日本の動物園にいるジャイアントパンダ6頭の名前は?パンダの歴史・特徴・生態も解説

アドベンチャーワールドの「楓浜」
アドベンチャーワールドの「楓浜」

佐々木隆のアイコン佐々木隆

日本の動物園で一番の人気者といえばジャイアントパンダではないでしょうか。1972年の初来日以来、不動の人気を誇るパンダの歴史や、特徴、生態、性格などを解説します。2024年10月現在、日本でジャイアントパンダがいるのは東京都恩賜上野動物園とアドベンチャーワールドの2園だけ。全6頭のパンダの名前なども紹介します

目次(index)

ジャイアントパンダのキホン

東京都恩賜上野動物園の「レイレイ」

提供:(公財)東京動物園協会

東京都恩賜上野動物園の「レイレイ」2024年6月の画像

ジャイアントパンダのデータ

まずは、ジャイアントパンダの基本的なデータを紹介します。中国名で「大熊猫」というように「クマ科」の動物で、中国の南西部でしか生息していない希少動物です。

  • 【中国名】大熊猫
  • 【英名】Giant Panda
  • 【学名】Ailuropoda melanoleuca
  • 【分類】食肉目 クマ科 ジャイアントパンダ属
  • 【生息地】中国南西部(四川・陝西・甘粛省の高山地帯)
  • 【サイズ】体長120~180cm/体高70~80cm/体重70~125kg
  • 【寿命】約20年

世界に何頭くらいいるの?

野生のジャイアントパンダは、中国の2024年発表では約1900頭。飼育されているのは700頭以上です。中国の保護・繁殖努力や密猟の減少などが理由で、野生の数は2003年発表の約1600頭から約19%増加。2016年には、IUCN(国際自然保護連合)が絶滅危惧種の指定を解除、危急種への引き下げを発表しましたが、依然として希少な動物であることに変わりありません。

ジャイアントパンダの歴史

東京都恩賜上野動物園の正門

提供:(公財)東京動物園協会

ジャイアントパンダが初来日した東京都恩賜上野動物園の正門

そもそも発見されたのはいつ頃?

中国では約3000年前の文献に“パンダらしい”文章が見られるそうですが、それが本当にパンダのことを指しているのかは何とも言えません。人間が発見したという意味では、1869年、フランスの宣教師により発見されたのが最初。日本では明治維新の頃…比較的、新しいといえるかもしれません。ジャイアントパンダは、中国南西部の3つの省の標高2600~3500mの寒いところに住んでいました。

「パンダ」の名前の由来は?

「パンダ」いう名前はネパール語から来ていて「竹を食べる者」という意味。ジャイアントパンダが発見されるまでは、パンダといえばレッサーパンダのことでした(レッサーパンダの発見は1825年)。嗜好性とか骨格とか毛並みが似ており、どちらも「竹を食べる者」なので、大きい方をジャイアントパンダ(大熊猫)、小さい方をレッサーパンダ(小熊猫)と名付けました。

パンダ初来日は1972年

田中角栄氏が首相だった1972年10月に、日中友好のシンボルとして、東京都恩賜上野動物園にランランとカンカンが来日。11月より公開され、いわゆる“パンダフィーバー”が起こりました。アドベンチャーワールドに初めてパンダが来たのは1988年、神戸市立王子動物園に初来園したのは2000年でした。

ジャイアントパンダの特徴

東京都上野恩賜公園の「シャオシャオ」

提供:(公財)東京動物園協会

東京都上野恩賜公園の「シャオシャオ」2024年8月の画像

なぜパンダは白黒模様なの?

パンダが白黒模様なのは、生存に有利だったというのが一番の理由。白黒模様は森林の中で目立たない、かつては保護色だといわれていたのですが、天敵が少ないパンダは、最近の研究では黒い部分の違いで個体識別をするため、さらには“目立つため”ではないかとも考えられています。基本的に黒い部分は目の周りと耳、肩から前肢、後肢で、意外にもしっぽは白です。

パンダは鳴くの? 鳴き声は

パンダは日常的ではないですが鳴きます。赤ちゃんは「ギャ~」という声で鳴き、子ども時代は頻繁に鳴きます。大人になると、発情期に「メェ~」という甘えたような羊鳴きをしたり、怒っているときに「ワン」とか、10種類以上の鳴き声があります。

パンダには第6・7の指がある!?

パンダの前肢と後肢にはそれぞれ5本の指がありますが、前肢、つまり座って竹をつかむ手の両側には、「第6の指」「第7の指」ともよばれる大きな骨の出っ張りが2つあります。これが人間の親指の役割をして、竹などを上手につかんで食べることができます。パンダの前肢を見る機会があったら、肉球を観察してみましょう。

ジャイアントパンダの生態

アドベンチャーワールドの「結浜」

食事中のアドベンチャーワールドの「結浜」

パンダの主食はなぜ竹や笹なの?

本来は肉食動物に近い消化機能を持つパンダですが、消化が悪い竹や笹の葉ばかり食べる草食の生活をしているのは、生きるための戦略だといわれています。天敵が少ない中国の山岳地帯で、1年中枯れることのない竹や笹をたっぷり食べ、冬眠もしません。動物園でも主食は竹ですが、ニンジンやリンゴなども食べます。

食事はかわいい“パンダ座り”で

1日の大半を食事と睡眠に充てているパンダ。後肢を前に投げ出して腰のあたりで座る、独特な“パンダ座り”で、両手で食べ物をしっかりと持って食る姿が印象的です。食事をしては寝るというサイクルを繰り返す1日で、睡眠時間は1日8~12時間ほど。

単独行動を好み温厚な性格

パンダは基本的に1頭ずつ縄張りを持ち、単独で生活する動物です。食べ物をめぐって争うことも少ないため、性格は温厚で恥ずかしがりという傾向があります。オスとメスが一緒に過ごすのも繁殖期だけ。この時期にはオス同士がメスをめぐって争うこともあります。

パンダは木登りが得意

パンダが得意なのは木登りです。外敵から身を守る手段として、幼い頃から木に登るようになるようです。大人になったら、絶妙なバランスで木の上に寝ている姿が見られます。降りるのは少し苦手なようで、たまには木から落ちることも。

パンダの繁殖事情と子育て

メスの発情期は1年に一度で数日間しかなく、一般的には2~5月くらいです。飼育下では、1月から発情が始まったり、秋に交尾をしたりという例もあります。動物園では、パンダは1頭ずつ暮らしているので、メスの発情期の見極めができるかどうかが重要。パンダに赤ちゃんができることは、とても貴重なのです。子育ては、通常お母さんが行い、1年~1年半くらいで子どもは独立します。動物園で親子が一緒にいるシーンを見られる期間も見逃せませんね。

ジャイアントパンダに会える2つの動物園

日本の動物園では、2024年10月現在、6頭のジャイアントパンダが飼育展示されています。パンダたちを紹介しましょう。

東京都恩賜上野動物園(東京都/台東区)

とうきょうとおんしうえのどうぶつえん

2020年にオープンした「パンダのもり」で2頭のパンダを見ることができます(それぞれエリアは別)。屋外放飼場では、オリやガラスなしでパンダが見学できます。観覧方法については公式サイトで公開しているので要チェック。

  • 【会える場所】西園「パンダのもり」
  • 【飼育展示数】2頭(オス1頭、メス1頭)

●シャオシャオ(暁暁)

  • 【性別】オス
  • 【生年月日】2021年6月23日
  • 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園
東京都恩賜上野動物園のジャイアントパンダ「シャオシャオ(暁暁)」

提供:(公財)東京動物園協会

名前の意味は、夜明けの光が差して明るくなるように、という願いを込めて。2023年10月の画像

●レイレイ(蕾蕾)

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2021年6月23日
  • 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園
東京都恩賜上野動物園のジャイアントパンダ「レイレイ(蕾蕾)」

提供:(公財)東京動物園協会

蕾から美しい花が咲いて未来へつながっていくように、という願いを込めた名前です。2023年6月の画像

問合先 03-3828-5171
住所 東京都台東区上野公園9-83
料金 【入園料】大人600円/中学生200円(都内在住・在学者は無料)/小学生以下無料/65歳以上300円

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

アドベンチャーワールド(和歌山県/白浜町)

あどべんちゃーわーるど

2024年10月現在、エントランスに近いパンダラブに「結浜」「楓浜」の2頭、ブリーディングセンターに「良浜」「彩浜」の2頭が、それぞれ1頭ずつ別エリアで暮らしています。4頭はファミリーで「良浜」が、ほかの3頭のお母さんです。

  • 【会える場所】パンダラブ/ブリーティングセンター
  • 【飼育展示数】メス4頭

●楓浜(ふうひん)

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2020年11月22日
  • 【生まれた場所】アドベンチャーワールド
アドベンチャーワールドのジャイアントパンダ「楓浜(ふうひん)」

“いい夫婦の日”生まれ。生まれたときから元気いっぱいで、赤ちゃんの頃は、お母さんのお腹から転げ落ちそうになることもしばしば

●彩浜(さいひん)

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2018年8月14日
  • 【生まれた場所】アドベンチャーワールド
アドベンチャーワールドのジャイアントパンダ「彩浜(さいひん)」

アドベンチャーワールド生まれのパンダで最も小さく生まれました。「良浜」の深い愛情を受けて、すくすく成長しました

●結浜(ゆいひん)

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2016年9月18日
  • 【生まれた場所】アドベンチャーワールド
アドベンチャーワールドのジャイアントパンダ「結浜(ゆいひん)」

コチラはアドベンチャーワールドで一番大きな赤ちゃんとして生まれました。頭の上のとんがりがチャームポイントで好奇心旺盛です

●良浜(らうひん)

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2000年9月6日
  • 【生まれた場所】アドベンチャーワールド
アドベンチャーワールドのジャイアントパンダ「良浜(らうひん)」

子育て上手のお母さん。これまで10頭の赤ちゃんを産み育てました。寝るのが大好きで、遊具に両腕をかけながら眠る姿が見られます

問合先 0570-06-4481(ナビダイヤル)
住所 和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399
料金 【入園料】大人5300円/中学・高校生4300円/4歳~小学生3300円/3歳以下無料/65歳以上4800円

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

希少なジャイアントパンダ。やはり、その可愛い姿は必見です。歴史やカラダ、生態などのことを知ったうえで観察をすると、また身近に感じられますよ。

2024年3月31日、高齢だった神戸市立王子動物園のタンタンが亡くなりました。ジャイアントパンダの記事の最後に、これだけは言わせてください「タンタン長い間ありがとう! どうか安らかに」。