北千住駅から徒歩1分。抜群のアクセスを誇る足立学園中学校は、「志(こころざし)共育」という教育方針が特徴的な男子校です。生徒たちの夢を応援し、自ら立てた目標のために必要なことを学校が手厚くサポートする制度の魅力について、るるぶKids編集部が、がくパパと一緒に取材してきました。

- 足立学園中学校の基本情報
- └ 入試情報(2026年度)
- 足立学園中学校はズバリどんな学校?
- └ 世のため人のために活躍できる紳士を育てる「志共育」
- └ 生徒と先生が「志」で語り合う
- └ 志共育で生徒が変わる瞬間
- 足立学園中学校ならではのプログラムとは?
- └ 修学旅行の下見は生徒が行く
- └「こころざし探究プログラム」や「ジャンプアップ講座」
- 足立学園中学校に伺う「面倒見の良さ」とは?
- └ 生徒ひとりひとりに寄り添う年3回の二者面談
- └ 兄弟在籍率が高い——「お兄ちゃんが楽しそうだったから」
- 足立学園中学校ならでは!気になる施設
- └ 自習室
- └ 食堂
- └ 屋上テラス
- 学校選びのアドバイス
- 保護者へのメッセージ
著者:がくパパ
「偏差値だけで学校を選ばない」をモットーに首都圏の中学受験校100校以上を独自に調査し中学受験校を分かりやすく解説しているインスタグラムを運営中。学校が好きすぎて、私立校の講師も経験した学校ヲタク。今は3児(5歳・2歳・1歳)のパパ。
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足立学園中学校の基本情報

1929年、地域の人々の寄付によって創立された伝統ある男子校。「世のため人のために」という志を育む教育が、約100年にわたって受け継がれています。
| 住所 | 東京都足立区千住旭町40-24 |
|---|---|
| アクセス | 北千住駅(JR常磐線・東武スカイツリーライン・つくばエクスプレス・東京メトロ千代田線・日比谷線)東口より徒歩1分 |
| 生徒数 | 1622名(中学校640名、高校約982名) ※2025年4月現在 |
| 中高一貫校 タイプ |
併設型(高校からの入学者あり。高2より中入生と混合クラスとなる) |
| クラス編成 | 特別クラス(2クラス)・一般クラス(3クラス) |
| 高校 | 探究コース・文理コース・総合コース |
| 文化祭 | 学園祭(9月下旬開催・一般公開あり) |
| 土曜授業 | あり |
| 部活動 | 運動部・文化部合わせて35クラブ(中学生は原則週3日〜4日活動) |
| URL |
入試情報(2026年度)
足立学園中学校では一般入試のほか、足立学園オリジナル入試である「志入試」を行っています。国語と算数の基礎学力を測るテストに加え、①志望理由、②志につながる入学後の抱負や将来の目標、③自己PRをそれぞれ100字程度で記入し、足立学園への想いを伝える入試です。
志入試では親子面接も実施。足立学園の教育について親子が共に理解し、学校理念と教育を面接の場で共有することも大きな特徴です。
- 受験科目:
・志入試(2月1日)…国語・算数(基礎学力テスト)、エントリーシートの提出、親子面接(保護者1名)通知表
・一般入試(2月1日~2月4日)…2科(国算)もしくは4科(国算理社)
・適性検査型(2月1日)…適性検査Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
・特別奨学生入試(2月1日~2月5日)…2科(国算)もしくは4科(国算理社)
※志入試は第1志望入試。合格後の入学辞退は不可
足立学園中学校はズバリどんな学校?
取材したのは期末テスト期間中。校内を歩いていると、廊下のあちこちでグループになって勉強している生徒たちの姿が目に入ってきます。

窓際で勉強している生徒たちの机を指差し、「ここ、机じゃないんですよ」と案内してくれたのは、広報部の相澤先生。実は、元は単なる棚。廊下に設置されているテーブルが埋まっていると、棚の上にもノートを開いて勉強したがる生徒たちを見かねた先生が椅子を置いたことで、勉強スポットになっていったのだとか。

こちらのグループは、同じ部活の生徒たち。学年の違う生徒が一緒に勉強している姿は珍しくないようで、相澤先生曰く「先輩が教えた方が、すっと入るみたいなんですよね。先生よりも」とのこと。校内にはこのような勉強スペースやホワイトボードがたくさんあり、生徒たちの勉学意欲を支えています。

壁だけでなく柱にもホワイトボードが!
先生達も、廊下で勉強している生徒の横を通りがかった時に「お、やってるな」と声をかけたり、請われてそのまま即席の個別指導が始まったり。勉強への向き合い方が、とにかく学校全体で自然的なのです。この姿勢は、試験期間中でなくても大きくは変わらないとのこと。

プリンターも自由に使用可能
なぜ、これほどまでに生徒たちは主体的に机に向かうのでしょうか?その理由こそが、足立学園の根幹にある「志共育」にあります。
世のため人のために活躍できる紳士を育てる「志共育」

インタビューに答えてくれた瀬尾校長先生
瀬尾校長先生は、学校説明会に来る小学生の子どもたちにいつもこう問いかけるそうです。
「みなさんには夢はありますか?」
その時点で夢がある人だけが優れている・足立学園にふさわしい人間であるという意図ではありません。今は夢がなくてもいい。中学に入学してからの6年間で色々なものを見て、職業に限らず「将来はこうなりたい」と大きな意味の夢を持つようになってほしい。そんな願いが込められています。
今の社会は、偏差値の高い大学に入り大手企業に就職するのが良いという風潮がまだ強い。ただ、そこは決してゴールではありません。何になりたいのか。何のために学ぶのか。中学受験に合格して入学することだってゴールではない。その先の将来、世のため人のために活躍するべく自ら目的を立て、その夢の実現のために必要な志を共に育む。それが「志共育」なのです。
生徒と先生が「志」で語り合う

コンクリートを基調としたスタイリッシュな校内
志共育の取り組みは、まず「自分という人間を振り返る」ところから始めるそう。その後、授業や探究活動などで社会にふれ、自分の考えを掘り下げていきます。
この志共育を行うために、なんと先生全員が志共育の研修を受けています。まず生徒と同じように自分の過去を振り返り、自分を知ることからスタート。それから「将来どうしたいか?」という問いに向き合い、自分の志をグループの前で発表し、点数がつきます。合格点に達しないとやり直しという、なんともシビアな内容です。
「いや、もう本当に大変でしたよ」と、瀬尾校長先生。
「最後は涙なしでは語れない研修でした。でも、それぐらい真剣に作った志だから、教員側もちゃんと生徒と向き合いたいという気持ちになるんです」
相澤先生は、授業以外でも自然と生徒の志を育むような会話をしているとのことですが、そんな先生達の想いは、しっかりと生徒にも届いています。

たまたま通りがかりに話を聞いた生徒さん。なんとインラインスケートで全国制覇を果たしたとのこと!志共育について聞いてみると、「先生方が志共育ってよく口にしますし、自分もそういう考え方が好きで、とても気に入ってます」と、はにかみながら答えてくれました。
志共育で生徒が変わる瞬間

図書室にはスタディツアー関連の特設コーナーが設けられています
足立学園では志共育の一環として、ラオスやタンザニアなど、他の学校のスタディツアーではまず行くことのない地域へ滞在する「志グローバルプログラム」が実施されています。
印象的だったのは、スタディツアーから帰ってきた生徒たちの変化の話でした。
タンザニアのスタディツアーに参加したある生徒は、現地の病院を訪れる機会がありました。実はツアー中に仲間がプールの水を飲んでお腹を壊し、たまたま病院に行くことになったのだそう。その病院は、アメリカ人の医師が全財産を投げ打って建てたものでした。

「これぞまさしく『志』だって、その生徒はハートに火がついちゃって。今は医者を目指して勉強しています。しかも卒業後はその病院に戻ってきていいですかって、院長と約束までしてきたんですよ」
ラオスに行った別の生徒は、貧しいけれどキラキラ輝いている現地の人々を見て「幸せの価値観って違うんだ」という気づきを得て帰ってきました。その生徒は今、「みんなが夢を描ける環境を作りたい」という志を掲げ、教員を目指しているそうです。
足立学園中学校ならではのプログラムとは?
「夢を持とう」で終わらないのが、足立学園の志共育。スタディツアーだけでなく修学旅行も、日々の学習も、すべてが「志を育てる場」になっています。
修学旅行の下見は生徒が行く
多くの学校で修学旅行といえば、先生が行き先を決め、旅行会社がプランを作り、生徒は当日参加するもの。でも足立学園は違います。なんと高校では修学旅行の下見に、生徒が行くのだとか。
まず「どこに行きたい?」というアンケートから始まります。生徒たちの希望をもとに方面が決まると、なんと代表生徒が実際に先生と一緒に下見に行くのです。
「誰のための旅行なんだ?って考えたんです。教員のための旅行じゃない、生徒のための旅行なんだから」

下見報告会の様子
下見に行った生徒は、想定した行程は本当に回れるのか、危険な場所はないか、迷子になりそうな場所はないかなどを自分の目で確認します。中には「親に負担がかかりすぎないか」とお金のことまで考える生徒もいるのだとか。
「下見に行きたいって言う子が多くて、『もう少し大人数で行っちゃダメですか』って聞いてくるんですけれど、さすがにそこにお金はかけられない(笑)」
行き先から行程、そして下見まで。全てを自分たちで決めてくるからこそ、ルールも守る。だから、修学旅行の満足度は断然違うそうです。
「こころざし探究プログラム」や「ジャンプアップ講座」

志共育を支えるプログラムとして特徴的なのが、松下政経塾と連携した「こころざし探究プログラム」です。
パナソニックの創業者であり、「社会のために真のリーダーを育てたい」という強い信念をもつ松下幸之助。彼の思想や生き方を手がかりに「自分は社会のために何ができるのか」を考えます。グループでの対話を重ねるうちに、最初はあやふやだった考えが少しずつ形になっていくのだとか。最後には代表生徒が、政経塾内でも特に厳粛な講堂で自分の志を発表。仲間の発表に刺激を受けて「自分も発表したい!」と手を挙げる生徒が次々と現れ、会場は活気に満ちた発表会になるそうです。
教室の中だけでは得られない「本物の体験」を通じて、生徒たちの志が確かな形になっていく——志共育の本気度が伝わるプログラムです。

卒業生チューターが寄り添いながらサポート。先輩だから質問しやすく、理解を深められる学びの場に
また、志に必要な力を自分で取りに行けるよう、苦手を補い得意を伸ばしたい生徒が自主的に参加できるプログラムも、学校側できちんと整えられています。
水曜と土曜に行われている「ジャンプアップ講座」という学習サポート。こちらの参加は任意で、数学と英語を自習形式で学びながら、チューターとして参加しているOBから教わることもできます。自分たちの年齢に近い先輩OBから、大学生活などを聞くことができるのも魅力です。
足立学園中学校に伺う「面倒見の良さ」とは?

足立学園の「面倒見の良さ」は、プログラムだけではありません。先生と生徒、そして家族との距離の近さが、この学校の空気をつくっています。
生徒ひとりひとりに寄り添う年3回の二者面談
足立学園では、年に3回の二者面談が行われています。気になる子は1週間後にもう一度呼ぶこともあるそう。
校内を歩いていると、廊下で勉強している生徒のところにふらっと先生が立ち寄って、軽い立ち話をしている場面に何度も出会いました。かしこまった「面談」だけでなく、こうした日常的なやりとりの積み重ねが、生徒一人ひとりへの理解につながっているようです。
兄弟在籍率が高い——「お兄ちゃんが楽しそうだったから」

足立学園には「兄弟」で在籍している生徒がとても多いそうです。兄弟だけでなく、お父さんも、おじいちゃんも、おじさんまで——みんな足立学園出身という家族もいるのだとか。
今回、兄弟で足立学園に通わせている保護者の方にお話を伺うことができました。
「うちは、兄がとても学校を楽しんでいたんです。生き生きと学校に行っていて、学校の役割も積極的に担っていて。そんな姿を見て、弟も『自分も足立学園に行きたい』という気持ちになったのかなと思います」
弟さんは他の学校との比較はあまりせず、足立学園をほぼ決め打ちで選び、入学を志したそうです。
「基本的に面倒見がいいんですよね。先生方がよく目をかけてくれる感じがあって」

足立学園の志入試では親子面接が行われます。これは単なる「審査」ではなく、学校と家庭がお互いの価値観を理解し合う時間として位置づけられています。
「志」を共通言語として、6年間の方向性を揃える。だからこそ入学後に何か困りごとが起きても、保護者と先生が信頼関係を土台にきちんと話ができる。この入り口の丁寧さも、数世代に渡ってファンをつくる魅力なのではないでしょうか。
足立学園中学校ならでは!気になる施設
男子校ならではの活気がありながら、落ち着いて学べる場所も充実している。生徒たちが「自分の居場所」を見つけられる空間が整っています。
自習室

足立学園の自習室は、試験前になると「順番待ち」が発生するほどの人気スポット。飲食厳禁、私語厳禁で、集中して勉強したい生徒が集まります。
監督の先生が常駐していますが、勉強を教えるというよりは、集中できる環境を守る役割。ワイワイ勉強したい子は、廊下や食堂など別の場所を使います。この「使い分け」が自然にできているのも、生徒の自主性を感じるポイントです。
食堂

広々として綺麗な食堂は、嬉しいことに中学生から利用可能。取材日はクリスマスシーズンで、食堂にはかわいらしいクリスマスの飾り付けがされていました。ハロウィンの時期にはハロウィンの装飾になるそうです。

人気メニューは「あだちき」。ファミチキになぞらえて名付けられた、大きなチキンです。日替わり定食は480円と、お財布にも優しい価格設定。
試験前には自習室がいっぱいになるため、食堂を自習室として開放することも。ただし「使い方が悪いとクローズになる」というルールがあり、生徒たちは自分たちでマナーを守っています。
屋上テラス

学校が一望できる屋上テラス。木目調の床とベンチがあり、生徒はベンチでまどろんでいることも。天気が良いと青空や綺麗な夕陽が見えることもあるそうです。
学校選びのアドバイス

生徒が学園祭の景品としてつくった、瀬尾校長先生のアクリルスタンド
「学校に直接ふれてもらいたいですね」
瀬尾校長先生は、学校選びについてこう話してくれました。
「情報誌を見るのも大事ですが、行く学校を選ぶための参考程度として、実際にいろんな学校を見て、体験してほしい。そうすると、自分の子どもに合うと感じる学校があると思います」
そしてその学校に来るまでの道中も、判断のひとつにしてほしいとのこと。足立学園は北千住から徒歩1分。その近さや、電車の便の良さも魅力です。
ちなみに足立学園の説明会では、校内案内を生徒が担当します。だから、先生相手だと尋ねにくいかも…と思うような質問も気軽にできる。生徒の生の声が聞ける機会になっています。

「うちは、その辺にいる生徒に何でも聞いてもらっていいですよ」
偏差値や大学実績だけでなく「ここなら安心して子どもを預けられる」と感じられるかどうか、その学校や先生、生徒と直接ふれあい、相性の良さを確かめることが大切です。足立学園の説明会は、そういった意味でも貴重な機会なのではないでしょうか。
保護者へのメッセージ

最後に、瀬尾校長先生から保護者の方へのメッセージをいただきました。
「まずは行きたいって憧れる学校を探してみてください。学力は最終的に、自分の子どもが行けるかどうかを見るためのもの。その前に、この学校に行きたいって思える場所を見つけることが大事だと思います」
「偏差値や学歴だけにこだわらず、子どもはもっと幸せに過ごしてもらいたい」という思いを抱いた保護者が多いと感じている。とも語ってくれた瀬尾校長先生。
学力偏重主義とは一線を画し、生徒の一生を見据えた教育を実行する足立学園。気になったら、ぜひ足を運んでみてください。
<がくパパ取材コメント>
足立学園の取材で最も心に残ったのは、「志は6年間で変わっていい」という言葉でした。
夢がない子も、ぼんやりとした夢しかない子も、ここなら受け止めてもらえる。そして、いろんな経験を通じて、自分の「これだ」が見つかっていく。タンザニアで医師の志に触れた生徒、ラオスで幸せの価値観に気づいた生徒。彼らの話を聞いて、「夢が変わること」は「成長すること」なんだと気づかされました。
そして何より印象的だったのは、あちこちで勉強している生徒たちの姿。棚が机になり、廊下が自習室になり、食堂が学びの場になる。その自由さと、それを温かく見守る先生たちの関係性に、この学校の空気感を感じました。
「男子校って、実際どうなの?」と思っている方には、ぜひ一度足を運んでほしい学校です。北千住駅から徒歩1分、本当にすぐですから。

