地元の人たちが行き交う商店街を抜けると、住宅街の中に見えてくるガラス張りの校舎。取材中、生徒たちは楽しそうに、翌日に控えた体育祭の練習をおこなっていました。明るい雰囲気に包まれた、2027年に創立100周年を迎えるこの文教大学付属中学校の魅力を、「るるぶKids」編集部ががくパパと共に取材しました。

- 文教大学付属中学校の基本情報
- └ 入試情報(2026年度)
- 文教大学付属中学校はズバリどんな学校?
- └ 生徒1200人全員が言える教育理念
- └ 受験者数が急上昇しているわけ
- 生徒が動かす文教──主体性が学校を変えた
- └ 体育祭・文化祭は、生徒が主体となって運営する
- └ 校則も、生徒の発案で動いていく
- └ 生徒が作った文化祭の伝統劇
- 文教大学付属中学校ならではの教育内容
- └ GCP(グローバル・コンピテンス・プログラム)
- └ クリエイティブチャレンジ
- 文教大学付属中学校に伺う「面倒見の良さ」とは?
- └ 6年間かけて”人として”育てる
- └ 「文教ステーション」と「メンター先生」
- 文教大学付属中学校ならではの施設を紹介
- └ 吹き抜けの校舎
- └ 床暖房完備の室内温水プール
- └ 理科実験室・クリエイティブドック
- └ ラーニング・コモンズ
- どんな子が向いている?
- 学校選びのアドバイス
- 保護者へのメッセージ
著者:がくパパ
「偏差値だけで学校を選ばない」をモットーに首都圏の中学受験校100校以上を独自に調査し中学受験校を分かりやすく解説しているインスタグラムを運営中。学校が好きすぎて、私立校の講師も経験した学校ヲタク。今は3児(5歳・2歳・1歳)のパパ。
≫ がくパパInstagram
文教大学付属中学校の基本情報

文教大学付属中学校は、1927年に開設された立正裁縫女学校をルーツに持つ学校です。教育理念「人間愛」のもと、思いやりの心を育みながら、生徒が自分で考えて学校生活をつくる力を大切にしています。
| 住所 | 東京都品川区旗の台3-2-17 Googleマップ |
|---|---|
| アクセス | 東急池上線「旗の台」駅から徒歩3分 |
| 生徒数 | 中学校・高等学校合計約1200名 |
| 中高一貫校 タイプ |
共学・中高一貫型(高校募集あり) |
| クラス編成 | 中1は1学年4クラス・約40名/中2・中3は1クラス36〜37名/高校は7クラス編成 |
| 文化祭 | 白蓉祭 |
| 土曜授業 | あり |
| クラブ活動 | 運動系16クラブ 文化系15クラブ |
入試情報(2026年度)
入試の形式は、国・算の2教科と、4教科の2種類。2月1日、2日、4日に行われます。
- 2科型(国算)
- 4科型(国算理社)
※海外帰国生の入試もあり
文教大学付属中学校はズバリどんな学校?
門をくぐると校舎と共に見えるのが、特徴的なエクステリア。アイアン製の案内看板やおしゃれな街灯などが、あちこちに設置されています。学校なのに、まるで港町のよう。

各校舎には「MOTHER PORT」「EAST PORT」など「PORT」の名がつけられています。まさに「港」という意味を持つこの言葉には、生徒たちが中学・高校の6年間を過ごし、巣立ったあともまた戻ってこられる場所になってほしいという願いが込められているのだそう。

波止場でよく見る係留杭(ボラード)も!
「PORT」の名を冠する新校舎は、2016年にできました。ガラス張りで吹き抜け構造の校内は、とても明るく居心地の良い空間です。
生徒1200人全員が言える教育理念
インタビューを受けてくれた、入試広報部長の千葉先生が開口一番に語ってくれました。
「生徒たちに『本校の教育理念は何?』と聞けば、全員ちゃんと言えると思います」

入試広報部長の千葉先生
文教大学付属中学校の教育理念は、「人間愛」。
もともと「友だちに優しくする」という、身近な思いやりを意味する言葉として大切にされてきました。
今では社会や世界に目を向け、誰かのために自分の力を生かす「貢献力」を育てる言葉として、行事や探究活動、生徒同士の関わりといった学校活動の中で息づいています。
受験者数が急上昇しているわけ

食堂のマークなど、校舎内も港モチーフがたくさん。よく見るとカモメも飛んでいます
ここ数年、文教大学付属中学校の受験者数は大きく伸びてきているそうです。ただ、トップが変わったわけでも、大きな教育改革を行ったわけでもありません。
神戸校長先生は、2年前に同校の副校長から就任した、在籍27年目のベテラン。教頭先生も長年勤続、千葉先生も今年で在籍26年目です。勤続年数の長い先生たちが停滞することなく、新校舎の建築、中学3年生からの学力別クラス編成、「グローバル・コンピテンス・プログラム(以下GCP)」、「クリエイティブチャレンジ」、「文教ステーション」(いずれも後述)などの取り組みを10〜15年前から少しずつ積み重ねてきた結果が、今ようやく形になっているのだそうです。
「今は、一つ一つのパズルのピースが、ようやくぴったりと噛み合った瞬間なのだと思っています」
生徒が動かす文教──主体性が学校を変えた
そんな文教大学付属中学校では、生徒も日々変化を求めて動き続けています。行事も校則も、「先生や誰かが決めたことに従う」のではなく、生徒自身が主体性をもって動いているのです。
体育祭・文化祭は、生徒が主体となって運営する
体育祭・文化祭といった行事は、当日の運営、時間設定、生徒集め、競技種目の決定まで、実行委員と生徒会、各部活の部長たちが主導するそうです。

取材日は体育祭の前日でしたが、芝生のグラウンドで練習をしつつ、実行委員会はランチミーティングを開催するなど、行事成功のために生徒たちが時間を見つけて動いていました。先生たちはあくまでサポートと安全管理に徹し、口出しは最小限とのこと。
高校生から「パン食い競争をやりたい」「幼稚園生がやるチェッコリ玉入れを自分たちもやってみたい」といった生徒らしいユニークな提案が出ることもありますが、生徒の自由を重んじて実現してきたそうです。
校則も、生徒の発案で動いていく
夏のポロシャツ解禁、冬の指定コートの自由化、文化祭でのスマートフォン解禁などといった校則も、生徒会の提案で変えてきました。校則は「先生が怒るから守る」のではなく、「自分たちが決めたルールだから守る」という意識が育っています。
また、多くの来場者を迎える文化祭当日には実行委員の生徒たちが正門に立ち、下校時間や身だしなみについて互いに声をかけ合います。
「教員側から怒られたから正す、とかではなく、同じ生徒である実行委員が下校時間や身だしなみなどを注意することによって、『来年も自由にやりたいならみんなで守らなきゃね』という雰囲気になっているんです」
生徒が作った文化祭の伝統劇
中学1年生では、文化祭の出し物は劇と決まっています。数年前の生徒会発案から続いており、校長先生が「自由にしても良いのでは」と言っても、生徒は「中1は劇をやるべき」と頑なに譲らなかったのだとか。

文化祭の様子
「初めての文化祭で何をやるか考えるのは大変。劇なら役割分担とチームワークが自然に育つから」という理由によるもの。前に立つ子、裏方、大道具と役割が自然に分かれていく劇の構造を、生徒たち自身が見抜いていたといいます。
文教大学付属中学校ならではの教育内容
文教大学付属ならではの教育の柱として、千葉先生が特に力を込めて話してくれたのが「GCP」と「クリエイティブチャレンジ」の2つのプログラムです。
GCP(グローバル・コンピテンス・プログラム)──「英語でこんなことを学んでみた」が起きる教室

中1から中国語講座を受けられることもあって、台湾の大学に進学をする生徒さんが毎年いるそう
文教大学付属中学校の中学1年生から高校1年生までの4年間、全員が週1時間受ける必修授業があります。それがGCP。千葉先生が念を押していたのは「これは英語の授業ではない」ということです。
「内容は世界平和や文化の違い、SDGs、時にはお友達関係など。いわゆる道徳的な内容を、英語を使って学んでいくんです」
例えば、中学1年生の授業は「犬と猫、どっちが好き?」といった身近な問いから始まり、やがて「友だちと家族、どちらが大切?」といった価値観に触れる問いへ。英語を”勉強するもの”ではなく、”考えを伝える道具”として体験できるのが、この授業の面白さです。

外国人講師と日本人の先生がペアで授業を行うのですが、もう一つの特徴が、英語の先生ではなく「担任の先生」が一緒に教室に入ること。
生徒を一番よく知る担任がいるからこそ、授業中の表情の変化も、教室を出てからのケアも地続きでできる。この設計が、GCPを道徳的な授業として位置づける、文教大学付属中学校ならではの学びに変えています。
クリエイティブチャレンジ──「好き」を社会につなげる、学年を越えた探究
もう一つの柱が、クリエイティブチャレンジ。中学3年生・高校1年生・高校2年生が学年を越えて集まり、自分の「好き」を、社会貢献の視点で深めていく探究プログラムです。1年ごとに、多い時には200以上のグループにも分かれて行うのだそう。

年に1度の「探究祭」で、実施した内容を発表する場も
浅草で外国人観光客にインタビューをしたり、ゴミの分別を促すポスターを試したり、美術館に足を運んだり。教室の中で調べるだけではなく、フィールドワークを通じて、自分の目で見たことを基に考えを深めていきます。
「意外と中学3年生が、グループを引っ張っていたりするんですよね」
と、千葉先生。年上の高校生がまとめるだけではなく、中学生ならではの柔らかい発想がグループを動かすこともあるそうです。
ただし、何でも自由に調べてよいというわけではありません。大切にしているのは、「社会貢献」という軸。先生たちは顧問として寄り添いながら、生徒の興味が”誰かのためにどう生かせるか”という観点になるように見守っています。
学年を越えて混ざるからこそ、新しいアイデアが生まれる。そこに「社会貢献」という軸があるからこそ、好きなことが自分だけの楽しみで終わらず、社会とつながる学びになっていくのです。
文教大学付属中学校に伺う「面倒見の良さ」とは?
学力サポートだけじゃない、6年間かけて”人として”育てる
私立校でよく聞く「面倒見の良さ」。文教大学付属中学校では、それは学習面のサポートだけを指すものではありません。
「私の考える面倒見は、学力のサポートだけではないんです」
たとえば、中学1年生の最初は、教員室への入り方や、先生に声をかけるときの礼儀まで丁寧に伝えていくといいます。勉強だけでなく、学校生活の中で人との関わり方を少しずつ身に付けていく。6年間かけて、“人として成長すること“を大切にし、学校全体で見守っているそうです。

教員室前の廊下。木目調で明るく、教員室もガラス張りで開放感も抜群!
きっと、その結果なのでしょう。卒業生がよく学校へ遊びにくるそうです。
「先生、結婚しました」「子どもが生まれました」と近況を報告しに来る卒業生もいるのだとか!長く学校にいる先生が多いこともあり、「母校」ならぬ「母港」として、卒業してからも帰ってこられる場所であり続けているのかもしれません。
「文教ステーション」と「メンター先生」──校内にある学びの支え

学習面のサポートも、一人ひとりに寄り添う形になっています。
例えば「文教ステーション」は、中学1年生から高校3年生までが放課後に利用できる自習室。「サイレントルーム」と「教え合いルーム」という大きく分けて2種類の部屋があり、わからないことはメンター先生と呼ばれる大学生に相談できます。
自習室の壁にはメンター(中学生に対してはチューター)先生による楽しそうなプロフィールが貼ってあり、中学生でも緊張せずに関わり合うことができるシステム。こうした細かいところひとつとっても、この学校らしい温かみを感じます。
文教大学付属中学校ならではの施設を紹介
吹き抜けの校舎

「EAST PORT」に入ってまず目を引くのが、1階の食堂から5階までつながる大きな吹き抜けです。ガラス張りの明るい空間に、階段やコモンスペースがゆるやかにつながり、学校というより小さな街のような雰囲気も。生徒たちが自然に集まりたくなる場所です。

吹き抜けの周りを囲むように教室が設定されています。
床暖房完備の室内温水プール

25メートル×6コース、床暖房を完備した、通年使える室内温水プール。付属幼稚園児も利用する共用施設で、6年間の中で水泳の授業があります。「水泳部に入りたいから文教を選んだ」という生徒もいるそうです。
理科実験室・クリエイティブドック

「MOTHER PORT」の3階に2教室あり、実験器具はディスプレイ式の収納棚。理科室と一続きになっているのは、新設した特別教室「クリエイティブドック」で、3Dプリンタ、配信用機材、デジタルサイネージ、壁一面のプロジェクター2基などが並びます。

廊下の壁がデジタルサイネージに!授業などでの活用が楽しみですね
フロア全体が「理系の子もウキウキする」探究空間として設計されているそうです。
ラーニング・コモンズ

生徒たちがちょっとした休憩や部活動・生徒会の打ち合わせ、自習など幅広い用途で使用するスペース。カウンター側にはマリンランプが備え付けられ、春にはシンボルの桜が目の前で咲きます。
どんな子が向いている?
「文教でこんなことをしてみたい」と思える子
「学校が何をしてくれるか」を待つよりも、「ここでこんなことをしてみたい」と思える子です。体育祭や文化祭、探究活動、学校説明会を支える生徒広報チーム「文教コンダクター」など、文教には生徒が自分から関われる場面が多くあります。もちろん、最初から積極的なリーダータイプである必要はありません。学校生活の中で少しずつ自分の役割を見つけ、「やってみよう」と一歩踏み出せる子に向いていそうです。
「好き」を、誰かのために広げてみたい子
同校ならではの授業であるクリエイティブチャレンジでは、自分の「好き」を社会貢献の視点で深めていきます。
ものづくり、本、英語、医学、アニメなど、入口はどんな興味でもかまいません。ただし、自分だけが楽しむのではなく、「それを誰かのためにどう生かせるか」を考えるのが文教らしさ。好きなことをきっかけに、社会とのつながりや将来の夢を見つけていきたい子に合いそうです。
穏やかでも、少しずつ前に出ていきたい子
文教大学付属中学校には、優しくて少しおっとりした男の子や、しっかり者でリーダーシップを発揮する女の子が多いそうです。
一方で、最近は男の子も行事や生徒会活動などで前に出る場面が増えてきたといいます。もともと目立つタイプの子だけが活躍する学校ではありません。穏やかでマイペースな子も、先生や仲間に見守られながら、自分なりの出番を見つけていける学校です。
学校選びのアドバイス
ホームページよりも、学校の空気を見てほしい
「ホームページを見れば、いろんな学校の教育活動や授業はわかると思います。でも、やはり学校に足を運んで、生徒の様子を見てもらうのがいいと思います」
とくに小学校低学年のうちは、偏差値や進学実績だけで学校を絞り込むよりも、「この学校、なんだか楽しそう」「うちの子に合いそう」と感じられる学校に出会うことが大切です。資料では伝わりにくい空気を親子で感じてみることが、学校選びの第一歩になります。
文化祭では、「生徒がどう動いているか」を見てほしい
千葉先生は、特に文化祭を見てほしいと話してくれました。
「文化祭では、生徒がどう動いているのかを見てほしいですね。実行委員の動きが盛んなのか、子どもたちがそれをどう楽しんでいるのか。あとは、ぜひ生徒に『学校、楽しい?』と聞いてみてください。生の声を聞くことは、すごく大事だと思います」
実行委員がどのように運営しているか、生徒自身が行事を楽しんでいるか、来場者を迎える側として案内したり声をかけたりしているか。そうした一つひとつの場面に、その学校の日常の雰囲気が表れます。
文教大学付属中学校では、文化祭が「自分たちだけが楽しい」で終わらないよう、来てくれた人にも楽しんでもらうことを大切にしているそうです。文化祭は、学校の空気を知るだけでなく、生徒たちが学校をどうつくっているのかを感じられる場でもあります。
保護者へのメッセージ
最後に千葉先生が保護者に向けて伝えてくれたのは、「文教に入れば、学校がすべてを用意してくれる」という受け身の姿勢ではなく、子ども自身が前向きに学校生活へ関わってほしいということでした。

「文教に入れたら、どう育ててくれるの? という受け身の姿勢はやめてください。文教に入ったら、こんなふうにしたいというワクワク感を持って入学してきてほしいんです」
文教大学付属中学校には、体育祭や文化祭、クリエイティブチャレンジ、文教コンダクターなど、生徒が自分で考え、動いていける場面がたくさんあります。だからこそ、学校に”任せる”だけではなく、子ども自身が「ここで何をしてみたいか」を持つことが大切なのだといいます。
もちろん、最初から明確な目標がなくてもかまいません。文教で過ごす中で、自分の好きなことや役割を見つけていくこともできます。大切なのは、学校と一緒に、そして仲間と一緒に、自分の6年間をつくっていこうとする気持ちです。
千葉先生は、「より良い学校、より良い学びを一緒につくっていきましょう」というスタンスで、生徒と保護者を迎えたいと話してくれました。
<がくパパの取材コメント>
文教大学付属中学校を取材して印象的だったのは、今の学校の姿が、外から与えられた改革ではなく、先生たち自身が「この学校をもっとよくするには」と考え続けてきた積み重ねの上にあることでした。
長く同校を見てきた先生たちが大切な軸を支え、そこに若い先生たちの新しい発想も重なっていく。その中で、「人間愛」という根っこを大切にしながら、生徒が自分たちで学校生活をつくる空気が育っているのだと思います。
派手な言葉よりも、校内を歩いたときに感じるあたたかさや、生徒たちの自然な前向きさに、この学校らしさが表れていました。
ぜひ一度、説明会や文化祭に足を運んで、生徒たちの表情や校内の空気を感じてみてください。

