知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
子どもたちが大好きなたくさんの動物に会える兵庫県の「神戸市立王子動物園」(以下、王子動物園)。日本で唯一、パンダとコアラを同時に見ることができる動物園としても人気があります。王子動物園で20年暮らした大人気のジャイアントパンダ「タンタン」は、中国に帰ることが決定しているものの現在のところ帰国日は未定です。パンダやコアラをはじめ約130種類の動物たちに会えるのはもちろん、遊園地や動物科学館など、子ども連れで1日たっぷり楽しめる王子動物園の魅力を紹介します。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
神戸市立王子動物園で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック!神戸市立王子動物園では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見ていきましょう。
動物の達人 佐々木隆
ささきたかし●遊園地専門家。動物園・水族館も詳しく、分野全般を得意とするライター。「るるぶKids」でも多くの動物記事を執筆している。
■佐々木隆さんコメント
ライオン・ゾウなどの定番動物に加え、コアラ・ホッキョクグマ・オランウータンといった人気者まで多くの種類の動物に出合えます。
子どもと一緒に王子動物園を楽しもう!
1951年に開園し、今年70周年を迎えた「王子動物園」。神戸のちびっこには遠足の定番、そして中学生以下が入場無料ということもあり、子ども連れに大人気です。パンダやコアラ、ゾウやキリンなど約130種類の動物が見られることはもちろん、観覧車やメリーゴーランドなど、2歳以下の子どもも楽しめる遊具を備えた遊園地、こども図書館をはじめ、常設展示や特別展示が充実している動物科学資料館を併設しています。
所要時間の目安は?
所要時間の目安は、人気の動物を中心に見てまわると約1時間30分、全動物をクリアすると約2時間30分。午前中から午後にかけてのエサの時間(ゾウ11時30分、パンダ11時45分、コアラ13時)にあわせてまわるのもおすすめです。動物を見て回ってランチタイムを楽しむなら半日ぐらい、遊園地で遊んで、動物科学資料館でゆっくりするなら1日たっぷり時間をとりたいですね。
雨の日はゆっくり楽しもう
動物園の展示は外ばかりではありません。コアラ舎やアシカ舎など、濡れずに見学できる施設もあるので、事務所で「動物園あまやどりマップ」をもらいましょう。晴れている日よりもすいていることが多いのでゆっくり回れるのも魅力です。
ベビーカーのレンタルもある
ベビーカーの貸し出しは正面ゲートを入ってすぐのパンダプラザで。売店向かい側にある券売機で利用券(300円)を購入し、パンダプラザのスタッフに渡します。券売機横にはコインロッカーがあるので、不要な荷物を預けて身軽に回れますよ。その横には子ども用トイレと授乳室があります。準備万端でスタートしましょう!
パンダのタンタンはいつまで会える?予約は必要?
のんびりお散歩中のタンタン
2000年7月16日に中国からやってきたジャイアントパンダのタンタン。阪神・淡路大震災(1995年1月)後の神戸を元気づけ、たくさんの人たちを笑顔にしてくれました。20年後の2020年7月が中国への返還期限でしたが、新型コロナウイルスの関係で、現在移動時期を調整しています。今後日にちが決定した際には、1か月以上前には告知されるとのことなので、まだしばらくの間タンタンに会えそうですね。
現在、土日・祝日に限りタンタンの観覧は事前申込・抽選制になっています。観覧希望日の申し込み可能日に、公式サイトからフォームに入力するか、はがきで申し込みます。詳細は公式サイトでご確認ください。
お待ちかねの食事タイム
どんな姿も愛らしいタンタンですが、おすすめはエサの時間。1日6回の食事のうち、開園時間内に4回の食事タイムがあります(10時、11時45分、13時30分、15時)。1度にたくさん食べると満足して寝てしまうので、エサの回数を増やして運動量も増やしているそうです。
まずはニンジンからポリポリと
パンダのエサといえば竹がよく知られていますが、エサの時間によっては、ニンジンやタケノコを食べることもあります。のそのそと近づいてきて前足でつかみ、まずはニンジンから。
タケノコも上手に食べています
そして木の横に座ってタケノコを食べ始めました。二本の前足で抱えてタケノコをかじる姿がかわいらしくて、観客たちが見守るように見つめています。タケノコの硬い皮はどうするのかと思ったら、皮をむくように上手にかじって、皮だけ吐き出しています。
竹を食べるときは豪快に!
最後に山盛りの竹が出てきました。今度は木にもたれかかって竹をつかんで夢中で食べ始めました。離れたところから見ていても、バキッバキッと豪快な音が聞こえてきます。
満腹になったらお昼寝タイム
食べ終わったらのそのそと動き出してお昼寝体勢に。満腹になって満足したのか、眠りについてしまいました。いつ起きるのか係の方に尋ねてみたところ、お腹がすいたら、とのこと。タンタンの正確な「腹時計」により、次の食事タイムの少し前には起きて、エサを待つようにうろうろと歩き回っていましたよ。
ペロリと舌を出した顔もかわいらしいタンタン
雨の日以外の日中は外にいることが多いそうですが、それもタンタンの気分次第。外に姿が見えないときは屋内にいます。野生のパンダは寒さには強いけれど暑さに弱いので、夏の間は冷房をきかせた屋内にいることが多いそうです。
タンタンの見学は、平日は4~5分ごとの入れ替え制で、土日・祝日や混んでいるときには2~3分で交代になることもあります。外で見学したら、そのまま屋内を通り抜けて反対側から外に出ます。屋内にはジャイアントパンダについての説明やタンタンの写真展示などがあるので、こちらもチェックしてくださいね。
見どころたくさん!王子動物園で会える動物たち
どんなしぐさもかわいらしいコアラ
コアラも王子動物園の人気者
パンダに次ぐ人気者のコアラは、「動物とこどもの国」のコアラ舎にいます。1991年に初めて王子動物園にやってきて、その翌年には赤ちゃんも誕生しました。
するすると木を登ったり下りたり活発な動きを見せているコアラたちですが、1日の睡眠時間はなんと約20時間。エサのユーカリに栄養が少ないことも関係しているそうです。よく見てみると、葉っぱの陰や木にしがみついて寝ているコアラもいますよ。
ユーカリの中に入り込んで食べています
コアラの食事タイムは13時から。時間になると、飼育員さんが新鮮なユーカリを持ってきてくれます。そわそわしながら待ち構えているコアラたちは、自分の場所にユーカリが置かれたら、さっそく食べ始めます。
現在8頭のコアラがいて、そのうち5頭が王子動物園で生まれています。こちらは2019年に王子動物園で生まれた愛嬌たっぷりのハナ(花)。飼育員さんに甘える姿がかわいらしいですね。
今も昔も動物園の人気者ゾウ
仲良しのマック(右)とズゼ(左)
王子動物園にはマック(オス)とズゼ(メス)の2頭のアジアゾウがいます。繁殖期以外は同じスペースにいるので、タイミングが合えば2頭の微笑ましい姿も見られますよ。
外に姿が見えないときは、裏側に回ってみてくださいね。毎日、健康管理や飼育員さんと信頼関係を築くためのトレーニングを実施しています。ゾウは足に疾患が多いので、足のケアが欠かせません。きれいに洗ったあと、薬を付けてもらっています。
治療が終わり、飼育員さんの声掛けでポーズをとるマック。ご褒美にバナナや食パンをもらいます。
ゾウのトレーニングは14時30分から(変更の場合あり)。それ以外にも不定期で傷の治療などをする場合があります。タイミングがあえばラッキーですね。
のっぽなキリンと草食動物たち
3頭のキリンが、のんびりと歩き回っています
さらに北へと進むと、キリンやカンガルー、カバなどがいる「草食動物エリア」へと続きます。
長い首を揺らしながら歩いているキリンも動物園の人気者。王子動物園のキリンは、「ヒメイチ」、「嵐(アラシ)」、「マリン」と、2020年に誕生した「ひまわり」の4頭です。
ぴょんぴょんと飛び回っているカンガルー
後ろ足でぴょんぴょんと跳ねるように元気よく駆け回っているかと思えば、だらんと寝そべって昼寝をしていることもあり、ユニークな姿を見せてくれるカンガルー。お腹の袋にいる赤ちゃんが見られたらラッキーですね。
キュートなアシカやホッキョクグマも!
「お魚ちょうだい」と飼育員さんに近寄っていく姿がかわいらしい
パンダエリアのすぐ北に「アシカ・クマ舎エリア」があります。水の中を泳ぎ回っているカリフォルニアアシカたちは、水中にもぐったり水面から顔を出したり。食事タイムには陸に上がってきて、お魚ちょうだいアピールをすることも。
目の前を泳いでいくアシカは迫力大!
建物の中に入ると水中での姿も見ることができます。迫力満点の大きなアシカが、目の前をスーッと泳いでいきます。
ホッキョクグマのまわりは、いつも冬のよう
「クマ舎」にはホッキョクグマがいます。ホッキョクグマは暑さに弱いので、氷の粒を降らせたり人工の滝から水を落としたりしています。暑いときにはエアコンがきいた涼しい寝室にいますよ。
ランチはお弁当持ち込みOK。レストランも
猛獣エリア北側にあるお弁当スポット
ゆっくりと動物たちを見たら、お気に入りの場所でお弁当を食べましょう。入園の際に受け取ったパンフレットの王子動物園MAPには、「おにぎり」のマークでお弁当スポットが表示されています。動物を見ながら食べられる場所もあるので、チェックしてみてくださいね。
壁の展示も要チェック
雨の日もOKの屋内お弁当スポットは、「類人猿コーナー」の2階にあります。広々としていてベンチがたくさんあり、飲料水の自動販売機も完備しています。
食事ができるお店は、遊園地内に2か所あります。そのうちのひとつ、入口近くにあるレストランパオパオは140席完備。チャーハンやラーメンなど、ランチにピッタリのメニューがそろっています。ラーメンにミニパンダ豚まんが付いた数量限定のパンダー麺セット(950円)が人気です。
カウンター席に座ると、ゾウを見ながら食事が楽しめますよ。
レッサーパンダなども会える「動物と子どもの国」
「動物と子どもの国」入国ゲート
「動物と子どもの国」の入国ゲートを入るとコアラ舎があり、奥に進むとレッサーパンダがいます。こちらのつり橋の北側エリアではお弁当を食べることができ、トイレもこちら側にあります。
白×茶色のしっぽは、王子動物園生まれの「ジャズ」
レッサーパンダはしっぽの縞模様が特徴です。王子動物園にいる2頭のレッサーパンダのしっぽも違う色の縞模様なんですよ。柵の前にしっぽの写真があるのでチェックしてくださいね。
つり橋を渡って「ふれあい広場」へ
つり橋を渡った南側のエリアが「ふれあい広場」です。こちらのエリアにもベンチはたくさんありますが、飲食禁止なのでご注意ください。
ふれあい広場でのんびりしている動物たちが見られるよ
現在、ふれあいタイムは中止していますが、広場にいる動物たちには柵の外から近づいて見ることができます。広場の中にはヒツジやヤギなどが放されています。
見ているだけで癒されるカピバラ
2018年に王子動物園で生まれ、カピバラ3兄弟の愛称で親しまれている3頭のカピバラも人気です。
ふれあい広場の動物たちは、15時から16時以降は動物たちの食事時間が始まり、お部屋に入っていて見られない場合があります(天候や動物の体調などにより変動あり)。
遊園地&動物科学資料館にも行ってみよう
乗り物やゲームなど、10以上のアトラクションがそろう遊園地。半数以上のアトラクションが2歳以下の小さな子どもも楽しめます(要付き添い。幼児1名につき保護者1名無料)。のりもの券は1枚120円、10枚つづり1000円。園内の券売機で購入します。ほとんどののりものが、のりもの券2~3枚で利用できます。
小さな子どもたちに人気なのは、パンダやゾウ、キリンなどのゴンドラに乗れるアニマル観覧車。空の上から動物たちが見えるかな?
動物科学資料館には、図書室、常設展示エリア、特別展示エリア、動物園ホールなどを備えています。常設展示エリアでは動物たちが住む環境や暮らし方、食べ物や体の構造などを紹介し、ジオラマや骨格標本、模型、映像などで詳しく知ることができます。学習コーナーには図書閲覧室や子どものための「こども図書室」もあります。
ペンギンを見ながら休憩しよう
休憩ホールでは、目の前で泳ぐペンギンを見ながらひと休みできます。飲料水の自動販売機や授乳室も完備しています。
タンタンの思い出にたっぷり触れられるよ
タンタンの20年間の思い出を展示した特別企画「ありがとうタンタン展」も要チェックです。
お土産にパンダグッズを買って帰りたい!
お土産などを販売する売店は、園内に2か所あります。正面ゲートを入ってすぐのパンダプラザは品数が豊富で、ぬいぐるみからお菓子まで、パンダグッズがぎっしりと並んでいます。
人気があるのはオリジナルグッズのTシャツキーホルダー500円。毎年発売されるオリジナルパンダリンピックTシャツと同じ柄のキーホルダーです。毎年新柄が出るので、コレクションしているファンも多いとか。
ありがとうタンタンキャンペーンで提携企業とコラボした「白いさくさくきなこ黒大豆」(310円)も、ちょっとしたお土産に人気です。
<アクセス>
- 公共交通機関:
・阪急王子公園駅から西へ徒歩約3分
・JR灘駅から北へ徒歩約5分
・阪神岩屋駅から北へ徒歩約10分
・神戸市バス地下鉄三宮駅前から90・92系統乗車約15分、バス停王子動物園前下車すぐ
・新幹線新神戸駅からタクシー10分、または布引バス停から神戸市バス90・92系統乗車約6分、バス停王子動物園前下車すぐ - 車:
・阪神高速3号神戸線から摩耶ランプを降りて、北へ約2km
・阪神高速3号神戸線から生田川ランプを降りて、北へ約3km
・阪神高速5号湾岸線住吉浜ランプを降りて、北西へ約6km - 駐車場:
王子公園駐車場:0~2時間までの30分につき150円、2~4時間までの30分につき100円、4時間を超える30分につき50円
※土日・祝日は大変混雑するので、公共交通機関の利用がおすすめです
●新型コロナウイルス感染症予防対策として
店内では、換気やスタッフのマスク着用、ソーシャルディスタンス等に配慮しています。来場の際は、マスクの着用、手指の消毒、体温測定、「兵庫県のコロナ追跡システム」への登録に協力しましょう。
神戸市立王子動物園
住所 | 兵庫県神戸市灘区王子町3-1 |
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問合先 | 078-861-5624 |
料金 | 大人(高校生以上)600円、中学生以下無料 年間パスポート3000円 |
営業時間 | 9~17時(11~2月は16時30分まで)※入園は閉園の30分前まで |
定休日 | 水曜(祝日の場合は開園)、12月29・30・31日、1月1日 |
URL |
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『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。