かっこいい車両や機能的な車両、日本ではたくさんの種類の車両が走っています。そんな鉄道車両が、どのようにして作られているのかご存じですか?
今回は、鉄道の製造開発担当者に直撃!7月15日のデビュー以来、大人気となった東武鉄道の新型特急電車「スペーシア X」の開発担当者に、車両ができるまでの流れを教えてもらいました!
この記事は、『JTB時刻表9月号(8月25日発売)』を抜粋・一部加筆のうえ掲載しています。
スペーシア Xの乗車レポートはこちら
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【電車の製造その1】「スペーシア X」は企画からデビューまで約4年!
日本では、電車の設計・製造は基本的にオーダーメードで行われています。
「スペーシア X」の場合は、先代の「スペーシア」の営業運転開始から33年ぶりのフラッグシップ特急として東武鉄道が開発を企画し、日立製作所が設計・製造を行いました。東武鉄道で車両製造開発を担当する岡田敏英さんは、「2019年に企画を開始してから営業運転開始までには、約4年かかりました」と話します。新型車両を作るということは、会社にとって大きなプロジェクトなのです。
「スペーシア X」の初期のデザインスケッチ(東武鉄道提供)
【電車の製造その2】製造に入る前の計画が大切
「スペーシア X」の開発を担当した東武鉄道車両課の岡田敏英さん
鉄道会社は、新しい電車の導入を決めたら、必要なスペックなどを「仕様書」と呼ばれる書類にまとめ、複数の車両メーカーに提示。車両メーカーは、その内容を反映したデザインや価格などを鉄道会社に提案して、鉄道会社が製造会社を決めます。
その後、鉄道会社と車両メーカーでは定期的に「設計会議」を行いながら、さらに細かい仕様を決定し、いよいよ製造へ。設計会議で決めたことが車両性能を左右するので、とても重要な段階なのです。
【電車の製造その3】車両工場での製造は最新技術と職人技で
日立製作所笠戸事業所で製造途中の「スペーシア X」(東武鉄道提供)
「スペーシア X」は、山口県にある日立製作所笠戸事業所で製造されました。大まかな工程としては素材加工・部品組立→構体(車体)組立→塗装→艤装(ぎそう/構体と台車に、機器や内装材を取り付けること)→台車入れ→検査・試走→完成、となります。
各工程に最新技術が採り入れられると同時に、職人技による技術が生かされています。さらにデザインにもこだわったことで、性能も見た目も高品質な車両が出来上がるのです。
【電車の製造その4】完成したら鉄道会社へお届け!
日立製作所から輸送される「スペーシア X」(東武鉄道提供)
完成した車両は、車両メーカーから鉄道会社の車両基地へと輸送して納品されます。「スペーシア X」の場合は、山口県の工場から埼玉県の栗橋駅まで、JRの貨物列車として日立製作所が輸送。そのあと東武鉄道に引き渡され、南栗橋車両管区までやってきました。
その後、鉄道会社は運転士のトレーニングも兼ねて新しい電車の試運転を行うほか、あらゆる確認を行い、ようやく営業列車として投入されるのです。
(東武鉄道提供)
「スペーシア X」は、7月15日、浅草駅で華やかに出発式が行われました。日光・鬼怒川に出かける際には、ぜひ家族で乗ってみてください。
『JTB時刻表』9月号では「スペーシア X」ができるまでの様子や車内の見どころを一挙紹介!
『JTB時刻表9月号(8月25日発売)』の巻頭特集では「スペーシア X」ができるまでの工程を、東武鉄道の車両開発担当者に直撃取材。当記事よりさらにボリュームアップしてお届けしています!さらに車両のデザインやシート、設備の注目ポイントをご紹介。他にも東武鉄道オリジナルグッズのプレゼントキャンペーンもおこなっているので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。