群馬県桐生市新里町にある月夜野きのこ園ぐんま昆虫の森・新里。東京ドーム10個分に相当する45ヘクタールの広大な敷地に、雑木林や水辺、草原など、日本の里山をモデルにした昆虫の生育環境が整備されています。カブトムシやクワガタムシをはじめとする昆虫探しや、南国の美しいチョウが観察できる温室など、ファミリーで自然観察ができる体験施設。今回は昆虫専門員が案内する自然体験プログラム「里山歩き」のレポートを中心に、楽しい昆虫の世界にご案内!
ぐんま昆虫の森ってどんなところ?
コナラやクヌギなどの木々が生い茂る雑木林と、近代的な昆虫観察館、古き里山の暮らしを再現したかやぶき民家など、自然と文化の調和を図った広大なエリアのなかで、昆虫観察をはじめとした体験が楽しめます。所要時間は1日中昆虫を探し続ける子どももいるなど昆虫好きの度合いにもよりますが、目安としては3時間ほど。親子で参加できる自然体験プログラムも充実しています。
都心から約2時間のアクセス
車でのアクセスは北関東自動車道伊勢崎ICから約25分、関越自動車道赤城ICから約45分など、出発地次第でさまざまなICが利用可能。写真のように広々とした約300台の無料駐車場も用意されています。
都心からでも2時間ほどで到着するので日帰りの方が多いそうですが、せっかくの温泉天国・群馬県。草津温泉(車で約2時間)や伊香保温泉(車で約1時間)のホテルや旅館に泊まる行き帰りに立ち寄るのもおすすめです。もちろん周辺には日帰り温泉施設もありますよ。
» 桐生周辺の日帰り温泉(るるぶ&more)
電車でのアクセスは駅からバスが通っておらずタクシーを利用。最寄り駅は東武鉄道赤城駅か上毛電鉄新里駅で、駅からそれぞれ10分ほどです。赤城駅は浅草駅発の東武特急「りょうもう」の終着駅で、浅草から2時間弱で結ばれているので便利ですよ。
服装・持ち物や昆虫探しのルール
蚊などもたくさんいる自然のなかを歩くので、服装は長袖長ズボンが基本。靴もスニーカーや登山靴など歩きやすい履き慣れたもので行きましょう。ぜひ下準備は怠らずに訪れてくださいね。
また、虫取り網で虫を取って観察するのはOKですが、観察後は自然に帰してあげるのがルール。虫カゴの持ち込みも禁止されています。
自然体験プログラム「里山歩き」に参加してみよう
いくつも用意されている体験プログラムのうち、おすすめは土・日曜、祝日に行われ、無料で参加できる「里山歩き」。8月は火曜・木曜にも開催されます。
今回のレポートでは昆虫専門員の茶珍 護[ちゃちん まもる]さんが案内してくれました。
- 2022年8月の開催予定日:
2日(火)、4日(木)、6日(土)、7日(日)、9日(火)、11日(木)、13日(土)、14日(日)、16日(火)、18日(木)、20日(土)、21日(日)、23日(火)、25日(木)、27日(土)、28日(日)(※荒天の場合は、中止)
スタートとなる集合場所は、写真の昆虫観察館本館入口外。午前の部が11時~(集合10時55分)、午後の部が13時30分~(集合13時25分)と、1日2回実施されます。1班8人で2班に分けて行われるので、定員は1回16人。申込受付は本館2階の受付カウンターで、午前の部は9時40分、午後の部は12時10分に開始されますが、すぐに定員に達して締め切られることも多いそうなので、早めに済ませてくださいね。午後の部のほうが比較的申込が少なく、おすすめだそうですよ。
「里山歩き」は所要約1時間。雑木林や水辺、畑など里山の環境を紹介しつつ、季節に合わせてそこにいる虫たちも解説とともに案内してくれるもので、一年中行われています。多くの子どもたちにとって夏のお目当てはやっぱりカブトムシやクワガタムシ!樹液にはカブトムシやオオムラサキが集まってきます。黄色いネットはカラスよけです。
樹液ポイントにいました!カブトムシ!
よく見るとあっちにも、こっちにも!この写真だけで3匹いるの、分かりますか?
昆虫の森では、カブトムシは7月~8月中旬ごろによく見られます。
夜のうちに光で虫をおびき寄せる仕掛け、ライトトラップも設けられています。
ライトの光におびき寄せられた虫たちが、斜めの板をすべり落ちてカゴの中に入ってしまう仕組み。
茶珍さんがカゴを開けてくれると………、もう扉にくっついているのが見えていますね!
オスのカブトムシです!
そして、こちらがメスのカブトムシ!
強そうなカミキリムシも!ウスバカミキリというそうです。
こちらはヘビトンボという昆虫。幼虫は河川に生息する水生昆虫で、成虫になると樹液にもやってきます。名前にトンボと付きますが、トンボの仲間ではなく「ヘビトンボ目」の仲間です。
今度はトンボが舞う休耕田にやってきました。
「あそこにいますよ!」と茶珍さん。
動きが早すぎて写真では分かりづらいですが、ショウジョウトンボなどさまざまなトンボが観察できます。
6月上旬~中旬には、水辺でホタルも見られるそうですよ。
続いて、「バッタの原っぱ」へ。
茶珍さんが腰をかがめて、またなにやら見つけたみたいです。
とっても大きなショウリョウバッタ!「精霊バッタ」と書き、お盆のころになると姿を現すバッタです。
かわいらしいこちらは、イナゴの幼虫です。幼虫にはまだ翅[はね]はなく、翅のもとである翅芽[しが]があります。羽化した成虫には翅があり、飛ぶことができるそう。
疲れたらここでひと休み。フィールドステーションと呼ばれる休憩所が設置されています。中にはパネル展示もあり、休みがてら昆虫についての学びを深めることもできますよ。
かやぶき民家で昔の里山暮らしにふれてみよう
「里山歩き」が終了して自由行動。時間が許す限りまだまだ昆虫探しを続けるもよし、緑豊かな自然を散策してみるもよしです。今度は主な見どころのひとつである、かやぶき民家にやってきました。
登場したのは案内人の田村さん。隣接する桑畑で作業をしていた帰りだそうです。
かやぶき民家は明治初期に建てられた前橋市の築約150年の養蚕農家を移築したもので、桐生市の重要文化財、ぐんま絹遺産登録施設に指定されています。
立派な囲炉裏にかまどもあります。昭和期のテレビに子どもは興味津々、大人は懐かしさ満点!
今ではほとんど見られなくなった、カイコのまゆから絹糸を作り出すざぐりき(座繰り機)。まだ現役で使え、田村さんが実演してくれることもあります。そして、実際にカイコを育てているそうです。だからカイコのエサとなる桑が必要なんですね!
縁側に置かれたけん玉やおはじき、輪投げなどで、昔ながらの遊びを楽しむこともできます。ルールや遊び方が分からなくてもスタッフさんがいるときなら、声をかければ親切に教えてくれますよ。
昆虫観察館でカブトムシやチョウを観察
ぐんま昆虫の森のシンボルとなる巨大なガラスドームが特徴の昆虫観察館本館は、安藤忠雄氏の設計です。
館内は3フロアに分かれ、企画展と常設展の組み合わせで昆虫の展示が行われています。2022年夏は8月28日まで、カブト・クワガタ展も開かれていますよ!
カブト・クワガタ展の間は企画展に移されていますが、写真のヘラクレスオオカブトをはじめとした世界の昆虫は、常設展で1年中見られます。
そして、こちらも常設で1年中見学できる「昆虫ふれあい温室」。沖縄など亜熱帯の植物が生い茂り、滝が流れる温室で、日本最大級のチョウのオオゴマダラをはじめ、さまざまチョウが飛び交っています。
オオゴマダラは翅を広げると13cm~15cmにもなります。沖縄県のチョウにも指定されています。
美しい翅の模様が特徴的なツマムラサキマダラ。奄美から八重山諸島にかけての南西諸島に生息しています。
本館2階のワークショップフロアにあるクラフトコーナーでは、親子で楽しめる昆虫の森オリジナルのクラフト体験ができます。体験に必要な材料や道具が用意してあり、気軽に楽しめます。事前予約制のクラフト体験もありますので注意しましょう。
昆虫観察館は授乳室など設備充実
敷地内のトイレはいずれも清潔に保たれていて、ベビーシートとしても使える多目的ユニバーサルシートも多くのトイレに設置されています。それでも入ってくる虫などが気になるなら、やはり屋内のトイレがおすすめ。昆虫観察館には本館に2カ所、別館に1カ所のトイレがあります。
昆虫観察館本館1階には授乳室も用意されています。
中は広々としていてゆっくり落ち着いて授乳が可能。入口脇に設けられた電話で事務室に声をかけてから利用しましょう。
ショップに軽食コーナー、スタンプラリーも人気
昆虫観察館別館には昆虫グッズや虫取り網が購入できる、ミュージアムショップがあります。ボールペン(450円)やロゴ木製マグネット(275円)など、ぐんま昆虫の森オリジナルグッズがおすすめ。
ミュージアムショップでは、カレーライスやうどんなどのフードメニュー、アイスやトロピカルジュースなどのデザート類が揃います。夏はかき氷も登場するので、休憩ついでにいかがですか?
そして最後に、ぐんま昆虫の森の広大なフィールドいっぱいに使って行われるスタンプラリーも、子どもたちに大人気。昆虫観察館本館3階の総合案内カウンターで台紙をもらい、11カ所のすべてのスタンプを押して総合案内カウンターに提出すれば、素敵な景品がゲットできます!
昆虫探しはもちろん、いろいろなプログラムやチャレンジもあって、さまざまな体験ができる楽しいスポット。ぐんま昆虫の森にぜひ訪れてみてくださいね!
●月夜野きのこ園ぐんま昆虫の森・新里(つきよのきのこえんぐんまこんちゅうのもり・にいさと)
住所 | 群馬県桐生市新里町鶴ケ谷460-1 |
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問合先 | 0277-74-6441 |
料金 | 大人410円、高・大学生200円、中学生以下無料 |
営業時間 | 9時30分~16時、入園閉園30分前まで ※2022年7月16日~8月14日は事前予約制(午前のみ)を実施、HPから要申込 |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日)、メンテナンス休園あり |
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