遊園地定番の乗り物「観覧車」は絶叫系がダメな人も楽しめるファミリーアトラクション。しかも近年、個性的な観覧車が続々登場しています。ひとつの遊園地に2つの観覧車があったり(期間限定)、円の中心が空間になっているセンターレス観覧車や屋上にある観覧車、ゴンドラがユニークな観覧車など「個性派観覧車ベスト5」をセレクトしました。日本の観覧車の歴史や高さ世界一・日本一の変遷なども解説します。
観覧車のおすすめ記事
» 今だけ!よみうりランドの2つの観覧車を解説!イルミネーションも満喫する回り方も
日本の観覧車とその歴史
日本にある観覧車の数や、日本初、日本現存最古、かつて世界一だった観覧車などについて解説します。まずは日本の観覧車の歴史を少し知って、個性派の観覧車に家族で乗ってみましょう。
全国に何基の観覧車があるの?
遊園地の観覧車や公園にある観覧車、商業施設併設の観覧車などをあわせて、日本には2024年10月現在で約140もの観覧車があります。なかでも10基以上の観覧車がある都道府県は北海道と愛知県、観覧車がない都道府県は7つ(福井、長野、滋賀、奈良、鳥取、島根)です。
よこはまコスモワールドの大観覧車「コスモクロック21」。時計付きの観覧車は横浜みなとみらいのシンボルです
日本初の観覧車と現存最古の観覧車は?
日本に初めて観覧車がお目見えしたのは、長年、明治40年(1907)の上野で開催された「東京勧業博覧会」と言われてきましたが、21世紀を迎えた頃に、明治39年(1906)に開催された大阪天王寺の博覧会で設置されたものが日本初であるという当時の新聞がみつかりました。
そこから120年近く、数多くの観覧車がデパートの屋上や遊園地に誕生しましたが、現存している日本一古い観覧車は、函館公園 こどものくに「空中観覧車」です。
登録有形文化財にも登録されている、函館公園 こどものくに「空中観覧車」。高さは約10mのレトロな観覧車です
世界一の高さを誇った観覧車たち
1980年代から2000年頃まで、高さ世界一となった日本の観覧車が数多くあります。博覧会に、そのとき世界一の観覧車として設置された後、遊園地へ移設されたパターンも多いようです。
- 1981年「ジャイアントホイール」約63.5m
神戸ポートピア博覧会(兵庫県)→ 神戸ポートピアランド(2012年クローズ) - 1984年「ジャイアントピーター」約85m
姫路セントラルパーク(兵庫県) - 1985年「コズミック・スペース」約85m
つくば科学博覧会(茨城県)→ エキスポランド(大阪府/2009年クローズ) - 1989年「観覧車」約104.5m
アジア太平洋博覧会(福岡県)→ グリーンランド(熊本県) - 1989年「コスモクロック21」約107.5m
横浜博覧会(神奈川県)→ よこはまコスモワールド - 1992年「イーゴス108」約108m
びわ湖タワー(滋賀県)→ 2013年ベトナムへ移設 - 1997年「天保山大観覧車」約112.5m
天保山ハーバービレッジ(大阪府) - 1999年「パレットタウン大観覧車」115m
パレットタウン(東京都/2022年クローズ)
そして、2000年に登場したイギリス・ロンドンの「ロンドン・アイ」約135mに世界一の座を明け渡してからは、日本は世界一競争への参加をやめたようです。ちなみに、現在の世界一は2021年にできたアラブ首長国連邦ドバイの「アイン・ドバイ」で、なんと約250mもあります。
1999年から2000年まで世界一だった、東京お台場の「パレットタウン大観覧車」。2022年にクローズしました
日本で一番高い観覧車の歴史
1981年から1999年までは、前述の高さ世界一の観覧車が日本一でもありました。
そして、2001年に「パレットタウン大観覧車」を超える観覧車が誕生し、現在まで高さ日本一の称号を与えられたものは4機種あります。
- 2001年「ダイヤと花の大観覧車」約117m
葛西臨海公園(東京都) - 2001年「Sky Dream Fukuoka」約120m
エバーグリーンマリノア(福岡県/2009年にクローズ) - 2009年「ダイヤと花の大観覧車」約117m
葛西臨海公園(東京都) - 2016年~「OSAKA WHEEL」約123m
EXPOCITY(大阪府)
2024年10月現在、日本一の高さを誇る観覧車「OSAKA WHEEL」
日本の観覧車の高さランキング
日本の観覧車の高さランキングも見てみましょう。5位までは、日本一になったことがある観覧車ばかりが並んでいますよ。
- 1位「OSAKA WHEEL」約123m
EXPOCITY(大阪府) - 2位「ダイヤと花の大観覧車」約117m
葛西臨海公園(東京都) - 3位「コスモクロック21」約112.5m
よこはまコスモワールド(神奈川県) - 3位「天保山大観覧車」約112.5m
天保山ハーバービレッジ(大阪府) - 5位「大観覧車 レインボー」約104.5m
グリーンランド(熊本県)
観覧車は個性派の時代へ
これまでも、2002年に閉園した横浜ドリームランド「ワンダーホイール」や、かつて西武園ゆうえんちにあった「トリプル観覧車」など、個性派の観覧車はたくさんありました。
日本の観覧車が“世界一競争”から“個性派の時代”へと方向を転換した今は、さらにユニークな観覧車が注目を浴びてます。観覧車の中心に軸がない東京ドームシティ アトラクションズの「ビッグ・オー」をはじめ、ショッピングモールやサービスエリアなどに観覧車だけを設置するスタイルも増えています。
横浜ドリームランドの“揺れる観覧車”「ワンダーホイール」は、ゴンドラが動く画期的な絶叫系でした
全国厳選! 個性派観覧車ベスト5
では、子連れで乗りたい、現代の個性派観覧車5機種を紹介します。期間限定や屋上の観覧車、富士山ビューなど魅力的なものばかりをセレクトしました。
期間限定!よみうりランドのツイン観覧車
2台の観覧車が並ぶ風景は今だけのお楽しみです
2024年10月24日、よみうりランドに新観覧車「Sky-Go-LAND」が誕生します。ゴンドラはすべて車イスで乗車できて冷暖房完備、観覧車には483灯のフルカラーLED照明が装備され、冬期の人気イルミネーション「ジュエルミネーション」でも美しい光を演出しています。
しかも、1980年から親しまれてきた現在の「大観覧車」も2025年1月13日までは営業。つまり約2カ月半“ツイン観覧車”を楽しめるわけです。「Sky-Go-LAND」の設置場所は「大観覧車」の少し下あたり。「大観覧車」に乗って「Sky-Go-LAND」と向こうに見える風景を楽しんだり、逆に「Sky-Go-LAND」に乗って「大観覧車」の勇姿を見たり、期間限定の風景を存分に楽しんでください。
●よみうりランド「Sky-Go-LAND」
- 【高さ】約60m
- 【定員】1台4名×ゴンドラ42台
- 【所要】約14分
- 【制限】なし(5歳未満は要付添)
- 【料金】800円(ワンデーパス利用可)
●よみうりランド「大観覧車」
- 【高さ】約60m
- 【定員】1台4名×ゴンドラ46台
- 【所要】約11分
- 【制限】なし(5歳未満は要付添)
- 【料金】800円(ワンデーパス利用可)
「大観覧車」から「Sky-Go-LAND」を見た風景。なかなか見られないアングルです
「Sky-Go-LAND」の向こうにコースター「バンデット」が
「Sky-Go-LAND」のゴンドラ。その先に東京都心部の高層ビルなどが見渡せます
「Sky-Go-LAND」は総工費12億円。見た目のイメージは「大観覧車」(手前)とほぼ同じです
この観覧車の詳しい記事
» 今だけ!よみうりランドの2つの観覧車を解説!イルミネーションも満喫する回り方も
問合先 | 044-966-1111 |
---|---|
住所 | 東京都稲城市矢野口4015-1 |
料金 | 【入園料】大人1800円/中学・高校生1500円/3歳~小学生1000円/65歳以上1000円【ワンデーパス(入園+アトラクション乗り放題)】大人5800円/中学・高校生4600円/小学生4000円/3歳以上幼児2400円/65歳以上4000円 ※3歳未満無料 |
中心がない!世界初のセンターレス観覧車「ビッグ・オー」
観覧車のリング自体は回転せず、リング外周にレールがあり、その周りをゴンドラが動く構造
観覧車「ビッグ・オー」は、普通なら中心にある軸がないセンターレス観覧車です。センターレスは世界初で、しかもコースターが真ん中を通るというのも、ほかでは見られないスタイルです。加えて、ゴンドラ内にカラオケを搭載。これも世界初です。
●東京ドームシティ アトラクションズ「ビッグ・オー」
- 【高さ】約80m
- 【定員】1台4名×ゴンドラ40台
- 【所要】約15分
- 【制限】なし(7歳以下は要付添)
- 【料金】1000円(ワンデーパスポートなど利用可)
ラクーアのビルや東京ドーム、都会の風景などを見渡せます
問合先 | 03-5800-9999(東京ドームシティ わくわくダイヤル) |
---|---|
住所 | 東京都文京区後楽1-3-61 |
料金 | 【入園料】無料【ワンデーパスポート(アトラクション乗り放題)】大人4500円~/中学・高校生3900円~/小学生3100円~/3歳以上幼児2200円~/60歳以上3900円~ ※3歳未満無料 |
レトロで貴重な屋上遊園地にある「幸せの観覧車」
外観もレトロな「幸せの観覧車」。屋上には遊具も数種あります
昔はデパートの屋上に遊園地や観覧車があったものですが、現在は数カ所にしか存在していません。そのひとつが東京唯一の屋上観覧車、その名も「幸せの観覧車」です。東急プラザ蒲田屋上の観覧車は昭和43年(1968)に誕生しましたが、東急プラザ蒲田が一時閉店した2014年にクローズし撤去の危機がありました。しかし、多くのファンの声があり、その年の秋にリニューアルし復活。そんな経緯もあり、ネーミングも公募により「幸せの観覧車」となりました。
●東急プラザ蒲田 かまたえん「幸せの観覧車」
- 【高さ】約13m
- 【定員】1台4名×ゴンドラ9台
- 【所要】約3分30秒
- 【制限】なし(未就学児は要付添)
- 【料金】300円
ゴンドラからは都心の風景を見渡せます。親子でぜひ
問合先 | 03-6428-6725 |
---|---|
住所 | 東京都大田区西蒲田7-69-1 東急プラザ蒲田屋上 |
料金 | 【入園料】無料(乗り物は別料金) |
サービスエリアの観覧車から富士山「大観覧車 Fuji Sky View」
昼の絶景はもちろん、夜のイルミネーションも見どころのひとつ
富士山ビューの観覧車はいくつかありますが、このサービスエリアにある「大観覧車 Fuji Sky View」は格別です。富士山までの距離の近さと開放感、ドライブの途中で立ち寄れる手軽さも子連れにはうれしいところ。シースルーゴンドラが8台、全ゴンドラバリアフリーでペットと一緒に乗れるゴンドラも1台あります。
●大観覧車 Fuji Sky View
- 【高さ】約60m
- 【定員】1台6名×ゴンドラ36台
- 【所要】約12分
- 【制限】なし(未就学児は要付添)
- 【料金】700円(3歳未満無料)
前後左右と足元までシースルーのゴンドラは、まるで空中に浮いているような感覚になります
問合先 | 0545-67-0223 (富士川SA「大観覧車フジスカイビュー」営業所) |
---|---|
住所 | 静岡県富士市岩淵字北吉野1500 |
料金 | SA入場は無料(観覧車は上記) |
温泉地の高台にある二層式「フラワーかんらん車」
高台にあるため標高は約240m。絶景を楽しめます
九州の温泉地・別府にある歴史ある遊園地「別府ラクテンチ」に、ユニークな観覧車があります。地上からのびた1本の鉄塔についた長いアームが回転し、その両端にある各10台のゴンドラも回転。二層式の観覧車からは別府の街並みと別府湾が見渡せます。
●別府ラクテンチ「フラワーかんらん車」
- 【高さ】約45m
- 【定員】1台5名×ゴンドラ20台
- 【所要】約14分
- 【制限】なし(6歳未満は要付添)
- 【料金】700円(フリーパスなど利用可)
宝塚ファミリーランドにあった「フラワーホイール」は四層式観覧車。このうちの二層分だけ別府ラクテンチに移設されました
問合先 | 0977-85-8888 |
---|---|
住所 | 大分県別府市流川通り18 |
料金 | 【入園料】大人1300円/3歳~小学生600円/65歳以上900円【のりものフリーパスセット(入園+アトラクション乗り放題)】大人3400円/3歳~小学生2800円(メインゲートにて購入、ケーブルカー往復乗車券付) ※3歳未満無料 |
個性派の観覧車5つはいかがでしたか。今だけのものもあります。ぜひ、乗ってみてください。全国各地に観覧車はあり、その土地土地の風景が楽しめるのが観覧車の一番の楽しみです。観覧車を見つけたら、とりあえず親子で乗ってみるのがおすすめ。家族の素敵な思い出になりますよ。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。