
47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
福井県で紹介するのは「サバ」です。若狭湾(わかさわん)に面した小浜市(おばまし)をはじめとする若狭地域では、おいしいサバがとれると古くから評判で、京都まで続く「鯖(サバ)街道」まで誕生。その歴史やサバの特徴、豆知識を分かりやすく解説します!
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【知る】丸焼き、寿司、保存食… 福井が誇るサバの食文化
福井県で青魚といえば「サバ」。サバを米ぬかで漬け込み長期保存が可能な「へしこ」や、炭火でふっくらと焼き上げる「丸焼き」など、古くから伝わるソウルフードが有名です。焼きサバや締めサバの寿司ネタも人気で、それらの名産品を目当てに県外からも多くの人が訪れます。
どうして福井県はサバが有名なの?

近年、福井県小浜市(若狭地域)から京都へ続く若狭街道は「鯖街道」と呼ばれ、文化庁の日本遺産にも登録されました。若狭地域は飛鳥・奈良時代より、都の朝廷に食材を納めることを認められた「御食国(みけつくに)」の一つとなり、特にサバの味がよいと知られるように。徒歩でカゴを担いで運ぶ「背負い」によって、多くのサバが京都まで運ばれました。その際、腐るのを防ぐために塩を振るため、京都に着くころには、サバがちょうどよい塩加減になったそう。街道沿いには宿場町が栄え、名物の焼きサバなどの店が今も残っています。
明治時代以降も、若狭湾のサバは京都の料理人に届けられ、現在に至るまで「若狭もの」として人気です。最近では養殖にも力を入れ、小浜市では2016年より養殖を本格的に開始。餌に酒粕(さけかす)をまぜて育てる「小浜よっぱらいサバ」は、臭みがないと評価されています。
サバを“締める”のはナゼ?

寿司店などでよく見かけるサバは、酢で締める「締めサバ」ですよね。酢で締める一番の理由は、鮮度を保つため。サバは身が柔らかくなるのが早い上に腐りやすく、「サバの生き腐り」という言葉があるほど。そのため、酢に漬けて身を引き締めることで、腐敗するスピードを遅らせるのです。
食中毒の原因となるアニサキスにも注意。サバの体内にはアニサキスという寄生虫がいて、アニサキスが人間の胃の中に入ると、胃の壁を破って逃げようとするため、激しい胃痛に襲われます……。アニサキスは酢では撃退できません。加熱処理(60℃で1分以上加熱)、または冷凍処理(-20℃で24時間以上冷凍)で死滅させます。
日本でとれるサバは2種類!

日本でとれるサバの大半がマサバとゴマサバ。マサバは、産卵期の春に向けて栄養を蓄える秋に、脂がのっておいしくなります。マサバの身はゴマサバよりも平べったいので、「ヒラサバ」とも呼ぶ人もいます。
ゴマサバのおなかの部分を見ると、多数のゴマのような斑点(はんてん)模様が。だだ、斑点の色が薄いため、マサバと見分けるのは難しいです。ゴマサバの断面は円に近いため、「マルサバ」ともいいます。また、マサバに比べて脂が少ないものの、一年を通じて味の変化が少なく、夏にもおすすめ。
国産のサバ缶(水煮缶)のほとんどは、マサバやゴマサバを使用。塩サバなどで人気の高いノルウェーサバは、脂がのり過ぎているため、水煮缶にすると見た目の色など国内産とは品質が異なり、缶詰にはあまり向いていません。
慣用句「サバを読む」は、サバの鮮度からきている!?

「サバを読む」の「読む」とは「数える」という意味。何かを数えるとき、自分の都合のいいように実際の数をごまかすときに使う慣用句です。
サバは腐りやすく、捕獲した後に漁師が急いでサバを数えるため、実際に数え間違いが多かったとか。いい加減に数えるという意味合いで、「サバを読む」の言葉が生まれたといわれています。ほかにも、大量のサバを水揚げした際に、漁師が数をごまかしていたという説も。加えて、魚市場で小魚を早口で数えることを表す、「魚市読(いさばよみ)」という言葉が変化したという説もあります。
さらに、鎌倉時代の辞書「名語記(みょうごき)」には「ふたつづつよむをば、鯖読と云(いふ)事あり」という記述があります。これを読み解くと、刺鯖(さしサバ=塩漬けにしたサバ)を2枚重ねて1刺と数える風習が語源ではないか、という説も浮上。このように「サバを読む」の由来は諸説あります。
【つくる】子どもがサバ好きになるレシピ
コッペパンを使った「サバサンド」と、子どもが喜びそうな「サバのチーズマヨ焼」のレシピをピックアップ。サバは良質なタンパク質を含んでいるので、子どもの体の成長に役立つ食材です。さらに、カルシウムの吸収を助けて、骨や歯の発育を促すビタミンDも豊富。成長期の子どもにぜひ食べてほしいです。
コッペパンで「サバサンド」を作ろう

焼いたサバをパンにはさむだけで、おいしいサンドに変身。「サバサンド」はトルコの名物料理で、本来はフランスパンの一種、バゲットで作ります。それを今回、子どもが食べやすいコッペパンにアレンジ。食パンやクロワッサンでサンドしてもおいしいですよ。
●簡単レシピを紹介
- サバを魚焼きグリルで焦がさないように焼きます。
- コッペパンの側面に切れ目を入れてください。
- コッペパンにトマト、レタス、焼きサバ、オニオンスライス、マヨネーズの順にのせてはさめばできあがり。スライスチーズを加えてもOK!
※食べる時は骨に気を付けてください
子どもウケ間違いなしの「サバのチーズマヨ焼」

魚が苦手な子どもでも食べやすいチーズマヨ味の子ども向けのサバ料理を紹介。また、仕上げにブラックペッパーをかけると大人向けの味に。
●簡単レシピを紹介
- サバは小骨を取り除いてから、塩、こしょうを振って下味を付けます。
- 粗みじん切りにしたゆで玉子をボウルに投入。粉チーズ、マヨネーズ、粉パセリを加えて混ぜます。
- ①をグリルで約4分焼いて身に火が通ったら、いったん取り出します。続いて、皮目に片栗粉を薄くまぶしてください。
- ②をトッピング。再びグリルに入れて弱火で焼きます。焼き色が付いたら完成!
【学ぶ】サバについて学べるスポット
福井県には、鯖街道について学べるミュージアムがあります。街道沿いの宿場町・熊川宿の雰囲気を味わえる道の駅と有名店の、サバグルメ&おみやげも見逃せません!
小浜市鯖街道ミュージアム(福井県/小浜市)

「小浜市鯖街道ミュージアム」は、日本遺産「鯖街道」のガイダンス施設です。鯖街道をはじめとする小浜市の文化財や伝統芸能、祭礼を紹介。それらを映像や民具の展示、トリックアートなどを使って、分かりやすく解説しています。
屋上広場では鯖街道を表現した庭や、サバが飛び出してくるようなトリックアートが楽しめて、子どもたちも喜ぶはず。
住所 | 福井県小浜市広峰17-1 |
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問合先 | 0770-64-6034(小浜市産業部文化観光課 日本遺産・都市交流・文化遺産)※平日のみ |
営業時間 | 9~17時 |
定休日 | 火曜、12月29日~1月3日 |
料金 | 無料 |
アクセス | 公共機関:JR小浜駅から徒歩6分 車:舞鶴若狭自動車道小浜ICから2.5㎞6分 |
駐車場 | なし |
URL |
https://www1.city.obama.fukui.jp/kanko-bunka/kanko/meshoto/77.html |
道の駅 若狭熊川宿(福井県/若狭町)

江戸時代に宿場町として栄えた熊川宿。「道の駅 若狭熊川宿」には、その宿場内を通る鯖街道がたどった歴史を紹介する展示ミュージアムや、特産・物産を即売するコーナーがあります。
食事処では、濃厚サバだしスープに特産品の焼きサバをのせた「鯖だし和風ラーメン」(950円)が、青魚の臭みがなくおいしいと好評。ジャンボサイズのオリジナル「鯖寿司」(2650円)は、程よく酢で締めたサバの味が格別です。
※価格は2024年12月現在。変更の可能性あり
住所 | 福井県三方上中郡若狭町熊川11-1-1 |
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問合先 | 0770-62-9111 |
営業時間 | 食堂10時30分~16時、売店9時30分~17時(12~2月、3~11月の平日)、9~18時(3~11月の土・日曜、祝日)、鯖街道ミュージアム9時30分~17時 |
定休日 | 3・6・9・12月の第2木曜、年末年始 |
アクセス | 公共機関:JR上中駅から西日本JRバスで10分、バス亭:道の駅若狭熊川宿からすぐ。またはJR近江今津駅から西日本JRバスで31分、バス停:道の駅若狭熊川宿からすぐ 車:舞鶴若狭自動車道若狭上中ICから9km13分 |
駐車場 | あり/82台/無料 |
URL |
葛と鯖寿しの店 まる志ん(福井県/若狭町)

熊川宿の中央に位置し、築190年以上の古民家・商家を利用した店舗で営む「葛(くず)と鯖寿しの店 まる志(し)ん」。おみやげの名物「鯖寿し1本・10切れ」(3500円)には、新鮮な生サバのみを使用。昔ながらの製法により、酢で締め、ひと晩寝かして翌日に型に寿司米を入れて作ります。
ランチで好評の「鯖寿しご膳(1800円)」は、締めと焼きのサバ寿司2切れ、3品皿がセットに。さらに、お好みのそばかうどんを選べるのもうれしいですよね。
住所 | 福井県三方上中郡若狭町熊川39-11-1 |
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問合先 | 0770-62-0221 |
営業時間 | 11~16時(15時30分LO) |
定休日 | 水曜、正月休み |
アクセス | 公共機関:JR上中駅から西日本JRバスで15分:バス停:若狭熊川から徒歩2分。またはJR近江今津駅から西日本JRバスで30分、バス停:若狭熊川から徒歩2分 車:舞鶴若狭自動車道若狭上中ICから10km15分 |
駐車場 | あり/5台/無料 |
URL |
【SDGs】福井県のサバを自由に食べたり守ったりするために

福井県で水揚げされるサバは、養殖も含めて環境保護への取り組みも行われ、漁獲されています。この先も、サバを変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。
福井県の子ども向けSDGsの取り組み











