知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
明石市立天文科学館(兵庫県)は、子午線、暦と時、天文、天体観測をテーマにした、様々なプログラムや展示を見ることができる“時と宇宙の博物館”です。宇宙のしくみから人類が取り組んできた宇宙開発の歴史まで、子どももわかりやすく学べます。稼働期間日本一のプラネタリウムでは、星空のライブ解説に魅了されるだけでなく、軌道星隊シゴセンジャーが登場する投影番組も大人気。おすすめの見どころや親子での楽しみ方などを紹介します。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
明石市立天文科学館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック!明石市立天文科学館では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見ていきましょう。
黒田有彩さん
くろだありさ●宇宙の魅力を発信しているタレント。宇宙飛行士の試験に必要となる専門分野での“実務経験”を「タレントとして宇宙の魅力を発信すること」と定め、JAXA宇宙飛行士試験の受験を目指している。
■宇宙の達人 黒田有彩さん
非常に貴重な、宇宙と時間に関する展示がたくさんあります。日本標準時子午線で写真を撮って、歴史あるプラネタリウムで宇宙を味わって。
明石市立天文科学館ってどんなところ?
1888(明治21)年、東経135度の子午線(経線)が日本標準時として使われるようになり、1960(昭和35)年、日本標準時子午線の真上に建てられたのが「明石市立天文科学館(時と宇宙の博物館)」です。高さ54mの塔に据え付けられた大時計は、日本の標準時を表す時計として、常に正確な時間を刻み、また明石市のシンボルとしても知られています。
宇宙メダカ。1994年にスペースシャトルでふ化したメダカの子孫を飼育
1館は受付とミュージアムショップ、2階はプラネタリウム、3階は展示室、4階はキッズルームと日時計広場。13・14階は展望室で明石の海や淡路島などの美しい眺望を楽しめます。反射望遠鏡がある16階では天体観望会が行われます。展示が充実しているので、館内をじっくり見るなら所要時間は90分ほど必要。プラネタリウムの上映は1回あたり45分ほどですが、ベビー用のプログラムでは30分ほどのものもあります。
子どもたちに人気のキャラクター「シゴセンジャー」は、時と宇宙を守るヒーロー。イベントやキッズプラネタリウムに現れて、悪役のブラック星博士と戦いながら、時や子午線、星空や宇宙のことを伝えてくれます。シゴセンジャーは暴力が嫌いなので、クイズで戦います。
子どもや赤ちゃんも楽しめるプラネタリウム(2階)
1960年の開館から稼働しているプラネタリウムは、カールツァイス・イエナ社製(当時東ドイツ)のもので、同社の大型プラネタリウムとしては38台目に製造されたものです。1995(平成7)年の兵庫県南部地震でも同館で唯一被害をまぬがれ、現在日本で稼働している中で、最も古いプラネタリウムとなりました。
数百枚のレンズで、約9000個の恒星と太陽、月、5つの惑星、天の川、彗星、変光星、人工衛星などを投影し、その日の星座の日周運動や、太陽が黄道上を年周運動したり、惑星が黄道十二星座の間を運動したりする様子が映し出されます。さらに何千年も昔や未来の星空も見ることができます。
座席は自由席で、背もたれを倒して快適にドームを見上げることができます。投影機の操作は人力で行われ、解説者がポインターで指し示しながら見ている人の反応に合わせて肉声で解説してくれます。毎日開催される一般投影は、その日に見える星空と期間ごとに違うテーマで、解説者の趣向を凝らした内容に、思わず引き込まれてしまいます。ベビー用、キッズ用プログラムも充実しているので、子どもたちが宇宙に興味をもつきっかけづくりにおすすめです。
<子ども・赤ちゃんにおすすめの投影番組>
- キッズプラネタリウム
七夕、お月見、クリスマスなど、身近なテーマのプログラム
毎週土・日曜、学校長期休業中11時10分~・14時30分~ - キッズプラネタリウム軌道星隊シゴセンジャー
人気のヒーロー、軌道星隊シゴセンジャーがプラネタリウムに登場 - こども天文教室
小学校4年生以上を対象にした天文のお話 - ベビープラネタリウム
乳幼児(0~4歳くらい)と保護者が対象。赤ちゃんが泣いても気にせず参加できます。
※プラネタリウムの内容や日程、申し込み方法は公式サイトでご確認ください。
時と宇宙を実感できる充実の展示(3階)
子午線、天文、天体観測、暦と時をテーマにした展示スペースです。
「天文ギャラリー」では、太陽系、銀河系・宇宙、宇宙開発、それぞれの内容をわかりやすく展示しています。太陽系の歴史では、太陽系の天体、彗星と流星、小惑星と隕石について展示パネルで説明。実際に地球に落ちた隕石が展示されています。
アメリカのテキサス州で発見された隕石は、鉄とニッケルの合金でできており、大きな磁石を近づけるとくっつきます。実際にさわって質感を感じられるのも貴重な体験です。
銀河系宇宙の模型は、ボタンを押すと半分に分かれて、その構造を見ることができます。他にもブラックホールのしくみなども模型で実験することもできます。
日本の宇宙開発の歴史は、のちに「日本の宇宙開発の父」と呼ばれた東京大学生産技術研究所の糸川英夫氏が1955年に打ち上げに成功したペンシルロケットから始まりました。人工衛星、実用衛星、国産ロケット、大型ロケットへと進歩してきたことがわかります。
「子午線のまち・明石」ゾーンでは、子午線の意味や子午儀の実物展示など。「時のギャラリー」ゾーンでは天体観測の歴史がわかり、「天文サロン」には天文や科学に関する書籍や雑誌がたくさんあります。
日時計広場(4階)
4階のテラスは日時計広場、室内はキッズルームになっています。
日時計で遊んでみよう
ガイア日時計、半球型日時計、日時計の原理がわかるものなど、いろいろな形の日時計が展示されています。
人間日時計は、その月の足跡マークの位置に立つと、影が指す位置で時刻がわかります。他にも惑星の大きさくらべ、太陽エネルギーのことを解説したコーナーがあります。
トンボの標識
東経135度子午線標識は、京都府京丹後市から和歌山市の友が島まで、計12市に立てられています。4階のテラスから見えるのがそのうちのひとつで、1930(昭和5)年に建てられたものを1956(昭和31)年に修理してここに移築されました。トンボの造形が施されていることから「トンボの標識」と呼ばれています。
キッズルーム
4階のキッズルームは、靴を脱いで部屋に入って親子で過ごすことができます。書架には絵本や子ども向けの宇宙に関する本があって、子どもたちの興味を喚起します。
奥には、ベビーベッドのある授乳室もあるので、赤ちゃん連れには便利です。館内は飲食禁止ですが、水分補給はもちろんOK。飲み物の自動販売機はこのフロアにあります。多目的トイレは、1階から4階の各フロアにあり、おむつ替えができるベビーシートも備わっています。
展望室(13・14階)
塔の14階までエレベーターで上がると360度ぐるっと回れる展望室です。鉄道、高速道路、瀬戸内海を進む船、そして世界最大の吊り橋、明石海峡大橋、その先には淡路島が見えます。周囲の壁にある掛け時計は、パリやエジプトなど世界各地の時刻を示しています。
14階には子午線の場所が記されています。
13階はスペースが狭いので、密にならないように譲り合って見物しましょう。望遠鏡(200円)が設置されているので、気になるスポットにズームしてチェックできます。
エレベーターの天井にも子午線
エレベーターに乗ったら天井を見上げてみましょう。輝く星空と子午線が描かれていますよ。
らせん階段もチェック
館内には、らせん階段が2つあり、青い階段は1階から14階までで237段あります。全部は無理でも1~2階くらいは階段で移動すると楽しいものですよ。ビッグバンから人類誕生までの約137億年を365日におきかえたカレンダーが描かれています。
ピンク色の階段は4階から14階まであり、星座が記されています。
天体観望会
月に1回程度、金・土曜の夜に開催される「天体観望会」。16階の観測室では口径40cmの反射望遠鏡で、4階の日時計広場では小型望遠鏡を使って実際の天体を観測します。現在は密を避けるために少人数で開催したり、オンラインで開催する場合もあります。
開催日の2週間前までに公式サイトから申し込み、応募多数の場合は抽選になります。
※定員や参加方法などの詳細は公式サイトで確認を
お土産は人気のキャラクターグッズを
1Fエントランスロビーのミュージアム・ショップでは、星空ガイドブックや星座早見盤、軌道星隊シゴセンジャーグッズなど、オリジナルグッズも含めて記念になるお土産がたくさん並んでいます。
ちょろすけ、シゴセンジャー、ブラック星博士のストラップ300円
シゴセンジャーのキャラクター、しごまるストラップ300円
星座が描かれている天文ミラー180円
星座早見表200円
ランチは近くの公園や魚の棚商店街で
駅から天文科学館までにランチや買い物ができる店は少ししかありません。ランチタイムを外すか、お弁当を持参した場合は、建物の外エントランスのベンチか敷地内の小さな公園、あるいは西へ500mほどの明石公園の広い敷地で食べるのがおすすめ。買い物をかねてなら、JR・山陽明石駅の南側にある、魚の棚商店街に立ち寄るのもいいですね。
電車でも車でもアクセスしやすい
山陽電鉄人丸前駅ホームからも見えます
【電車利用】
山陽電鉄人丸前駅から北へ約0.2km(徒歩約3分)
JR明石駅から東へ約1km(徒歩約15分)
【車利用】
第二神明道路大蔵谷ICから南西へ約3km
第二神明道路玉津ICから国道175号線を南へ約3km、国道2号線を東へ約3km、「人丸前」交差点を北へ
駐車場は天文科学館前の道路を挟んで東側にあります。普通車(90台)、マイクロバス(8台)2時間まで200円、以降1時間につき100円。中型・大型バス(8台)1回1500円
プラネタリウムのほかにも、子どもたちが宇宙に親しめる内容がたくさんあります。宇宙へのロマンと好奇心を刺激され、家族みんなで楽しめるスポットです。
明石市立天文科学館
住所 | 兵庫県明石市人丸町2-6 |
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問合先 | 078-919-5000 |
開館時間 | 9時30分~17時(最終入館は16時30分) |
休館日 | 月曜・第2火曜(祝日と重なる場合は開館、翌日休み)、年末年始 ※臨時休館あり |
入館料 | 大人700円、高校生以下無料 |
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『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。