知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
一見とっつきにくそうな「考古学」の世界を、まるで謎解きを楽しむように学べるミュージアムです。ここでは、発掘された土器や、古墳時代の船を原寸大で再現した古代船の模型など、古代ロマンを感じる展示品の数々に出合うことができます。子どもたちが実際に体験したり、自ら考えて答えを導き出せるように工夫された各種のプログラムも充実。博物館に隣接した遺跡公園内には竪穴住居を復元した建物7棟もあり、中に入ることもできます。考古学者気分で古代へタイムスリップしてみては?
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
兵庫県立考古博物館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック! 兵庫県立考古博物館では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見てみましょう。
■ライターコメント
一見とっつきにくそうな考古学の世界の奥深さやおもしろさを、体験などを通して、さまざまな角度から教えてくれる博物館です。
兵庫県立考古博物館ってこんなところ!
おすすめの遊び方&過ごし方
展示エリアは順路に沿って見ていくことで、より理解が深まります。バリエーション豊富な古代体験は、どれも楽しみながら学べるプログラムなので、親子で参加するのがおすすめです。博物館観覧後はぜひ大中遺跡公園内も散策してみてください。
おすすめのアクセス方法は?
車の場合は第二神明道路、加古川バイパス明石西ICから約10分、施設に隣接する町営駐車場(有料)を利用すれば駐車場からは徒歩すぐです。公共交通機関の場合は、JR神戸線土山駅から徒歩15分、または山陽電車播磨町駅から徒歩25分。
所要:2時間
おすすめの年齢:6歳~
住所 | 兵庫県加古郡播磨町大中1-1-1 |
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電話 | 079-437-5589 |
営業時間 | 9~17時(有料ゾーンの入場は9時30分〜16時30分) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌平日) |
料金 | 200円。大学生150円、高校生以下無料 ※特別展開催時は別料金 |
アクセス | JR土山駅から徒歩15分 |
駐車場 | なし。播磨町営駐車場利用114台(1日300円) |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:〇
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:〇
- コインロッカー:〇
- 館内飲食店:〇
- 館内売店:〇
- 持ち込み:〇
<主なイベント・体験プログラム>
- はっくつ体験:随時開催/無料(観覧券が必要)
- 古代の火おこし:1日12回/無料
- まが玉作り:1日3回/430円〜
兵庫県立考古博物館フロアマップ
展示施設はほぼ1階に集中しています。建物の目の前には緑豊かな大中遺跡公園があり、園内には竪穴住居7棟があります。
3500年を一望する「ときのギャラリー」
エントランスホールには、縄文時代から江戸時代までの実物の土器が並んでいます。人々の営みの中で生まれ、時代に合わせて進化してきた土器の形の変化を見ることで、約3500年にもわたる時の流れを一瞬で感じることができます。ときのギャラリーと呼ばれるエントランス展示は、ここから始まる長い時間の旅への入口です。
「私たちの由来」を探る
常設展示の最初のコーナーは「私たちの由来」です。文字どおり私たちはいったいどこから来たのか?祖先はどんな人間だったのか?を探る興味深い展示です。ナゾに包まれた「明石人骨」など県内各地の遺跡で見つかった人骨から昔の人の姿を復元しています。
縄文人の「ジョー」や、美人とうわさされる古墳時代の「ひとみ」さんなど、発掘で出土した本物の古代人たちが出迎えてくれます。
自然との戦いと共存の歴史「自然とともに」
今から約3万年前、ナウマンゾウが歩き回り、瀬戸内海は川のように細く、九州で起こった火山の大爆発と火山灰や、気候は今よりずっと寒かった時代をさまざまなジオラマや模型などで再現したのが「自然とともに」のはじまりです。まだ土器を知らなかった時代の彼らの存在は遺跡から出土する石器や、その製作時に飛び散った石くずによって証明されました。
今よりずっと温暖だった縄文時代、古代人たちは、知恵をしぼって豊かな山や海で狩猟を行なって食べ物を確保していました。やがて大陸から伝わった稲作を行うようになり、社会は飛躍的に進歩します。弥生時代の始まりです。
「国のなりたち」で国ができるまでの歴史を知る
弥生時代になると人々は戦いを始めました。武器も石製から金属製に変化し、戦術も進化して行きました。「国のなりたち」のコーナーでは戦いを経て国の形ができるまでをさまざまな展示で紹介しています。
戦いはやがて終焉し、「倭国」としてまとまっていきました。王墓の出現がそれを物語っています。考古博物館では、陵墓参考地の雲部車塚古墳(宮内庁の管理)の埋葬施設を絵図から再現し、真っ赤な石室や王が眠る石棺を展示しています。
“ひょうご”を舞台にした交流の歴史「みち・であい」
「みち・であい」のコーナーでは、古墳時代以降の、活発化するさまざまな地域との交流をテーマにした展示を見ることができます。古墳時代に大陸を目指すために作られた船を再現した、準構造船も展示されています。巨木をくり抜いた下半分と、板を継ぎ足した上半分の2段構造の船は、見た目にも美しく力強さも感じます。
平安時代・鎌倉時代になると、物流はさらに活発化し、中国をはじめ世界との交流が始まりました。“ひょうご”でも中国製天目茶碗など貿易を通じて多くのモノが出入りする時代になりました。
兵庫県立考古博物館ならではの体験にトライ!
●はっくつ体験
遺跡の発掘作業さながらに、ゴムチップの中に埋まった宝物を探す体験です。大中遺跡の発掘現場を再現した発掘プールに入って、スコップで宝物を掘り出そう!
- 【場所】発掘ひろば
- 【開催日】毎日
- 【時間】随時実施
- 【料金】無料(観覧券が必要)
- 【予約受付】来館時に受付で要予約
●古代の火おこし
棒と板の摩擦熱で火を起こす体験です。古代人がやっていた方法で実際に火種が作れるかチャレンジしてみましょう!
火種は細かい木屑に移すとあっという間に大きな炎へと変わります。古代人はこれで食材の煮炊きを行なっていました。
- 【場所】体験ひろば
- 【開催日】毎日
- 【時間】10時〜11時40分、13時〜14時40分の20分間隔で実施
- 【料金】無料
- 【予約受付】来館時に体験場所で要予約
●まが玉づくり
古代の装身具のまが玉作りにチャレンジする体験です。数種のやすりを使って石を磨いて美しく輝く仕上がりに。
- 【場所】体験学習室
- 【開催日】毎日
- 【時間】10時30分〜11時30分、13〜14時、14時30分〜15時30分
- 【料金】白色430円〜、ピンク色560円
- 【予約受付】来館時に体験場所で要予約
まだあるさまざまな体験展示!
●土器パズル
発掘ひろばには、大中遺跡から出土した土器や石器が並んでいます。土器パズルなどゲーム感覚で考古学にふれることができる良い機会です。
子連れにおすすめ!館内の立ち寄りスポット
兵庫県立考古博物館には子連れならぜひ立ち寄りたいスポットがあります。ぜひ行ってみてくださいね。
●考古学情報プラザ
考古学関連の図書約8000点が自由に閲覧できるスペースで、小学生以上には自由研究などに役立つ図書もあるので立ち寄って見ましょう。また、図書の貸し出し・コピーサービスには対応していないので注意してください。
- 【場所】1階受付付近
- 【時間】9〜17時
●展望塔
館のシンボルで、弥生時代の建物をイメージした展望塔。播磨平野を一望でき、天気が良ければ、遠くに家島や淡路島が望めることもあり、もちろん眼下には大中遺跡公園が広がっています。西入口横のエレベーターで上がることができます。
- 【場所】館の西側
●竪穴住居
博物館が立つ大中遺跡は弥生時代の終わりごろに営まれた集落跡で、兵庫県により史跡公園「播磨大中古代の村」として整備されています。発掘調査に基づいて当時と同じ場所に7棟の竪穴住居を復元しています。博物館を見た後はぜひ立ち寄ってみてください。
内部はこのようになっています。弥生人の質素な生活風景が目の前に浮かんでくるようです。
- 【場所】博物館外「播磨大中古代の村」
- 【時間】 9~18時(10~3月は~17時)
- 【定休日】月曜(祝日の場合は翌平日)
●狐狸ヶ池
博物館の目の前にある狐狸ヶ池(こりがいけ)の表面は、オニバスと呼ばれるハスの一種の植物がびっしりと覆い尽くすことも(夏季)。葉が巨大でトゲが生えていることから“鬼”の名がついたとされるオニバスがこの規模で群生しているようすが見られるのは全国的にも珍しいのだそうです。
- 【場所】博物館前
●ほったん
博物館のマスコットキャラクターの「ほったん」。体はナウマンゾウ、かぶりものは竪穴住居という出立ちで、子どもたちにも人気です。運が良ければ館内で出会えるかも!?
考古学という一見難しそうな分野をわかりやすく、楽しく学べるように工夫された展示が魅力の博物館です。子どもたちもきっかけさえつかめば、興味をもって考古学のロマンの世界に入り込んで行けるはず。まずは充実した体験プログラムを楽しみながら行うことで、きっかけをつかんでから、展示室を観覧するのもいいかもしれません。
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。
監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録していますよ。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。