みなさんのお子さんは、どんな夢をもっていますか?
野球選手に宇宙飛行士、ケーキ屋さん、漫画家、今はYouTuberも人気ですよね。
このシリーズでは、子どもが憧れている職業、きっと興味がわくような注目の職業に就いた人にインタビュー。子どものときにどんなことが好きだったのか、どんな生活をしていたのかなどを伺いながら、今に至るまでのエピソードをたどります。
第6弾は、すみだ水族館でペンギンの飼育スタッフをしている大城さんです。生い立ち編の前半に引き続き、後半では気になるお仕事内容もたっぷりご紹介します!
【生い立ち編】ペンギンの飼育員さん(すみだ水族館 大城さん)
大城奈都稀
すみだ水族館の飼育スタッフ。海獣チームに所属し、飼育業務に携わり現在8年目。普段はペンギン、オットセイ、ウミガメの飼育業務を担当している。担当しているいきものの名前はすべて把握しており、その中で最近一番気になっている存在は赤ちゃんペンギンのぼんぼり。
どんな仕事をしているの?
「すみだ水族館」は、東京スカイツリー直下にある水族館です。ペンギンやオットセイを間近で見ることができたり、毎年11月11日には「チンアナゴまつり」を開催したり。2020年夏には、リニューアルをし、飼育スタッフさんの作業を見られる「アクアベース」や幻想的なクラゲ水槽「ビッグシャーレ」が誕生しました。
大城さんは、そんなすみだ水族館の飼育スタッフです。現在8年目で「海獣(かいじゅう)チーム」に所属し、ペンギンやオットセイ、ウミガメの飼育を担当しています。前半に引き続き、すみだ水族館にお邪魔してお話を伺いました。
ペンギンのゴハンの時間では、ペンギンたち1羽1羽に、手渡しで魚をあげる様子が観察できる。「ゴハンだよー」という飼育スタッフさんの掛け声に、どんどん集まってくるペンギンたちがとても可愛い。
―― 普段のお仕事内容について、詳しく教えてください。
大城:基本的には、常に掃除ですね。プールが汚れてくるとニオイもするので、こまめに掃除しています。交代しながら、1人1日2時間くらいはプールに潜っていますね。あとは、ゴハンの準備をする調餌(ちょうじ)と、ゴハンをあげる給餌(きゅうじ)。健康管理のための日誌も作成しています。
ペンギンプールにて、床面に付いているフンを、ヘラやスポンジで擦り落としている様子。岩の掃除をしているときは、上にいるペンギンのフンが顔にかかってしまうことも!大城さんいわく「髪についたらもう大変です……(笑)」。
生き物たちのため、腕時計は胸元に
―― これは欠かせない、というお仕事道具はありますか?
大城:時計とウェットスーツ、カッパ、ホース、ブラシです。ペンギンやオットセイのフンはそのままにしていると固まってしまうので、毎朝ブラシで必死にゴシゴシ擦っています。
―― 時計は腕ではなく、胸元に付けているんですね!
大城:そうなんです。生き物に怪我をさせてしまう可能性があるので、腕には何も付けないようにしていて。防水性の時計を服に引っ掛けて使っています。次から次に忙しく動き回っているので、時計は必須ですね。落下防止という観点で、ヘアピンも付けないようにしています。
1日のスケジュールって?
―― 1日のスケジュールについても教えてください。
大城:日によって違うときもありますが、大体こんな感じです。
- 8:00 担当の生き物に挨拶、掃除
- 9:00 調餌、掃除
- 10:00 ペンギン給餌、掃除
- 11:00 オットセイ、ウミガメ給餌、掃除
- 12:00 休憩
- 13:00 ペンギン給餌、掃除
- 14:00 ウミガメ給餌、掃除
- 15:00 オットセイ給餌、掃除
- 16:00 ペンギン給餌、掃除
- 17:00 オットセイ給餌、掃除
- 18:00 担当の生き物たちの日誌打ち込み
―― 1時間刻みで順番にお世話をしているんですね。とても忙しそうです。
大城:時間通りに進められるように、みんな計画的に動いています。たとえばプールの掃除に時間がかかって、掃除用の機械を出したままにしていると、ゴハンを食べられなくなってしまう神経質なペンギンもいるんです。ゴハンの最中にホースの水がかかるのを嫌がってしまう子もいます。だから、それぞれの時間に遅れないように「やばいやばい!」といいながら頑張っています(笑)。
ペンギンたちの主食はアジ
―― ペンギンたちはどんなものを食べているのでしょうか?
大城:基本的にはアジがメインで、イワシとキビナゴも食べています。栄養はアジで補って、繁殖期など太って欲しいときには脂肪の多いイワシをあげたり。魚の種類を1つに絞ってしまうと、それを食べなくなったときに困るので、何種類も用意しています。1年を通して安定して獲れるものということで、アジがメインです。
―― 好き嫌いはありますか?
大城:最近はみんな、硬いゴハンを嫌い始めていて。イワシの美味しさを知り、グルメになってきています(笑)。だからアジの硬さを無くすために、細かく切って柔らかくしたものを出したり。あげ方を変えたりして、食べてもらえるよう試行錯誤しています。
―― リニューアルしてできた「アクアベース」のキッチンでは、調餌の様子を間近で観察できます。普通はバックヤードで行う作業が見られるのは面白いですね。
大城:下ごしらえでは、頭と内臓を取っています。場合によって栄養補給のためのビタミンカプセルを入れることも。準備するものは、水槽や生き物ごとに違っていて、オットセイには、ししゃもとサンマ、ニシン、イワシもあげています。シロワニやエイなどがいる「小笠原大水槽」の生き物には、魚類やエビを、ダイバーが潜って直接あげているんですよ。
毎年更新されているペンギンの相関図。まるで人間同士のような複雑な恋愛模様がとっても面白い。
―― すみだ水族館には49羽のペンギンがいますが、大城さんのお気に入りは「ぼんぼり」とのこと。どんなペンギンか教えてもらえますか?
大城:今年生まれた赤ちゃんペンギンです。育児のフォローをしたので、特に思い入れがありますね。普通のペンギンは、抱っこしたら甘えたりするんですが、ぼんぼりはすぐに寝る子なんです。私を背もたれにして寝ることもあって、そんな子は今までいなかったから衝撃的でした(笑)。
一日ひとつ、平和なニュース
6月26日の #すみだHappyHeadlines【ぼんぼり、うたた寝 パート2】
まるで終電でのワンシーンのようなぼんぼり。育ちざかり、眠たいざかりでとにかくかわいらしい。 pic.twitter.com/jbR87nC0Og— すみだ水族館【公式】 (@Sumida_Aquarium) June 25, 2021
―― ウトウトしている姿がとっても可愛いですね!
水族館の仕事に興味を持っている子たちへメッセージ
―― 最後に、飼育スタッフに憧れている子に向けて、メッセージがあればお願いします。
大城:飼育スタッフは観察力が大切な仕事なので、今のうちから「見る目」を養っておくと良いと思います。虫でもお花でも何でも、好きなことをたくさん観察して、たくさん発見してみてください。もしすみだ水族館に来て気になることがあったら、なるべくお答えしたいと思っているので、気軽にスタッフに質問してもらえると嬉しいです!
―― 10月からは、ペンギンたちにフォーカスした会員制のファンクラブも始まったそう。大城さんはじめ、飼育スタッフさんも情報を発信しているということなので、気になる方はチェックしてみてくださいね!
(2021年9月取材)
前編はこちら
子どもに人気のお仕事に注目!|ペンギンの飼育員さん(すみだ水族館 大城さん)<生い立ち編>
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