ドルトン東京学園中等部を取材!「学校が楽しい!」と即答する生徒たちが自律的に学ぶ自由闊達な6年間【個性を伸ばす中学校選び】

/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

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中学1年生から高校3年生までが同じグループで過ごす「ハウス」に、自分でやりたいことや、やるべきと思うことを決めてじっくり取り組む「探究ラボ」。科学コンテストなどでも多数入賞経験のあるドルトン東京学園は、まだ創立7年の学校です。
取材時に聞こえたのは「楽しい!」の声。自由度の高いプログラムのもと、どのようにして生徒が過ごしているのか、「るるぶKids」編集部ががくパパと共に取材してきました。

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がくパパ著者:がくパパ
「偏差値だけで学校を選ばない」をモットーに首都圏の中学受験校100校以上を独自に調査し中学受験校を分かりやすく解説しているインスタグラムを運営中。学校が好きすぎて、私立校の講師も経験した学校ヲタク。今は3児(5歳・2歳・1歳)のパパ。
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ドルトン東京学園中等部の基本情報

校舎外観/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

100年以上前にアメリカで生まれた「ドルトンプラン」という教育メソッドを日本の中高で実践するために、河合塾が2019年に開校。「自由」と「協働」を教育理念とした独自性の高いプログラムが多く、開校7年でありながら新進気鋭の中高一貫校として注目を集めています。

住所 東京都調布市入間町2-28-20
アクセス 小田急線「成城学園前駅」より小田急バス:約6分
京王線「つつじヶ丘駅」より小田急バス:約12分
生徒数 中等部327名 高等部266名(2025年4月1日現在)
中高一貫校
タイプ
共学校・完全一貫校
クラス編成 ハウス制(※後述)を採用
文化祭 Dalton Fest/学園祭(11月開催)
Dalton Expo/学習成果発表会(3月開催)
※2026年は3月14日(土)、15日(日)に開催
土曜授業 無し
クラブ活動 運動部8部、文化部4部
※条件を満たせば生徒が主体となって新しい「サークル」を立ち上げることが可能

入試情報

これまで一生懸命取り組んできたことを記載する出願理由書の提出、正解のない問いに取り組む作文など、筆記テストだけではない「思考表現型入試」も行っています。

  • 4科型(国算理社)
  • 英語資格型(国語・算数 + 英検3級以上の資格をスコア化)
  • 2科型(国算/算理)
  • 英語型(出願理由書、英作文、英語面接)
  • 思考表現型(出願理由書、作文、面接)
    ※帰国子女入試も採用

ドルトン東京学園中等部はズバリどんな学校?

異なる学年が混ざり、共に成長しあえる風土

取材に訪れたのは、ちょうど「ハウス」の時間が始まるところ。

ハウスとは、一般的な学校の「クラス」に代わる存在です。ただし大きく違うのは、中学1年生から高校3年生までの6学年が縦割りでひとつのコミュニティを作っていること。D・A・L・T・O・Nの6文字にちなんだ6つの「ビッグハウス」(各約100名)を、さらに4つに分けた「スモールハウス」(各約25名)が日常の活動単位になっています。

この日、あるスモールハウスでは「クリスマスケーキづくり」の真っ最中。

「クリスマスケーキづくり」の様子/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

「コンセプトは?」と聞くと、「好き嫌いせずに食べる、ですね」「ドルトン生のクリエイティビティを表現してます」と、なんともユニークで楽しそうな答え。別のハウスでは「人間すごろく」を中学1年生から高校生まで一緒に制作し、ホールで遊んでいました。

「人間すごろく」で遊ぶ様子/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

一見するとただの遊びに見えるかもしれません。それでもハウスの時間が大切なのは、異学年の存在が「日常」になることで、生まれるものがあるからです。

下級生は、上級生がさまざまなことに取り組むの姿を見て「自分もやってみたい」と自分ごとのように思い、困ったことがあれば気兼ねなく相談できる。上級生は、下級生をサポートすることで「良き先輩」としての自覚が育つ。その循環が学校全体の文化になっているのです。

「ハウス制度は控えめに言っても最高ですよ」と話してくれたのは、今回学校を案内してくれた統括部長の石井先生。

「新入生が入ってきたら、先輩が絶対に可愛がってくれる。それがうちの文化なんです」

その言葉に、石井先生とともに校内を案内してくれた広報部の師岡先生も賛同します。

師岡先生/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

師岡先生。教室からじゃんけんを求める生徒に「あいつはいつもジャンケンしてくる」と嬉しそう

「普通、先輩って怖いじゃないですか。でもここの子たちは、高校3年生と中学1年生が一緒にいても委縮しない。『怖がらなくていいんだよ、一緒に楽しく過ごそう』という空気を、特に先輩たちが作ってくれているからです」

この文化は、開校時に入学した1期生たちが築いてきたもの。ゼロから始まった学校で、1期生は毎年新入生をあたたかく迎え入れてくれた。その積み重ねが、まだ創設7年目のこの学校をかたちづくる、確かな土台になっているようです。

生徒が失敗を恐れずなんでも試せる「自由」と「協働」

生徒さん/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

「ドルトンって楽しいですか?」

お菓子の家を作っていた生徒たちに聞いてみると、間髪入れずに返ってきたのは「楽しいです!」というたくさんの声。
隣で聞いていた師岡先生によると、

「ドルトン生は、学校が好きな子がすごく多いんです。人と関わることも、新しいことを学ぶことも、純粋に楽しめている」

とのこと。

ドルトン東京学園の原理は「自由」と「協働」の2つ。「自由」といっても好き勝手にできるという意味ではなく、「自分で選んでやる自由」「どれだけ深めるかを決められる自由」だそう。最低限やるべきことはちゃんとやりつつ、自分の尖ったところを磨いてほしい──そんな思いが込められています。

もう一つの「協働」は、いろんな人と一緒に学びを広げていくこと。それは同級生だけでなく、先輩や後輩、ときには社会や過去の人々の知恵にもつながっていきます。ハウス制度はまさに、この学校の「協働」にあたるプログラムでもあります。

校則で縛るより、対話で整えるフリーダムの輪郭

チャンバラゲーム大会の様子/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

こちらは複数のハウスが集まって、チャンバラゲーム大会を開催!もちろん生徒が企画進行しています

校内で過ごしている生徒たちの服装は、みんな違います。制服らしきものを着ている子もいれば、私服の子も。

「標準服はあるんですけど、式典の時にしか着ないですね」と石井先生。髪の色も、スカートの丈も、細かく決められた校則はないそうです。

もし、節度を守れずはみ出してしまうような生徒が出てきたらどうするのでしょうか?

統括部長の石井先生/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

一期生の学年主任も担当された、統括部長の石井先生

「もちろん生徒がマナーを守れない時もありますよ。そのときは一緒に話し合うんです。『何が問題だったの?』『これからどうしようか』って。寄り添いながら、一緒に考えていくんですね」

「ダメだから禁止」ではなく、なぜダメなのかを自分で考えて、次にどうするかを決めていく。その繰り返しが、生徒たちの「自由」を支えています。

ドルトン東京学園中等部ならではのカリキュラム

TEAM棟1階の展示場/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

STEAM棟1階の展示場。美術作品がたくさん!

ドルトン東京学園には、他の学校ではあまり見られない独自の仕組みがあります。前述した「ハウス」と、学びを深める「探究ラボ」です。

日常の続きとして置かれている探究ラボ

たくさんのテーマラボ/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

掲示されたたくさんのテーマラボ。テーマは「筋トレ」というユニークな内容も

探究ラボとは、時間割の中に設けられた「自分のテーマに取り組める時間」。教員が用意したテーマラボもあれば、自分でテーマを決めて進めることもできます。

前期・後期でそれぞれ50種類ほどのテーマが用意されていて、起業、海外交流、応急処置、和菓子づくりなど、内容は多岐にわたります。理系・文系という枠ではなく、日常や社会とつながる学びとして開かれているのが特徴です。

「最初は先生が用意したプログラムに参加する子が多いですけど、だんだん自分でテーマを立てたり、外のコンテストに挑戦したりする子も出てきます」

ここでもハウスでの縦割りは大事な役割を果たしていて、コンテストに挑戦している先輩をみて「自分もやってみよう」と後に続いたり、その先輩に相談したり、仲間を募って何か新しいことをはじめてみようと動いたり、さまざまな探究心と行動力に繋がっているとのこと。

ただ、こうした探究活動も、最初から「これがやりたい」と明確なテーマをもつ生徒ばかりではありません。むしろ、何かのきっかけで興味に火がつき、そこから動き出すケースが多いのだそうです。

アジア研修が、生徒の進路意識を“考え始める”きっかけに

「アジア研修」の様子/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

石井先生曰く、入学時から将来のことまで考えている生徒は、1割程度に留まるとのこと。1期生たちも例外ではなかったそうですが、そんな生徒たちの転機になったのが、高校1年生のカリキュラムである「アジア研修」でした。

インドやスリランカなど、普通の学校生活ではなかなか行くことのない場所で、現地のリアルな社会に触れます。

「すごく効果がありました。たとえば、それまで社会情勢について深く考えることのなかった子が、インドのスラムを見てショックを受けて。その後、自分でインドのバーチャルツアーを企画してしまった、そういう事例がいくつもあります」

「アジア研修」の様子/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

体験が自分ごとになると、探究ラボでのテーマ設定も変わってくる。受け身ではなく、「自分はこれを深めたい」という意志が生まれてくるのだそうです。

実は、がくパパは以前「ドルトンExpo」という学びの成果発表をおこなう催しに足を運んだことがあります。そのとき印象的だったのが、アジア研修から帰ってきた生徒たちの学年発表。スリランカの紅茶のことを熱心に教えてくれる姿を見て、体験が「自分の言葉」としてちゃんと残っているんだな、と感じました。

普段では行けない場所に行くからこそ、価値観が揺れて「自分はどうしたい?」を考え始める。その気づきが、日々の探究活動にもつながっていくのですね。

ドルトン東京学園中等部に伺う「面倒見の良さ」とは?

校内には、生徒たちが受賞した賞状や成果の一部があちこちに

ここまで読んで、「自主性を重んじているがゆえに、うまく探究ラボやカリキュラムに取り組めない子はどうなるのだろう」と感じた方もいるかもしれません。では、ドルトンの先生たちは生徒たちをどう見守っているのでしょうか。

先回りしない、でもただ放っておくわけではない

「面倒見はいいですか?」と聞くと、石井先生はこう答えました。

「生徒の先回りはしないですね。いろいろやらせて、失敗させてみる。失敗したらそのフォローはちゃんとする。そういう種類の面倒見の良さがあります」

たとえば、探究ラボの時間にゲームをしている子もいるそうです。でも先生は禁止するのではなく、「あの課題終わった? 締め切り近いんじゃない?」と声をかける。すると生徒は「今ちょっと休憩です」と返してくる。そんなやりとりの中で、子どもたちは自分でペースを掴んでいくのだそう。

「『逐一管理してくれる』という意味での面倒見はないかもしれません。でも、コミュニケーションはしっかり取ります。困ったときにどうするかを一緒に考えて、次にどうするかを落とし込んでいく。そういうスタンスですね」

生徒を見守る先生が多い

ドルトン東京学園は、正直なところ学費は他の私立中学校に比べても高めです。でも、その理由を聞いて、納得しました。

「単純な話で、生徒のためには教員がたくさん必要だからです」

生徒600人に対して、教員は70人以上。生徒約6〜7人につき1人の割合で、専任の先生がいる計算になるから驚きです。

「授業だけじゃなくて、ハウスを通して子どもたちを見守っていく。そのための体制が大事だと思っているから人もたくさん必要で、その分のお金はかかってしまいます」

先進的なSTEAMや探究のプログラムが目を引きますが、その根幹にあるのは「マンパワー」。子どもに任せる場面でも、放任にならず見守れる大人がすぐそばにいる。それがドルトンを取材している最中にずっと感じていた、生徒たちののびのびとした空気に繋がっているのかもしれません。

ドルトン東京学園ならではの施設を紹介

吹き抜けになっている教室棟の大階段/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

吹き抜けになっている教室棟の大階段。とても開放的な雰囲気

ドルトン東京学園は先生の数だけでなく、もちろん学びの環境も充実しています。取材中に見学した施設の中から、特に印象的だった場所を紹介します。

サイエンス・ラボラトリー

サイエンス・ラボラトリー/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

2年前に新設されたSTEAM棟3階にあるサイエンス・ラボラトリー。物理室・化学室・生物室からなる3つの実験室と講義室、そして中央エリアの「サイエンスセンター」には理科に関わる展示や機材がずらりと並んでいます。

「理科の授業も、自分でどの順番にやるか決められるんです。地学から始める子もいれば、物理から始める子もいる」と師岡先生。

サイエンス・ラボラトリー/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

放課後になると、3Dプリンターで何かを作っている子や、化学の実験を続けている子がいるそう。大学の研究室みたいに、好きな子がこもってしまうことも多々あるのだとか!まさに「遊びながら学んでいる」という言葉がぴったりの空間です。

ちなみに廊下には、生徒たちが理科の授業で取り組んだ研究成果がポスター形式で貼り出されています。「ミジンコを食べる」というユニークなテーマも。中学生は自分で研究テーマを決め、半年かけてまとめます。

ラーニングコモンズ

ラーニングコモンズ/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

STEAM棟の2階にあるラーニングコモンズは、思わず「ここで仕事したい」とつぶやいてしまうような空間。

本棚に囲まれたラウンジエリア、グループで使える円卓、一人で集中できる窓際のブース。図書の司書教諭が中心になってつくりあげたこの場所で、生徒たちは放課後にレポートを書いたり、音楽を聴きながら勉強したりしています。

ラーニングコモンズ/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

「私も教員室より、ここやいろんな場所で仕事していることが多いですね」と師岡先生。先生も生徒も、それぞれの心地よい場所を見つけて過ごせるのも、ドルトンらしさです。

スマートストア

スマートストア/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

校内にはNTTと生徒との共同研究から生まれた無人コンビニがあります。お弁当を買って教室で食べる生徒も多いそう。企業とのコラボレーション、そして生徒の探究活動の成果が「施設」という形になることもある。ドルトンらしいユニークな一面が見える場所でした。

どんな子が向いている?

  • 正解を急がず、試しながら見つけていける子
    まだ好きなことが見つかっていなくても大丈夫。探究ラボだけでも50種類以上のテーマがあり、やってみて違えば別のことを試せる環境です。
  • 異学年や多様な人の中で育つのが心地よい子
    同級生だけでなく、先輩や後輩と日常的に関わるのがドルトンの日常。それを「面白そう」と感じる子には居心地のいい場所になるはずです。
  • 自由を怖がらずに扱える家庭(親子の相性)
    子どもより保護者の方が「こんなに自由で大丈夫?」と心配になりがち。6年間で必ず成長すると信じて待てるかどうかが、一つの判断軸になりそうです。

先生が伝える学校選びのアドバイス

お茶目な石井先生と師岡先生!/ドルトン東京学園中等部(東京都/調布市)

お茶目な石井先生と師岡先生!

「説明会やイベントに来てもらえれば、うちの良さは十分伝わると思います」と石井先生。
ただし、ただ見るだけではもったいない。先生がすすめるのは、生徒に話しかけてみることです。

「その辺にいる子に『どんな学校?』って聞くだけで、いろいろ喋ってくれますよ。前に出ている子でも、手が空いていそうな子でも、男子でも女子でも誰でもオープンに話してくれます」

どこを見ればいいかというよりも、「人」を見てほしい。生徒と会話すると、その学校の本質が見えてくる──そんなアドバイスでした。

保護者へのメッセージ

石井先生の言葉で、とくに心に残ったものがあります。

「ドルトンに入学したら、とにかく待ってください、って言うしかないですね」

1期生を見守ってきた6年間。「2年目、3年目、この教育方針だとこの先厳しいかな」と思った時期もあったそうです。でも最後には、それぞれが自分なりの道を見つけて巣立っていった。

「いわゆる基礎学力が足りないんじゃないか、という不安はありました。でも彼らは、自分の得意なところを持っていて、それを認めてくれる人が一定数いた。だから、ちゃんと『ここがいい』と思える場所に進んでいけたんです」

先回りして整えるのではなく、成長のタイミングを信じて待つ。それは親にとって、とても難しいことかもしれません。でも「待つ」ことの先に、子どもの成長がある。新設時から6年間、ずっと生徒たちを見守ってきた石井先生だからこその重みある言葉です。

なかなかやりたいことが見つからない子も、将来がちょっと不安な子も、この学校なら大丈夫。たくさんの先生や先輩・後輩・同級生たちが、この6年間で大きく成長させてくれる。そう思わせてくれる学校でした。

<がくパパの取材コメント>

取材中、何度も目にしたのは、生徒たちが先生に無邪気に手を振る姿でした。廊下ですれ違えば「じゃんけん!」と声をかけてくる。お菓子の家を作りながら「楽しいです」と即答してくれる。

正直、最初は「本当にこれで大丈夫なの?」と思う瞬間もありました。でも取材を終えて感じたのは、「学校が楽しい」と思える6年間は、きっと強い土台になるということ。

学びの成果ももちろん大切です。でもその前に、毎日通う場所が安心できて、楽しいと思えること。それがあってこそ、子どもは自分から動き出せるのかもしれません。

お子さんに合う学校かどうか、ぜひ一度足を運んで確かめてみてください。