教えて!恐竜くん第1弾 羽毛や色…変化する恐竜の常識&日本の恐竜

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教えて!恐竜くん るるぶKidsの恐竜教室 第1弾

「子どもが大好きな恐竜の世界を一緒に楽しみたい」そんなパパママの皆さん、お待たせいたしました!
全国各地で行われている恐竜トークショーやイベントで大人気の“恐竜くん”が、ついにるるぶkidsに登場!かつて恐竜少年だったパパも、子どもをきっかけに恐竜の世界へ足を踏み入れたママも必読です。第1弾は、ここ最近大きく変化している恐竜の最新事情を教えてもらいました!

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恐竜くん(監修プロフィール)恐竜くん
恐竜専門サイエンスコミュニケーター・イラストレーター。6歳の時に恐竜に魅せられ、16歳でカナダに単身留学。恐竜の研究が盛んなアルバータ大学で、古生物学を中心に広くサイエンスを学ぶ。卒業後も国内外の研究機関や博物館と活発に交流しながら最新の研究成果を取り入れ、科学教育・普及活動に注力。恐竜展の企画・監修、トークショーや体験教室の開催など幅広く活躍中。当記事内の恐竜のリアルイラストは、恐竜くんが描いたもの。 » 恐竜くん公式サイト

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こんなに変わった!恐竜新常識2020

「子どもと恐竜図鑑を見ていたら、自分が昔見ていた恐竜のイメージと違う!」とびっくりした親御さんも多いでしょう。それもそのはず、恐竜の研究は、この30年近くで目覚ましい発展を遂げているんです。

1.「形」の新常識

~脱ゴジラスタイル! 恐竜の姿形は時代で変わる!~

なじみのあるティラノサウルス像で世代がわかっちゃう?!

なじみのあるティラノサウルス像で
世代がわかっちゃう?!

1980年代頃まで、ティラノサウルスなどの大型恐竜といえば、垂直に近い形で立ち、尻尾を地面に引きずって歩く…そんなゴジラのような怪獣スタイルが主流でした。
しかし今では、多くの恐竜が尻尾をあげ、鳥のように体を水平にして歩いていたことがわかっています。動きもノッシノッシではなく、実は機敏で颯爽と走っていました。
どちらの姿に馴染みがあるかは、世代によって違うでしょう。

絶滅してしまった恐竜の姿形を知る手がかりは、基本的に骨格化石だけです。しかも、大半の化石は部分的な発見で、全身骨格がまとまって見つかることは滅多にありません。ですから、新たな発見や研究の進展とともに、恐竜像が変化していくことは必然といえるでしょう。

子どもが好きな特撮ドラマの戦隊シリーズに恐竜が登場することがありますが、そうした劇中の恐竜にも、姿の変化は反映されているんですよ。お父さんお母さんが見ていたシリーズと、今のお子さんが見ているシリーズでは、登場する恐竜の姿形が異なっているはずです。

2.「羽毛」の新常識

~「鳥=恐竜」が確定! スズメも恐竜の一種です~

ヴェロキラプトルはツルツルではなくフサフサだった

映画『ジュラシック・パーク』に登場したヴェロキラプトル。
実はツルツルではなくフサフサだったことが判明!

恐竜は、以前はトカゲやワニのようにウロコに覆われているイメージでしたよね。
ですが、長年の研究の過程で「鳥は恐竜の生き残りである」という説が多くの研究者によって繰り返し検証され、恐竜の羽毛の存在も予測されてきました。
そしてついに1996年、全身が羽毛で覆われた恐竜化石(シノサウロプテリクス)を発見!「鳥=恐竜」説を裏付ける決定打となりました。

映画『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』シリーズに登場して大人気のラプトル(ヴェロキラプトル)をご存知の方も多いでしょう。
映画内のラプトルはトカゲのようなツルツルな姿でしたが、その後、鳥に近い小型の肉食恐竜は体が羽毛で覆われていたことがわかりました。現在は、ヴェロキラプトルも前足に小さな翼があり、全身が羽毛に覆われてフサフサだったと考えられています。

一方で、おなじみのティラノサウルスなどの大型肉食恐竜においては、羽毛説はまだ実は確証がなく、推測の範疇です。現在の図鑑や博物館などで見られるティラノサウルスの復元イメージは、羽毛がない姿、一部に羽毛がある姿、全身が羽毛の姿が混在しています。
もしかしたら、昨今の羽毛説を覆す新しい研究発表が、今後でてくるかもしれませんね。

ミュージアムパーク茨城県自然博物館の羽毛をまとったティラノサウルス

ミュージアムパーク茨城県自然博物館の
羽毛をまとったティラノサウルス
【掲載記事】» 恐竜が迫力の博物館11選

3.「種類」の新常識

~新種が続々! 3Dプリンターが大活躍~

僕が子どもの頃に読んでいた本や図鑑では「恐竜は400種ほど」と書かれていましたが、現在は1000種以上!ここ数十年は、毎年20~50種類もの新種が発表されています。ですから、今のお父さんお母さんが子ども時代にはいなかった、知らない恐竜がたくさんいると思います。

近年は、新種の発見や研究の進展のスピードがとても速まっているのです。
その理由の一つは、研究者の数が格段に増えたこと。先述した『ジュラシック・パーク』に影響を受けたかつての恐竜少年たちが、今研究者となり、世界中で活躍しているんです。

もう一つは、テクノロジーの進化。例えば、化石を発見したら、岩から化石を取り出す作業が欠かせませんが、この作業は膨大な時間と労力がかかります。この工程に時間がかかりすぎれば、肝心の研究がなかなか進みません。
しかし、3DプリンターとCTスキャンを駆使すれば、岩から完全に取り出す前に、正確に恐竜化石を再現することさえできるようになりました。発掘作業と研究を同時進行で進められるのは、化石研究においては画期的なこと!
今後もさまざまな最新技術が、化石研究をますます発展させていくかもしれませんね。

4.「色」の新常識

~実は鮮やか!~

赤いトサカとシマシマの羽のアンキオルニスと光に当たると玉虫色に輝くミクロラプトル

長年の恐竜研究のなかで、絶対にわからないとされていたのが恐竜の「色」です。
しかし2010年、アンキオルニスの化石からほぼ全身の色が判明するという大ニュースが発表されました。羽毛のトサカは赤く、ほおにも赤い斑点があり、羽はシマシマです。
恐竜といえば茶色やグレーなど暗い色のイメージが強かったですが、実は意外に色鮮やかですよね。

現在、アンキオルニスやミクロラプトルのほか、小型の羽毛恐竜を中心に10種ほどの色が判明しています。色の判明にも、先述の「鳥=恐竜」の確定が深く関係しているんです。化石に残された色素細胞を検証し、現生の鳥類との比較研究ができるようになったわけです。“生きているサンプルがある”ということが、恐竜研究を劇的に変えたんですね。

しかし、そうはいっても、色が判明するほどの保存状態の良い化石が見つかるのは、これまで発見された膨大な恐竜化石の量から見れば、本当にごくごく一部。
現状では、多くの恐竜の色は、研究から推測された想像のものがほとんどです。

日本で発見された恐竜はいるの?

日本は火山や地震が多いことからも想像できるように、地層のゆがみや分断がひどく、化石が残りにくい環境です。それでも、各地で地道に発掘調査が続けられ、日本にもさまざまな恐竜が生息していたことがわかっています。
現在、19の道県で化石が発見されており、そのうち正式に学名がついたものは8種(2020年4月時点)。その半数以上が、福井県で見つかっているので、福井県は日本の恐竜王国と呼ばれているんですよ。

カムイサウルス むかわ町穂別博物館 全身復元模型

カムイサウルス むかわ町穂別博物館 全身復元模型

昨年2019年に大ニュースとなったのが、北海道むかわ町で発見された“むかわ竜”ことカムイサウルス。全長8mとされる骨格のほぼ全身が、海の地層から発見され、大いに話題になりました。化石が見つかりにくい日本で、これほどの全身化石が見つかったのは本当に驚きです。今後もますます、日本でも新しい化石の発見や研究発表が出てくることが期待されています。

恐竜は絶滅した生き物ですが、まだまだ新しい発見や、これまでの常識を覆す新たな発見が出てくる楽しみが尽きません。博物館などで、生の大きさを実感することもオススメです。ぜひ親子で恐竜の世界を楽しんでくださいね!

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