公園遊び・遊具での子どもの事故防止 ケガをしやすい遊具は? 原因や気をつけるポイント

公園遊び 事故

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公園の遊具で遊んでいると、思わぬ場面で子どもが事故にあうこともあります。どんな遊具でどんな事故が多いのか、気をつけるべきポイントなどについて、子どもの事故に詳しい小児科医の山中龍宏先生に聞きました。公園遊びは子どもの成長にとって欠かせない機会。むやみに危険を恐れて公園遊びを排除するのではなく、事故やケガのケースを知って、楽しく公園遊びをしたいですね。

※当記事は2023年10月6日の取材に基づいています。

山中龍宏先生(緑園こどもクリニック院長)山中龍宏先生(緑園こどもクリニック院長)
東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部小児科講師、焼津市立総合病院小児科科長、こどもの城小児保健部長などを経て、1999年4月より現職。1985年、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取ったことから事故予防に取り組み始め、現在、こども家庭庁教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員。NPO法人Safe Kids Japan理事長。

目次(index)

公園遊び、事故やケガが多い遊具は?

※出典:消費者庁 遊具による子どもの事故 平成21年9月〜平成27年12月の登録分リリースより

事故が多い遊具は、滑り台やブランコなどの定番のもの

公園遊具での事故は、どこの公園にもあるおなじみの遊具で起こりやすいものです。消費者庁による遊具別の事故件数を見ると、「すべり台」がもっとも多く、次いで「ブランコ」、「鉄棒」、「ジャングルジム」などのほか、ロープ・ネット状遊具やシーソーなど、さまざまな遊具で事故が起きています。

もっとも多い事故は「転落」、6歳以下の幼児は特に注意を!

事故の原因別では、すべり台やジャングルジム、鉄棒などからの「転落」が半数以上を占め、そのほか「ぶつかる・当たる」「転倒」と続いています。事故にあった子どもの年齢も1歳代から12歳までどの年代も幅広くいますが、6歳以下の幼児の事故が約7割を占めています(出典:消費者庁 遊具による子どもの事故 平成21年9月〜平成27年12月の登録分リリースより)。

過去に子どもの死亡例があった「箱型ブランコ」「遊動円木」「回旋塔」などの遊具は、現在ではほとんど設置されていません。これらの遊具は重量があり、遊具が動き始めると、子どもが自分の力ではコントロールすることができません。国土交通省から出ている遊具の安全確保に関する指針にも合致していません。現在では基本的に公園には置かれていないはずですが、万が一見つけたら、遊ばせないのはもちろん、行政などの窓口に連絡して撤去してもらいましょう。

遊具で起こる事故、原因は?

遊具での事故のパターンを知っておこう

遊具による事故には、よく起こるパターンがあります。重要なのは、命にかかわる事故を防ぐことどんなときにどんな状況で起こりやすいのかを知っておくことで、万が一事故にあっても、重症になる可能性は低くなります。

■転落

「高いところから落ちて頭を打つ」のがもっとも危険です。たとえばジャングルジムの頂上から転落、すべり台のいちばん上からの転落、うんていから手がすべって転落などの例があります。また、子どもは思いもよらないところで遊ぶこともあります。実際にあった例では、ブランコのまわりの柵に座ってバランスを崩して転落したり、すべり台の柵を越えて遊んで転落した例もあります。

■頭部または首が遊具にはさまれる

遊具の柵などのすき間に、頭部または首がはさみ込まれてしまう事故です。体のなかでいちばん大きな頭がはさまって抜けなくなると、死につながってしまいます。うんていの一部に頭や首がはさまる、ロープがクロスしたアスレチック遊具に首がはさまる、V字型の柵に首がはさまるなどの例があります。

また命にかかわることはないものの、指をはさむ例も多く見られます。狭いすき間に指がはさまって切断をされてしまう事故もあるので注意が必要です。

■(ひもなどで)首が締まる

遊具に出っぱりや突起、狭いすき間などがある場合、衣服やかばんのひもなどがからまったり、引っかかったりすることによって、首が絞められ、重大なケガや命にかかわることがあります。すべり台の手すりのつっぱり部分にポンチョが引っかかり、首がしめつけられて死亡した例もあります。公園で遊ぶときは、ひもがついた服、パーカー、肩かけかばんやリュック、ランドセル、ヘルメット、水筒、スマホのストラップなどは絶対NGです。

■衝突

子ども同士がぶつかる事故、子どもに遊具がぶつかる事故があります。ブランコが大きく揺れて子どもにぶつかる、すべり台で子ども同士が衝突するなどは、よく見られる事故のケースです。高いところから勢いよく衝突すると、大ケガにつながります。

公園や遊具で遊ぶ前に、見るべきポイント

遊ぶ前に公園や遊具をチェック!気をつけるポイントは?

遊ぶ場所が安全かどうか、遊ぶ前に確かめておきましょう。本来は公園や遊具の管理者が注意すべきことですが、子どもを見守る側も注意をして事故を予防することが大切です。

■遊具の下やまわりが、コンクリートやアスファルトで固められていないか

高いところから転落しても、設置面がやわらかければ、まず命にかかわることはありません。接地面がコンクリートやアスファルトの遊具で落下すると、大ケガにつながります。遊ぶなら砂や芝生など遊具の下が固くないところを選びましょう

■遊具が壊れていないか

壊れている遊具はもちろん、古い遊具、さびついた遊具も事故につながり、危険です。腐食している遊具をつかんで、手に金属片が刺さった事故も報告されています。遊具は一度設置されると何十年も使われます。定期的に点検されているとも限りません。壊れた遊具や危険な遊具を見つけたら、行政などの窓口に連絡しましょう。

■遊具は濡れていないか

雨が降ったあとなどに遊具が濡れていると、手がすべって転落につながります。砂などがまかれていても、足元がすべりやすいので要注意。また、暑い日は遊具も熱くなっているので、やけどをすることもあります。鉄棒やすべり台などの遊具は、遊ぶ前に熱くないかたしかめましょう。

対象年齢が書いてある遊具なら安心!?

子どもの対象年齢が表示してある遊具もあります。年齢に応じて子どもにわかるように伝え、対象年齢に合った遊具で遊ばせるべきですが、実際は親が目を離したすきに年齢に合わない遊具で遊んだり、上のきょうだいのマネをしていろいろな遊具で遊んでしまったりすることもあります。子どもが対象年齢を守れるはずもなく、安全が確保されるわけでもありません。付き添っている大人は、そういった目で見守る必要があるでしょう。

もし遊具でケガをしてしまったら、どうする?

ケガをしてしまったときは、できるだけ早く、適切な応急手当てをすることで重症化を防ぐことができます。ぜひ下記を参考にして、親が応急手当ができるようにしておくと安心です。

■頭を打った場合

傷口から出血しているときは、傷口を閉じるようにガーゼなどで圧迫し安静にして様子をみましょう。意識がない、出血がひどい、くり返し嘔吐がある場合は救急車を呼ぶか、急いで病院を受診しましょう。顔色が悪く元気がないときは、小児科や脳外科を受診します。意識があって元気でも、1〜2日は安静にして様子をみましょう。

■身体を打撲した場合

腕や足などを打った場合は、冷たいタオルなどで冷やします。おなかを強く打ったときは、衣類をゆるめて安静にし、病院を受診しましょう。

■足や腕の骨折や脱臼の可能性がある場合

痛がっているときは骨折している可能性があるので、近くにあれば添え木をして固定し、なければなるべくその部分を動かさないようにして救急車を呼ぶか、病院を受診しましょう。

■出血した場合

大事なのは止血です。水で傷を洗い、傷口の深さと大きさを確認してガーゼ(なければ清潔なハンカチやタオル)などを当てて止血します。出血がひどいときは、止血しながら病院を受診しましょう。

(参考:消費者庁 子どもを事故から守る! 事故防止ハンドブック)

子どもたちにとって公園で思いっきり遊ぶことは、心身の成長においてとても大切なことです。楽しい公園遊びで、取り返しのつかない事故がおきてしまうことがないよう、ぜひ親子で予防をしながら楽しみたいですね。