
琥珀糖[こはくとう]とは、寒天と砂糖を煮詰[につ]めて、数日乾燥[かんそう]させて作る伝統的な和菓子[わがし]。宝石や鉱石のような見た目に、外側はカリカリ、中はプルっとした食感がSNSでも話題です。バタフライピーやかき氷シロップ、カルピスなどを使って、できるだけ早く簡単に作るレシピを紹介[しょうかい]します。子どもの自由研究はもちろん、大人もはまってしまう楽しさ!
おすすめの年齢・制作時間
寒天と砂糖を煮詰めて、色や味をつけるだけのシンプルな調理なので、低学年から取り組めます。宝石のような美しさや好みの食感を追及[ついきゅう]したり、乾燥方法を工夫したり、研究することは盛りだくさんなので高学年にもおすすめ。調理時間は1時間もかからないですが、乾[かわ]かすのに数日はかかるので、気長に変化を楽しみましょう。火や包丁を使うときは大人と一緒に。
1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 実験 製作期間:数日~1週間
宝石みたいでカリカリになる材料は?

基本の材料
寒天
透明度[とうめいど]が高い琥珀糖を作るなら糸寒天がイチオシですが、粉寒天や棒寒天でもOK。
砂糖
純度が高くてすっきりとした味のグラニュー糖を使えば、透明感[とうめいかん]も残してカリカリに。上白糖でも作れますが、コクがあってややしっとりと仕上がります。ほかにも好きな砂糖で挑戦[ちょうせん]してみるのもあり!
色付けや味付け用の材料
バタフライピーのハーブティ
鮮[あざ]やかな青色が出るバタフライピーを使った琥珀糖は、アメジストのように美しいとSNSでも話題。あまり味がないので、レモングラスなどとブレンドされたハーブティのティーバッグを使うのがおすすめ。最近はバタフライピーシロップなども市販されています。
レモン汁[じる]
バタフライピーの青を、紫[むらさき]やピンクに変えるために使用します。
かき氷シロップ
手軽に色と味を付けられます。いちご味を使えば、淡[あわ]いピンクのローズクォーツのような琥珀糖に。
食用色素(食紅)
わずかな量で鮮やかな赤や青、黄などに着色できて便利。スーパーだけでなく、100均でも取り扱[あつか]っているところがあります。
カルピス
濃縮[のうしゅく]タイプのカルピスを使えば子どもに人気の味に。半透明[はんとうめい]で白メノウのような琥珀糖ができます。
そのほかの道具など
バットやシリコンモールド
寒天液を固めるときには、バットやタッパーなどの平たい容器を使うのが一般的[いっぱんてき]。容量の少ないシリコンモールドを使うときは、あまった寒天液を流し込[こ]む容器も用意しておきましょう。
クッキングペーパー
バットやタッパーに敷[し]いたり、琥珀糖を干すときにも下に敷きます。

ほこり除けのネットなど
琥珀糖を乾かすときには、物干しなどにかけられる、目の細かい野菜干しネットが便利です。くっつかないように並べると意外と場所を取るので、3段ぐらいあると安心。家の中で乾かすなら食卓[しょくたく]カバーも使えますが、場所を取るので注意。
まずは少量で!琥珀糖の寒天液の作り方
寒天と砂糖、水の分量をはかる

自由研究でいろいろな琥珀糖を作るなら、何回かに分けて少量で作る方が無難です。寒天は冷めるとすぐ固まるため、煮詰めた後は手早く作業する必要があります。初めてでも扱いやすい分量は以下。
基本の分量
・糸寒天 2g
・水 100cc
・砂糖 100g
<ポイント:砂糖の量について>
- 砂糖を150gに増やすと、結晶化[けっしょうか]も早くカリカリ度もアップ。好みの甘[あま]さや食感を追求してみましょう。
- 砂糖をあまり控[ひか]えると結晶化しなかったり、カビやすくなるので注意しましょう。
寒天を煮溶[にと]かす

糸寒天を使う場合は、あらかじめ30分ほど水に浸[ひた]してやわらかくしておきます(使用する寒天の包装に書かれている説明も確認しましょう)。
小鍋[こなべ]に寒天と水を入れて中火にかけます。混ぜながら2分以上沸騰[ふっとう]させて、寒天をよく溶[と]かします。
小鍋のほか、直火で加熱できるホーロー容器も使えます。自由研究用に写真を撮[と]るなら、白のホーロー容器がぴったり。
砂糖を入れてさらに煮詰める

砂糖を入れて、弱火で5分ほど煮詰めます。砂糖を入れたらあまり混ぜすぎず、底が焦[こ]げ付かないようにたまに混ぜる程度に。もったりとしてきたら寒天液の完成です。
バタフライピーで寒天液を青や紫にしよう
バタフライピーでまずは青に染める

寒天を煮[に]ている間に、バタフライピーのティーバッグに小さじ1ぐらいの熱湯をかけて蒸らしておきます。火を止めた寒天液にティーバッグを入れましょう。

軽く混ぜながら時々ティーバッグを絞[しぼ]るように押[お]して、寒天液を青くします。少しムラがある感じがきれいです。
半分型に入れてから、残りを紫に変える

青い寒天液を半分ぐらい先に型に入れておき、残った寒天液にレモン汁を垂らして紫色[むらさきいろ]にします。
<ポイント:型の準備>
- シリコンモールドなどの型は事前にぬらしておくと、後で寒天を取り出しやすくなります。
- バットやタッパーには、クッキングペーパーを敷いておきましょう。
- 琥珀糖は薄[うす]く小さい方が早く乾燥できます。この記事では、板チョコなどで使うスクエア型のシリコンモールド(厚さ7mm、100均で購入[こうにゅう])を使用。

青い寒天液が入った型に紫の寒天液をそっと入れます。それだけで自然なグラデーションになりますが、つまようじなどで少し混ぜて調整しても。
<ポイント:バタフライピーの色の変化>
- バタフライピーの花が多く含[ふく]んでいるアントシアニンは、鮮やかな青色ですが、加えるもののpH値によって色が変わる性質があります。レモン汁などを入れて酸性になると紫やピンクに色に、重曹[じゅうそう]などアルカリ性のものを加えると緑色に変化します。
冷蔵庫で固めてからカット

冷蔵庫で2時間ぐらい固めてから、好きな形に切り分けます。包丁で切るのもよいですが。ちぎると複雑な断面に光がキラキラと反射して鉱石のようです。トングを使ったり、フォークを使ってちぎれば、手がベタベタにならず、子どもでも安心。バットで固めた場合は、型抜[かたぬ]きするのもおすすめ。
切り分けたら、一度クシャクシャにして広げたクッキングペーパーに、くっつかないように並べましょう。クシャクシャにすることで、乾きやすく、くっつきにくくなります。
細かい切りくずは、いくつかくっつけて乾かせば、鉱物の結晶[けっしょう]のようになるかも!?
乾かして結晶化!すぐできるコツは?

野菜干しネットに入れて、風通しがよく、直射日光が当たらない場所に干します。
<ポイント:乾燥させるコツを研究しよう>
- 琥珀糖の結晶化にかかる時間は、湿度[しつど]や温度、風量などの条件のほか、琥珀糖の大きさや形、水分量などによっても変わります。
- 雨の日や湿度が高い日は、エアコンや除湿器[じょしつき]を使っている室内で乾かしてみましょう。
- 扇風機[せんぷうき]などで風を送るのも効果的ですが、きれいな部屋で、清潔なものを使いましょう。
- フードドライヤ-(食品乾燥機[かんそうき])を使えば1日でできることも。オーブンの発酵[はっこう]モード(40度)も使えますが、より電気代がかかるので注意

写真左が干す前のもの、右が干して2日目のものです。
天気が良くてほどよく風があり、湿度があまり高くない、30度以上の日に干しましたが、かなりのスピードで表面が乾いて結晶化しました。途中[とちゅう]で何度か裏返しましたが、ちぎったものはあまり裏返さなくてもよいくらい、早く乾きました。食べ比べてみると、2日めのものは表面がカリカリ、中はプルプルのままです。まだ表面に多少べたつきがあったので、もう1日干すことにします。
湿度が高い梅雨に作ったときは1週間ぐらいかかったので、やはり天気は重要です。

完成したバタフライピーの琥珀糖は、ちぎったものは天然のアメジストのように、四角く切ったものをまとめてお皿に飾[かざ]るとアジサイのようになりました。
できあがった琥珀糖は、2週間ほどで食べきりましょう。
かき氷シロップを使った琥珀糖の作り方

基本の分量から10ccほど水を減らして寒天液を作ったら、火を止めて少しだけ冷ましてから、かき氷シロップを10cc入れて軽く混ぜます。それ以外はバタフライピーの琥珀糖の作り方と同様。
<ポイント:シロップを使うときの注意>
- 果汁[かじゅう]の入っているシロップや、レモン汁、カルピスのように酸味のあるものは、火を止めてから入れましょう。寒天液と一緒[いっしょ]に煮[に]ると冷蔵庫に入れても固まらず、水あめのようになることがあります。
- 火を止めて1~2分ほど待ってからシロップを入れると、すぐには混ざらずにムラができやすくなります。このムラがまたきれい!
- シロップを使うと乾燥にやや時間がかかることがあります。しばらく干してもべたつきが気になるときは、グラニュー糖を少しまぶしてみるとよいです。

淡いピンク色で天然のローズクォーツのような琥珀糖が完成しました!
カルピスと食用色素を使った作り方

基本の分量から25ccほど水を減らして寒天液を作ったら、火を止めてカルピスを25ccほど入れて軽く混ぜます。
食用色素(食紅)で色をつける場合は、事前に少量の水で溶いておきます。型に流した寒天液に少しだけ垂らし、つまようじで軽く混ぜましょう。
それ以外はバタフライピーの琥珀糖の作り方と同様です。

涼[すず]し気な白と黄色の琥珀糖が完成しました。
自由研究のまとめ方のコツ
・琥珀糖とは? 歴史や特徴[とくちょう]、レシピをまとめよう。
・食感の秘密を詳[くわ]しく調べよう。外側は砂糖の結晶化でカリカリ、内側は寒天の網目[あみめ]構造が水分を保持してプルっとしているよ。
・結晶化していく様子を毎日観察、写真も添[そ]えて記録しよう。試食して感想も書こう。
・固まらなかった、なかなか乾燥しなかった、などの失敗をした場合も、理由を考えてレポートしよう。
・煮詰める時間や砂糖の量、カットの仕方や大きさ、乾かし方などによって、結晶化にかかる時間や食感がどのように変わるのか観察ししょう(高学年向け)。
・宝石のような見た目、好きな味付けなど、好みの琥珀糖を作ってみよう。ジュースや炭酸でも作れるかな?
・プレゼントにもぴったり!かわいいラッピングの仕方も考えてみよう。