国、ネパールといったアジア南部など。世界での生息数は約5万8000頭と推測されています。肉食性で、ウサギ類などの小型ほ乳類が主食。野生ではネズミなどを捕まえて食べます。
- 【英名】Pallas’s cat(別名 Manul)
- 【学名】Felis manul
- 【分類】食肉目 ネコ科 ネコ亜科 マヌルネコ属
- 【生息地】アジア南部など
- 【体長】約50~65cm
- 【体重】約2.5~5kg
- 【寿命】約10年
マヌルネコは、もふもふでシッポが太めです
2.マヌルネコの名前の由来は?
マヌルネコの「マヌル」は、モンゴル語で「小さなヤマネコ」という意味だそうです。英名でも別名で「Manul」とよばれています。
野生に近い環境を再現している動物園も多くあります
3.世界最古のネコってホント?
マヌルネコはネコ科動物でももっとも古い種類で、約600万年前には、すでにいたと考えられています。そして、当時から、ほとんど姿が変わっていないとか。
紀元前1500万年から姿が変わっていない、というマヌルネコの解説板。旭川市旭山動物園の愛にあふれた手作り解説板です
4.マヌルネコはどんな性格?
マヌルネコは総じて警戒心が強く、隠れていることも多いです。ただ、動物園でしばらくマヌルネコを眺めていると、コチラを気にして見てくることも多々あります。つまり、警戒心が強いため、見ている人がすごく気になるのではないでしょうか。
しばらくマヌルネコ舎の前でねばっていると目が合うことも
5.マヌルネコはペットでは飼えない!?
マヌルネコは警戒心が強いばかりでなく意外と獰猛。ペットで飼うことは法律で禁止されています。動物園でも、飼育員さんは、ライオンやトラと同じように、マヌルネコのカラダに直接ふれないように世話をするのだそうです。
東山動植物園の「エル」が威嚇しているシーンです 画像提供:東山動植物園
6.カクカクした動きをするワケは?
マヌルネコは動きが俊敏ではありません。狩りのときも岩になりきるように、動いてはピタッと止まって、という動きを繰り返します。まるでコマ送りのようで、カクカクとした特有の動きをするのです。
動物園でマヌルネコが動いている姿を見られたら、よ~く観察してみてください
7.もふもふの体毛はどうして?
もふもふのワケ、これは生息地に深く関係しています。マヌルネコが暮らす環境は厳しく、夏は暑くて冬は凍えるほどの寒さになります。この寒さから身を守るために体毛が長くても密集しており、もふもふなのです。また、マヌルネコは季節で毛が生えかわります。冬毛から夏毛になるのが3月頃、夏毛から冬毛になるのが11月頃といわれていますが、環境で時期は変わります。
特に、寒い冬場のもふもふ度が高いマヌルネコ
8.マヌルネコの色はなぜグレー系?
グレー系の毛の色は岩場に溶け込むための保護色です。マヌルネコの天敵はワシなどの猛禽類やキツネ、オオカミなど。猛禽類は主に視力を使って狩りをするため、岩に溶け込んで身を隠すことが重要なのです。
埼玉県こども動物自然公園のマヌルロックの岩に溶け込んでいる「オリーヴァ」
9.イエネコとは耳の位置が違う!?
イエネコの耳は頭の上くらいにありますが、マヌルネコは顔の横にあります。これも厳しい環境に合わせてそうなったと考えられますが、耳が横にあって、両耳がかなり離れているのが、マヌルネコのカラダの大きな特徴といえるでしょう。また、イエネコは明るいところでは目が縦長(いわゆるネコ目)になりますが、マヌルネコは瞳孔が丸いままで大きくなったり小さくなったりします。
マヌルネコの耳の位置や瞳孔の変化なども観察してみましょう
10.マヌルネコの赤ちゃんは?
マヌルネコの妊娠期間は1カ月から1カ月半くらい。主に4~5月頃に出産します。近年では「ナル」と「ミーニャ」が2021年に東京都恩賜上野動物園で生まれ、2019年には「アズ」と「エル」の双子が那須どうぶつ王国で生まれました。現在は、ほかの動物園に移動した個体もいます。
「アズ」と「エル」が那須どうぶつ王国で生まれた当時(2019年)
マヌルネコに会える7つの動物園
マヌルネコを飼育展示している動物園は7園あります。2024年2月現在、各動物園にいる個体を、名前や生年月日などを含めて紹介しましょう。(一部除く)
北海道のマヌルネコに会える動物園
旭川市旭山動物園(北海道/旭川市)
あさひかわしあさひやまどうぶつえん
日本最北の動物園にいるのはオスの「グルーシャ」。旭川はマヌルネコの生息地の環境に少し近いので、もっとも本来の姿を見られる場所かもしれません。
- 【会える場所】マヌルネコ舎
- 【飼育展示数】オス1頭
●グルーシャ
- 【性別】オス
- 【生年月日】2017年4月20日
- 【生まれた場所】埼玉県こども動物自然公園
マヌルネコ舎の上部あたりにいることも多いですが、たまに砂浴びをすることも
問合先 | 0166-36-1104 |
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住所 | 北海道旭川市東旭川町倉沼 |
料金 | 【入園料】大人1000円/中学生以下無料 |
関東のマヌルネコに会える動物園
那須どうぶつ王国(栃木県/那須町)
なすどうぶつおうこく
マヌルネコという動物を世間に知らしめたパイオニアといってもいい那須どうぶつ王国には現在3頭が暮らしています。展示場の「マヌル・アマルハン」には、生息地に似た環境の滝や池、岩場などを再現しています。
- 【会える場所】王国タウン「マヌル・アマルハン」
- 【飼育展示数】3頭(メス1頭、オス2頭)
●ポリー
- 【性別】メス
- 【生年月日】2015年5月15日
- 【生まれた場所】スウェーデンの動物園
「ポリー」は顔のパーツがやや中央に寄っていて小顔の美形です
●レフ
- 【性別】オス
- 【生年月日】2014年5月15日
- 【生まれた場所】ロシアの動物園
「レフ」は、2016年に埼玉県こども動物自然公園にやって来て以来、東山動植物園、神戸どうぶつ王国を経て、現在、那須どうぶつ王国にいます
●ボル
- 【性別】オス
- 【生年月日】2014年4月18日
- 【生まれた場所】埼玉県こども動物自然公園
飼育員さんが不定期にエサを与えますが、お気に入りの切り株に座ってスタンバイしている「ボル」
問合先 | 0287-77-1110 |
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住所 | 栃木県那須郡那須町大島1042-1 |
料金 | 【入国料】大人2600円(1600円)/3歳~小学生1200円(900円)/2歳以下無料 ※カッコ内は冬季(12月上旬~3月中旬)の料金 |
埼玉県こども動物自然公園(埼玉県/東松山市)
さいたまけんこどもどうぶつしぜんこうえん
「マヌルロック」はマヌルネコが暮らす乾燥した岩場を再現した屋外放飼場。そこにいる3頭のうち「オリーヴァ」と「ロータス」は2017年に当園で生まれた5つ子のうちの2頭。もう3頭は旭川市旭山動物園の「グルーシャ」と東京都恩賜上野動物園の「プリームラ」、神戸市立王子動物園の「イーリス」です。
- 【会える場所】北園「マヌルロック」
- 【飼育展示数】3頭(メス2頭、オス1頭)
●オリーヴァ
- 【性別】メス
- 【生年月日】2017年4月20日
- 【生まれた場所】埼玉県こども動物自然公園
気配を消してコチラをじっと観察していることも多い「オリーヴァ」
●タビー
- 【性別】メス
- 【生年月日】2008年5月6日
- 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園
※2024年2月現在非公開
国内最高齢の「タビー」は2023年で15歳。とっても可愛いおばあちゃんです
●ロータス
- 【性別】オス
- 【生年月日】2017年4月20日
- 【生まれた場所】埼玉県こども動物自然公園
「ロータス」は視覚と聴覚がとてもすぐれているそうです。視覚・聴覚については「オリーヴァ」も優秀だとか
問合先 | 0493-35-1234 |
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住所 | 埼玉県東松山市岩殿554 |
料金 | 【入園料】大人700円/小・中学生200円/未就学児無料 |
東京都恩賜上野動物園(東京都/台東区)
とうきょうとおんしうえのどうぶつえん
5頭のマヌルネコを飼育していますが、展示個体はメス1頭、オス1頭です(2024年2月現在)。「小獣館」には、動物園の中でも珍しい動物たちが集まっています。
- 【会える場所】西園「小獣館」
- 【飼育展示数】5頭(メス2頭、オス3頭)
木の上からコチラを見るマヌルネコ 画像提供:(公財)東京動物園協会
問合先 | 03-3828-5171 |
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住所 | 東京都台東区上野公園9-83 |
料金 | 【入園料】大人600円/中学生200円(都内在住・在学者は無料)/小学生以下無料/65歳以上300円 |
東海のマヌルネコに会える動物園
東山動植物園(愛知県/名古屋市)
ひがしやまどうしょくぶつえん
「食肉小獣舎」に3頭のマヌルネコが暮らしています。「ハニー」の母親は埼玉県こども動物自然公園の国内最高齢「タビー」、「エル」は那須どうぶつ王国の「ボル」と「ポリー」の子どもです。2023年には、東京都恩賜上野動物園から「ミーニャ」が来園しました。
- 【会える場所】本園「食肉小獣舎」
- 【飼育展示数】3頭(メス2頭、オス1頭)
●ハニー
- 【性別】メス
- 【生年月日】2012年4月21日
- 【生まれた場所】埼玉県こども動物自然公園
普段はクールな「ハニー」は繁殖期になると飼育員さんや「エル」に甘える仕草をみせるツンデレ系!? 画像提供:東山動植物園
●ミーニャ
- 【性別】メス
- 【生年月日】2021年3月28日
- 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園
新しく仲間入りした「ミーニャ」 画像提供:東山動植物園
●エル
- 【性別】オス
- 【生年月日】2019年4月22日
- 【生まれた場所】那須どうぶつ王国
関西のマヌルネコに会える動物園
神戸市立王子動物園(兵庫県/神戸市)
こうべしりつおうじどうぶつえん
埼玉県こども動物自然公園の5つ子の1頭「イーリス」を飼育展示しています。屋外に出ることも多く、夕方、なかなか室内に戻ってこないこともあるそうです。
- 【会える場所】クマ舎西側
- 【飼育展示数】オス1頭
●イーリス
- 【性別】オス
- 【生年月日】2017年4月20日
- 【生まれた場所】埼玉県こども動物自然公園
室内では、飼育員さんお手製の巣箱が大のお気に入りの「イーリス」
問合先 | 078-861-5624 |
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住所 | 兵庫県神戸市灘区王子町3-1 |
料金 | 【入園料】大人600円/中学生以下無料/兵庫県在住の65歳以上無料 |
神戸どうぶつ王国(兵庫県/神戸市)
こうべどうぶつおうこく
「アジアの森」で2頭を飼育展示しています。「ナル」は、繁殖のために、2022年に東京都恩賜上野動物園からやって来ました。メスの「アズ」との相性もなかなかいいようですよ。
- 【会える場所】屋内「アジアの森」
- 【飼育展示数】2頭(メス1頭、オス1頭)
●アズ
- 【性別】メス
- 【生年月日】2019年4月22日
- 【生まれた場所】那須どうぶつ王国
飼育員さんを見ると物陰に隠れながらも距離をつめてくるという「アズ」
●ナル
- 【性別】オス
- 【生年月日】2021年3月28日
- 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園
「ナル」は今のところ日本で一番若いマヌルネコです
問合先 | 078-302-8899 |
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住所 | 兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-9 |
料金 | 【入園料】大人2200円/小学生1200円/4~5歳500円/3歳以下無料/65歳以上1600円 |
マヌルネコ、しばらく観察していると、どんどんハマっていく人も多いのでは。特に、ネコ好きなら、かなり興味を引かれると思います。「マヌルネコに会いに行く」のではなく「マヌルネコの○○○に会いに行く」という楽しみ方もアリですね。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。