「生徒の様子を見てほしいから」と案内されたのは、会議室ではなく生徒たちが集うラーニングコモンズ。部活動を終えた中学生と高校生、そして先生までもが、それぞれの垣根を感じさせずに談笑する穏やかで自由な雰囲気は、学校の全体の空気でもありました。学校独自のSTEAM教育や探究活動など、聖徳学園の魅力を、「るるぶKids」編集部ががくパパと共に取材してきました。

- 聖徳学園中学校の基本情報
- └ 入試情報(2026年度)
- 聖徳学園中学校はどんな学校?
- └ 先輩後輩の壁がない、柔らかい空気
- └ 多様な入口から来た子たちが混ざり合う
- 「楽しさから生まれる自由」を軸にした教育
- └ 教科をまたいで「作品」を作るSTEAMの学び
- └ 探究は行事から始まり、「語れる自分」につながる
- 聖徳学園中学校に伺う「面倒見の良さ」とは?
- └「やりたいこと」を引き出す年6回の面談
- └「英語の先生いますか?」というエピソード
- └ 生徒一人ひとりに「チーム」ができる進路サポート
- 聖徳学園ならではの施設を紹介!
- └ ラーニングコモンズ
- └ Studio
- └ ART LAB(展示室)
- └ E-Talk Room
- どんな子が向いている?
- 学校選びのアドバイス
- 保護者へのメッセージ
著者:がくパパ
「偏差値だけで学校を選ばない」をモットーに首都圏の中学受験校100校以上を独自に調査し中学受験校を分かりやすく解説しているインスタグラムを運営中。学校が好きすぎて、私立校の講師も経験した学校ヲタク。今は3児(5歳・2歳・1歳)のパパ。
≫ がくパパInstagram
聖徳学園中学校の基本情報

聖徳学園中学校は、1927年に創立された共学の中高一貫校。2015年に全校でiPadを導入し、Apple Distinguished Schoolにも認定されています。STEAM教育と探究活動を教育の柱に据え、教科横断型の授業や海外研修を通じて、生徒一人ひとりの「やりたい」を見つけ、伸ばしていくことを目指しています。
| 住所 | 東京都武蔵野市境南町2-11-8 |
|---|---|
| アクセス | JR中央線、西武多摩川線「武蔵境」駅 南口徒歩3分 |
| 生徒数 | 323名(男子226名・女子97名)※2026年4月現在 |
| 中高一貫校 タイプ |
共学・高校募集併設型の中高一貫校 |
| クラス編成 | 1学年約100名・3クラス |
| 文化祭 | 太子祭(9月実施) |
| 土曜授業 | あり(週6日制・3学期制) |
| クラブ活動 | 35クラブ(運動系17、文化系18)※同好会を含む |
入試情報(2026年度)
一般的な2科・4科入試に加え、マインクラフトを活用したプログラミング入試や、聖徳学園を第一志望とする子を対象に、面接を実施して受験生の個性や創造性をみるプライマリー入試、公立の中高一貫校とほぼ同様の検査内容を体験できる適性検査型入試など、ほかの学校入試に類を見ない多様な入口を設けているのが特徴です。
- プライマリー入試…国算+面接(受験生本人のみ)
- AM入試・PM入試…国算 ※2/2のAMのみ国語・算数・英語から2教科選択
- 特別奨学生入試…国算社理
- 適性検査型入試…公立中高一貫校に準じた形式。2科型・共通2科型・3科型から選択
- プログラミング入試…マインクラフトを活用し、創造力・発信力・コミュニケーション力を評価
聖徳学園中学校はズバリどんな学校?

先生へのインタビューを行った場所は個室ではなく、生徒たちも授業などで利用するラーニングコモンズ。すぐ近くで、部活動を終えた高校2年生と高校1年生、そして中学生の生徒たちが、学年の壁などないかのような近しい距離感で、話しています。取材をしながらも、思わずそちらに目がいってしまうほど楽しそうな光景です。
先輩後輩の壁がない、柔らかい空気

ラーニングコモンズで過ごす生徒たち。学年を超えた交流が日常の風景
「先輩後輩の区別がないんです。みんなで和気あいあいとできるのが、めっちゃいいと思います」
そう話してくれたのは、動画研究部の高校2年生(※以下、いずれも2026年3月取材時)。聖徳学園の動画研究部は「この部活に入りたいから」と入学を志望する生徒もいるほど人気の部活動のひとつですが、上下関係が厳しい雰囲気はなく、穏やかな空気が流れています。インタビュー時は、みんなで勉強をしていたとのこと。

動画研究部の生徒と顧問の川合先生
こちらは中学から通っている高校2年生と、高校から聖徳学園に入学したDSコースの高校1年生の生徒さん。
「第2の家みたいな感じです」
高2の生徒さんは、そう笑いながら教えてくれました。動画研究部の活動日はもちろん、学校説明会を手伝う生徒スタッフの準備日や、それ以外の日もなんとなくラーニングコモンズに来ている。「家よりも学校にいる時間の方が多いかもしれません」とのこと。
この生徒さんは、小学生のときにパンフレットで「動画研究部」を見つけ、「聖徳学園に入ったらここに入ろう」と決めたそうです。プログラミング入試と一般入試の両方を受けて入学し、今では部の中核メンバーとして映画制作にも携わっています。
ちなみに、写真手前左側にいるのは顧問の川合先生。あまりにも生徒2人と馴染んで仲良く話していたので、紹介されて驚いてしまいました。学年も立場も違いますが、確かに和気あいあいとした雰囲気が伝わります!

広報部長の倉田先生
学校案内してくれた倉田先生によると、動画研究部だけでなく、この学校はどの先生と生徒の仲も良いのが特徴的だとのこと。実際、先生をあだ名で呼ぶ生徒もいるほど、先生との距離は近いのだそうです。ただし、それは馴れ合いではありません。倉田先生曰く、
「校則がガチガチではないから、先生との距離が自然と近くなるんです。面談も年6回ありますし、先生が生徒一人ひとりをよく見ているからこその距離感ですね」
入学式には先生お手製の「おめでとう」の掲示が教室に飾られ、体育祭では担任の先生が一眼レフを持って生徒を写して走り回る。誰かに「やれ」と言われたわけでもなく、どの先生も自然とそうしているのだそうです。この学校に流れている穏やかで温かい空気は、先生たちの姿勢のあらわれでもあるのですね。
多様な入口から来た子たちが混ざり合う

校内の自由研究展やユネスコスクールに提出した展示一部。聖徳学園は生徒の展示がものすごく多い!
聖徳学園には、一般入試、適性検査型入試、プログラミング入試、プライマリー(第一志望)入試、特別奨学生入試と、5種類の入試形式があります。だから、生徒たちの強みも興味もさまざま。「こうあるべき」という型がないのが、この学校の空気をさらに自由にしています。
「楽しいところから生まれる自由の方が、愛着がわきやすいんじゃないかな」
倉田先生がインタビュー中に話したこの言葉が、聖徳学園の校風そのもの。多様な生徒が集まって、自由に楽しいことができる風土があるからこそ、異学年、中学生と高校生、内部生と高入生といった学校生活での障壁も自然となくなっているのでしょう。

合唱部の生徒さんから「教えて欲しい」と頼まれた卒業生が訪れていました
部活動の指導に来たり、ICTチューターとして後輩をサポートしたり。6年間で育まれた愛着で、卒業後も学校とつながり続けているのは、聖徳学園ではよく見られる光景です。
「楽しさから生まれる自由」を軸にした教育
聖徳学園の教育を取材すると、「楽しさから生まれる自由」というキーワードが、授業にまで浸透していることが見えてきました。
教科をまたいで「作品」を作るSTEAMの学び

中学1年生で実施するコマ撮り動画の制作
聖徳学園のSTEAM教育は、一つのテーマを複数の教科で形にしていく、教科横断型の学びです。
例えば中学1年生で実施されるのは「社会問題」をテーマにしたストップモーションの映画制作。まず国語の授業で四コマ漫画のストーリーを作ります。次に美術の授業で粘土を使ったコマ撮り動画を制作し、音楽の時間には動画アプリを活用してBGMをつける。一編の映画を製作するのに、さまざまな教科の学びが必要であることを、体感的に知ることができるのです。
こうした授業形式を支えているのが、多彩な専門性を持つ先生たち。映像制作の専門家や、探究の指導やプログラムづくりに長けた先生など、それぞれの「得意」が授業に反映されています。ポスターセッションでは、単に、あるテーマの発表内容をまとめさせるのではなく、美術の先生が色の使い方を、映像の先生が構図をアドバイスする。「教科の先生」というより、「その道のプロ」がすぐ近くにいる環境です。

鉄道研究部の作品。授業だけではなく、部活動でも生徒それぞれの得意とSTEAMが掛け合わさる
2015年に全校でiPadを導入し、Apple Distinguished Schoolにも認定されている聖徳学園。ただし、iPadはあくまでも「道具」であり、大切なのはその道具を使って何を表現するか。ただの座学に留まらない、自由な発想が生まれやすい授業内容に、この学校のSTEAM教育の本質があるようです。
探究は行事から始まり、「語れる自分」につながる

「学校100周年記念メニューを作る」という中学2年生の探究学習で作られた模型
聖徳学園の探究活動は、先述したSTEAM教育やグローバル教育の複合的な取り組みを通じて自己表現を養う、15年以上前から続く学校の柱の一つです。
中学1年生で訪れる新潟・阿賀町でのスプリングキャンプが、探究活動の出発点。中学3年生では「地域貢献プロジェクト」として地域の課題に取り組み、高校2年では視野を世界に広げて「国際貢献プロジェクト」へ。NPOの方々などと連携して提案を実践するなど、調べて終わりではなく、実際にアクションを起こすところまでがプログラムに含まれています。

海外研修も多彩です。中学3年生ではニュージーランドかシンガポールを選んで訪問し、高校2年生ではマルタ島や台湾に行きます。また、希望制の研修もあります。
2025年に初めて実施した、希望者によるイギリス研修では、日本とイギリスの医療制度の違いについて探究した生徒が、そのまま医療系の進路に進んだエピソードも。プロダクトデザインに興味があり、日本とイギリスのパッケージの比較をした生徒は、そこで得たことを受験時に活用したそうです。
「聖徳で提供しているカリキュラムを全部おこなえば、卒業時には『自分』を語れるようになりますよ」
倉田先生のこの言葉は、STEAM教育やグローバル教育がバラバラの「体験」ではなく、一本の線でつながっていることを物語っています。
聖徳学園中学校に伺う「面倒見の良さ」とは?
「やりたいこと」を引き出す年6回の面談

「本校の面倒見の良さっていうのは、子どもがやりたいというものをバックアップすること。やりたいことを引き出すために、面談があるんです」
聖徳学園では、1年間に6回の面談が組まれています。終礼後、「面談に行ってきます」と生徒が向かうのが日常の光景なのだそう。この面談こそが、聖徳学園の面倒見の核になっています。
面談は成績の確認だけでなく、「やりたいことを引き出す場」として機能しているのが特徴です。入学してすぐの面談で「学校どう?」、テスト後に「どうだった?」、進路選択の時期に「どういうところに行きたい?」などと、繰り返し対話を重ねることで、先生が味方だと伝わる。その安心感が土台になって、生徒が自分から質問したり将来の相談をしたり。高校から入学した生徒も、面談がきっかけで先生との距離が縮まっていくことが多いのだそうです。
「1年くらい経つと安心を覚えるようになる。その安心が精神的な土台になって、高校2年生の勉強、そして大学受験へとつながっていくんです」と先生は話します。
「英語の先生いますか?」というエピソード

生徒会長と担任の清水先生。この日は生徒会の活動をサポートしていました
先生自身も聖徳学園のOBであり、「当時から先生と生徒の関係性はとても近かった」とのこと
この面倒見を象徴するエピソードが。
ある日、生徒が職員室にやって来て「英語の先生いますか?」と聞いたそうです。生徒自身が教わっている特定の先生の名前ではなく、「教科名」で先生を探しに来る。理由を聞くと「いろんな先生に声をかけた方がいいよ、って担任の先生に言われたから」とのこと。
普段あまり関わりのない先生に声をかけるのは、勇気がいること。ただ、いつでも先生に話しかけられる雰囲気があるので、どの先生にも物おじせず近づける。先生と生徒の距離感は、こうした学習面でもきちんと機能しているのです。
生徒一人ひとりに「チーム」ができる進路サポート

取材時はバレー部がトレーニングで使用していた校庭
国公立大学を目指す生徒には、「難関国公立進学プロジェクト」として、進路サポート部と担任と教科担当によるチームが組まれ、生徒一人ひとりの進路に合わせたロードマップを作って個別にサポートしていく体制が整っています。
東大に合格した生徒は、都立中入試の併願校として聖徳学園を選んで入学しました。適性検査型入試で入り、学校生活の中でどんどん力を伸ばしていった。面談で「東大に行きたい」と先生に伝えたことでチームが組まれ、塾には通わず、学校の先生のサポートだけで合格を勝ち取ったのだそうです。
受験期以外では、放課後の「進学セミナー」も特徴的。聖徳の先生による講習が年間20〜30回開講されていて、受講してから部活、そして帰宅する、という流れが自然にできています。
「生徒が求めていることに対して、きちんとサポートしてあげたいと思っている先生が多い。それが面倒見の良さかもしれないですね」
聖徳学園中学校ならでは!魅力的な施設を紹介
取材中、特に印象に残ったスポットをご紹介します。
ラーニングコモンズ

学校の中心的なスペース。授業はもちろん、お昼ご飯を食べることもできれば、自習や部活動に使うこともできる自由度の高い空間です。

こちらは動画研究部の活動風景。机はグループワークでも授業形式でもなじむ形です。
Studio

授業や行事、全校集会などで使用できる本格的なスタジオ。グリーンバックも備え、動画撮影や編集をおこなうことが可能です。プロも使用するカメラなどを完備。動画研究部の使用頻度はとても高いです!
ART LAB(展示室)

レーザーカッターや3Dプリンターも設置。鉄道模型部のダブル受賞ジオラマも展示
探究やSTEAMの成果物を展示するスペースです。レーザーカッターや3Dプリンターも設置されていて、生徒がものづくりに没頭できる環境が整っています。
E-Talk Room

写真右側のヘネ先生は、データサイエンスコースの授業でデザインプロジェクトなどをサポート
ネイティブの先生が常駐する職員室です。休み時間など、空いた時間に気軽に英語の練習ができます。予約も可能で、英語の面談や海外大学への進路相談、英検の面接練習に利用する生徒も多いそうです。
どんな子が向いている?
「面白そう!」でまず動けるタイプ
規則で管理される環境より、自由な空気の中で自分からやってみたいと思える子。倉田先生は「生徒のやりたいことも否定しない。やってみなさい」というスタンスで、失敗しても次に行けばいいという考え方が学校全体に根づいています。
好きなことにとことん夢中になれるタイプ
モーションキャプチャーに挑戦する子、数学同好会を立ち上げる子、華道部と山岳部を掛け持ちする男子など、やりたいことを自分で見つけて、自分で方法を考えて動ける環境が整っています。
まだ「好き」が見つかっていないタイプ
面談を通じて先生が一人ひとりの声を聞き出し、アドバイスにつなげていく体制があります。マンモス校ではないからこその距離感で、「好き」を一緒に探してくれる環境です。
学校選びのアドバイス

「最初に連れていく学校説明会は、親御さんが行きたいところがいいですよ。第一印象が一番残りますから」
意外なアドバイスでしたが、考えてみれば納得です。私立の学校説明会はどこもよく工夫されているから、最初に行った学校の印象が一番強く残る。2校目、3校目は少し時間を空けて、違うタイプの学校を見に行けばいい。そこで更に良い学校に出会えたら、そこが本当に行きたい学校になるはず。
低学年のうちから焦らず、子どもの感受性を大切にしながら学校を見てほしい。先生のその言葉には、毎年たくさんの受験生と向き合ってきた経験が滲んでいます。
保護者へのメッセージ
「まずは子どもが志望校のことを好きになることが大事。でも、万が一ダメだったときに、中学受験が子どもにどういう影響を与えるかをきちんと考えてほしい」
中学受験が過熱している今だからこそ、結果がどうであれ「やってよかった」と思えるような過ごし方をさせてあげることが大切だと、先生は強調します。12歳で経験する不合格の痛みは決して小さくない。だからこそ、その覚悟を持って受験に向かってほしいとのこと。
そして取材の最後に、先生からこんな言葉がありました。
「『わからないことがあれば、まずは学校の先生に聞きなさい』って、お子さんに言ってほしいですね」
先生のその言葉には、厳しさと優しさが同居していました。子どもが先生に質問しに行くのは、特に小学生にとってはかなり自発的な行動です。
志望校で何をしていくのか、自身で決められるような子になってほしい。そして、そんな自立を支える覚悟を親にも持ってほしい。6年間、生徒のやりたいことを全力でサポートしてくれる聖徳学園だからこその思いが伝わりました。
<がくパパの取材コメント>
正直に言うと、取材前は「STEAM」「プログラミング入試」「iPad」といったキーワードの話が中心になるのかなと思っていました。でも倉田先生のお話を聞いてみると、そうした個別のプログラムよりも、学校に流れている空気感の話がとても印象的でした。
先輩後輩の壁がない柔らかい関係、先生をあだ名で呼ぶ距離の近さ、「第2の家みたい」と笑う生徒の表情。その空気を支えているのは、先生たちの「まずやってみなよ」という姿勢です。新しいことを提案しても「うーん」で終わらせない。生徒のやりたいことも、先生のチャレンジも、否定しない。
卒業生が「帰りたくなる学校」と言って実際に戻ってくる姿を見て、この学校の6年間は、子どもの人生の土台になるのだろうと思います。ぜひ一度足を運んで、この学校の空気を感じてみてほしいです。

