47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
兵庫県で紹介するのは「タマネギ」。“甘くて、柔らかくて、みずみずしい”の三拍子が揃ったブランド野菜「淡路島たまねぎ」が知られています。
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【知る】農業のお手本!?淡路島のタマネギ栽培
タマネギが日本に初めて来たのは、江戸時代のこと。当時は観賞用でしたが、明治時代に入ってからは、西洋料理店でのヒットを受けて徐々に広まっていきました。
淡路島では約130年前に栽培がスタート。昭和39年(1964)には面積が3000haを超え、当時、日本一の産地となりました。
どうして淡路島でタマネギ栽培が盛んなの?
画像:PIXTA
瀬戸内海最大の島・淡路島は年間の平均気温が約16℃。温暖な気候に加えて、日照時間も長いため、寒さが苦手なタマネギの栽培にはぴったりです。水稲の裏作として栽培される「淡路島たまねぎ」の魅力はその甘さにあるといわれ、他の品種と比べると約1.4倍甘いのだとか!
秋に種をまいて春に収穫するタマネギは、冬を乗り越える間に土の中でしっかりと栄養分を蓄えます。淡路島たまねぎは春の収穫期のタイミングから1週間ほど待ち、実を完熟させて甘みを引き出します。
そして、初夏になるとお目見えする「タマネギ小屋」は、収穫後に見られる淡路島の風物詩の一つ。これもタマネギをおいしくする知恵なのです。葉を結び、風通しのよい場所で太陽の光に当てて貯蔵することで、葉の養分が球に下りて、より一層甘くなるうえ、皮の色もさらに輝いてくるそうです。
淡路島では少しずつ収穫時期をずらすことで、一年中おいしいタマネギを市場に届けることができます。4月に収穫期を迎え「新タマネギ」とも呼ばれる早生品種、5月下旬〜6月上旬に収穫される中生品種、収穫後貯蔵することでさらに甘み成分が増していく6月中旬収穫の晩生品種などがあります。
淡路島のタマネギがおいしいのはSDGsな農業のおかげ?!
淡路島は降水量が少なく、島ゆえ資源が簡単に手に入る環境ではありませんでしたが、江戸時代にはすでに外部から人工的に水を農地に供給する仕組みが整えられていました。米とタマネギを交互に栽培する二毛作や、島内でたくさん飼われている牛のたい肥を利用する伝統的な農業方法が今でも実施されており、まさにSDGsそのもの。
この生産循環システムは、先ほどのタマネギ小屋と合わせて国から高い評価を受け、令和3年(2021)に日本農業遺産として認定を受けました。
なぜタマネギを切ると目にしみるの?
タマネギを切っていると目がしみて、涙が出てきた経験はありませんか? それはタマネギの中に含まれている、辛味成分の一つ「硫化アリル」が原因です。タマネギに包丁を入れたとき、硫化アリルが空気に触れることで気化し、目や鼻の粘膜を刺激して涙があふれてしまうそう。
電子レンジで温めて硫化アリルを蒸発させたり、調理前に冷蔵庫で数時間冷やしたりすると、しみるのを防げます。
また、タマネギの辛味が苦手な人は、なるべく薄くスライスして1~2時間置いておくと辛味が抜けるので、試してみてください。
【つくる】タマネギのおいしいレシピ
タマネギはじっくり加熱すると甘さが引き立つので、ローストや煮込み料理にぴったりです。いつでも使えるように長持ちさせたい場合は、皮付きのままネットに入れて、風通しのいい場所に吊るしておきましょう。
食べごたえ十分のメイン料理!「オニオンステーキ」
素材ひとつで簡単に作れる「オニオンステーキ」は、タマネギ料理の入門編としてはうってつけ。じっくりと蒸し焼きにしたタマネギは、表面はこんがり、中身がとろとろのジューシーな味わいに。そのまま食べてもおいしいのですが、トマトソースやチーズをのせると、ボリュームが増してごちそう感もアップしますよ。
簡単レシピを紹介
- タマネギを厚さ1cmの輪切りにします。
- フライパンにサラダ油を熱し、タマネギを焼きます。片面に焼き色がついたらひっくり返して、全体が半透明になるまで蒸し焼きにしてください。
- トマトソースも作っておいしくアレンジしましょう。1cm角に切ったトマトと、コンソメ、ケチャップをフライパンに入れて、水分がなくなるまで煮詰めていきます。
- 片面を焼いて裏返しにしたタマネギに、トマトソースとチーズをのせてさらに蒸し焼きにしたら完成です!
タマネギの甘みがたっぷり「丸ごとオニオンスープ」
画像:PIXTA
丸ごとのタマネギがごろんと入った満足感たっぷりのスープはとても簡単。誰でもおいしく作れるのも魅力です。
タマネギの根元に十字の切り込みを入れると、火の通りがよくなるので時短にも。基本のレシピに、ベーコンやニンニク、トマトなどを加えて自分流にアレンジしてみるのもおすすめです。
簡単レシピを紹介
- タマネギは外側の皮2枚をはがしておきます。
- タマネギの根元に十字の切り込みを入れて、ラップに包んだら電子レンジで透き通った感じになるまで加熱します。
- 鍋にだし汁を熱し、タマネギとコンソメ、塩こしょうを加え、煮立てます。
- タマネギの形を崩さないように器に盛ってから、スープを注ぎ、パセリをふって完成です。
【学ぶ】タマネギについて学べるスポット
タマネギの産地・淡路島は、観光スポットもタマネギ推し! タマネギ愛あふれる個性的なエンタメ施設や、おいしいタマネギを収穫しておみやげにできる観光農園にぜひ立ち寄ってみてください。
うずの丘大鳴門橋記念館(兵庫県/南あわじ市)
「うずの丘大鳴門橋記念館」は、タマネギをテーマにしたアミューズメント施設です。
施設内には、巨大なタマネギのオブジェを背景にした記念撮影スポットに、タマネギキャッチャー、みやげ物店など、お楽しみが盛りだくさん。1階では、全国ご当地バーガーのグランプリ1位を受賞したバーガーを販売。淡路島産タマネギの厚切りカツとビーフのコンビネーションが話題です。美しい景観と島のごちそうを堪能できる2階のレストランも人気。
住所 | 兵庫県南あわじ市福良丙936-3 |
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問合先 | 0799-52-2888 |
営業時間 | 9~17時 |
定休日 | 火曜(祝日の場合は開館) |
料金 | 無料(うずしお科学館は300円) |
アクセス | 公共機関:JR三ノ宮駅→高速バス福良バスターミナル行きで1時間30分、終点下車、隣接のなないろ館から無料シャトルバスで20分、大鳴門橋記念館下車すぐ 車:神戸淡路鳴門自動車道淡路島南ICから2km5分 |
駐車場 | あり/150台/無料 |
URL |
淡路島濱田ファーム(兵庫県/南あわじ市)
「淡路島濱田ファーム」は、淡路島たまねぎの収穫や植え付けなど、気軽に農業体験ができる観光農園です。
自分で収穫した淡路島たまねぎ(ネット1袋)は、そのままおみやげとして持ち帰ることも可能。11月~5月上旬ごろまでは生食向きの「新たまねぎ」、5月中旬~6月上旬ごろまでは加熱するとおいしい「貯蔵たまねぎ」が収穫できます。
住所 | 兵庫県南あわじ市松帆志知川172-1 |
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問合先 | 090-1582-7592(9~18時) |
営業時間 | 要予約(収穫体験は11月〜6月上旬ごろ、植え付け体験は10〜12月ごろ。所要時間約40分) |
定休日 | 体験期間中の雨天時 |
料金 | 1人2000円(2人以上、おみやげ付き) |
アクセス | 公共機関:JR三ノ宮駅→高速バス福良バスターミナル行きで1時間15分、陸の港西淡下車徒歩30分またはタクシーで5分、レンタサイクルで15分 車:神戸淡路鳴門自動車道西淡三原ICから1km2分 |
駐車場 | あり/20台/無料 |
URL |
【SDGs】兵庫県のタマネギを自由に食べたり守ったりするために
兵庫県で収穫されるタマネギは、環境に負荷をかけず生態系と調和しながら栽培が行われています。この先も、タマネギを変わらず自由に食べたり、守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればよいか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。