全国各地の恐竜トークショーやイベントで大人気の“恐竜くん”による、るるぶKidsの恐竜教室。第3弾は、恐竜くんセレクトによる人気&話題の恐竜をご紹介!絶対にはずせない恐竜界のスターから、今注目している恐竜までを一挙ラインナップ。ぜひ親子で楽しんでください。
※当記事は2020年5月28日の取材に基づき編集しています。
恐竜くんの記事
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(監修プロフィール)恐竜くん
恐竜専門サイエンスコミュニケーター・イラストレーター。6歳の時に恐竜に魅せられ、16歳でカナダに単身留学。恐竜の研究が盛んなアルバータ大学で、古生物学を中心に広くサイエンスを学ぶ。卒業後も国内外の研究機関や博物館と活発に交流しながら最新の研究成果を取り入れ、科学教育・普及活動に注力。恐竜展の企画・監修、トークショーや体験教室の開催など幅広く活躍中。当記事内の恐竜のリアルイラストは、恐竜くんが描いたもの。 » 恐竜くん公式サイト
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恐竜くんおすすめ!今知っておきたい&話題の恐竜6選
1.ティラノサウルス
~唯一無二の恐竜界のヒーロー!~
もっとも有名で、もっとも人気がある恐竜界の不動のスター!なぜそんなに有名なのかというと、ティラノサウルスの進化はさまざまな肉食恐竜の中でも別格なんです。巨大さ、骨格の力強さ、筋肉量、そこから生み出されたであろうパワーとスピード…すべての面において突出していて、まさに肉食恐竜の極致!
大型肉食恐竜の中では比較的化石も多く見つかっているうえ、その特異性から研究者のファンも多く、とても深く研究されている恐竜のひとつですね。
2.トリケラトプス
~ティラノサウルスを語る上でも欠かせない!~
ティラノサウルスが肉食恐竜のスターなら、トリケラトプスは角竜の代表格!
ティラノサウルスと同じ時代、同じ場所に生息していていた最後の恐竜で、最大のライバルとして人気を二分する存在です。
大きなフリル(襟飾り)と3本の頑丈な角、そのビジュアルも個性的ですよね。
一般にサイのようなイメージを持たれがちですが、実際にはもっと頭でっかちで、体型もコロンと丸くて、意外とかわいらしい姿形をしていました。骨で見ても、その丸っこい可愛らしさがわかるほどです。
3.スピノサウルス
~最新研究で尾ヒレが明らかに!~
恐竜イベントなどで子どもたちと接しているなかで、ティラノサウルスやトリケラトプスと同じくらい人気のある恐竜です。ティラノサウルスに匹敵する大型の肉食恐竜で、見た目もインパクトがあります。
実はこれまで化石がほとんど見つかっておらず、実態がわかっていなかったため、時代とともに、何度か姿形を変えてきた恐竜なんです。
しかし、2020年4月30日、ついに新しい研究報告がありました!! 今まで詳細不明だったスピノサウルスの尾がほぼ完全な状態で発見され、「ヒレ状の尾」を持っていたことが判明。これまでさまざまな議論を呼んできた「スピノサウルスの水生適応」を支持する発見となりました。大きな体で、尾ヒレを使って、水中を大胆に泳いでいたかもしれませんね。
4.ボレアロペルタ
~すぐそこにいるかのような、完璧な恐竜化石!~
今までに発見された恐竜化石の中で、もっとも正確な姿形で見つかった奇跡のような恐竜です。写真は、カナダ・アルバータ州のロイヤル・ティレル古生物学博物館で、正式公開の前に特別に見せてもらった時のものです(※注:通常は触ることはできません)。
この圧倒的な存在感が伝わるでしょうか?鎧や皮膚、肉の厚みや色素までもが残っていて、発見時にはものすごいインパクトがありました。
これから先も、こんな化石が出るかもしれないと思うと、恐竜研究の未来にワクワクがとまりません!
5.デイノケイルス&テリジノサウルス
~人間の想像をはるかに超える姿!~
デイノケイルスは、2019年夏の国立科学博物館で開催された恐竜展の目玉として展示され、とても話題になりました。
モンゴル・ゴビ砂漠で1965年に巨大な前足の化石が発見され、「おそろしい手」を意味するデイノケイルスと名づけられたものの、他の部分が見つからず、謎の恐竜とされてきました。それが50年越しで全身の化石が見つかり、昨夏の恐竜展で、世界で初めて全身復元骨格が披露されたのです。
その姿は、それまで推測されていた姿形をはるかに超える奇抜な形でした。巨大な前足からの推測では大型の「ダチョウ恐竜」と呼ばれる仲間とされていたのですが、実際には、単なる大型種ではなく、前足だけがその特徴を残し、体は高度に特殊化したダチョウ恐竜であったことが判明したのです。まさに、事実は小説より奇なり ! 恐竜の進化は、まだまだ計り知れません。
そして、今後もしかしたらデイノケイルスと同じような驚きをあたえてくれるかもしれない恐竜が、テリジノサウルス。
デイノケイルス同様、巨大な手の化石しか見つかっておらず、研究者たちの想像をかき立てます。このイラストは、今わかっている範囲で普通に解釈したらこうだろうという推測ですが、十分に奇抜な姿形ですよね。デイノケイルスのように、実態はこの推測図ををはるかに超えてくるかもしれません。全身像が見つかる日が待ち遠しい恐竜No.1です。
テリジノサウルスの手の化石は、群馬県神流町恐竜センターで見ることができますよ。
6.ゴルゴサウルス
~今夏の恐竜展の目玉!世界で唯一、脳腫瘍が見つかった恐竜~
大型肉食恐竜のなかで、もっとも完全で美しい化石が多数見つかっているのがゴルゴサウルスです。また、ゴルゴサウルスは世界で唯一、明確な脳腫瘍のあとがある化石が発見された恐竜でもあります。この個体は全身怪我だらけで、おそらく脳腫瘍の影響でバランス感覚が崩れていたものと考えられます。しかし、その状態でなお生き続けていた、たくましい生命力もうかがい知ることができる、大変貴重な発見です。
この脳腫瘍の確認されたゴルゴサウルスを、今年8月4日から宮城県で開催される『肉食恐竜展』で展示予定です。僕がプロデュースする恐竜展で、8月3日には会場を貸し切って、僕が恐竜たちの説明をしてまわるプレミアムツアーも実施します。是非、会いに来てください!
◆恐竜くんプロデュース!ゴルゴサウルスやティラノサウルスに会える恐竜展
- ミヤギテレビ開局50周年記念「宮城 肉食恐竜展2020-驚異の身体能力-」
- 日時:2020年8月4日(火)~16日(日) 10:00 ~ 18:00 (最終入場17:30)
- プレミアムツアー:2020年8月3日(月) 1回目13:00/2回目15:00
- 会場:ゼビオアリーナ仙台
- 公式サイト:
番外編!今いる一番身近な恐竜はこれ!
7.鳥
最後は、少し番外編のようなセレクトを!
恐竜に興味を持ったら、ぜひ「鳥」に興味を持ってほしいと思います。
恐竜を好きになると、子どもたちは名前やデータを一生懸命覚えていきますが、それだけではもったいない!ぜひ「生き物としての恐竜」を、今そばにいる恐竜の末裔=鳥から感じてみてください。
カラスも恐竜、スズメも恐竜、ニワトリも恐竜。朝食で食べた目玉焼きは恐竜の卵、夕食に出てきた手羽先は恐竜の前足。そうやって観察すると、恐竜の見え方が変わってくるでしょう。
絶滅した恐竜を知るには、現在生きている鳥の体の構造や生態、遺伝子の解析などから、恐竜の進化を解明していく比較観察が欠かせません。普段、鳥を意識してみることで、科学の基本である比較観察の習慣も身につくと思います。
ぜひ、図鑑や絵本の中の恐竜の世界から、外の世界へと目を向けて、親子で思いっきり恐竜を楽しんでくださいね。
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