
多くの小学校では5月の連休明けから実施される「新体力テスト」。種目の一つでもある「ソフトボール投げ」の記録を伸ばすためのコツをご紹介します。すぐに実践できるものばかりなので、本番前に親子で対策してみて!
遠山健太 先生
株式会社ウィンゲート代表取締役。子どもの運動教室「WingateKids」の運営のほか、子どもの適合するスポーツを見つけ出す「マイスポ」も監修。ワシントン州立大学教育学部卒、現在は順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科修了。現在は「子どもの体力」について研究しながら保護者や指導者向けの講演活動も行っている。「運動できる子、できない子は6歳までに決まる!」(PHP研究所)、「コツがつかめる! 体育ずかん」(ほるぷ出版)など著書多数。
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ソフトボール投げのやり方をチェック

直径2mの円内から、前方30度の範囲内に、ボール(ソフトボール1号サイズ)を投げます。ボールが落下した地点までの距離を測定します。円内であれば、助走やステップをつけてもOK。2回実施し、良い方の結果を記録します。
なお、中学生になると、ボールの大きさが変わり「ハンドボール投げ」になります。
直前でも間に合う!遠くへ投げるポイントは2つ

画像:PIXTA
ソフトボール投げで、遠くに投げるために押さえておくべきポイントは「基本の投げ方」と「ステップ」の2つ!これだけで、ソフトボール投げの経験がない子、苦手な子であれば3~5メートルほど記録を伸ばすことができますよ。
基本の投げ方
まずは、基本の姿勢(フォーム)を身につけることが重要です。
- ボールを持った方の腕は、ひじが肩より高くなるように上げる。
- ボールを持つ手と逆の足を前に出し、ボールを持っていない腕は前に伸ばす。
- 目線を遠く、前方を見る。
この基本の姿勢から、上半身をねじるように腕を強く振ってボールを投げます。ソフトボール投げは腕の力だけでは思うように記録は伸びません。きちんとした姿勢ができていると、投げるときの肩甲骨や腰のひねりがスムーズに動き、ボールに力を伝えやすくなります。
また、投げるときには正面ではなく、上方向にななめ45度を意識して投げましょう。ボールが綺麗な放物線を描くと飛距離もアップします。
ステップ(助走)
より勢いをつけるために重要なのが助走(ステップ)です。既定のラインからはみ出さないようノーステップで投げる子が多いですが、これだと体の力がボールにしっかり伝わりません。基本の姿勢から後ろに引いた足に体重をのせ、カニさん歩きのイメージで1~2歩ほどステップを踏むことで、後方から前方へエネルギーを伝えることができます。
ステップからボールを投げる一連の動作の練習を事前にしておくだけで記録は大きく伸びるはずです。
★+αでできる練習方法は?
ソフトボール投げでは、体の様々な部位の「連動性」が重要です。連動性は直前で習得するのはやや難易度が高いかもしれません。日ごろから、「紙鉄砲」や「メンコ遊び」などの遊びを取り入れて、「ものを投げる」「腕を強く振る」動作に慣れておくこともおすすめです。
ストレッチで体の動きをスムーズに!

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ソフトボール投げでは、「体をひねる」動作がカギになります。つまり、股関節と胸椎(背骨)の柔軟性がとても重要です。スムーズにボールを投げることができるよう、テスト本番前にはストレッチをして筋肉や関節を伸ばしておきましょう。もちろん、普段からストレッチ習慣を身につけておくことも重要です。
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ソフトボール投げ 年齢別・身長別の平均記録は?

こちらは文部科学省により2024年度に実施された「体力・運動能力調査」のうち、ソフトボール投げの年齢別平均記録です(2025年3月28日更新)。


『新・日本人の体力標準値2』(不昧堂出版/首都大学東京体力標準値研究会)を参考に作成
こちらはソフトボール投げの身長別平均記録です。年齢別・学年別の平均記録を意識してしまいがちですが、小学生のうちは誕生月などによって発育速度の個人差が大きいため、身長別の平均記録を目安にしましょう。
記録を伸ばすためには、目標を持つことも大事なポイント!親子で目標を立てて、子どもの体格に見合った記録を目指すことがおすすめですよ。
運動能力のアップは、日頃の運動習慣やトレーニングの継続が重要なのはもちろんですが、親子で一緒に種目のやり方やポイントなどを押さえておくだけでも、子どもの自信につながります。「本番で練習したことを発揮する」ことを目指して、親子で楽しく挑戦しましょう。