知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
大阪市の中心部・中之島公園に2020年7月にオープンした「こども本の森 中之島」(以下、本の森)。水辺にある公園内でひときわ目を引くスタイリッシュな建物は、建築家の安藤忠雄氏の設計・寄贈によるもの。「子どもたちに豊かな感性を育んでほしい」との思いが込められた館内は、ゆったりとした3フロア分の壁すべてが本棚になっていて、蔵書数は約2万冊と圧巻です。赤ちゃんが楽しめる絵本から大人向けの本まで、多彩なジャンルを誇る本の森に、ぜひ親子で出かけてみませんか?
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
こども本の森 中之島で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック!こども本の森 中之島では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見ていきましょう。
入館無料!子どもたちが気がねなく楽しめる、本の森
弓なりに伸びる、コンクリート打ちっぱなしの外観が目印
大阪市の中心部に流れる堂島川と土佐堀川とにはさまれた、美しい水辺にある中之島公園。重要文化財として知られる大阪市中央公会堂や東洋美術館などが建ち並び、古くから大阪文化の中心地として親しまれてきました。この地に新たな「物語の聖地」としてオープンした文化施設が「こども本の森 中之島」です。
まずは、こども本の森 中之島へのアクセスをご紹介します。混雑を避けるため、当面の間は平日・土日祝日にかかわらず入館は事前予約が必要です(詳しくは公式サイトをご確認ください)。
【電車】
- 京阪中之島線「なにわ橋駅」3号出口すぐ
- 地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」1号出口、地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜駅」26号出口から約400m(東洋陶磁美術館 東側)
※駐車場なし/公共交通機関をご利用ください。
全面が本棚で囲まれた三層吹き抜けの空間
建物内に入ると、まず驚くのは壁一面に並べられた本の多さ!3フロアの壁面全部が本棚になっていて、子どもたちが大好きな絵本や児童書を中心に、多彩な書籍が迎えてくれるのです。
「お気に入りの一冊を見つけてくださいね」(前川館長)
「子どもたちに本から広がる世界を見つけてほしい」と語る、前川千陽(ちはる)館長。来館者に自ら読み聞かせを行うこともある、まさに本のスペシャリスト。館内で見かけたら、気軽に声をかけてみましょう。
安藤忠雄氏設計!洗練された建物まるごとを楽しもう
階段に腰かけての読書も大歓迎!©伊東俊介
「読書は心の栄養になる。この国のこれからを支えていく子どもたちに、豊かな感性を育んでほしい」。この場所には、設計を手掛けた安藤氏のそんな願いが込められています。
エントランスで迎えてくれる「青いりんご」
入り口のテラスでひときわ目を引く大きな大きな青いりんごは、米国の詩人サムエル・ウルマンの「青春」をモチーフにしたもの。「若さとは、年齢でなく心の持ちようだ」というメッセージに共感した安藤氏自身がデザインしたオブジェです。「挑戦心にあふれる青春のシンボルとして多くの人に触れてほしい」との思いを感じながら、ぜひ記念撮影を。
2階から3階へ、温かみのある大階段はまるで大きな木の根っこのよう。読み聞かせなどのイベント時には、この階段に小さなクッションを敷き詰めて、観客席に早変わりです。ズラリと並ぶたくさんの本はもちろん、広々とした空間そのものが、子どもたちにとってワクワクする体験です。
本棚と本棚の間、館内のいたる所に大きな窓があり、明るい光を感じられる工夫がされています。目の前をゆったりと流れる堂島川を見ながら、非日常のひとときを。
館内のあちらこちらで、読みきかせを楽しむ姿が見られます
2階の窓越しに見える青いりんご
開放感たっぷりの空間で、ぜひお気に入りの席を見つけてみましょう。春と秋には、眼下に広がる中之島バラ園のバラにも癒やされますよ。
独自の12テーマで展示!お気に入りの一冊を自由な席で
「1 自然とあそぼう」から「12 こどもの近くにいる人へ」まで計12テーマ。さまざまなジャンルの本を子どもたちの日常生活や好奇心に寄り添うよう、独自のテーマにわけて並べています。
例えば、「3 動物が好きな人へ」の棚では、犬や猫など身近なペットからライオンやクジラ、世界各地の生き物まで。陸、海、空、過去、未来の生きとし生けるものに関する物語や図鑑が並びます。「5 食べる」は、レシピやマナーブック、食べものに関する絵本、食育本など、あらゆる角度から日々の「食べる」ことについて考える本がそろっています。
館内の本棚は安全のため、下から5段目より上にある本は固定されていますがご安心を。同じ本が一番下の段にまとめて置いてあるので自由に手にとることができますよ。
表紙が見えるように並べられた「面出し」でワクワクしながら本選びを
階段奥にある、少し奥まったスペースはまるで屋根裏部屋のよう!?ズラリと並ぶ引き出しにも、本が収納されているんです。
親子でお気に入りのスペースを見つけましょう
カラフルな表紙を見ながら「あれ、読みたい!」
ピンポイントでお目当ての本を探しに来るのもいいですし、色とりどりの表紙をじっくり眺めながら「これだ!」と思う一冊を見つけてみるのもいいですね。本に関するおたずねごとは、スタッフまでお気軽に。
入り口の左手にある「あの人の本棚」は、とっておきのスペース。ここでは、こども本の森にゆかりのある方々の本を定期的に紹介していきます。トップバッターは、本の森・名誉館長である山中伸弥さんの本棚。今後は、絵本作家の安野光雅さん、宇宙飛行士の毛利衛さんなどが読んできた本、おすすめする本が並ぶ予定ですのでお楽しみに。
本を好きになる工夫がいっぱい!ワクワクが詰まった空間
本棚の前に浮かぶように掲出された大きな立体文字は、さまざまな本の中から印象的な短文を抜き出したもの。一文にふと目をとめ、まだ出会っていない物語を読むきっかけになればという、本の森ならではの気配りが感じられますね。
「おれは、100万回もしんだんだぜ!」は、時代を越えて愛される絵本「100万回生きたねこ」からの一文
1階の奥、コンクリートに囲まれた不思議な円筒の空間が休憩室になっています。ここでは、「魔女の宅急便」「星の王子さま」など、子どもたちが大好きな物語の一部を上映しています(毎時4回)。
静寂に包まれた壁にほんのりと映し出されるのは、4つの本から切り取られた「本のかけら」。絵や言葉が長細い空間を自由自在に動き回り、子どもたちを物語の世界へといざないます。
館内で読んだ本は棚に戻さず、かごの中へどうぞ。どんどん手にとって読んでみましょう!
赤ちゃんも大歓迎!親子で安心して過ごせるひととき
授乳室・調乳室(1階)
館内には授乳室があり、おむつ替え台なども設置されていますので、赤ちゃんの授乳やおむつ交換も気がねなく。ベビーキープ(チェア)も館内3カ所(1階・3階トイレ)に。ちょっとした着替えにも便利なベビーシートは館内2カ所のトイレ内(1階多目的トイレ、1階女子トイレ)に設置されています。
補助便座は館内すべてのトイレに。男児向けこども用トイレは館内2カ所(1階・2階トイレ)に設置
入り口のベビーカーパーキング
抱っこひもやベビースリングを使用して、赤ちゃんも一緒に本選び。「赤ちゃんが泣いてもあたたかく見守ってもらえた」「自分たちのペースで安心して本が読めました」と、居心地のよさがファンを魅了しています。
ママと一緒に大好きな絵本に囲まれる至福のとき
グッズも豊富!「青リンゴアメ」は人気ナンバー1
「青リンゴアメ」324円
窓越しの光が心地よい「本の森ショップ」は、入り口の左手に。文房具からお菓子、生活雑貨までかわいくてオシャレなアイテムが並びます。ここでしか買えない完全オリジナルで、来館の記念やちょっとしたプレゼントにと大好評です。
一番人気は、エントランスの大きなオブジェにちなんだ「青リンゴアメ」(324円)。輪切りのパイナップルのような「パインアメ」で親しまれる、大阪創業のパイン株式会社とのコラボで誕生しました!
オリジナルのパッケージがかわいい「クーピーペンシル」(10色/1100円)
「Tシャツ」(KIDS110/130 各2420円、M/L 各2970円)
子どもから大人まで、サイズ展開が豊富なTシャツは、ピクトグラムを配置したシンプルなデザインで幅広い世代から人気。他にも、メモ帳やマスキングテープ、ハンドタオルやマグカップなど、充実のオンラインショップもぜひチェックしてみて!また、安藤忠雄氏のサイン入り著書『いたずらのすきなけんちくか』も数量限定で好評評販売中です。
※価格はすべて税込み
大阪府下はもちろん、他府県からのリピーターも多い「こども本の森 中之島」。壁いっぱいに並べられた多彩な本と趣向を凝らした空間は、訪れるたびに新しい発見がいっぱい。子どもの感性を大切にしながら、大人も一緒にワクワクを体感することができます。中之島公園の自然も満喫しながら、親子でお気に入りの一冊を見つけてくださいね。
■新型コロナウィルス感染予防対策として
- 当面の間、すべて事前予約制による入館制限を実施中(1回あたりの定員は75名)。
- 予約はwebのみ(電話での受付は不可)、人数は5名まで。
- マスクの着用、アルコール消毒液による手指の消毒とサーモグラフィによる検温、スタッフによる健康状態の確認等に協力しましょう。
- 他の入館者とは間隔(約2m程度)をあけて、会話等はなるべく控えましょう。
- その他の対策や最新情報はおでかけ前に公式サイトでご確認ください
こども本の森 中之島
問合先 | 06-6204-0808 |
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住所 | 大阪市北区中之島1丁目1-28(中之島公園内) |
開館時間 | 9時30分~17時 |
休館日 | 毎週月曜(月曜が祝日の場合は開館、翌平日は休館)、蔵書整理期間・年末年始 |
入館料 | 無料 ※入館方法は公式サイトを要確認 |
駐輪場 | 33台 |
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『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。