春の公園にでかけて、植物の芽吹きや隠れていた虫たちの姿など、春の息吹を親子で楽しんでみませんか? 自然のなかのさまざまな色や形に気づき、感性と好奇心が育まれるネイチャーゲームを紹介します!
監修/浅岡厚志さん
ネイチャーゲームインストラクター。代表を務めるとよたネイチャーゲームの会では、8人のネイチャーゲームリーダーと一緒に、8月を除く毎月1回イベントを実施。未就学児の子どもがいるファミリーの参加が多いそう。自然遊びと同じくらい、ゲームやおもちゃが好き。「難しく考えず、大人も“おもしろい”と思ったことを楽しめばいいじゃない」がモットー。
「ネイチャーゲーム」関連記事
» 「ネイチャーゲーム」とは?
自然の彩り、息遣いを、遊びながら体感しよう!
ぷくっと膨らんだ木の芽に、初々しい緑の葉っぱや色とりどりの小花…春は植物や生き物が動き始めます。そんな自然の彩りや生き生きとした姿を、ネイチャーゲームで見て、触れて、体感してみましょう。「これなあに?」「きれいだね」「おもしろいね!」にたくさん出合えますよ!
いつもの道、公園が美術館に変身「森の美術館」
自分が気に入った自然や風景を、フレームにおさめて鑑賞しあうゲームです。
<森の美術館のやり方>
- 白画用紙
- はさみ
- セロハンテープ
■用意するもの
フレームが作れれば、どんな白画用紙でもOK。ここでは、浅岡さんオリジナルの作り方を紹介。100均のタテ135㎜ヨコ190㎜サイズを使用。
●フレーム作りと遊び方
① 3㎝幅を4本、3.5㎝幅を2本とれるように線を引いて、切り取ります。
② 3㎝幅4本をセロハンテープでとめてフレームを作ります。3.5㎝幅の2本はこのあと紹介する別のネイチャーゲームで使います。
③ それぞれいいなあと思った自然や風景をフレームにおさめて見せ合いっこします。
親子で一緒に散歩しながら探してみましょう。どんなところが気に入ったのか、お互いに話してみると、感性の違いにも気づきます。
フレームを木の枝などにつるせるようにひもをつけたり、地面にさせるようにわりばしをつけたりして、ここ!という場所にフレームを一旦置き、親子で見てまわるのもおすすめ。まさに美術館のように楽しめます。木や草花を傷つけないように注意して、フレームは必ず持ち帰りましょう。
2つの色をかさねて、自分が感じた自然を表現「かさね色」
着物の表地と裏地を配色して楽しんでいた平安時代の文化にちなんで考案されたゲーム。印象に残った自然を2つの色のかさね具合であらわします。
<かさね色のやり方>
- 白い紙(短冊のようにすると◎)
- 折り紙
- のり
■用意するもの
森の美術館で使うフレームを作るときにできた、3.5㎝幅の紙を使用します。
75㎜四方の折り紙を4分の1サイズに切ると、上の3.5㎝幅の短冊にぴったり。
●遊びかた
- 気に入った自然を見て、そのなかでも印象に残った2つの色に近い折り紙を選びます。
- 短冊に選んだ折り紙をかさねて貼りつけます。
- かさねた折り紙の下に、何を表現したのかタイトルをつけます。
折り紙は三角や丸に切ってもおもしろいです。そして、かさね方、色が見えるバランスなど、作り出されるかさね色は個性そのもの! できあがった短冊をお互いに見せ合うと、自然の色の多様さや親子の視点の違いが楽しめます。
いつもの道が、自然体験の場に。1度に2つのネイチャーゲームを楽しもう
浅岡さんが実際に、森の美術館で見つけたお気に入りの1つ。
「草花の名前がわからなくても、“黄色と白のバランスがいいよね”などと感じたことを親子で話してみるだけで楽しいですよ」
浅岡さんが森の美術館をしたのは、近所の農道。何気なく通っている道の草むらにも、かわいい春の訪れを見つけることができるなんて、素敵ですね!
森の美術館で、つくしが2本伸びている様子をフレームにおさめた浅岡さん。
さらに、かさね色でも表現。タイトルは“背くらべ”
「緑のなかから一生懸命、どっちが高いかと競うように伸びているつくしをあらわしてみました」
こうして、2つのゲームを一度にやってみるのも楽しいですね。
言葉のリズムやイメージのおもしろさも発見! 言葉遊びのネイチャーゲーム
「チクチク」「すべすべ」「ふわふわ」…など、人や物が発する音、感情や状態、様子を言葉で表現する擬音語、擬態語を使って楽しむネイチャーゲームもあります。「オノマトペ」「かさね言葉」とも言われますが、春はこうした擬音語、擬態語にぴったりな自然を探しやすい季節。言葉から発見する自然、自然から導かれる言葉、発想力と語彙力がどんどん育ちます!
ぴったりの感触の自然はあるかな?「ピタピタぴったりオノマトペ」
お題となる言葉に合う自然物を探し、実際に触ってたしかめてみるゲーム。準備する道具がなく、思い立ったときにすぐできます。
<ピタピタぴったりオノマトペのやり方>
①「つるつる」「プチプチ」などお題となる言葉を決めて、そのイメージに合う自然を探して、触ってみる。
「ねちょねちょ」「ベタベタ」といったお題もおすすめ。子どもに決めてもらうと、関心度もアップ。親子で感触を確かめ、イメージどおりだったか、違ったかなど話してみましょう。「思ったよりやわらかい」「ザラザラしてた」など、思いがけない発見に会話もはずみます。
植物をちぎったり、傷つけたりしないようにやさしく触りましょう。
お散歩しながら自然をリズミカルに表現「自然のかさねことば」
自然を観察して、かさね言葉で表現して楽しみます。姿かたち、感触、音、におい、さまざまな視点から感じたことを言葉にあてはめてみましょう。
<自然のかさねことばのやり方・親子編>
親子で目に留まった自然物を、それぞれ「ぐるぐる」「しわしわ」など、かさね言葉で言い表してみます。
同じものを見ても、親子それぞれで違った言葉が出てくるかもしれません。「そういう見方もあるね~!」と自然の捉え方や感性の違いを知ることができます。
気負わずに楽しんで!自然遊びを日常の楽しさのひとつとするのが大切
室内でテレビやゲームをするよりも、自然のなかで遊ばせなければ!とつい考えてしまっていませんか?しかし、アニメやゲームは子どもにとって生活のなかの楽しい遊びのひとつ。同じように、自然遊びも日常の楽しい遊びのひとつ。対峙させたり、二者択一したりする必要は決してないですよ、と浅岡さんは話します。
「僕もゲームは大好きですよ。最近のゲームやアニメには、生き物をモチーフにしたキャラクターが登場するものが結構あって、実によく特徴をとらえているんですよ。例えば、ある大人気ゲームに登場するおたまじゃくしをモチーフにしたキャラクラ―のおなかには、うずまきがあるんですよ。本当かな?と思い、おたまじゃくしを透明な小さいケースに入れて下からのぞいたら、ありました!こんなふうに意外なところで自然とつながっていることもある。そこから少し自然に興味を持つ、でもいいと思うんです。子どもがおもしろいなと思うことを、親も一緒に楽しむなかで、お互いの興味が広がって、自然のおもしろさ、素敵さにも気づいてもらえるといいなと思います」
親が“させよう”ではなく、“一緒に遊ぼう”という心持ちでいるほうが、子どもも楽しいはず。ネイチャーゲームが、親子の楽しい時間と自然に興味を持つきっかけになったらいいですね。
ネイチャーゲームのイベントに参加してみよう!
記事で紹介した以外にも、楽しく自然体験ができるネイチャーゲームはたくさん。「親子でできるネイチャーゲームのヒントを知りたい」「同年代のファミリーと自然遊びしてみたい」という人はイベントに参加してみるのもおすすめです。日本全国で、さまざまなネイチャーゲームイベントが開催されているので、週末にぜひ参加してみては?