茨城県の特産品おもしろ雑学|スーパーフード・納豆!おみやげきっかけで全国へ

茨城県の特産品「納豆」

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47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!

茨城県で紹介するのは「納豆」。古くから日本人に親しまれてきた発酵食品の一つです。今回は納豆の誕生秘話、歴史のほか、幅広い人気の秘密を紹介します。

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目次(index)

【知る】納豆作りは水戸黄門が勧めた!?

大豆と納豆菌(なっとうきん)から生まれた栄養抜群の発酵食品、納豆。茨城県は昔から納豆の生産が盛んで、県内各地でさまざまな納豆が作られています。

納豆を作る会社同士が協力し合う「全国納豆協同組合連合会」に加盟する会社の数も、茨城県がダントツで多いです。生産量はもちろん食べる量も全国トップクラス。納豆は茨城県民の誇りなのです。

偶然生まれた!? 納豆誕生のヒストリー

茨城県の特産品「納豆」/納豆イメージ画像

ネバネバとした食感と独特な香りが持ち味の納豆は、煮たり蒸したりしてふっくらとやわらかくなった大豆に納豆菌を付けて発酵させたものです。大豆の成分を栄養にして納豆菌が大量に増えると、納豆独自の粘りが出て納豆ができ上がります。

そもそも、納豆はどのように誕生したのでしょう。諸説ありますが、平安時代の武将、源義家(みなもとのよしいえ)が水戸(みと)市の屋敷に泊まった際、煮豆の残りに稲わらの菌が付着して偶然できたのが納豆という言い伝えがあります。義家の家来が味見したところ味がよかったので、義家の食膳に出してみると、あまりのおいしさに義家は大喜び。将軍(義家)に納めた豆という意味で「納豆」と名付けられ、水戸の農家に広まったのだそうです。

どうして水戸の納豆は有名になったの?

どうして水戸の納豆は有名になったの?/茨城県の特産品「納豆」

古来、茨城県は大豆の産地でした。県内を流れる那珂(なか)川は、秋の台風シーズンになると水があふれ、洪水が何度も起きました。
水戸藩(今の茨城県)は、台風が来る前に収穫できる早生(わせ)大豆を作ることを推奨。台風後に収穫する大豆と比べて粒が小さな早生大豆は、豆腐や味噌などの加工には向かず、小さな大豆で作ってもおいしい食品として納豆が注目されました。
「水戸黄門(こうもん)」の愛称で親しまれた江戸時代の水戸藩主・徳川光圀(とくがわみつくに)が、保存できる非常食として納豆作りを勧めたと伝わります。

明治時代になって常磐線(じょうばんせん)が開通すると、水戸駅のホームで納豆が販売されるようになりました。
地元で一般的だった小粒の納豆は「米に絡みやすくておいしい!」と大ブームに。水戸の観光みやげとして全国に知られるようになったのです。

現在も県内では、稲わらに包まれた昔ながらの「藁包(わらつと)納豆」が作られ、販売されています。わらが余分な水分を吸収する藁包納豆は、程よい歯ごたえとわらのほのかな香りが楽しめます。

いくつ知ってる? いろんなタイプの納豆

茨城県の特産品「納豆」/ひきわり納豆イメージ画像

ひと口に納豆といっても、大きく分けて「糸引き納豆」「甘(あま)納豆」「塩辛(しおから)納豆」の3種類があるのをご存知ですか?

ネバネバとした粘りが特徴の「糸引き納豆」は、茨城をはじめ日本全国で食べられている、おなじみの品。糸引き納豆には、丸大豆とひきわりの2種類の納豆があります。
東北地方でよく食べられるひきわり納豆は、乾燥状態の丸大豆をひき臼のような装置で細かく割り、皮を取り除いたもので作られます。熱の通りも発酵も早く、大豆の皮を残している丸大豆納豆とは風味が少し違います。

一方、「甘納豆」は大豆や花豆、金時豆、白花豆、ソラマメなどさまざまな豆を砂糖で煮詰めたお菓子です。

「塩辛納豆」は、煮大豆を麹(こうじ)菌で発酵させ、塩などの調味料を加えて乾燥させた塩辛いもの。お寺の台所である納所(なっしょ)で作られていたことから「寺(てら)納豆」とも呼ばれます。静岡県浜松(はままつ)市の名物「浜(はま)納豆」としても知られます。
納豆菌で発酵していないので粘りはなく、味噌に似た味わいで黒っぽい茶色をしています。

世界のあちこちで出会える納豆のそっくりさん

納豆のように大豆を発酵させた食品は、世界各地にたくさんあります。

タイの「トアナウ」は、ネバネバはなく、調味料や保存食として使われます。ミャンマーの「ペーポー」は大豆を平たくつぶしたせんべい状で、匂いは納豆そっくり。インドネシアの「テンペ」は煮豆をバナナの葉などに包んで作ります。白カビで覆われていますが糸は引きません。

アフリカ・ナイジェリアにある「ダワダワ」は、大豆ではなく「パルキア」という大豆に似た木の実で作られます。色は黒く、口に入れると納豆のような味なのだとか。

日本の納豆と同じく、粘りのある糸を引くのがネパールの「キネマ」です。インドの「バーリュ」は味も香りも糸引き納豆そっくりで、ネバネバとしています。

ほかにも中国の発酵調味料「豆鼓(トウチ)」、韓国の「チョングッチャン」など、納豆の仲間は世界中にいるのです。

【つくる】挑戦!おいしい納豆レシピ

おうちで自家製の納豆作りに取り組めます。手間はかかりますが、材料はとってもシンプル。また、長年愛され続ける茨城県の郷土の味「そぼろ納豆」のレシピにもチャレンジ!

納豆を家で作ってみよう!

おうちで納豆を作ろう!/茨城県の特産品「納豆」

材料は、大豆と納豆菌だけ。納豆は家で手作りできます。きちんと洗った清潔な手で作業し、アルコールや熱湯で殺菌した容器、スプーンを使用するのを忘れずに。やけどに注意して、親子で挑戦してみましょう。

納豆菌は粉末状のものが市販されており、インターネットで購入できます。一度沸騰させて冷ました水に溶かして使いましょう。

豆を煮るときは、親指と小指でつぶせるくらいのやわらかさを目指します。

<簡単レシピを紹介>

  1. 大豆を洗って、18時間ほど水に浸けます。
  2. 大豆をざるに入れて圧力鍋で煮ます。ざるの下に、別のざるを逆さにして置き、下のざるの高さまで水を入れて80分ほど煮たあと、10分間おきます。
  3. 煮豆が熱いうちにボウルに入れ、納豆菌をスプーンで振りかけて、よくかき混ぜます。
  4. 食品保存容器に③を入れ、ラップをかけてつまようじで穴を開けます。それをクーラーバッグに入れて、両脇にカイロを置きます。
    食品保存容器のふたが閉まらないように割り箸をのせ、その上に濡らして軽くしぼったタオルをかけ、18時間くらい発酵。クーラーバッグの開口部は指2本分のすき間をあけてください。
  5. ④の豆表面が白くなり糸を引いたら、冷蔵庫で1日冷やします。
  6. できあがり!

水戸の伝統的な保存料理「そぼろ納豆」

茨城県の特産品「納豆」

» 出典:農林水産省Webサイト

納豆と割り干しダイコン、栄養価の高い食材2つを使った伝統食です。水戸市を中心とする茨城県の中央部で日常的に親しまれていて、スーパーマーケットなどで購入できます。おみやげとして観光客にも人気です。

塩気が濃いので白ご飯と一緒に味わえるほか、お茶漬けの具としても食べられています。納豆のホクッとした食感と、割り干しダイコンのシャキシャキした歯ごたえの対比を楽しんでください。

<簡単レシピを紹介>

  1. 割り干しダイコンをさっと水洗いし、しっかり水を切り、平ざるで乾燥させます。塩をかけ、よくなじませます。
  2. 納豆に塩を入れて、白い泡が出るまで力強く混ぜ、ダイコンを加えてさらによく混ぜ合わせます。
  3. ②にしょうゆ、または納豆のタレを入れ、味を整えて冷蔵庫で保存します。1カ月後くらいが食べ頃です。

【学ぶ】納豆について学べるスポット

おいしい納豆が手に入るだけでなく、納豆の製造工程を見学できる工場や、歴史・製法について学べる施設がある茨城県。数種類の納豆を食べ比べられるスポットもあります。納豆のおいしさを五感で楽しみましょう。

納豆なんでも展示館(茨城県/水戸市)

納豆なんでも展示館(茨城県/水戸市)

創業は明治22年(1889)、水戸で一番の老舗納豆メーカー「笹沼五郎商店」がプロデュースする納豆なんでも展示館。

納豆の歴史や作り方に始まり、豆知識やお役立ちレシピまで幅広く知ることができます。納豆工場の見学もできるほか、直営店では伝統的な製法で作られた「藁苞(わらつと)納豆」に出会えますよ。JR水戸駅から近いので気軽に立ち寄ってみましょう。

住所 茨城県水戸市三の丸3-4-30
問合先 029-225-2121
営業時間 9時~17時(工場見学は〜15時)
定休日 元日 ※工場見学は木・土・日曜休み
料金 無料
アクセス 公共機関:JR水戸駅から徒歩10分
車:北関東自動車道水戸南ICから5.6km20分
駐車場 あり/10台/無料
URL

http://www.tengunatto.jp/pavilion/

納豆ファクトリー

納豆ファクトリー(茨城県/常陸大宮市)

納豆ファクトリーは、舟形の容器に入った「舟納豆」で知られる納豆専門店の工場です。納豆の原料、大豆をイメージした外観が目を引きます。

大豆を蒸す様子や納豆を手作業でパック詰めするところなど、多彩な工程を見学できます。映像でさらに知識を深め、おいしさの秘密に迫りましょう。見学後は近くにある直営店で買い物ができたり納豆の試食ができたりと、納豆づくしの施設です。

住所 茨城県常陸大宮市山方825-1
問合先 0120-710-593(受付時間:9~18時)
営業時間 9時〜17時(直営店) ※見学は10時〜、11時〜(完全予約制・所要40分間。見学の7日前までにインターネットまたは電話にて要予約)
定休日 元日(見学は月・水曜開催) ※詳細は公式サイトを要確認
料金 無料
アクセス 公共機関:JR山方宿駅から徒歩3分
車:常磐自動車道那珂ICから国道118号経由34km25分
駐車場 あり/30台/無料
URL

https://www.funanatto.co.jp/user_data/factory.php

【SDGs】茨城県の納豆を自由に食べたり守ったりするために

SDGsアイコン17種

茨城県で生まれた納豆は、環境にも配慮しながら製造が行われています。この先も、納豆を変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。

茨城県の子ども向けSDGsの取り組み

6:安全な水とトイレを世界中に/SDGsの目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに/SDGsの目標11:住み続けられるまちづくりを/SDGsの目標12:つくる責任 つかう責任/SDGsの目標13:気候変動に具体的な対策を/SDGsの目標14:海の豊かさを守ろう/SDGsの目標

» 茨城県庁 小学生向け環境学習プログラム「キッズミッション」

1:貧困をなくそう/SDGsの目標2:飢餓をゼロに/SDGsの目標3:すべての人に健康と福祉を/SDGsの目標11:住み続けられるまちづくりを/SDGsの目標17:パートナーシップで目標を達成しよう/SDGsの目標

» 子ども食堂サポートセンターいばらき