雲の種類は10種類ある!それぞれの特徴・高さ・天気との関係を解説!【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

雲の種類は10種類ある!それぞれの特徴・高さ・天気との関係を解説!【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

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秋は空が青く澄んでいて、雲がとても美しく見える季節です。さらにさまざまな形の雲が現れやすいので、子どもと一緒に雲を観察するのにぴったり! 雲は何種類あり、どんな名前がついていて、どんな特徴があるのか、また天気との関係は? ママ気象予報士の今井明子さんがわかりやすく解説します。

目次(index)

サイエンスライター・気象予報士 今井明子さんサイエンスライター・気象予報士 今井明子さん
京都大学農学部卒。2児の母。天気の話を中心に、生き物や自然にまつわる記事や書籍を多数執筆。気象科学館の解説員や防災講師、親子向けお天気実験教室の講師なども務める。著書に、「面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ」(産業編集センター)、「こちら、横浜国大『そらの研究室』! 天気と気象の特別授業」(共著、三笠書房知的生き方文庫)などがある。

雲の種類の区別の仕方~形と高さに注目!~

雲には薄っぺらいもの、モコモコとしているもの、どんよりと暗いもの、白くて透き通っているものなど、さまざまな色や形があります。これらは、その形とできる高さで大きく10種類に分けられます。このような雲の分類の仕方を「十種雲形(じゅっしゅうんけい)」と言います。また、雲の高さは上層(5000~13000m)、中層(2000~7000m)、下層(2000m以下)の3種類に分けられます。

雲の10種類(十種雲形)を解説

では、それぞれの雲について詳しく説明しましょう。雲の正式名称と通称も紹介していきますが、通称の方がみなさんにとっては馴染みがあるかもしれませんね。

巻雲(けんうん)
  • 正式名称:巻雲(けんうん)
  • 通称:すじ雲(すじぐも)
  • 高さ:上層(5000~13000m)

空の高いところにでき、透き通った白い色の雲。鳥の羽根のような形のものや、チョークで黒板に線を引いたかのような形のものなど、さまざまな形をしています。

巻積雲(けんせきうん)

巻積雲(けんせきうん)
  • 正式名称:巻積雲(けんせきうん)
  • 通称:うろこ雲(うろこぐも)、いわし雲(いわしぐも)、さば雲(さばぐも)
  • 高さ:上層(5000~13000m)

空の高い位置にでき、白くて薄いです。うろこのように小さくて丸い形の雲が並びます。人差し指を空にかざすと、ひとつの雲のかたまりが指先で隠れます。

巻層雲(けんそううん)

巻層雲(けんそううん)
  • 正式名称:巻層雲(けんそううん)
  • 通称:薄雲(うすぐも)
  • 高さ:上層(5000~13000m)

空全体に広がった薄い雲です。雲越しに太陽や月が見え、太陽や月のまわりには「暈(かさ)」と呼ばれる丸い形をした光の環ができます。

高積雲(こうせきうん)

高積雲(こうせきうん)
  • 正式名称:高積雲(こうせきうん)
  • 通称:羊雲(ひつじぐも)、むら雲(むらくも)
  • 高さ:中層(2000~7000m)

モコモコとした形の雲の塊が並びます。巻積雲と似ていますが、巻積雲よりも雲の塊が大きく、空にかざした人差し指の指先からはみ出ます。また、雲に陰影があるので巻積雲の雲の塊よりも立体的に見えます。

高層雲(こうそううん)

高層雲(こうそううん)
  • 正式名称:高層雲(こうそううん)
  • 通称:おぼろ雲(おぼろぐも)
  • 高さ:中層(2000~7000m)

空全体を覆いつくす、やや分厚い雲です。太陽や月は雲越しにぼんやりと見えますが、暈はできません。

乱層雲(あまぐも、ゆきぐも)

乱層雲(雨雲、雪雲)
  • 正式名称:乱層雲(らんそううん)
  • 通称:雨雲(あまぐも)、雪雲(ゆきぐも)
  • 高さ:下層~中層(数百~6000m) ※雲の頂上は10000m以上になることもある

どんよりと暗い、灰色の雲で、静かな雨や雪を降らせます。

層積雲(そうせきうん)

層積雲(そうせきうん)
  • 正式名称:層積雲(そうせきうん)
  • 通称:うね雲(うねぐも)、くもり雲(くもりぐも)
  • 高さ:下層(2000m以下)

空の低いところにできる大きな塊の雲です。隙間なく並んでどんよりとした曇り空になることもあれば、大きな雲の塊どうしの隙間から青空がのぞくこともあります。

層雲(そううん)

層雲(そううん)
  • 正式名称:層雲(そううん)
  • 通称:霧雲(きりぐも)
  • 高さ:下層(2000m以下)

最も低い場所にできる雲です。この雲が地面すれすれにできると霧と呼ばれます。

積雲(せきうん)

積雲(せきうん)
  • 正式名称:積雲(せきうん)
  • 通称:わた雲(わたぐも)
  • 高さ:下層(2000m以下) ※雄大積雲の場合は2000m以上になることも

晴れた空に浮かび、綿のような形をした雲です。この雲が発達すると雄大積雲(入道雲)になり、さらに発達すると積乱雲(雷雲)になります。

積乱雲(せきらんうん)

積乱雲(せきらんうん)
  • 正式名称:積乱雲(せきらんうん)
  • 通称:雷雲(らいうん、かみなりぐも)、かなとこ雲(かなとこぐも)
  • 高さ:下層~上層(2000m以下~13000m)

とても背が高い雲で、てっぺんが平らになっているものは「かなとこ雲」と呼ばれます。大雨、雷、ひょう、竜巻などの突風をもたらします。ものすごく分厚いので、頭の真上に来ると空が暗い灰色になります。

雲の種類を覚えるコツを解説!

十種雲形は小学5年生の理科で学習しますが、たくさんあって覚えきれないですよね。そこで、歌とダンスで楽しく覚えられる動画をご紹介します。当記事の監修をつとめるママ気象予報士・今井明子さんが所属する気象予報士のグループ「サニーエンジェルス」が制作したものです。ぜひ親子で一緒に歌って踊ってみてください!

サニーエンジェルス「おそらのくものうた」

雲に関するよくある質問

地震を知らせる「地震雲」って本当にあるの?

大きな地震の前に空に奇妙な形の雲が出ていたとき、「あれは地震の前触れだった」「地震雲が出ていた」と話題になることがよくあります。特に地震雲といわれやすいのは、まっすぐに立っているようにみえる飛行機雲や、天気の下り坂のときにできるレンズのような形のレンズ雲、UFOのような形の吊るし雲、そして波打ったような形の雲などが挙げられます。これらの雲がどうやってできたのかは、空気の流れという側面からは説明できます。しかし、地震雲がどのような雲で、地震とはどのような関係で現れるのかは、まだ科学的には説明できていません

雲を見て、天気予報をしてみよう

雲を見れば空気の湿り具合や空気の流れがわかるので、天気予報ができます。特に昔は今のような天気予報がなかったので、農業や漁業など自然と深くかかわる仕事をしている人たちは、このように空や風向き、そして生き物の行動を見て天気を予想してきました。これを「観天望気」といいます。

今回は、観天望気の中でも雲にまつわる代表的なものを紹介。このほかにも、日本各地には、「〇〇山にロールパンのような形の雲がかかると強い風が吹く」などの地域ならではの言い伝えがあり、どれもよく当たります。空に浮かぶ雲の形をヒントに、お子さんと一緒に天気予報をしてみませんか?

暈(かさ)が出れば天気は下り坂

暈が出ているということは、巻層雲が出ているということです。巻層雲は、低気圧が近づくと出る雲です。薄い雲がだんだんと分厚くなり、そのうち雨が降り出します。暈が出てから1~2日後に雨が降ることが多いようです。

飛行機雲が出れば天気は下り坂

空を飛ぶ飛行機のおしりから出ている雲は飛行機雲と呼ばれます。この飛行機雲は、空気中に水蒸気が多く含まれているとできます。特に、飛行機雲がなかなか消えずに太くにじんでいくようなら、天気は下り坂で、数日後に雨が降るかもしれません。

山頂に笠のような雲が現れると次の日は雨

富士山など、独立した山の頂上に笠をかぶったような形の雲ができることがあります。これは、湿った風が山に向かって吹き続けているときにできる雲です。湿った空気が山の斜面を駆け上るときに雲ができ、頂上を越えて斜面を駆け下りると雲が消えるので、山頂にだけ雲ができるのです。空気が乾燥しているときは雲ができないので、笠のような雲は天気が下り坂になるサインとなるのです。

雲の行き違いは暴風雨

空の高いところの雲と、低いところの雲が反対方向に流れているときのことを「雲の行き違い」といいます。これは空の上層と下層で違う方向の風が吹いているから起こります。低気圧や台風が接近していると、このような現象がみられることがあります。

身近なものでお天気実験!ペットボトルで雲を作ろう

身近なもので天気の仕組みがよくわかる実験を紹介します。今回はペットボトルで雲を作る実験です。簡単なので家でもぜひやってみてください。自由研究にもおすすめですよ。


▼おでかけ前や自由研究に役立つ「天気のきほん」全シリーズはこちら!

» 6月:「梅雨」とは?梅雨前線が出来る仕組み・集中豪雨から身を守る方法
» 7月:「ゲリラ豪雨」とは?急な大雨の原因や仕組み、災害から身を守るコツ
» 8月:「雷」が発生する仕組みとは?雷の種類、よくある勘違いも解説
» 9月:「台風」とは?できてから消えるまでの仕組み、夏から秋に日本くる理由
» 10月:「雲」の種類は10種類ある!それぞれの特徴・高さ・天気との関係、実験動画も!
» 11月:「霧」とは?霧ができる発生条件・原因と種類を解説。雲海との違いも
» 12月:「木枯らし」とは?意味や木枯らし1号・「西高東低の気圧配置」について
» 12月:「高気圧」と「低気圧」とは?空気の力を実感できる実験動画も
» 1月:「雪」はなぜできるのか、なぜ降るのか?雪の結晶をつくる実験動画も
» 2月:「寒暖差」は季節の変わり目になぜおきる?天気予防の活用術も
» 2月:「蜃気楼」とは? 起こるしくみや見える気象条件は? 実験動画も
» 3月:「虹」はどうやってできる?七色になるしくみや虹の種類を解説
» 4月:空はなぜ青い?夕焼けはなぜ赤い?雲はなぜ白い?多彩な「空の色」のヒミツ