おせち料理の意味・由来や重箱のルールを分かりやすく解説!親子で学ぶおせちの世界

おせち料理の意味・由来や重箱のルールを分かりやすく解説!親子で学ぶおせちの世界

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お正月の食卓を彩るおせち料理。一つひとつの料理の意味や由来を子どもに聞かれて、うまく説明できる自信がない……というパパママも多いのでは? 今回はおせちの歴史や重箱の役割、代表的な料理に込められた願いなどを、分かりやすく整理してご紹介します。

目次(index)

「おせち」ってそもそもどういう意味?

もともと、おせちは「御節供(おせちく)」「御節料理(おせちりょうり)」の略で、季節の節目の日に神様に料理を供え、そのお下がりを人々もいただく行事食を指していました。また、日本ではお正月三が日は台所の神様や包丁を休ませる日とされ、包丁で物を切ることが「縁を切る」ことを連想させるといった考え方もあるため、大みそかまでにおせちを作り置きしておく習慣が広まりました。

おせち料理の由来は?

おせち料理の起源は、古くは弥生時代の「節供(せちく/神様に収穫を感謝する風習のこと)」にさかのぼるとも言われていますが、現在のおせちにつながる形がはっきりと見えるのは、平安時代の宮中行事です。平安時代の宮中では、節目ごとに「節会(せちえ)」という儀式が行われ、その際に「御節供(おせちく)」と呼ばれる特別な料理が神前に供えられ、その料理を貴族たちもいただいていたと伝えられています。

おせち料理が一般的に広まったのはいつ?

おせち料理がお正月のごちそうとして広く親しまれるようになったのは江戸時代です。武家や町人にも「ごちそうで神様を迎え、家族で祝う」文化が広がり、「正月料理=おせち」というイメージが定着していきました。重箱に詰める現在のようなスタイルは、江戸時代後期から明治にかけて「持ち運びやすく、場所をとらない」といった実用面や、後ほど紹介する縁起の良い意味から広まり、今の形につながったとされています。

おせち料理はいつまでに食べればいい?

おせちは、元日から三が日までに食べるのが一般的で、長くても7日ごろまでを目安とするのがよいとされています。ただし保存環境や作ってからの日数によって傷み方は変わるため、冷蔵保存を心がけ、状態を見ながら無理なくいただくことが大切です。

おせちの重箱にも意味がある

おせちといえば重箱を思い浮かべる方も多いと思います。何段にも重ねられる重箱には、「幸せ・福を重ねる」「良いことが何度も続くように」という願いが込められているとされています。

おせちの分類は5種類 詰め方は?

おせち料理は大きく次の5つに分類されます。地域や家庭により中身は少し異なりますが、多くがこの構成を基本としており、食材一つひとつに縁起の良い意味が込められています。

  • 祝い肴(ざかな):数の子、黒豆、田作りなどの正月を祝う基本の肴
  • 口取り:甘い卵料理やかまぼこなどの前菜、おつまみ系
  • 酢の物:紅白なますなどのさっぱりした料理
  • 焼き物:鯛やエビなど海の幸中心の焼き物
  • 煮物:れんこん、たけのこなどの根菜や山の幸を煮しめたもの

五段重の場合

もともとは五段重ねを「正式」と説明することもあり、その場合の基本的な詰め方は次のように紹介されます。

おせちの重 詰める料理 意味
一の重 祝い肴 不老長寿・子孫繁栄・家内安全
二の重 口取り・酢の物 学業成就・喜びごと・財産(豊かさ)
三の重 海の幸の焼き物 出世・不老長寿・夫婦円満
与の重 煮物 無病息災・家運向上・末広がりの発展
五の重 空箱 年神様からの福を入れる

四の重は、「四=死」を避けて「与の重」と表記するのが一般的です。また、五の重は「控えの重」とも呼ばれ、年神様から授かる福を詰める場所とされることから、あえて何も詰めず空けておく慣習があります。

三段重の場合

現在は、食べる量や保管のしやすさから三段重のおせちが主流です。段の場合の基本的な例としては、次のように紹介されることが多いです。

おせちの重 詰める料理 意味
一の重 祝い肴・口取り 新年の祝い・子孫繁栄・健康と金運
二の重 焼き物・酢の物 出世・不老長寿・良縁(夫婦円満)
三の重 煮物 無病息災・家運向上・子どもの成長

家庭で詰めるときは、「一の重は見た目が華やかな前菜」「下の段ほど落ち着いたおかず」と覚えておくと、バランスよく重箱を仕上げることができます。

「祝い肴」のおせちと意味

数の子

数の子はニシンの卵です。「ニシン」が「二親」と当て字されることもあり、子孫繁栄を願う食材とされています。卵がぎっしりと並ぶ見た目も、「たくさんの子どもを授かりますように」という願いに重ねられています。

黒豆

「まめ(=元気)に暮らせるように」「まめに働けるように」という語呂合わせから、健康や勤勉さを願う縁起物とされています。黒い色は邪気を払う色とされる考え方もあり、無病息災の願いが込められた食材です。

田作り(ごまめ)

田作りは、小さなイワシを甘辛く煎りつけた料理です。かつて、小魚を田畑の肥料として使うと豊作になったとされ、そこから田作りは五穀豊穣や家内安全を願う料理になったと言われています。

たたきごぼう

ごぼうは地中深くまで根を張る野菜です。この姿になぞらえ、家や家業がその土地にしっかり根付き、安定して続くことを願って食べられてきました。叩いて開く形には、「運を開く」という意味が込められているとも言われます。

「口取り」のおせちと意味

かまぼこ(紅白)

半円形の切り口が初日の出に見立てられる、お正月の縁起物です。赤は魔除けやおめでたさ、白は清浄さや神聖さを表し、新しい一年の平安と幸せを願う意味が込められています。

昆布巻き

昆布は「よろこぶ」に通じる縁起物で、結び目の形から「縁を結ぶ」意味も込められています。また「養老昆布(よろこぶ)」と書き、不老長寿や子孫繁栄を願うおせちの定番として用いられてきました。

伊達巻き

ふわふわと甘い伊達巻きは、巻物に似た形から「学業成就」「知恵や教養が身につくように」という願いが込められた料理とされています。受験を控えた子どもや、「今年はたくさん学びたい!」と思う人にぴったりの縁起物です。

栗きんとん

漢字では「栗金団(くりきんとん)」と書かれ、黄金色の見た目が小判や金塊を連想させることから、金運上昇や商売繁盛、豊かな一年を願う縁起物とされています。おせちの中でも、とくに「財運」を象徴する一品です。

錦玉子

黄身と白身の二色がくっきり分かれた錦玉子は、黄色を金、白色を銀に見立てることから、金銀財宝や豊かさ、華やかな人生を象徴する料理とされています。

「酢の物」のおせちと意味

紅白なます

大根と人参を細く切って作る紅白なますは、お祝いごとに使われる「水引(みずひき)」に見立てられています。赤は喜びや魔除け、白は清浄さを表し、夫婦円満や家内安全、良いご縁が続くことを願っておせちに添えられます。

ちょろぎ

ちょろぎは、赤くくるくるした形が特徴のシソ科の根を加工した食材です。漢字では「長老喜」や「千代呂木」とも書かれ、長寿やめでたさを表す縁起物とされています。黒豆に添え、健康でまめに長く働けるよう願いを込めて食べられます。

酢だこ

赤と白の色合いがお祝いの「紅白」を表し、「たこ=多幸」とも言われる縁起物です。新しい一年にたくさんの幸せが訪れるよう願いを込めて、おせちに添えられます。

「焼き物」のおせちと意味

「めでたい」との語呂合わせから、お祝いの席に欠かせない魚とされています。また、他の魚に比べて寿命が長いことから、長寿やおめでたい出来事が長く続くことを願う食材とされています。

エビ

長いひげと腰の曲がった姿をお年寄りに見立て、「腰が曲がるまで長生きできますように」という長寿の願いが込められた縁起物です。赤く色づくことから、魔除けの意味を込めて使われるという説もあります。

アワビ・ハマグリ

アワビは寿命が長いことから、不老長寿を願って食べられてきました。ハマグリは対の貝殻だけがぴったり合うことから、良縁や夫婦円満を願っておせちに用いられます。

「煮物」のおせちと意味

れんこん

れんこんには穴がたくさん開いていて、向こう側がよく見えます。この形から、「将来の見通しが明るくなりますように」と願って食べられる、縁起の良い食材とされています。

にんじん

にんじんは、おせちでは梅の花の形に飾り切りされることが多くあります。梅の花は寒い時期にいち早く咲くことから、困難に負けない強さや、やがて訪れる春を告げる花として縁起が良いとされています。

たけのこ

たけのこは成長が早く、まっすぐ上に向かってぐんぐん伸びることから、子どもの健やかな成長や立身出世、家運向上を願う食材とされています。

くわい

くわいは、大きな芽が特徴の野菜です。「芽が出る→めでたい(芽出たい)」「芽が出る→出世・向上」という連想から、出世祈願の縁起物とされています。

ゆり根

ゆり根は、たくさんの「鱗片(りんぺん)」が重なって一つの球根になっています。この姿から、家族が寄り添い合う様子や子宝に恵まれることをイメージし、家庭円満と子孫繁栄を願っておせちの煮物に使われます。

こんにゃく

おせちに入るこんにゃくは、真ん中に切れ目を入れて結んだ「手綱こんにゃく」が知られています。結び目の形から縁結びや家庭円満を願い、また手綱を締めるように心を引き締めて一年を過ごすという意味も込められているとされています。

おせち料理は、単なるごちそうではなく、「神様へのお供え物」「家族の健康や成長を願うメッセージ」が一品一品に込められた料理です。ぜひお正月の食卓で、「数の子はね、こんな願いが込められているんだって!」「この穴あきれんこんは、将来がよく見えるようにってことらしいよ!」といった会話を楽しみながら、お子さんと一緒に“意味のあるごちそう”を味わってみてください。

写真:PIXTA