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11/8は「いい歯の日」!歯の生え変わり時期、歯並び、虫歯などの気がかりを解決!健康な歯を育てる「3つのポイント」も

11/8は「いい歯の日」!歯の生え変わり時期、歯並び、虫歯などの気がかりを解決!健康な歯を育てる「3つのポイント」も

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乳歯から永久歯への生え変わりや歯並び、虫歯など、子どもの歯には気がかりがいっぱい。
歯磨きをきちんとする、食事に気をつけることはとても大切ですが、歯の健康は、実はお口だけの問題ではないようです。小児歯科としてたくさんの子どもたちの歯を診てきた鈴木さち代先生に、健康な歯をつくるアドバイスをいただきました。

※当記事は2023年12月1日の取材に基づき編集いています。

鈴木さち代先生(さちこども歯科院長)鈴木さち代先生(さちこども歯科院長)
北海道大学歯学部卒業後、鶴見大学歯学部小児歯科学教室に入局。在籍中、府中療育センターなどの障がい児の診療にも従事。2000年、川崎市高津区で小児専門の歯科医院、橘こども歯科医院を開設。2018年、川崎市中原区に移転し、医院名をさちこども歯科に変更。日本小児科学会認定専門医。

目次(index)

乳歯から永久歯に生え変わる時期はいつ?

何歳ごろから生え変わる? 遅い場合の目安は?

一般的に生え変わりは5歳ごろから始まり、12歳くらいで終わります。ただ最近はバラつきも見られます。4歳ぐらいから始まり、乳歯が全部抜けるのが13~14歳くらい、永久歯が生えそろうのが15~16歳くらいの場合もあります。

基本的に乳歯が生えているのであれば、永久歯に生え変わるものなので、見守っていて大丈夫。受診したほうがいい目安をあえて言うとすれば、「ママやパパが心配であれば」受診したほうがいいでしょう。歯医者さんを受診するだけでなく、保健所の保健師さんや栄養士さんに相談するのもいいでしょう。もっとも大切なのは、ママパパが気がかりなく過ごせること、です。

なお、先天的な原因で歯が生えてこない「無歯症」のお子さんはゼロではありませんが、確率としてはとても低いです。いずれにしても、心配な場合は歯科医に相談をすることが大切です。

乳歯の数と永久歯の数はそれぞれ何本?もし数が違ったら?

基本的に乳歯の数は20本、永久歯の数は28本。永久歯の場合、親知らずがあればプラス4本で32本です。

●歯の数が少ないケース

乳歯の数が違うケースに、「癒合歯(ゆごうし)」があります。本来2本で生えてくるはずの歯がくっついて1本になっているものです。癒合歯があると乳歯の数は少なくなります。癒合している箇所によっては、永久歯も癒合歯になりやすいことがあります。

永久歯の場合、「先天欠如」といって、何らかの理由で永久歯が作られず欠損しているケースもあります。どのタイミングで見つかるかにもよりますが、永久歯の本数が少ないかどうかについて知りたい場合は、かかりつけの歯科医に相談しましょう。

●歯の数が多いケース

逆に、数が多いこともあります。乳歯や永久歯の数が多く生えてきた歯のことを「過剰歯」といいます。過剰歯は統計的には男の子の方が多めに見られます。過剰歯が見つかった場合は、歯科で抜歯するのが基本です。詳しい方法やタイミングなどについては、かかりつけの歯科医に相談しましょう。

歯並びを良くするには?

乳歯の時期から歯並びのためにできること

「指しゃぶりをしていると歯並びが悪くなる」と言われることがあります。実際、ママたちからもよく質問を受けます。たしかに指しゃぶりは歯並びに無関係ではありませんが、ほかの原因もたくさんあります。

実は歯並びは、生活習慣や筋肉の使い方、その子の性格など、ありとあらゆるものが影響します。歯は体の成長の表れ。歯並びが悪いと、歯だけをなんとかしようと考えがちですが、普段の生活での親子の関りが実はとても大切です。乳児期に大切なのは、子どもの歯や口をよく観察すること。そして、健康な歯をつくる生活習慣を心がけること。ぜひやってほしい「3つの生活習慣」について、後ほど詳しく説明しますね。

歯が重なって生えてきた、曲がって生えてきたら? 受診するべき?

気になるのであれば、ぜひ受診をしましょう。見守って良いケースなのかどうかがわかれば安心ですし、実は過剰歯があることがわかったりするケースもあります。

「気になる」ということは、親がお子さんの口に向き合えている証拠です。気づかれない歯はケアされにくいため、虫歯にもなりやすいでしょう。お子さんの口の変化に気がつけることは、健康な歯が育つための第一歩なのです。ぜひ前歯だけでなく、奥歯までしっかり見てください。

仕上げ磨きは何歳まで?

  

小学校に入学するタイミングで仕上げ磨きをやめてしまう親御さんもいますが、この時期はもっとも虫歯になりやすい「6歳臼歯」が生える時期。6歳臼歯とは、5〜6歳ごろに生えてくる、奥歯の永久歯です。6歳臼歯が生えたことに気づかず、ケアを怠ると虫歯になることがあります。ですから、この時期こそしっかり仕上げ磨きをしましょう。

一人でできることが増えてくるタイミングではありますが、口の成長期=体の成長期です。体が一気に成長するときは心も不安定になりがちなので、仕上げ磨きを通して、口の中を見ることでお子さんとのかかわりを持ち続けてほしいのです。できれば仕上げ磨きは小学校卒業するくらいまで続けてほしいと思います。それが難しければせめて、小学生の間は口の中をチェックするようにしてください。

矯正するなら、タイミングはいつ?

少しでも早いほうがいい? 何年くらいかかる?

矯正治療のスタートが早いからいい、遅いから悪いということはありません。ママやパパが気づいたときがタイミングです。ただ、早い時期からできる矯正治療もあるので、早く気づけばそれだけ選択肢が増え、検討する時間の余裕ができるでしょう。

早くても遅くても、どちらにもメリット・デメリットがあります。早く始めたから早く終わるわけでもありません。早くスタートすれば、成長を利用できる余裕があり、負担が減る面もあれば、負担が増える面もあります。それらも含めて歯科医と相談して決めるといいでしょう。

治療については、最終的には永久歯が生えそろうまでかかります。ですから早くスタートしても、終了は高校生くらいになるでしょう。やり方も選択肢もさまざまあり、それぞれにメリットデメリットがあるので、しっかり相談しながら進めましょう。

よい矯正クリニックの探し方

もっとも優先することは、歯科医に連れて行くママやパパが納得できる先生かどうか。子どもの矯正の場合は、子どもだけでなく、親御さんもやる気にならないと難しいからです。

「この先生のやり方、考え方がいい!」と親が心から思え、矯正のタイミングや方法も含めて、お子さんと共に納得できればそれがOK。そこがクリアできていれば、矯正専門の歯科医であるかどうかは大きな問題ではないでしょう。納得できる先生に出会えたときが矯正を始めるタイミングにもなります。逆に、少しでも不安があれば始めないほうがいいでしょう。

また、「矯正を早く始めたほうが楽」だと考えている親御さんもいますが、何を楽だと思うかは人によって違います。期間が短いほうが楽という人もいれば、取り外しができるほうが楽、つけっぱなしのほうが楽という人もいます。そういう観点も含めて、先生とざっくばらんに相談してみましょう。相談をしてみて納得がいく治療ができる先生と出会えれば、いい治療が継続できるでしょう。

口をいつもあいている、嚙み合わせが気になる場合

口がいつもあいている原因は?

口があいている問題は、歯医者さんだけでは解決できないことが多いものです。歯並びだけの問題ではなく、呼吸、姿勢など全身に関わってくるからです。

呼吸については耳鼻科の病気の有無も関係しますし、姿勢にはその子の育ち方、生活習慣から性格まですべて関わってきます。とくに最近のお子さんは、姿勢を保つ体幹の筋肉調節が弱いことも多く感じます。私はこれを「コアが弱い」と言っています。いつもフラフラし、座っていても足をブラブラさせていてじっとしているのが苦手だったり、ゆっくり歩くのが好きではなかったり、食事中の姿勢が悪くなりやすかったりします。走ることは、コアではない筋肉を中心に使うので上手で好きです。

また、猫背になると口があきやすくなるため、姿勢をよくするだけで口が閉じやすくなることもあります。

嚙み合わせが悪い原因は?

噛み合わせも、お子さんの体幹、コアと深く関わっています。そしてこの「コア」と「舌」の動きもつながっています。姿勢がよく、しっかりと上手に歩く子は、基本的によく食べよく話し、歯並びや噛み合わせの問題も少なく、心身共に健康的に育つお子さんが多くみられます。

今増えている!過蓋咬合とは

今、過蓋咬合(かがいこうごう)のお子さんがとても増えています。過蓋咬合とは、奥歯を噛みしめた状態で、上の前歯が下の前歯に過剰に覆いかぶさっている状態です。これも姿勢やコアが弱いことも関係しているように感じます。体が不安定だから、安定させるために噛み締めたり、食いしばったりすることもあるのです。過蓋咬合は、噛み締めている時間が長いことも関係しているのではないかと私は思っています。また、歯に過度な力がかかると、歯ぐきが腫れてしまったり、違和感や痛みを感じたり、歯が欠けたりすることもあります。症状としては「歯のまわりのねんざ」のような印象です。

このように“お口ぽかん”の問題や噛み合わせの問題は奥深いものです。口は全身の鏡です。口だけの問題ではないのです。

虫歯にならないためには?

フッ素を塗るのはいつから?

フッ素を塗ると、虫歯に対する歯の抵抗力が上がり、虫歯になりにくくする働きがあります。歯が生え始めたら塗ることができますが、一般的には歯の本数が増えてくる1〜1歳半くらいから塗り始めることが多いでしょう。フッ素を塗る頻度の目安は3〜6カ月に1回程度、15歳くらいまで続けましょう。フッ素を塗ることは、歯科医に口の中を定期的にチェックしてもらうことにつながります。

味付きの歯磨きをずっと使ってもいい?

ミント系の歯磨き粉が苦手なお子さんもいます。味付きの歯磨きを使ってもまったく問題ありません。

歯磨き粉そのものを使うかどうかについては、フッ素の効果を考えると、使ったほうがいいでしょう。ただし、大切なのは歯磨き粉よりも磨き方。歯磨き粉をつけただけで安心して適当に磨いて、磨いたつもりになっているくらいなら、歯磨き粉なしでもしっかり歯ブラシをあてて磨くほうが大事です。

元気で健康な歯を育てる「食べる、寝る、歩く」!

健やかな口と歯は、体の発育発達と切ってもきれない関係です。健やかな口と歯のために、ぜひやっていただきたい「3つの生活習慣」があります。それは、お子さんが「食べる、寝る、歩く」を十分にバランスよく行うことです。

舌の動きが大事!

まず、体が健やかに成長するために必要なのが「食べる」。食べるために必要な動きが「噛む」「すりつぶす」「飲み込む」です。なかでも重要だと注目しているのが、舌の動きです。歯があるだけでは私たちは食べることができず、舌や頬、唇の動きによってうまく食べることができるのです。

しっかり歩くと口の中も整う

舌は100%筋肉です。舌がしっかり動くには、体幹であるコアの筋肉をバランスよく使えることが大切。体幹を養う運動をすることも大事ですが、なんといってもいちばんいいのは「歩く」こと。走るのではなく、歩くのです。私が毎年行っている保育園の健診で、口の中が明らかにいい方向に変わったお子さんは、歩くようになった子、歩く量を増やした子に多くみられます。歩くことで体に軸ができると、より上手に舌が使えるようになります。

最近のお子さんは、ゆっくりしっかり歩くことが苦手です。しっかり歩くことで体幹のバランスがとれてきて、口の成長にもつながっていきます。ゆっくり歩くのを嫌がるお子さんには、一緒にスーパーに買い物に行くときに買い物カゴを持ってもらい、帰りは荷物を運んでもらったり、犬の散歩に付き合ってもらうなど工夫をしましょう。特別なトレーニングよりも習慣づけが大切です。日常生活で続けられるような工夫が少しずつ継続してできるといいですね。

早寝早起きはすべての基本

そして「寝る」。早寝早起きの生活リズムを整えることは、すべてにおいて重要です。夜は成長ホルモンが分泌される重要な時間。質のいい睡眠がとれるように、規則正しい生活をしましょう。

まずは毎日朝早く起き、しっかり朝日を浴びてから、朝食をとりましょう。体のリズムは朝に作られます。また、就寝前にテレビやスマホなど明るい光を浴びるとホルモン分泌の不調を招き、深く眠れなくなります。お子さんと話し合い、遅くとも就寝の1時間以上前までにテレビやスマホを見るのをやめましょう。

口にはすべてが表れます。歯のトラブルはお子さんの体からのメッセージです。親御さん、とくにママは頑張りすぎている方が多いので、心配なことがあれば歯科医を始め、まわりの人にどんどん頼ってください。より規則正しい生活習慣を心がけることにより、必ず口のトラブルは減ってきます。親子で一緒に、健やかな毎日を、笑顔で楽しく送ってください。