福島県にある鉄道やダムなどのインフラ施設は、実は「体験できるところが多い」って知っていましたか?生活に欠かせない仕組みを学び、実際に動かしたり歩いたり、自由研究にもぴったりです。親子で一緒に参加できるので、夏休みの宿題も、家族旅行の思い出にもおすすめ。今回の記事では、実際に子ども記者として体験した親子の声も紹介しながら、その魅力に迫ります!
インフラとは?どんなもの?
わたしたちの生活はたくさんの「インフラ」に支えられています。たとえば、鉄道・道路・空港などの交通機関、電気・ガス・水道といったライフラインも「インフラ」のひとつ。それらがなければわたしたちの生活はストップしてしまう、といっても過言ではなく、近年では災害が起きたときにその大切さに改めて注目されています。
そんなインフラ施設、「そもそも気軽に見学できるの?」と思うかもしれません。大人でも、訪れたのは小学校の社会科見学以来…という人も多いのではないでしょうか?
福島県にはインフラを楽しく学べる施設がある!
実はいま、福島県はインフラ施設での見学や体験をする「インフラツーリズム」に力を入れていて、親子で訪れて楽しめる場所がたくさんあるんです。なかでも、福島市にある桜水車両基地と摺上川(すりかみがわ)ダムは、大人もワクワクするほどの体験ができるおすすめのインフラ施設。
先日7月下旬には「ふくしま親子インフラツアー」が行われ、自由研究も兼ねてたくさんの親子たちが参加しました。記者となった子どもたちの声とともに、施設の魅力や体験の様子をお届けしましょう!
福島県のインフラ体験を「クエスト」でチャレンジ!
7月27日に開催された「ふくしま親子インフラツアー」は、OYACONET- QUEST(おやこねっと くえすと)とのコラボ企画。ただの体験ツアーではなく、「子ども記者になってふくしまのインフラの魅力を発信せよ」というクエスト(ミッション)が仕掛けられたエデュテイメント(教育×エンタメ)ツアーです。クエスト仕立てになっていることで、子どもたちは目的を持ちながら、好奇心と探究心を広げ、楽しみながらチャレンジしました!
OYACONET- QUESTって?
「OYACONET- QUEST」は、子どもの『調べたい』 『作りたい』 『試したい』を刺激するクエストと、それを楽しむ仕掛けによって、楽しい体験を学びにつなげます。お父さんも、お母さんも、さまざまなことに興味や関心を寄せるお子さんと一緒に、チャレンジし、楽しんでみてください。
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桜水車両基地で「本物の運転体験」!
桜水車両基地ってどんなところ?
福島駅から飯坂温泉駅を結ぶ「福島交通飯坂線」は、レトロな風情がただよい、多くの人を魅了するローカル鉄道。“いい電”の愛称でも知られる、その飯坂線の電車たちが集まるのが、途中駅の桜水駅にある「桜水車両基地」です。
何が体験できるの?
車両基地にあるのは、1988(昭和63)年から1992(平成4)年製で、東急東横線や東京メトロ日比谷線で活躍した1000系車両。電車ファンにとっては写真におさめたくなること間違いなしですが、なんとこちらでは、その車両を実際に運転することができるんです!(2024年10月以降から月1で開催予定、詳細や申し込みは公式サイトへ)
参加した子どもたちのなかでも「ゲームセンターで運転体験をしたことがある」「鉄道博物館でシミュレーターを触った」という子は多いのですが、レールの上で、本物の車両を運転するというのはみんなはじめての体験。車両を前にワクワクが止まりません。
体験はどんな流れ?
最初に整備士の方から、ふだんは見られない車両の下部にあるモーターやブレーキなどさまざまなシステムについて説明を受けます。ひとつひとつ蓋を開けながら、どんな役割を果たしているのか、子どもたちも一生懸命耳を傾けます。
説明が終わるといざ車両のなかへ!運転方法についてわかりやすい資料とともにレクチャーがあり、さっそく運転室へ入ります。運転室には運転士さんがいて、マンツーマンでサポートしてくれるので子どもでも安心。70m先にある目標物で停止させるよう、加速や減速をうまくレバーで調節しながら車両を動かします。
目標物にピタッ!!と車両が止まると、車内からも大歓声が!子どもたちは満足気に「もう少しこうできたんだけどな…」と向上心も見せてくれました(笑)
運転体験は1回のみではなく、参加人数によって3~4回ほど往復で体験することができるので、回を追うごとに運転技術も向上。最後には、体験した人のみがもらえる「運転証明書」もゲットして、無事体験会が終わりました。
住所 | 福島県福島市笹谷字古屋前2-5 |
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問合先 | 024-558-4611 |
営業時間 | 1000系電車運転体験会 1日コース10時~、リピーターコース13時~(要申込) |
定休日 | 車両検査日、施設点検日など |
料金 | 1日コース 1人11,000円(税込)、リピーターコース 1人5,500円(税込) ※1000系電車運転体験会を月に1回開催中。いい電HP専用サイトからお申込み下さい。 |
アクセス | 東北自動車道福島飯坂ICから約10分、福島交通飯坂線桜水駅から徒歩1分 |
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こども記者レポート!自由研究で新聞作り
桜水車両基地と摺上川ダム(後述)が終わったあとは、子ども記者による新聞制作ワークショップを行いました。実際に子ども記者が作成した新聞を、抜粋してご紹介いたします。
●菅野太翔さん(小1)
「いい電」のロゴマークに隠された☆の意味や、車両で見つけた福島県のマスコットキャラクターについてもしっかりチェックできています!
●水戸条安さん(小2)
カラフルな仕上がりで、かわいいイラストが見る人を惹きつける!運転のルールも順を追って分かりやすく解説してくれています♪
摺上川ダムで「監査廊を大冒険」!
摺上川ダムってどんなところ?
福島市をはじめとする3市3町の飲み水など、生活に必要な水道用水を供給している「摺上川ダム」は、東北で4番目の規模を誇るとても大きなダム。ダムの高さ約105m、長さ約718.6m、集水面積160平方km、貯水量1億5300万立方m…と圧巻のスケールです。“茂庭っ湖”と親しみを込めて呼ばれるダム湖ではボートやカヌーを楽しむことができ、夏の「茂庭っ湖まつり」や秋の「森づくり大作戦」などイベントも開かれています。
何が見学できるの?
ダムというのは、コンクリートや岩などで築かれた「堤体(ていたい)」という大きなブロックで、水をせき止め、川に流れる量を調節していますが、見学ではその「堤体」の内部へ潜入することができます。普段は点検用の場所として、業者や関係者しか入れないのですが、団体見学予約をすればガイドと一緒に巡ることができるんです。
ひんやりと薄暗いダムの内部は夏でも気温が平均16度!エレベーターで地下深くまで降りたり、長~い監査廊を歩いたり、探検しているような気分で、非日常体験を楽しめます。インフォメーションセンターも充実しているので、あわせて訪れるとより理解が深まります。
見学はどんな流れ?
まずはインフォメーションセンターに集合して、ガイドがパネルや模型などを使いながらダムの仕組みや役割について解説してくれます。ダムは生活用水の供給のほか、大雨や洪水の危険性が高まったときに、水位を見極めながら放流するなど、わたしたちの暮らしを守るために働いています。
ダムについて学んだあとは外からその大きさを体感!山を大きく切り開いてできたダムは調査も含め、約30年の月日をかけて建設されました。子ども記者たちは「お城みたいな見た目!」と声をあげるほど、その規模感に圧倒されていました。
そしていよいよ内部へ潜入。地底にある監査廊まではエレベーターを使って65mほどまで降ります。監査廊の全長は約800m、階段は910段あり、先が見えないほどの空間が広がっています。若干大人たちは階段の多さにたじろぎましたが…、見学ではそのうちの約500mほどをゆっくりと歩きながらショートカットで探検するので、ちょうどよい運動となりました。
日々どんな点検をしているのか、置かれたメーターや設備はどんな役割があるのか、途中には摺上川ダムの歴史を追ったパネル展示もあり、あっという間に時間が過ぎていきます。子どもたちはワクワクがMAXでちょっと小走りになっちゃうほどでした。
見学の最後にはガイドからダムファン垂涎の「ダムカード」のプレゼントも!改めておいしい水を飲めるありがたさ、水害から守られていることへの感謝を抱き、心地よい疲れとともに施設をあとにしました。
住所 | 福島県福島市飯坂町茂庭字蝉狩野山25 |
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問合先 | 024-596-1275 |
営業時間 | インフォメーションセンター:9時~16時30分、監査廊:平日13時30分~16時のみ(HPより要予約) |
定休日 | インフォメーションセンター:年中無休(12/29~1/3を除く) |
料金 | 無料 |
アクセス | 東北自動車道福島飯坂ICから約30分、福島駅から車で約50分、飯坂温泉駅から車で約25分 |
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こども記者レポート!自由研究で新聞作り
続いて子ども記者による新聞をご紹介。ダムのなかでははじめての子とも仲良くなって、楽しい体験の様子が伺えます。
●平野永大さん(小4)
プロ顔負けのイラスト説明図!自分の体験談はもちろん、相手に読んでもらうための工夫が文章にも表れていてすばらしいです♪
●細井律さん(小2)
ダムの中を「冷蔵庫」と例えたり、数字をしっかり入れたり、上手に説明ができています!イラストからはその楽しさが伝わってきます♪
学んで、撮って、書いて…親子でインフラ施設に行こう!
今回、子ども記者のみなさんに「桜水車両基地」と「摺上川ダム」での体験を新聞にしてまとめてもらいました。どの新聞もひとつとして同じものがなく、それぞれの視点が伝わる楽しい作品となりました。
インフラ施設で生活に欠かせない大切なことを学び、そしてアウトプットもすることで、自由研究としても活かせたり、かけがえのない思い出にもなりますね。ぜひみなさんも、福島県のインフラ施設に足を運んでみてはいかがでしょうか?