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花粉症は子どもでもなる?黄砂アレルギーや風邪との違い・見分け方、対策と治療法も

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春先はもちろん、1年を通して悩まされることもある花粉症。子どももなることはあるのでしょうか。もしも子どもが花粉症になったら、風邪と見分けることはできるのかも気になるところ。子どもの花粉症の症状や、子どもならではの対策や治療法について、また最近よく話題になっている黄砂と子どもへの影響について、小児科医の佐藤さくら先生に聞きました。

佐藤さくら先生(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部長)
宮崎医科大学(現・宮崎大学)卒業。日本の小児アレルギー領域、アナフィラキシー分野の第一線で活躍。若手医師の育成、アレルギーの啓蒙活動、小児患者の家族サポートにも努めている。

目次(index)

花粉症は子どもでもなるの?

子どもの花粉症は増えている!

子どもの花粉症 有病率

2019年調査 出典:鼻アレルギー診療ガイドライン2020

実際に診察をしていても、またデータの上でも子どもの花粉症(スギ)は増えています。また、小学校入学前のお子さんの患者さんもおり、低年齢化しているといえます。私が診察した中でいちばん小さいお子さんでは、3歳でスギ花粉症と診断したケースがあります。

花粉症の症状は、大人も子どもも違いはなく、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみが主な症状です。そのほか、顔やのど、耳の中がかゆいといった症状がみられる場合もあります。まだ、言葉で症状を上手に伝えられない年齢でも、鼻がかゆいと手で鼻をこすったり、鼻の穴をほじるようなしぐさをしたり、目がかゆくて目をこすったりします。花粉が多い時期にこのような様子が見られたら、花粉症の可能性があるでしょう。

花粉症にかかりやすい時期と原因は?

花粉症の約70%はスギが原因だといわれています。これは日本でのスギ林の面積が大きいためです。スギ花粉のピークは2月から4月ごろです。4月5月になるとヒノキの花粉が多く飛散することもあります。また、スギに比べると花粉症患者の数は少ないですが、春から秋にかけてはイネ、秋から冬にかけてはブタクサやヨモギなどの花粉症もあります。花粉の種類は住んでいる地域によっても違います。

花粉症になりやすい子の特徴は?

花粉症のお子さんに多く見られる特徴として、「ほかのアレルギー疾患を持っている」ことが挙げられます。たとえばアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、小児喘息などです。アレルギー症状のなかで比較すると、花粉症はこれらのアレルギー疾患がすでにあり、後から発症することが多いようです。

子どもの花粉症と風邪との違い・見分け方は?

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花粉症と風邪、見分け方の目安

特に子どもの場合、自分で症状を訴えられないため、親が花粉症か風邪かを判断するのは難しい場合もあります。目安となるチェック方法をご紹介しましょう。

<花粉症と風邪 見分け方チェック>

  • 風邪の場合、発熱や咳など花粉症にはみられにくい症状がある。
    →風邪など他の病気の可能性
  • 花粉が飛んでいる時期、室内にいるときはあまり症状が出ないのに、外出すると鼻水が出る、目がかゆくなるなど症状がひどくなる。
    →花粉症の可能性
  • 雨が降っているときに鼻や目の症状が軽減する(雨が降っているときは花粉の飛散が少ないため)。
    →花粉症の可能性

ただ、花粉症か風邪かは、基本的には医師が診察をして診断するもの。上記のチェック方法はあくまで目安として、親の思い込みで風邪か花粉症かを判断するのではなく、病院を受診するのがおすすめです。ちなみに、季節に関係なく朝起きたときや夜寝るときに鼻水が出る、あるいは鼻が詰まる場合は、布団によるダニのアレルギーである可能性が高いでしょう。

アレルギー検査をすることも

最終的にアレルギーかどうかを診断をするには、アレルギー検査をする必要があります。血液検査で花粉やホコリに対するIgE抗体の数値を調べることによって、子どもにどんなアレルギーがあるのか知ることができます。

花粉症の場合、どの花粉に対してアレルギーが強いかを調べます。アレルギー検査の場合、一般的にスギ、ヒノキのほかダニなどを調べることが多いでしょう。これ以外に、親が検査項目を選ぶ必要がある場合は、地域や環境によって選ぶ項目に多少違いが出てきます。たとえば関東地方に住んでいればハンノキ、住宅の周囲に雑草が多ければイネやブタクサ、カモガヤ、ヨモギ、寒い地方に住んでいる場合はシラカンバなどを加えてもいいでしょう。

子どもの花粉症対策におすすめの方法

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花粉症対策としてできることは?

花粉症の対策としてできることは、大人も子どもも変わりありません。花粉が飛散する季節の前から予防を行うと効果的です。花粉が目や鼻に触れないようにするための子ども用のマスクやゴーグルを上手に取り入れましょう。また、花粉症が飛んでいる時期には、できるだけ室内に花粉を持ち込まないことも重要です。下記の家庭でできる対策方法を参考に、親子で一緒に取り組んでみましょう。

<家庭でできる花粉症対策リスト>

  • 花粉の情報を親がチェックしておく。
  • 飛散が多い時期の外出にはマスクや花粉用ゴーグルを着用する(ただし、嫌がる場合や小さいお子さんの場合は無理に着用しない)。
  • 洗濯物は室内干しにする。
  • 帰宅したらすぐに着替える、帰宅したらシャワーを浴びる。
  • 飛散の多い時期は窓を開けっぱなしにしない(換気をするなら飛散の少ない早朝や夜、ごく短時間に)。

子どもの花粉症の治療法は?

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花粉症の受診は何科?治療法は?

子どもの場合、普段からかかりつけ医がある場合は、小児科で相談しましょう。鼻の症状がひどい場合は、耳鼻科に相談してもいいでしょう。

花粉症の治療は、ほかの鼻や目のアレルギーの治療と基本的には同じです。子どもの場合、症状を抑える対症療法は薬剤療法になります。処方されるのは抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服薬や点鼻薬、点眼薬、そしてステロイドの点鼻薬や点眼薬になります。抗アレルギー薬の中には生後6カ月から使えるものもあります(ただし、実際に花粉症で0歳児に処方することはまずありません)。ステロイドというと怖いイメージをもたれる方もいますが、点鼻薬に含まれるステロイドの量は少なく、必要に応じて長期間使用できる薬です。一方、ステロイドの点眼薬は長期間使用すると副作用が出ることがありますので、医師の指示に従って使用しましょう。

子どもに市販薬を使ってもいい?

小児用の市販薬として抗ヒスタミン薬をドラッグストアで買うことができます。対象年齢や用法容量を守れば、市販薬を飲ませることも悪くはないでしょう。ただし、花粉症と診断されていないのに自己判断でこれらの薬を飲ませないようにしましょう。市販薬を服用しても症状が改善しない場合は、小児科または耳鼻科を受診してください。

花粉症の根治療法とは?

花粉症には症状を抑える対症療法のほかに、根治療法があります。根治療法のなかでとくに注目されているのが、舌下免疫療法というものです。アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に吸収させていくことで、アレルギー反応を弱めていく方法です。スギ花粉症またはダニによるアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。

具体的には治療薬である舌下錠を舌の下に置き、定められた時間を保持した後に飲み込みます。初めての服用は医療機関で行いますが、2日目からは家庭で服用できます。小さいお子さんでも適切に舌下投与できると医師が判断した場合には治療を受けることができます。治療期間が3〜5年と、根気のいる治療になります。

舌下免疫療法は常に効果が高く、7〜8割の人の症状が改善するという結果も出ていますが、すべての患者さんに効果が期待できるわけではありません。治療を途中でやめてしまうと効果が低くなり、治療を継続できても一生花粉症にならないわけではありません。

また最近では、12歳以上のお子さんで花粉症の症状が重症の場合、抗IgE抗体を皮下注射する治療法もあります。2〜5月の花粉の時期に4週間に1回注射をします(保険適用)。薬を服用しているのに花粉症がひどくて夜眠れない、受験を控えているのに勉強に集中できないなど、花粉症の症状に悩まされている場合は、相談してみてください。

黄砂が子どもに与える影響は?

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黄砂アレルギー、症状や花粉症との違いは?

最近、黄砂の飛散がニュースになることが増えてきました。黄砂によるアレルギー症状は目のかゆみや鼻水、くしゃみ、皮膚のかゆみなど花粉症ととてもよく似ています。花粉が飛散する時期と重なると区別がつきにくいものですが、黄砂が飛んでいる時期だけアレルギー症状が出ている場合は、黄砂に反応している可能性が高いでしょう。

花粉症と違って黄砂アレルギーは検査でわかるものではありません。大切なのは原因を突き止めることではなく、症状が出ないように対策をすること。対策方法は花粉の場合と同じです。症状がひどい場合は花粉症と同じように、小児科または耳鼻科を受診しましょう。処方される薬も基本的に花粉症と同じです。

花粉症の症状は、子どもも大人もつらいもの。学習や仕事に集中できないなど、日常生活に支障をきたすことも多くあります。できる予防や対策を知り、また適切な治療を受けることで、症状を緩和していきましょう。