「子どもに野球を習わせたいけれど、何歳から始めるのがいいの?」「費用ってどのくらいかかるの?」そんなふうに気になっているママパパも多いのではないでしょうか。
野球は、走る・打つ・守るといった複合的な運動能力が身につけられ、チームプレーの協調性や楽しさも体験できることで、子どもに人気の習い事です。
この記事では、野球の始め方・適した年齢・子どもにとってのメリット・かかる費用について解説します。野球チームの選び方や、チームに入る前の準備などについて、参考にしてください。
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野球の習い事、どんな選択肢がある?

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子どもが野球の習い事を始める場合、主に3つの選択肢があります。
- 少年野球チーム
- 通学している学校のクラブ活動
- 民間企業が運営する野球教室・野球スクール
それぞれに特徴や費用、保護者の負担などに違いがあるため、家庭の状況に合わせて選ぶことが大切です。
少年野球チーム
地域で活動する少年野球チームは、最も一般的な選択肢です。
少年野球チームは地域の保護者やボランティアコーチが運営していることが多く、月謝が比較的安価に設定されています。地域の仲間たちと一緒に週末の練習や試合を通じて、野球の基本的な技術の習得や試合経験を積むことが可能です。大会で勝ち進めれば全国大会に参加できる夢もあり、多くの野球少年・少女が所属しています。
保護者の当番制や送迎など手厚いサポートが求められる場合もありますが、保護者同士のコミュニティが作りやすい点は魅力です。最近では、保護者の当番制をなくしているチームもあるなど、チームによって活動方針や指導レベル、練習頻度、雰囲気が異なるため、事前に見学や体験をして確認するとよいでしょう。
通学している学校のクラブ活動
小学校によっては、校内で行われるクラブ活動の一環として野球を選択できる場合があります。
学校のクラブ活動は放課後の時間を利用して行われるため、保護者の送迎の手間がかからない点は大きなメリットです。費用もほとんどかからず、気軽に野球を始めることが可能でしょう。
ただし、活動頻度や指導内容は学校によって大きく異なります。本格的な技術指導や対外試合の経験を求める場合は、物足りなく感じる可能性もあります。
まずは、気軽に野球を体験してみたいという段階の子どもにおすすめです。
民間企業の野球教室・野球スクール
民間企業が運営する野球教室やスクールは新しい選択肢の一つです。専門のコーチが子ども一人ひとりに対して個人指導を行うケースが多く、個々の特徴に合わせた指導を期待できることが大きなメリットです。投手、野手、守備、打撃、走塁などポジションや状況に応じた練習メニューが組まれており、自分に必要な技術を教えてくれるクラスを選べるため、上達しやすい環境といえるでしょう。
月謝は少年野球チームと比べて高めですが、保護者の当番制などの負担はほとんどありません。試合よりも投げる・打つなど個人の技術の習得に重点を置いている教室が多いのも特徴です。ただし、試合経験を積むことは難しいため、少年野球チームと掛け持ちで属している子どもも少なくありません。平日は野球スクールで腕を磨き、週末は少年野球チームの対外試合で日頃の成果を発揮する、そのくらい熱心な家庭も見受けられます
中学・高校と、今後を見据えて本格的に野球に打ち込みたい子どもにも向いています。
軟式野球と硬式野球の違いは?

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少年野球チームは、軟式球と硬式球を使う団体でそれぞれ分かれます。
地域の少年野球チームは、軟式球を使った学童軟式野球が一般的です。軟式球は外側が合成ゴム、内部は中空構造になっており、硬式球と比べて軽くて柔らかく、安全性が高いと言われています。ちなみに軟式球の中でも、小学生はJ号という小さいサイズが独自の規格であり、身体発達の過程にある小学生でも扱いやすいとされています。学童軟式野球チームは日本中に存在するため、入部への敷居は低く、さまざまなレベルで対外試合をたくさん経験できるでしょう。
一方、硬式球を扱う団体もあります。リトルリーグやボーイズリーグが代表的な団体です。硬式球は革製で内部に芯のある構造で、とても硬く、衝撃が大きいことが特徴です。毎夏、全国大会がテレビ放映され注目を浴びる高校野球は、硬式球(サイズは少年用と比べて大きい)を採用しており、早い段階から子どもに硬式球を慣れさせようという親御さんもいます。
いずれにせよ、軟式野球、硬式野球それぞれに特徴があり、優劣ではなく、環境や目的の違いによってどちらかを選ぶとよいでしょう。
野球の習い事を始めるのはいつ頃がいい?

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子どもが野球を習い始める時期は、年齢によって適した指導内容や身につきやすいスキルが異なります。
- 3歳~6歳
- 7歳~9歳
- 10歳~12歳
それぞれ、詳しく解説します。
3歳~6歳
幼児期は、野球の楽しさに触れることを中心とした指導が基本です。
この年齢では本格的なルールや技術を理解するのは難しいため、ボール遊びや走る動作を取り入れた遊び感覚の練習から始めることで、野球に親しむきっかけが作れるでしょう
幼児を対象とした野球教室では、柔らかいゴムボールやプラスティックバットなどの玩具を使って、キャッチボールやバッティング、ランニングなど基本的な動作を楽しみながら学べるプログラムが用意されているケースが多いです。体を動かすことに慣れ、ボールや道具に慣れる経験を積むことで、小学生になり少年野球やクラブ活動へスムーズに移行できるでしょう。まずは、手軽に親子でゴムボールを使ってキャッチボールを始めてみるのもおすすめです。
7歳~9歳
小学校低学年は、野球のルールを覚え、練習とともに試合を始めるのに適した時期といえます。
3年生ぐらいになると、仲間との関係を少しずつ築き、試合のルールやチームプレイの基礎を学ぶことが可能になります。個人としても、投げる、打つ、走る、捕るといった野球の基本動作を身につけることができるでしょう。
少年野球チームや野球教室では、低学年から受け入れを行っている場合が多いです。体の使い方や基礎技術を丁寧に指導してもらえるため、初めて野球に触れる子どもでも安心して参加できます。小学3年生ぐらいまでにチームへ入部するケースが最も多いです。
10歳~12歳
小学4年生ぐらいになると体力が向上し、社会性や理解力が備わってくるため、技術の習得スピードも速く、効率よく上達できる時期です。低学年から野球を始めている子どもたちも多いですが、始めるのに遅すぎる時期ということは決してありません。
この時期になると、テレビの試合中継やマンガ、YouTube、クラスメイトなどからの影響で、自ら野球に興味を持ち始める子どもも多いかもしれません。高学年にもなると、自分の意思で野球に取り組める傾向にあり、試合で結果を出すために自主練に精を出す選手も増えてきます。
野球は、この時期に始めれば良いということは一概には言えず、しかしどの時期から始めるにしても、「本人が楽しんで続けられる」環境を整えることを大切するのがよいでしょう。
野球を習い事にする4つのメリット

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野球は専門の技術のほかに、チームプレイや全身を使った複合的な運動能力、試合中の場面に応じた判断力、練習や試合をやり抜く体力や忍耐力など、さまざまな力を身につけることができる習い事です。
主なメリットは下記の4つです。
- 投げる・打つ・走る・捕る・頭を使うことで総合的な運動能力が身につく
- チームプレイの大切さを知り、仲間との協調性が育まれる
- 場面に応じた準備能力や判断力が養われる
- 相手をいたわる礼儀やマナーを学べる
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
1:投げる・打つ・走る・捕る・頭を使うことで総合的な運動能力が身につく
野球は、投げる・打つ・走る・捕るなど、さまざまな動きを習得することができるため、全身の運動能力をバランスよく高めることができます。また、「強い球で遠くへ投げる」「チャンスでヒットを打つ」「先の塁に進んでセーフになる」「前後の打球を上手に捕る」といった目的を果たすためには、頭で感じ、考えることが必要になります。これらの複合的な動作を繰り返すことは、体と脳をバランスよく鍛える機会になるでしょう。
2:チームプレイの大切さを知り、協調性が育まれる
野球は集団のスポーツです。チームは一つにまとまる必要があり、試合では勝利を目指します。「自分のやりたいことだけをやれない」ことを知るには、絶好の経験になります。
例えば試合中、守備では仲間と声を掛け合いながら状況を確認し、攻撃では得点するために走者の進塁を助けるなど、常に「チームとして何が最適か」ということを意識した行動が必要です。自分の役割を理解し、チームのために働く経験を積むことで、仲間と協力することの大切さ(協調性)を学ぶ機会となるでしょう。
また、勝利の嬉しさや敗北の悔しさを味わうことは、次の段階に向けて子どもにとって大きな成長をもたらします。チームで最高の結果を目指すことは、野球やスポーツにとどまらず、その後の社会生活のさまざまな機会にも生きるはずです。
3:場面に応じた準備能力や瞬時の判断力が養われる
野球の試合には、全く同じ場面は訪れません。点差や回数、アウトカウント、選手の特性や調子によって異なる場面の状況を把握して、準備が必要になります。これから起こるかもしれない未来を想像して、打者は投球を待ち構え、守備側は打球を予測します。いざ、投球が来れば打者は打つのか見送るのか、打球が飛べば守備側は前後左右に動くなど瞬時の判断が求められます。野球では、一球ごとに状況に応じて準備して、瞬時に判断して体を動かす力が鍛えられるのです。
4:礼儀やマナーを学べる
野球は伝統的に礼儀や挨拶を重んじるスポーツとして知られています。
練習や試合の前後には必ず大きな声で挨拶を行い、ボールやバット、グラウンドなど道具や施設を丁寧に扱うことが指導されます。勝ち負けにかかわらず、審判や相手チームへの敬意を示すことも大切にされています。
このように道具などのモノを大切に扱い、相手を思いやる所作を子どものころから行うことで、日常生活や大人になってからも役立つ礼儀やマナーが自然と習慣化されるでしょう。
野球の習い事にかかる費用

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野球の習い事にかかる費用は、月謝だけでなく、道具の購入費や遠征費など、さまざまな費用がかかります。
- 月謝や会費の目安
- グローブ・スパイクなどの初期費用
- 遠征費やその他の費用
それぞれの費用について詳しく説明していきます。
月謝や会費の目安
野球を習う場所によって、月謝や会費は大きく異なります。
| 種類 | 金額の目安 |
|---|---|
| 少年野球チーム | 月額1000円~3000円程度 |
| 民間の野球教室・スクール | 月額5000円~1万円程度 |
少年野球チームは地域のボランティアが運営していることが多く、比較的安価です。民間の野球教室やスクールは専門の指導員による指導や施設の利用料が含まれるため、やや高めに設定されています。金額はチームや地域、所属する団体によって異なります。入会前に必ず確認しましょう。
グローブ・スパイクなどの初期費用
野球を始めるには、グローブやスパイクなどの道具を揃える必要があります。
| 道具・用品 | 金額の目安 |
|---|---|
| グローブ | 5000円~1万5000円程度 |
| スパイク | 3000円~8000円程度 |
| ユニフォーム・練習着・帽子など | チームにより異なる |
| 初期費用の総額 | 3万円~5万円程度 |
※金額は購入する道具の品質によって異なります。
グローブは子どもの手のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。成長に合わせて買い替えもあらかじめ視野に入れておきましょう。バットやボールはチーム練習ではチームのものを使うため、自主練習用に用意する場合を除いて必須ではありません。
ほとんどのチームでは、ユニフォームや練習着、ジャンパー、バッグなどが指定されている場合が多いです。入会前に確認しておくとよいでしょう。
また、硬式野球の場合、硬式用の道具を購入する必要があります。軟式用と比較して価格が高い傾向にあるため、注意が必要です。
遠征費やその他の費用
野球を続けていくと、月謝や初期費用以外にも、大会参加や遠征費、保護者の会費など継続的にかかる費用があります。
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 交通費・宿泊費 | 遠征の頻度や距離により異なる |
| 保護者会費(少年野球チームの場合) | 年間数千円~1万円程度 |
| スポーツ保険料(年間) | 800円~2000円程度 |
試合や練習試合で遠方に出かける機会が多くなるため、交通費や宿泊費が必要になる場合があります。また、子どもの月謝とは別に保護者の会費やスポーツ保険料などがかかることもあります。金額はチームや活動内容によって異なるため、入会前にどのような費用が必要になるのか、確認しておくと安心です。
野球の習い事を始める前に準備するもの

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野球を始める際には、いくつかの用具を準備する必要があります。
必ず必要なもの
- グローブ
- スパイク
- ユニフォーム
- 練習着
- アンダーシャツ
- 野球帽
- ベルト
グローブは子どもの手のサイズに合ったものを選びましょう。ユニフォームはチームで統一されたものを購入するのが一般的です。練習着は動きやすい服装であれば、最初は手持ちのTシャツやジャージで構いません。
あると便利なもの
- バット
- ボール
- バッティンググローブ
- アンダーソックス
- レガース(すね当て)
バットやボールはチーム練習ではチームのものを使いますが、自主練習用に自分のものを持っておくと便利です。バッティンググローブは手の保護や滑り止めに役立ちます。レガースは打者や捕手が使用する防具で、ポジションによって必要になります。
野球と他の習い事の掛け持ちは可能?

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野球と他の習い事の掛け持ちは、もちろん可能です。小学生の習い事は平均2つ以上で、多くの子どもが複数の習い事をしています。
ただし、少年野球チームに所属した場合、週末に練習や試合が集中することが多いため、他の習い事と調整しつつ掛け持ちをする必要があります。チームによっては、チーム活動を優先してほしい、という方針がある場合も。あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
掛け持ちをする際は親の意志だけで決めることは避け、子どもの体力や意欲を考慮することが大切です。習い事が増えると家族で過ごす時間が減ったり、睡眠時間が不規則になったりする恐れもあります。子どもの負担にならないよう、決して無理はせず楽しいと思える範囲で掛け持ちを検討するとよいでしょう。
また、習い事の掛け持ちにはスケジュール管理も欠かせません。保護者で管理するのではなく、子ども自身で学校、遊び、習い事のスケジュールを把握し調整できるようになることが成功の秘訣です。カレンダーなどを用いて、週の予定を可視化できるようにしましょう。
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野球の習い事まとめ

野球は、チームで協力する楽しさや、試合で勝つ喜びを味わえる習い事です。今後の人生で役立つ礼儀作法や挨拶などの習慣化も期待できるでしょう。お子さんが「やってみたい」と興味を持ったときが、始めるのに良いタイミングといえるでしょう。
まずは気軽に体験会や見学に参加してみると、子どもが楽しめるかどうかや、無理なく通えるか、指導者やチームメイトの雰囲気などを確認できるのでおすすめです。
子どもも保護者もチーム一丸となって勝利に向けて努力する活動は、きっと親子の尊い時間になるはず。子どもに合った教室に出合って、親子で一緒に成長を楽しんでくださいね。

