2020年1月に横浜駅近くにオープンした「京急ミュージアム」。最高速度120km/hで走行する快特電車や、音階のモーター音とともに走り出す車両など、京急線は鉄道好きキッズにも大人気。そんな京急のミュージアムということで注目度は大きく、すでに鉄道ファンの間で大きな話題になっています。大人も子どもも楽しめる展示や、わくわくする体験メニューが充実。いったいどんなミュージアム?ひと足早く、オープン前日に行われた内覧会と開館セレモニーを取材してきました!
- 1:「京急ミュージアムとは」?
- 京急創立120年を機にオープン
- そもそも京急ってどんな会社?
- 2:館内見どころ一気に紹介
- (1)1階の専用入口から入館
- (2)レトロ車両デハ236号と記念撮影!「京急ヒストリー」
- (3)模型運転もできる!「京急ラインジオラマ」
- (4)実写映像で運転しよう!「鉄道シミュレーション」
- (5)京急はバスも楽しいぞ!「バスネットワーク」
- (6)自分だけのオリジナルプラレールを作ろう!「マイ車両工場」
- (7)こんなところにも注目
- 3:館内お役立ち情報
- キッズトイレ&授乳室あります
- 食事処はなし、飲み物は指定された場所で
- おみやげはホームで販売。人気はカステラまんじゅう
- 4:入館方法&データ
- 施設データ
- 入館申し込み方法
1:横浜にオープン!入場無料の「京急ミュージアム」とは?
京急創立120年を機にオープン
京急電鉄(京急)は横浜、川崎、横須賀、羽田空港、品川など神奈川県内と東京都を結ぶ大手私鉄です。2019年9月、本社を泉岳寺(東京都港区)から横浜みなとみらい地区に移転。そして2020年1月、ビルの1階に、京急創立120周年事業の一環として「京急ミュージアム」を新設しました。
館内には、昭和初期から活躍し、約2年の修繕作業を経て当時の姿によみがえった歴史的車両「京急デハ230形」をはじめ、京急沿線を再現したジオラマや運転体験コーナーなど、京急グループの魅力あふれる展示や体験スポットをコンパクトに配置。広すぎないので、効率よく楽しめます。
そもそも京急ってどんな会社?
前身となる大師電気鉄道株式会社が1898(明治31)年に創業。以降、数度の合併や社名変更を経て、現在は本線(品川~浦賀)をはじめ、羽田空港アクセスを担う空港線や、大師線、逗子線、久里浜線を運転しています。
赤を基調としたカラーリングの車両でおなじみですが、最近では車体の黄色い「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」や青い車両「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」も走り、ファンを楽しませています。
ビルの外には屋外展示の「ケイキューブ」が。電車の形のオブジェで座ったり触ったりできます。館内の車両も見えます。実はここも記念撮影スポット。横浜駅側から入館すると見落としがちなのでお忘れなく!
2:京急沿線を再現したジオラマ、運転体験、バスの押しボタンまで!館内の見どころを一気に紹介
(1)1階の専用入口から入館
1階、道路に面したミュージアム専用入口から中に入ると、インフォメーションカウンターがあります。
「鉄道シミュレーション」や「マイ車両工場」など、有料メニューを利用する場合は券売機でチケットを購入します。
※当分の間は、一部入館日において事前申込による抽選となります。
(2)レトロ車両デハ236号と記念撮影!「京急ヒストリー」
京急ミュージアム展示の目玉、「デハ230形・デハ236号」。なんと1929年製、昭和初期から活躍していた本物の車両です。1978(昭和53)年に引退後は埼玉県川口市で保存されていましたが、ミュージアム開館を機に、横浜に里帰りしたのです。
階段をのぼり、ホームから車内に入ります。車内はレトロムードたっぷり。シートに座ることも可能です。床は木で、今の車両とはまったく違いますね。エアコンもなく、扇風機がついていました。車内では会社の年表や、京急の歴史がわかる貴重な資料を展示しています。厚みのある硬券や記念切符などは、パパ・ママ、おじいちゃんやおばあちゃんには懐かしく感じるかもしれません。
傷みが激しかった車両を、約2年かけて修復し、展示するまでにはさまざまなドラマがありました。館内では修復から車両搬入までのドキュメント映像を放映しています。
ホームは1970年代頃をイメージしているので、駅名標やゴミ箱の中身にも注目してみて。
ホームの先に設置された非常ボタンは実際に押すことができます。意外と重く「押した」という感じがします。
ボタンを押すと、赤いランプが点滅します。非常時に遭遇したときのために、ここで学んでおきましょう。
(3)運転もできる!「京急ラインジオラマ」
デハ236号の隣にあるのが、「京急ラインジオラマ」。京急沿線を再現したジオラマは約12メートルという壮大なもので、鉄道模型(HOゲージ)の運転体験もできます。しかも、運転台は本物の800形。800形は2019年に引退するまで「だるま」と親しまれていた車両です。運転体験は1回100円(約3分)。
運転体験では、100円玉を投入したら、品川駅からぐるっと一周。鉄道模型の先端部分にカメラがついているので、風景を見ながら3分間操作できます。品川駅でぴたっと停車させられるかな? スタッフの説明を聞きながら挑戦してみましたが、うまく停められず品川駅を通過してしまいました…。
ジオラマは、「品川・都心エリア」「横浜・みなとみらいエリア」「横須賀・三浦・葉山エリア」など6つのエリアが配置され、細部のすみずみまでこだわりが感じられる仕上がり。見ているだけでもわくわくします。横浜エリアなら京急本社や観覧車、品川エリアでは品川駅近辺も再現。
親子で「ここはどこかな?」「あの建物は何かな?」と会話が弾みそうです。
駅舎が橋上化され、再開発が進む金沢八景駅。2019年に駅舎が移転してきたシーサイドラインの様子もバッチリ再現!
京急久里浜工場。ジオラマには京急グループのバスや店舗、レジャー施設などもたくさん配置されています
(4)実写映像で運転しよう!「鉄道シミュレーション」
運転シミュレーターは、京急の主力車両である新1000形電車運転台を使い、実写映像で体験できるのが魅力。
コースは「入門(わくわくコース)」から「初級」「中級」、鉄道ファン向け「上級」まで全4コース。
キッズにおすすめなのは「入門コース」。快特の堀ノ内→京急久里浜を運転します。どんな操作をしても必ず駅に停車するので、「運転している気分」を満喫でき、きちんと停止するため満足感も得られそう。慣れたら初級に挑戦してみて。1回500円。時間指定のチケットが必要です。
※当分の間は、一部入館日において事前申込による抽選となります。
運転台の外にある座席の窓は、シミュレーターとは連動していませんが、こちらも実写で電車に乗っているような体験ができますよ。この座席配置がまた京急らしいのです。
(5)京急はバスも楽しいぞ!「バスネットワーク」
京急グループはバス路線も豊富。「バスネットワーク」コーナーにはバス運転台を再現。運転台に座って、ハンドルを動かしたり、窓際のレバーを操作して扉の開閉ボタンを押してブザー音を鳴らしたりすることができます。
さらに楽しいのは、壁に取り付けられている、たくさんの「停車ボタン」。子どもの手が届く位置に配置されているのがうれしいところ。「子どもが車内で押したがって困る」という話をよく聞きますが、ここなら存分に押せますよ。
お宝グッズの展示もあります。バスのLED方向幕はタイミングによって行き先や回送表示に変わるので見逃せません。さらに奥の写真パネルにはグループ会社の川崎鶴見臨港バスの車両が映り込んでいるのもポイントです。狭いスペースながらもバスファンのキッズが大喜びしていました。
(6)自分だけのオリジナルプラレールを作ろう!「マイ車両工場」
「マイ車両工場」は、自分の描いた図柄で「プラレール」が作れるという体験です。台紙に描いた絵を専用の用紙に転写し、プラレールの製造元・タカラトミーと共同開発した白い車両に貼り付けます。主に絵を描いたり、シールを貼るといった作業で、お絵かきと工作が一度に体験できます。
台紙となる車両は白、黄色、赤、青から1種類をセレクト。完成品は箱に入れて持ち帰ることができます。写真はスタッフの制作例。連結器もついているので、既に持っているプラレールと一緒に走らせることもできます。所要30分~1時間、1000円。同伴者は1名まで。
(7)その他こんなところにも注目
車両と模型の間の通路にはこんな展示も。足下もお見逃しなく。
展示車両のパンタグラフ上げ下げ体験もできます。
カプセルトイ(有料)もあります。何が出るかな。
発車案内は横浜駅と連動しています。
3:授乳室、食事、お土産。子連れパパママのための館内お役立ち情報
キッズトイレ&授乳室あります
トイレは、多機能トイレ、キッズ用トイレも完備。授乳室もあります。
男女のトイレのサインにも注目。授乳室ではお湯も用意。おむつ交換台もあり、専用ゴミ箱が置かれています。
食事処はなし、飲み物は指定された場所で
館内で食事はできません。飲み物は指定された場所のみOK。コインロッカーはなし。館内では通路が狭いところもあるので、大きな荷物を持っての入館は避けて。ベビーカーを置くスペースは運転体験シミュレーター横とマイ車両工場横にあります。
おみやげはホームで販売。人気はカステラまんじゅう
ホームにグッズ販売コーナーがあり、さまざまな京急グッズを販売しています。一番人気は、限定パッケージの「カステラまんじゅう」8個入り540円。「けいきゅん」などの焼き印が入っています。
4:週末は要予約。入館方法や有料コーナーの申込み方は事前に要チェック!
施設データ
住所 | 神奈川県横浜市西区高島1-2-8 京急グループ本社1階 |
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開館時間 | 10時~17時(最終入場16時30分) |
休館日 | 火曜(火曜が祝日の場合は翌日)、年末年始および特定日 |
入館料 | 無料※一部体験コンテンツは有料 |
駐車場 | なし |
アクセス | 横浜駅東口から徒歩約7分(みなとみらい線新高島駅から徒歩すぐ) |
URL |
入館方法を要チェック!
2月26日~4月5日の土休日と春休みの抽選申し込みは2月9日まで!!
入館は各回定員100名、2時間の入れ替え制。オープン当初は混雑が予想されるため、当分の間入館制限を実施しています。2月24日までの入館事前申し込み(抽選)はすでに終了。2月26日から4月5日までの入館は、注意が必要です。
- 平日:当日受付で入館可能(混雑時は入館制限の場合あり。火曜は休館)
- 土・日・祝日・春休み(3月26日~4月5日):インターネットで優先入館に事前申し込みのうえ、抽選で当選した人が「優先入館」可能。
※状況によっては、当日でも入館可能になる場合があります。
<ネット申し込み、ココが重要!>
申し込みの前に、あらかじめ時間帯とプランを決めておく必要があります。
- 希望の時間帯を指定する
午前 10時~12時
午後① 12時30分~14時30分
午後② 15時~17時 - 申し込みは大人・子ども合わせて最大4名まで(乳幼児含む)
- プランを選ぶ
入館のみ 無料
入館+マイ車両工場 体験料:1回1000円
入館+鉄道シミュレーション 体験料:1回500円
要注意なのは、「入館」のみで当選した場合は「マイ車両工場」「鉄道シミュレーション」は体験できないということ。また、「マイ車両工場」および「鉄道シミュレーション」で申し込めるのは、どちらか一方のみ。あらかじめ体験したい内容を決めておきましょう。
おまけコラム。館長やスタッフたちの「京急愛」と「鉄道愛」がすごかった!!
館長の佐藤武彦さん(写真右)は京急の運転士から京急久里浜駅長を経て現職。運転士時代は、子どもたちが運転台のうしろからのぞいていると、気合いが入ると同時に「よりいっそう安全運転をしなくては」という思いが強くなったそう。
運転シミュレーションで「初級、通称わくわくコース」を設定したのも子どもたちにも運転士の世界を体験してもらおうという、佐藤さんをはじめとする関係者の強い思いからなのです。
館内展示を担当したのが、京急電鉄営業企画課の飯島学さん(写真左)。1970年代頃の雰囲気を再現した駅のホームなど、演出や細部のディテールにもこだわっていて、本物志向の大人もうならせる内容になっています。今年もっとも注目の鉄道ミュージアムです。