2026年4月、明星学苑の中に新設された完全中高一貫校「明星Institution(以下MI)中等教育部」。東京ドーム約1.5倍の敷地を誇る明星学苑のキャンパスの中で、一期生61人はどのように学び始めているのでしょうか。「るるぶKids」編集部ががくパパと共にお話を伺ってきました。

- 明星Institution中等教育部の基本情報
- └ 入試情報(2026年度)
- 明星Institution中等教育部はズバリどんな学校?
- └「早く勉強させてよ」と積極的な一期生たち!
- └ 明星の伝統を受け継ぎ、ブラッシュアップする体験行事
- 明星Institution中等教育部ならではの教育内容
- └ 中高6年間をA・B・Cブロックにわけるカリキュラム
- └ 渋谷教育学園のメソッドを知る先生たちが教える
- 明星Institution中等教育部に伺う「面倒見の良さ」とは?
- └「自走できる子」を育てる
- └ ベテランの先生たちの見守り力
- └ 主体的に先生を“使い倒す”生徒が育つ環境
- 明星Institution中等教育部ならではの施設を紹介
- └ 広大なグラウンド
- └ 図書室
- どんな子が向いている?
- 先生が伝える学校選びのアドバイス
- 保護者へのメッセージ
著者:がくパパ
「偏差値だけで学校を選ばない」をモットーに首都圏の中学受験校100校以上を独自に調査し中学受験校を分かりやすく解説しているインスタグラムを運営中。学校が好きすぎて、私立校の講師も経験した学校ヲタク。今は3児(5歳・2歳・1歳)のパパ。
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明星Institution中等教育部の基本情報

多摩地区で100年以上の歴史を持つ明星中学校・高等学校が、2026年4月に新たに併設した完全中高一貫型の進学校。シンガポールの名門校・Raffles Institutionにインスピレーションを得て、最難関大学進学を見据えた6年一貫カリキュラムでグローバル人材の育成を目指します。
| 住所 | 東京都府中市栄町1-1 |
|---|---|
| アクセス | JR中央線「国分寺」駅・京王線「府中」駅から京王バスで「明星学苑」下車(約7分)/JR武蔵野線「北府中」駅から徒歩約15分 |
| 生徒数 | 61名(※一期生 男子42名・女子19名、うち国際生6名) |
| 中高一貫校 タイプ |
完全中高一貫型 |
| クラス編成 | 中1はフラットなホームルーム編成。英語・数学は習熟度別 |
| 文化祭 | 明星中学校・高等学校と合同で実施 |
| 土曜授業 | あり |
| 部活動 | 明星中学校・高等学校と合同で実施 |
入試情報(2026年度)
通常の2科型、4科型入試のほか、海外在住1年以上・帰国後3年以内、または英検2級相当を対象とした国際生入試を実施予定です。
- 2科型(国算)
- 4科型(国算理社)
- 国際生入試(筆記・リスニング・エッセイからなる英語科目+面接)
明星Institution中等教育部はズバリどんな学校?

幼稚園から高校まで集まる明星学苑の敷地。「公園みたいですよね」と先生が語るほどの広さと緑の豊かさです
明星学苑の校門をくぐり、東京ドームの約1.5倍という緑がいっぱいの広大な敷地を歩いていくと、まるで大学のキャンパスに迷い込んだような気持ちになります。案内された5階の教室は、既存の教室をMI仕様に改装したもの。窓の外に目をやると、片側には富士山、反対側にはスカイツリーが見えます。開校をむかえた2026年4月、多摩の地に一期生61人が集まりました。
「早く勉強させてよ」と積極的な一期生たち!

MI生の教室は、明星生と同じ階に2クラスあります
入学後のオリエンテーション期間中、生徒たちからはこんな声が上がったそうです。
「オリエンテーションばっかりじゃなくて、早く勉強させてよ」
先生も驚くほどの積極性だといいます。授業のあとは、教室から出られないほどの質問攻め。「主張も強いですね」と朗らかに答えたのは入学広報部の弦巻先生。一期生は男子42名、女子19名(うち国際生6名)。自分から動いていくタイプの生徒が集まってきているようです。
実際に中学1年生のMI生たちに話を聞いてみると、

「教育内容がとっても良いって思った!」と楽しそうに話してくれた中学1年生の生徒さん
「校長先生の考えに賛同して来ました」「6年間一貫で学べるのがいいと思って」「施設がすごいんです」——ためらいなく、自分の言葉で返ってきます。生徒自身が学校の方針や魅力をはっきり理解しているのが伝わってきて、その姿がとても印象的でした。
明星の伝統を受け継ぎ、ブラッシュアップする体験行事

学校の先生だけでなく塾講師としてのキャリアも長い、広報部長の弦巻先生
MIは、中学~高校で約1700名が所属する明星学苑の中に置かれています。体育祭・文化祭・部活動は、明星中学校・高校と合同実施。明星では、入学式は上級生が教室の飾り付けをして新入生を迎える伝統があり、MI生も明星中学校の新入生とともに華やかな教室に迎えられたそうです。
「一期生も、今後入ってくる生徒たちも、100人前後の小さなコミュニティではなく、1700人のコミュニティの中で学べるのが強みです」

そのため、明星中学・高校の伝統である「体験教育」を、MI生もそのまま受け継ぎます。
弦巻先生は、昨年度はMIの開校準備と明星中学3年生の副担任を兼務。GWが明けるとすぐに体育祭。6月には全校遠足(ルートは生徒たちで考えます)。夏は北海道にある野球場・エスコンフィールドでの野球観戦。『下町ロケット」のモデルになった町工場でロケットを飛ばす体験。農業体験。東大見学ツアー。昭和記念公園でのマラソン大会。劇団四季で芸術鑑賞。合唱コンクール――これらを1年ですべて体験したそうです。
「子どもたちにとっては、相当良い体験になると思いますよ」と弦巻先生。MIは明星生が体験しているこれらの行事を減らさず、良いところを受け取りつつその上で独自のカリキュラムを上乗せしていくのだそう。
後の見出しで伝える通り、学習の進行スピードは早めですが、決して教室で机にはりついて勉強するばかりではないというのがMIの大きな特徴のひとつ。いろいろな体験を通して自分の進路を考えさせる。それが、MIが大切にしている学びのかたちです。
明星Institution中等教育部ならではの教育内容
中高6年間をA・B・Cブロックにわけるカリキュラム

時間帯によって表情を変える、ほっと落ち着くような校舎のアトリウム(ロビー)
MIで独特なのは、「3ブロック制」というカリキュラム。6年間を3つのブロックに分けて学びを進めていきます。
Aブロック(中1・中2)で、中学の学習内容を修了。理科は中1で地学・生物を各3冊、中2で化学・物理を各3冊という密度です。ただし7時間目は入れず、補習や余白の時間を確保しているそうです。
Bブロック(中3・高1)で高校の学習内容を修了させます。第二外国語講座や各種研修など、「知識の幅を広げる選択肢」がここで増えていきます。Cブロック(高2・高3)は、大学入試対策に2年間じっくり充てる設計です。
また、文系でも理科2科目、理系でも社会2科目が取れるカリキュラムとなっていて、弦巻先生は「学校の中で、国公立大学の全教科対応ができるんです」と話してくれました。
渋谷教育学園のメソッドを知る先生たちが教える

MIの5教科は、国公立大学進学の指導経験豊富な先生が担当します。渋谷教育学園で長年進路指導や校長補佐を勤めた、井上一紀(かずのり)新校長先生が自ら選抜し、中には、渋谷教育学園で教鞭をふるった先生も含まれています。
体制もかなり贅沢です。英語は「英語を英語で教える授業」「文法を徹底する授業」「オーラルコミュニケーション」の3本立て。国語は「文学」と「表現」、社会は「地理」と「歴史」、数学は「数量」と「図形」で、それぞれ担当の先生が異なります。一教科を複数の専門の先生が多角的に見ていく体制になっています。
明星Institution中等教育部に伺う「面倒見の良さ」とは?

校舎の屋上には、星の自動追尾システムなど最新設備を搭載した天体観測ドーム「スタードーム」が!
MIが掲げる「面倒見の良さ」は、手取り足取りではありません。生徒が自分から先生を頼りにいき、自走していく力を育てる——そんなスタンスが根っこにあります。
「自走できる子」を育てる
明星中学校には、毎日のプリント学習や朝の読書時間など、きめ細かく学びの習慣づくりをサポートする手厚い体制があります。MIでは、そこからさらに一歩進めて「自分で学んだ部分の疑問をそのままにせず、先生に聞きに行ける環境を作る」ことを大事にしているそうです。
予習ではなく復習を重視し、復習で生まれた疑問を先生にぶつけていく。少人数だからこそできるスタイルです。その繰り返しの中で、「自走できる子」を育てていくという考え方なのですね。
ベテランの先生たちの見守り力
また、MIに集まった先生たちは、国立大学への指導経験を持つベテラン揃い。
「コップに水が溜まらないな、と思っていたら、ある時期から突然溢れ出した(ように学力が伸びた)」という経験を、弦巻先生をはじめいろいろな先生が何度もしてきたそうです。
重要なのは、生徒がなにかひとつ突き抜けるような興味をもつこと。
「何か突き抜けると、他の科目も引っ張られて伸びるんですよ」
だからこそ、明星中学・高校の伝統である「体験教育」を大切にするし、なにかに興味を持ったら先生に聞きに行ける環境を整える。その先に生徒の成長がある。「焦らなくてもいいんです」という先生の言葉は、生徒が成長する時期や塩梅を熟知している長年のプロだからこその重みと安心感があります。
主体的に先生を“使い倒す”生徒が育つ環境
弦巻先生が昨年出会った、生徒の主体性を象徴する印象的な生徒のエピソードを教えてくれました。

生徒たちの憩いの場でもあるカフェテリア
ある日、カフェテリアでひとりの生徒と相席になったそうです。その生徒が緊張した面持ちで話を切り出しました。
「弦巻先生って“英検を取らせるプロ”って聞いたけど本当?」
「本当だよ」
そう答えると、生徒はすぐに真剣な表情になり、こう続けたそうです。
「どうしても第一志望の大学に合格したいんです。そのためには英検準一級のスコアが必要なんです。力を貸してください」
その日から生徒の行動は一変。次の日から試験前日までの約1ヶ月間、毎日のように質問にきたそうです。授業の合間、放課後、時にはカフェテリアでも。わからない問題をそのままにせず、できるようになるまで何度でも食らいついてきたとのこと。
先生に教えてもらうのではなく、自分の夢のために徹底的に“使い倒す”。この生徒さんは見事に必要なスコアを獲得。英検準一級とともに、志望大学も合格しました。
与えられるものをただ待つのではなく、未来を自ら掴みに行く。MIの生徒も、まさにこのマインドを育てたいのだといいます。
明星Institution中等教育部ならではの施設を紹介
明星学苑の広大な敷地は、MI生もそのまま使うことができます。特に気になった施設をご紹介!
広大なグラウンド

野球の公式戦としての利用もできる、ナイター設備つきのグラウンド。「部活がやりたい」が入学の決め手になった男子も多いのだとか。野球部はもちろん、陸上部やハンドボール部、サッカー部も利用しています。
ちなみに明星中学・高校は吹奏楽など強豪な部活が揃い、OBが監督として戻ってきているケースもあるそうです。
図書室

明星学苑の蔵書が揃う図書室は、MI生ももちろん利用できます。3名の学校司書が常駐し、本棚には先生おすすめの本がずらりと並びます。

奥の勉強スペースはロールカーテンを開けるとグラウンドが目の前に広がる、クラシックで広々とした空間。生徒同士が教え合いながら勉強している姿も印象的でした。
どんな子が向いている?
好奇心旺盛で、子どもらしい子
「自分の成長が喜びになるような子に来てほしいですね」と弦巻先生。質問攻めにするくらいの積極性は、この学校で一番伸びる素質になりそうです。
受験勉強で燃え尽きていない子
ギリギリの偏差値で入るよりも、伸びしろを持って入ってきてほしい――というのが弦巻先生の本音。いい先生たちとの化学反応の中で、自分のやりたいことを見つけてほしい、という思いが込められています。
まだやりたいことが決まっていない子
6年間の中で「得意科目を見つけて、そこを伸ばしていく」ことができます。途中で入試に分断されないからこそ、ワクワクや楽しさを大切にできる――そんな学校です。
先生が伝える学校選びのアドバイス
弦巻先生の言葉で、特に印象に残ったものがあります。

「安易な道は安易な道で転んでしまうことがあります」
付属校に入れてよかったと思っても、何を学びたいかわからないままその大学に進んでしまう可能性がある。親が手をかけすぎて転ばないようにしていると、社会に出てから転んでしまう――弦巻先生ご自身の子育て経験からの実感だそうです。
「社会に出たときに、ちゃんと生き抜ける力を見つけさせてくれるかどうか。そこで学校を選んでほしいですね」
進路の安定ではなく、きちんと子どもが鍛えられる環境があるかどうか。その観点でぜひ見てほしい、というのが先生のメッセージでした。
保護者へのメッセージ
「必ずしもみんながみんな中学受験に向くわけじゃないんですよ。成長の速度が違うので、そこは見極めたほうがいい」
特に男の子は、精神年齢の追いつきに時間がかかることがあるといいます。「あと1年待てば変わる」という絶妙な立ち位置の子もいるから、中学受験ばかりが全てではない――塾と学校教育に長く携わってきた弦巻先生だからこその視点です。
「親が考える道が、必ずしもベストとは限らないんです。もっと子どもの人生に焦点を当ててあげてほしいですね」
低学年のうちからいろいろな体験をさせて、子どもがどこに興味をもつか探してあげてほしい。努力で押し込むのではなく、好きの延長線上にある学びを見つけられれば、その子にとって一番の幸せになる。そんな温かい言葉が、親としてもとても響きました。
<がくパパの取材コメント>
取材を終えて、ずっと頭から離れない言葉があります。「伸びた子じゃなくて、伸びしろのある子に来てほしい」中学受験は、どうしても「入ること」がゴールになりがちです。でもMIが求めているのは、その逆でした。まだ余力があって、何かを見つけたいという火が消えていない子。そういう子が、思う存分自分を伸ばせる場所が、この多摩の広いキャンパスにあります。
「早く勉強させてよ」と声を上げる一期生たちと、「ガツガツやらなくていい」と構えるベテランの先生たち。両者の距離感が絶妙で、「勉強漬け」でも「放任」でもない、ちょうどいい熱量がこの学校には流れていました。
新しい学校だからこそ、不安に思う部分もあるかもしれません。でも、明星学苑1700人の大きなコミュニティに支えられ、渋谷教育学園のメソッドを知るプロの先生たちが構えているこの環境は、むしろ新設校としてはかなり恵まれたスタートと言えそうです。
ぜひ一度、学校に足を運んで、この空気を感じてみてください。

