コビトカバ(ミニカバ)がいる動物園は5つ!生態や性格、カバとの違いも解説

コビトカバのオス「モトモト」/上野動物園(東京都)
現在、上野動物園にいる「モトモト」はまったりとした性格。画像はNIFREL時代

佐々木隆のアイコン佐々木隆

誰もが知っている大きなカバとは別に、コビトカバ(小人河馬)あるいはミニカバという動物がいます。成長してもカバほど大きくならない、見た目も丸っこくてかわいいコビトカバ。日本では5つの動物園に13頭の個体が飼育展示されています。そんな希少なコビトカバについて、どんな動物なのか、カバとの違いなどを解説。日本にいる全13頭の名前なども紹介します。

目次(index)

コビトカバ(ミニカバ)の特徴は?

コビトカバ(ミニカバ)とは、どんな動物なのか、キホンからカラダや生態、そして、カバとの違いについて解説します。

コビトカバのキホン

コビトカバは「カバ科 コビトカバ属」で、この属にはコビトカバ1種しか存在しません。リベリア、シエラレオネ、コートジボワール、ギニアといった西アフリカの国に生息。学名の「liberiensis」は「リベリア産の」という意味。生息地の破壊や乱獲などのために生息数が減少し、ナイジェリアなどでは絶滅したともいわれ、絶滅危惧種に指定されています。ジャイアントパンダ、オカピとともに世界三大珍獣といわれるほど珍しい動物です。

  • 【英名】Pygmy hippopotamus
  • 【学名】Choeropsis liberiensis
  • 【分類】鯨偶蹄目 カバ科 コビトカバ属
  • 【生息地】アフリカ西部
  • 【体長】約150~175cm
  • 【体重】約180~275kg
  • 【寿命】野生で約15~20年、飼育下で約35~40年
コビトカバのメス「フルフル」/NIFREL(大阪府/吹田市)

NIFRELにいるメス「フルフル」。成熟しても小さくて可愛い感じなのです

コビトカバは夜行性!食事は?繁殖は?

コビトカバは低地の森林や沼などで生活しますが、基本、夜行性です。食事は、植物系が多く、草や木の葉、果実などを食べます。繁殖については、妊娠期間は約半年くらい。日本の動物園でも、近年、何頭かの赤ちゃんが誕生しています。

エサを食べるコビトカバ/東山動植物園(愛知県/名古屋市)

動物園では、牧乾草などの植物系を中心にキャベツやバナナといった野菜・果物もあげています

コビトカバ(ミニカバ)とカバの違い

さて、気になるのはコビトカバとカバの違いです。性格は、縄張り意識が強くて凶暴な一面もあるカバに対し、コビトカバは比較的おとなしくてのんびり。ココでは生態の異なる部分について比較してみましょう。

コビトカバの体重はカバの約10分の1!?

一番わかりやすい違いが、カラダの大きさです。カバは体長約350~400cm、体重約1300~2000kg(つまり単位はトン)くらいなので、体長は半分以下、体重にいたっては約10分の1なのです。かなりの差がありますね。

コビトカバ「ネルネル」「フルフル」親子/NIFREL(大阪府/吹田市)

コビトカバの赤ちゃんの体重はカバの赤ちゃんの5分の1程度。NIFRELにコビトカバの「ネムネム」が生まれたときは約7kgでした

コビトカバの頭は丸く、カバは四角っぽい

次に、頭と顔の部分を見てみましょう。カバが平らで四角っぽいのに対して、コビトカバは丸っこくて目も少しへこんでいます。頭と顔を見たときのイメージはかなり違うはずです。

コビトカバ「モトモト」のNIFREL時代/上野動物園(東京都)

「モトモト」のNIFREL時代。頭と顔に注目

旭川市旭山動物園のカバ

旭川市旭山動物園のカバ。頭は平べったく四角っぽい

コビトカバは主に陸上で出産・子育てをする

カバは出産・子育てともに水中ですが、コビトカバは主に陸上で出産し(飼育下で水中の出産記録あり)、子育ては陸上・水中の両方で行います。カバは1日の大半を水中で過ごしますが、コビトカバは水中だけでなく陸上でも生活しているのですね。

コビトカバの「ヤスコ」/いしかわ動物園(石川県/能美市)

いしかわ動物園の「ヤスコ」が赤ちゃんの頃の画像

カバと少し違う、耳と目と鼻の位置

カバはほとんど水中で暮らすため「鼻・目・耳」が一直線の位置にあり、水中から少しだけ顔を出して呼吸したり周囲をうかがったりできます。しかし、コビトカバは少し鼻が下のほうに位置するため、水中から顔を出すときは少し多めに顔が出てしまいます。水面から顔を出しているシーンがあったら比べてみてください。

水面から顔の3分の1くらいを出すコビトカバ/東山動植物園(愛知県/名古屋市)

コビトカバは顔の3分の1くらいが水面から出ます

水面から顔を出すコビトカバ/東山動植物園(愛知県/名古屋市)

カバは顔をちょっと出すだけでOK

コビトカバ(ミニカバ)に会える5つの動物園

では、コビトカバを飼育展示している動物園です。2024年3月現在、各動物園にいる個体を名前や生年月日などを含めて紹介しましょう。

エリアメニュー:関東東海北陸関西

関東のコビトカバ(ミニカバ)に会える動物園

東京都恩賜上野動物園(東京都/台東区)

とうきょうとおんしうえのどうぶつえん

コビトカバの隣にはカバがいて、その大きさなどの違いを実際に観察できるという魅力があります。コビトカバは3頭を飼育展示しています。

  • 【会える場所】西園「アフリカの動物」
  • 【飼育展示数】3頭(メス2頭、オス1頭)

●モミジ

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2003年11月20日
  • 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園

●ナツメ

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2011年6月22日
  • 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園

●モトモト

  • 【性別】オス
  • 【生年月日】2013年7月9日
  • 【生まれた場所】チリの動物園
陸上を歩くコビトカバ

画像提供:東京都動物園協会

陸上を歩くコビトカバ

問合先 03-3828-5171
住所 東京都台東区上野公園9-83
料金 【入園料】大人600円/中学生200円(都内在住・在学者は無料)/小学生以下無料/65歳以上300円

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

東海のコビトカバ(ミニカバ)に会える動物園

東山動植物園(愛知県/名古屋市)

ひがしやまどうしょくぶつえん

上野動物園生まれの「コユリ」と、いしかわ動物園生まれの「ミライ」が暮らしています。コビトカバ舎の近くにはカバ舎もあるので、違いを観察できますよ。

  • 【会える場所】動物園北園「コビトカバ舎」
  • 【飼育展示数】2頭(メス1頭、オス1頭)

●コユリ

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2009年6月22日
  • 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園
コビトカバ「コユリ」/東山動植物園(愛知県/名古屋市)

画像提供:東山動物園

「コユリ」はオスの「ミライ」との相性もいいようです

●ミライ

  • 【性別】オス
  • 【生年月日】2016年12月23日
  • 【生まれた場所】いしかわ動物園
コビトカバ「ミライ」/東山動植物園(愛知県/名古屋市)

画像提供:東山動物園

いしかわ動物園にいる「ノゾミ」と「ヒカル」の間に生まれた「ミライ」です

問合先 052-782-2111
住所 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
料金 【入園料】大人500円/中学生以下無料/名古屋在住の65歳以上100円

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

北陸のコビトカバ(ミニカバ)に会える動物園

いしかわ動物園(石川県/能美市)

いしかわどうぶつえん

ココにいる3頭は家族。「ヤスコ」は「ノゾミ」と「ヒカル」の間に2021年誕生しました。いしかわ動物園では、過去にも出産・子育てに成功しています。「ノゾミ」と「ヒカル」の相性も抜群のようです。

  • 【会える場所】カバの池
  • 【飼育展示数】3頭(メス2頭、オス1頭)

●ヤスコ

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2021年3月26日
  • 【生まれた場所】いしかわ動物園

●ノゾミ

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2010年11月23日
  • 【生まれた場所】オランダの動物園

●ヒカル

  • 【性別】オス
  • 【生年月日】2010年11月1日
  • 【生まれた場所】シンガポールの動物園
コビトカバ「ヒカル」/いしかわ動物園(石川県/能美市)

親子3頭が並んで写っている貴重なショット。大きな口を開けているのは、お父さんの「ヒカル」です

問合先 0761-51-8500
住所 石川県能美市徳山町600
料金 【入園料】大人840円/3歳~中学生410円/2歳以下無料

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

関西のコビトカバ(ミニカバ)に会える動物園

NIFREL(大阪府/吹田市)

にふれる

NIFRELではミニカバとよんでいます。2015年の施設オープン以来、2019年、2021年、2023年に1頭ずつ、子どもが生まれています。

  • 【会える場所】2階「みずべにふれる」
  • 【飼育展示数】メス3頭

●ネムネム

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2023年8月17日
  • 【生まれた場所】NIFREL

●フルフル

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2012年12月17日
  • 【生まれた場所】シンガポールの動物園
コビトカバ「ネムネム」とお母さんの「フルフル」/NIFREL(大阪府/吹田市)

2023年に生まれた「ネムネム」とお母さんの「フルフル」。「フルフル」は食欲旺盛で好き嫌いがないとか

●テンテン

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2021年6月18日
  • 【生まれた場所】NIFREL
コビトカバ「テンテン」/NIFREL(大阪府/吹田市)

2021年に生まれた「テンテン」はおてんば娘です

問合先 0570-022060(ニフレルインフォメーション)
住所 大阪府吹田市千里万博公園2-1 EXPOCITY内
料金 【入館料】大人2200円/小・中学生1100円/3歳以上幼児650円/2歳以下無料

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

神戸どうぶつ王国(兵庫県/神戸市)

こうべどうぶつおうこく

2018年より「コウメ」、2020年より「タムタム」を飼育展示しています。

  • 【会える場所】屋内「アフリカの湿地」
  • 【飼育展示数】2頭(メス1頭、オス1頭)

●コウメ

  • 【性別】メス
  • 【生年月日】2006年1月28日
  • 【生まれた場所】東京都恩賜上野動物園

●タムタム

  • 【性別】オス
  • 【生年月日】2019年2月21日
  • 【生まれた場所】NIFREL
問合先 078-302-8899
住所 兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-9
料金 【入園料】大人2200円/小学生1200円/4~5歳500円/3歳以下無料/65歳以上1600円

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

ちょっと丸くて小さいコビトカバ(ミニカバ)。大きくて迫力満点のカバも魅力的ですが、希少な存在の可愛いコビトカバも一度見るとファンになってしまうかも。

●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。