和歌山県の特産品おもしろ雑学|梅干しは日本の元祖パワーフード!

和歌山県の特産品「梅干し」

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47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!

和歌山県で紹介するのは、みなべ町が日本一の産地である「梅干し」。数ある品種のなかでも「南高梅(なんこううめ)」は、県を代表する特産品です。戦国時代に武士も食べていたほど長い歴史があり、栄養価もバツグンな梅干しの魅力に迫ります。

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目次(index)

【知る】戦国時代の武士も食べていた! 奥深〜い梅の世界

梅の木の原産は中国。日本へは約1500年前の飛鳥時代、青梅を薫製・乾燥させた「烏梅(うばい)」として中国から伝来したといわれています。烏梅は、現在も漢方薬や染料の原材料としても使われています。

また、梅の実を加工した梅干しのルーツは、梅が薬として食されていた平安時代までさかのぼります。

和歌山県が梅の名産地となったワケ

全国の梅の収穫量のうち、約6割が和歌山県産。県内でもみなべ町は「日本一の梅の里」と称され、山の斜面のいたるところで梅が作られています。

みなべ町で梅の栽培が始まったのは江戸時代初期。あまり米が育たない田畑を見た藩主が、以前からある「やぶ梅」に注目。米のできないやせ地や山の斜面に生命力のある梅を植えさせたのがきっかけで、栽培が盛んになりました。

やぶ梅は果肉が薄く小粒だったため、品種改良を続けた結果、主力品種となったのが有名な「南高梅」です。地元の農家・高田貞楠が明治35年(1902)に、ひときわ豊かに実り、大粒の実をつけた木を偶然見つけたことを機に南高梅の栽培がスタートしました。肉厚でとろけるような柔らかな果実が、人気の理由です。

かつては薬だった!? 梅干しの底力

和歌山県の特産品「梅干し」

奈良時代まで梅は果物としてそのまま食べられていたようですが、梅の効用を知るようになると、梅を塩漬けして保存食や食薬品として用いるようになったといわれています。これが梅干しの原型です。

日本最古の医学書には、熱冷まし、口の乾き止め、下痢止めなど薬用として紹介されています。平安時代にはすでに梅干しが食べられていたようです。

戦国時代に入っても、梅干しはまだ食品ではなく薬という認識。梅干しは栄養を手早く摂取できて携帯しやすい、保存性の良さなどの理由から、武士が戦の際に食べる「野戦糧食(やせんかしょく)」としても重宝されました。

その後、江戸時代に入ると、食品として梅干しが庶民の食卓にのぼるように。みなべ町からほど近い田辺港から江戸に、樽詰めされた梅干しが盛んに出荷されました。

梅の味の特徴でもあるすっぱさは、酸味のもととなるクエン酸とリンゴ酸が含まれているから。このクエン酸は疲労回復に効果があるとされていて、戦の際に食べられていたのも納得です。

100年たっても腐らないのはなぜ?

和歌山県の特産品「梅干し」

冷蔵庫や保存料のない時代から重宝されてきた梅干しは、適切に保存されているものなら、「100年経っても腐らない」ともいわれています。

一般的には3〜5年ほど熟成させれば十分においしい梅干しになりますが、専門店では10年もの、50年ものなど年代物の梅干しも売られています。

このように梅干しが長年腐らないのは、酸味のもととなるクエン酸とリンゴ酸、そして塩分に強力な殺菌効果があるおかげ。調理後すぐに食べないお弁当やおにぎりに梅干しを入れると良いのは、おいしいからだけでなく腐らせないためでもあるのです。

ただし、長期保存ができる梅干しは塩分濃度が18〜20%前後の高いもの。最近の梅干しは減塩タイプやはちみつ入りなどが多いので、殺菌力は昔ほどではないようです。

【つくる】梅のおいしいレシピ

完熟前の青梅は生食には向いていないため、さまざま調理法で加工され、食べ継がれてきました。5月から6月にかけてとれる青梅は梅シロップや甘露漬けなど、じっくり時間をかけて漬け込む食品に向いています。

完熟した梅は生食もできますが、実が柔らかくなるので果肉自体の味や食感を楽しめる梅干しやジャムにするのがおすすめです。

お家で梅干しを作ってみよう!

梅干しの作り方/和歌山県の特産品「梅干し」

少し面倒なイメージの梅干し作りですが、赤しそを入れずに作る「白干し梅干し」なら、少ない材料と保存袋を使って初心者でも簡単に作ることができます。

梅は通常は6月上旬から下旬までが一番出回っているので、この時期に購入し作るのがおすすめ。青い梅は仕上がりが固くなってしまうので、全体が黄色く熟したものを使いましょう。また、塩分量が少ないとカビやすくなるので、塩はしっかり量るのも重要です。

簡単レシピを紹介

  1. 梅を水洗いします。水気を拭き取ったら、梅の実を傷つけないようにヘタを取ります。
  2. ジップ式の袋を開けて食品用エタノールスプレーを吹きかけ、梅と梅の重さに対し18%の量の塩を入れます。
  3. 袋の中の空気を抜きながら封をし、梅全体に塩をまんべんなく行き渡らせます。
  4. 風通しの良い冷暗所に平らに置いて保管。数日して、梅から出てきた水分(梅酢)が梅全体にしっかり浸かっているようにします。
  5. 梅雨が明けて暑い日が続くようになったら、保存袋から梅を取り出し、干し網またはざるに並べ、日の当たる場所で3日間ほど干します。干している間は、殺菌のために梅の実を上下裏返します。※雨に当たる心配がなければ、毎日取り込む必要はありません。
  6. 3日間ほど干したら、煮沸消毒した瓶など清潔な保存容器に入れて、完成。

さわやかで甘酸っぱい「梅ジャム」

梅は梅干し以外に梅ジャムにしても絶品です。材料はシンプルに梅と砂糖だけ。パンに塗るのはもちろん、ヨーグルトソースとしてヨーグルトに入れても甘酸っぱい風味が広がっておいしいです。梅1㎏で、約900mlのジャムができますよ。

簡単レシピを紹介

  1. 梅を洗ってヘタを取り、ビニール袋に入れます。冷凍庫で24時間以上冷凍します。
  2. 冷凍後、解凍した梅に包丁で切れ目を入れ、梅1kgと砂糖(800g~1kg/お好みで調整)の分量の半分程度を鍋に入れたら、中火で水分が出るまで煮詰めます。
  3. 果肉がとけ始めたらヘラで果肉をほぐし、さらにとかします。
  4. 果肉がとけたら種を取り除き、残りの砂糖を入れて、弱火でアクを取り除きながら、わずかにとろみが出るまで煮詰めます(15~20分程度)。
  5. 果肉の固まりがなくなったら火を止め、粗熱をとります。温かいまま煮沸消毒したビンに入れ、冷ましてから冷蔵庫で保存しましょう。

【学ぶ】梅について学べるスポット

和歌山県には、梅もぎ体験ができる農園や、梅干しや梅ジュース作りができるスポットが充実。普段はなかなか見られない、梅干し工場の見学ができる施設もあります。いつも何気なく食べている梅干しについて、見て、ふれて、学んでみましょう。

てらがき農園

てらがき農園(和歌山県/みなべ町)

「てらがき農園」は、農薬を使わず南高梅を自然栽培し、梅干し、梅ジャム、梅の黒焼きなどに加工、販売する梅農園です。

梅の実りの時期(6月ごろ)には梅畑で梅もぎ体験ができ、梅ジュースや梅干し作りにも挑戦できます。自分でもいだ梅は、1kg2200円で持ち帰りもOK。

実りの時期を過ぎていても、梅ジュースや梅干し作り体験ができる場合があるので、訪れる前に問い合わせを。

住所 和歌山県日高郡みなべ町西岩代1204
問合先 0739-72-5105
営業時間 9~16時(畑に入れるのは9時30分~11時、13時30分~15時。各種体験は要問合せ。開催時期は公式サイトを要確認)
定休日 土・日曜、祝日(各種体験は要問合せ)
料金 梅もぎ体験1100円(梅の持ち帰りは1kg2200円)、梅干し・梅ジュース作り各2200円
アクセス 公共交通機関:JR南部駅から車で20分。または南紀白浜空港から車で40分
車:阪和自動車道みなべICから国道424号などを経由7km12分
駐車場 あり/10台/無料
URL

https://www.mukasiume.com/nouen/

紀州梅干館

紀州梅干館(和歌山県/みなべ町)

「紀州梅干館」は日本一の梅の里にある、梅の情報が詰まったミュージアムです。施設内に梅干し工場があり、梅が干し上がってからパック詰めされ、商品として店頭に並ぶまでの作業工程を自由に見学することができます。

ほかに梅について歴史などを深く学べるパネルの展示や、自分好みの味に作って持ち帰れる「梅干し作り体験」や「梅ジュース作り体験」もあります。

工場直売の紀州梅干を試食して購入できる直売店もあり、見て、学んで、体験して、さらに食べてと、梅の魅力に存分にふれられます。

住所 和歌山県日高郡みなべ町山内1339
問合先 0739-72-2151
営業時間 8時30分~17時(体験予約時間は①10時~ ②14時~)
定休日 1月1日 ※工場は日曜、祝日休、土曜不定休、ほか不定休あり
料金 入館無料、梅干し作り体験270g2200円、梅ジュース作り体験1200円、梅酒作り体験2200円 ※要予約
アクセス 公共交通機関:南部駅から車で5分
車:阪和自動車道みなべICから国道424号など経由1.5km5分
駐車場 あり/30台/無料
URL

http://www.umekan.com/

紀州梅の里なかた 本社直売店

紀州梅の里なかた 本社直売店(和歌山県/田辺市)

明治30年(1897)創業、梅の老舗として知られる「中田食品」の敷地内にある工場直売店。

梅干し作りの製造工程をスタッフの案内のもと見学できる「梅回廊」のほか、南高梅など約15種類の梅を観賞できる「なかた梅園」もあって、見どころがいっぱいです。

直売店らしく、いろいろな味の梅干しや大人におすすめの梅酒も数多く並びます。

住所 和歌山県田辺市下三栖1475
問合先 0739-22-2858 (売店直通)
営業時間 9~17時
定休日 水曜
料金 入場無料(梅回廊・なかた梅園)、梅シロップつくり体験1100円、梅酒つくり体験1320円(要予約) ※詳細は要問い合わせ
アクセス 公共交通機関:紀伊田辺駅から車で15分
車:阪和道南紀田辺ICから国道42号経由6.3km15分
駐車場 あり/15台/無料
URL

https://www.nakatafoods.co.jp/kisyu_ume_no_sato_

【SDGs】和歌山県の梅を自由に食べたり守ったりするために

SDGsアイコン17種

和歌山県で栽培される梅は、環境に負荷をかけず生態系と調和しながら、生産が行われています。この先も、梅干しを変わらず自由に食べたり、守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すれば親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。

和歌山県の子ども向けSDGsの取り組み

1:貧困をなくそう/SDGsの目標2:飢餓をゼロに/SDGsの目標3:すべての人に健康と福祉を/SDGsの目標4:質の高い教育をみんなに/SDGsの目標5:ジェンダー平等を実現しよう/SDGsの目標6:安全な水とトイレを世界中に/SDGsの目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに/SDGsの目標8:働きがいも 経済成長も/SDGsの目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう/SDGsの目標10:人や国の不平等をなくそう/SDGsの目標11:住み続けられるまちづくりを/SDGsの目標12:つくる責任 つかう責任/SDGsの目標13:気候変動に具体的な対策を/SDGsの目標14:海の豊かさを守ろう/SDGsの目標15:陸の豊かさも守ろう/SDGsの目標16:平和と公正をすべての人に/SDGsの目標17:パートナーシップで目標を達成しよう/SDGsの目標

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